今般の衆議院選挙は‘裏金選挙’とも称されるほどに、自民党の裏金問題を争点とした選挙とするイメージが振りまかれています。マスメディアも総出で同イメージの刷り込みに協力しているようにも見えます。配信記事のみならずコメンテーター等も含め、同選挙結果と自公政権の政策運営との関連性について言及するメディアが殆どないからです。全ての国民が裏金問題だけを判断材料として投票したのではないにも拘わらず・・・。あまりの徹底ぶりに情報統制も疑われるのですが、仮に政界やメディアが報じるように今般の選挙が‘裏金選挙’であるならば、国民にとりましては、由々しき事態が発生することになりましょう。
由々しき事態とは、‘政策が全く変わらない’、というものです。今般の選挙に際しては、左右を問わずに自民党以外の政党の多くも、裏金問題’を強く意識し、自らの公約に政治改革や政治浄化を掲げて選挙戦に臨んでいます。立憲民主党、社民党、共産党は何れも公約のトップに置いていますし、日本維新の会も、政治改革を‘四大改革’の第一改革に位置づけています。このことは、同選挙にあっては最初から‘裏金路線’が敷かれており、与党側の敗北が高い確率で予測される選挙の結果については、裏金問題をもって説明し得るように準備していたとも考えられましょう。‘有権者は、自民党の裏金問題を最優先課題として投票した’とする説明が成り立つための、一種の‘アリバイ造り’であったのかもしれません。
当の自民党も、与党側の過半数割れの選挙結果を受けて、茂木敏充前幹事長が最大の敗因は‘裏金問題’にある旨の発言をしています。この‘自己分析’も、的確に民意を分析した結果ではなく、‘裏金路線’に沿ったものなのでしょう。確かに、パーティ券収入をめぐる‘裏金問題’は自民党にとりましてはある程度のマイナス要因とはなるものの、自公両党の主観的な立場からすれば、必ずしも自らが行なってきた数々の政策に対する国民からの拒絶や退陣要求を意味しないからです。
同解釈によれば、悪代官による国民虐めの如きものであっても、自公政権が進めてきた政策には問題がないということにもなりかねません。今後の連立の組み合わせ、あるいは、誰が内閣総理大臣に指名されるのか、といった新政権の如何に拘わらず、少なくとも政策については、方針の転換や見直し、あるいは、中止や中断を国民から求められていない、と主張することができるのです。たとえそれが、野党側による‘新政権’であったとしても・・・。
今般の衆議院選挙を‘裏金選挙’と見なすことは、結局、今後の国政が問われるべきにも拘わらず、一つの政党における腐敗問題に矮小化してしまう結果を招いてしまいます。言い換えますと、党内にあって裏金問題が解消されさえすれば、国政選挙で示された‘民意に政治サイドが応えた’ことにされてしまうのです。何れの政権であっても、世界権力が推進するグローバリスト政策は継承されてゆき、今後とも、何らの反省も検証もなく、如何なる健康被害が生じようともワクチン接種政策は粛々と遂行され、国民のデジタル管理体制も強化されてゆくことでしょう。急速に増加している移民の問題等も放置されるものと予測されます。裏金問題は、本丸あるいは本陣であるグローバル政策を護るための陽動作戦、あるいは、囮作戦であったとする見方も強ち否定はできないのです。しかも、大敗を喫した自民党が、政権維持あるいは党勢維持のために裏金問題で離党した当選議員達を自党に呼び戻すとすれば、一体、この選挙は何であったのか、わけがわからなくなります。
目下、自民党は、今般の選挙にて28議席を獲得して躍進を遂げた国民民主党に対して「部分連合」を呼びかけていると報じられています。閣僚ポストを提供することなく、政策ごとに協力できる部分のみ連携する、すなわち、国民民主党が掲げる政策を取り入れるとする提案のようですが(見返りに特別国家での首相指名の議決に際して石破首相を支持・・・)、この方式は、グローバル政策のみが協力分野としてピックアップするには好都合です。また、国民民主党のみならず、他の政党との同様の「部分連合」もあり得ることでしょう。裏金問題に国民の関心を集めている間に、○△□●▲■を公約として掲げた与党側政党と◎●▽▲◇■を公約とした野党側政党との間の協力により、国民が望んでいない●▲■のみが実現させる可能性もあるからです。このように考えますと、裏金問題の目眩ましに惑わされることなく、自公政権下において遂行されてきた“悪名高き”政策の行方こそ注視すべきではないかと思うのです。