万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

アンフェアなワクチンのメリット・デメリット比較

2021年08月31日 13時43分32秒 | 国際政治

 国民の凡そ8割がワクチンを接種したとされるイスラエルにでは、今日、予想外の異変が起きています。一時は、新型コロナウイルスの感染拡大をワクチンで抑え込んだ成功モデルとして賞賛されながら、目下、感染者数のみならず、死亡者数の急激な増加に見舞われているからです。アメリカでも、ワクチン接種率の高い州にあって同様の傾向が観察され、’ワクチン神話’は大きく揺らぎつつあります。本来ですと、ワクチン戦略は、抜本的に見直されるべきなのですが、アメリカのみならず、日本国にあっても、政府はワクチン接種推進の方針を改める気配はありません。それどころか、メディア等では、今なお盛んにワクチンの安全性をアピールしているのです。もっともらしい数字やデータを添えて。しかしながら、ワクチンのメリットはデメリットを上回ることを強調するために提示されているデータの殆どは、比較の仕方がアンフェアなように思われます。そこで、本日の記事では、アンフェアな比較方法の代表的な事例を紹介してみることとしましょう。

 

 第1の方法は、時間の経過を考慮しないというものです。確かに、遺伝子ワクチンであれ、他のタイプのワクチンであれ、接種後の一定期間にあっては、感染防止、重症化、並びに死亡を防ぐ効果が見られるものです。ワクチン効果が持続している期間にあっては、ワクチンのメリットはデメリットを上回ることになります。効果持続期間に報告された数字には誤りや改竄はありませんので、多くの人々は、ワクチンの効果が数字によって証明されたと考えることでしょう。しかしながら、ワクチン効果とは、既に指摘されているように時間の経過とともに逓減されてゆきます。また、ワクチンには、中長期的なリスクもありますので、ワクチン効果が薄れた時点でデータを取れば、ワクチンメリットが消滅する、あるいは、ワクチンメリットよりもデメリットが上回るということも大いにあり得るのです。実際に、イスラエルでは3回目のブースターショットが始まっていますので、現時点では、摂取メリットがデメリットを上回るとは言えない状況にあります。

 

 第2に、異なる母集団を敢えて同列に置いて結論を導くという方法があります。例えば、本日も、イギリスの調査結果として血栓症のリスクはワクチン接種者よりも感染者の方が大幅に上回るとする記事が報じられていました。事実として血栓症による後遺症が感染者の方が重くなる率が高かったとしても、メリットとデメリットの比較は、母集団の違いに因って変化します。

 

同報告では、ワクチン接種者2900万人以上のデータの分析を基に、接種者1000万人当たり143人が虚血性脳卒を発症するとしています。この比率からしますと、仮に、日本国にあって1億人がファイザー製のワクチンを接種した場合、中を凡そ1430人が発症する計算となります。(脳卒中を発症しなくとも、多かれ少なかれ接種者全員の体内にスパイク蛋白質が生成され、また、脳卒中の他にも様々な死に至る有害事象が報告されている…)。その一方で、感染者については1000万人当たり1699人と報告しており、143対1699の数だけを見れば、感染者の方が圧倒的に多いように見えます。しかしながら、そもそもイギリスの累積感染者数が凡そ600万人ですので、この1000万人当たり1699人という数字の算出方法の詳細は不明です。接種者であって感染者であるとすれば、1000万人という数は多すぎるように思えますので、感染者を1000万人として換算した数字であるかもしれません。仮に感染者を集団とすれば、日本国の感染率は1%以下であり、かつ、累積感染者も150万人余りですので、多く見積もっても250人程度となります。爆発的な感染拡大を経験したイギリスであればメリット面を強調することができても、日本国のように感染率が1%以下である国では、ワクチン接種による血栓リスクがメリットを上回るとは一概には言えなくなります。

 

 第3の方法は、メリット面、あるいは、デメリット面のいずれか一方を、過大評価、あるいは、過小評価するというものです。この側面は、今般の政府・マスコミ挙げてのワクチン接種キャンペーンにおいて特に顕著です。例えば、メディアでは、しばしば接種者と未接種者との間で感染率、重症化率、並びに、死亡率の比較を行っております。ところが、こうした記事をよく読んでみますと、接種者の死亡数には、ワクチン関連が疑われるケースが見事なまでに除外されています。厚労省が公表しただけでも、1000人を越える死亡ケースが報告されていながら(同数字は氷山の一角とされ、実際の死亡数はこの10倍とも…)、こうした死亡者数や重篤者数については、国民が、ワクチン接種のデメリットとして認識しないように情報から排除されているのです。

 

 以上に主たる手法について述べてきましたが、若者層をワクチン接種に誘導しようとしているのか、あたかも遠足の準備のように’前夜には○○を用意して’など、イベントの如くに軽々しく扱っているメディアも少なくありません。本来は、死亡リスクのある重大な選択であるにも拘わらず…。何れにしましても、ワクチン接種につきましては、政府やメディアが発信する情報が偏向している以上、国民は、リスク面の情報を積極的に収集することで情報の偏りを是正すべきではないかと思うのです。

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