万国時事周覧

世界中で起こっている様々な出来事について、政治学および統治学を研究する学者の視点から、寸評を書いています。

エジプト―大統領選でリーダーの選出を

2011年02月04日 15時12分43秒 | 中近東
いま辞任すればエジプトは大混乱に陥る=ムバラク大統領(トムソンロイター) - goo ニュース

 混乱が続くエジプトでは、ムバラク大統領が、”辞任すれば大混乱に陥る”と述べて辞任を拒否したことで、先行きがさらに不透明となりました。辞任しなければ、さらに大混乱に陥ることになるのですが・・・。

 混乱を長引かせている最大の要因として、野党側の分裂とリーダーの不在が挙げられています。つまり、大統領退陣後に、受け皿となるべき政権が見えてこないのです。この問題の解決には、9月に予定されている大統領選挙の繰り上げ実施しか、当面の暫定大統領の下での9月実施しかないのではないかと思うのです。大統領とは、そもそも国のリーダーでもあるのですから、国民が、選挙によって選ぶのに適した職です。そのためには、早期に大統領選出の制限を緩和し、不正選挙を防止するための、誰もが納得する仕組みづくりを急ぐべきです(中立的な勢力による選挙監視や国際選挙監視団の受け入れなど…)。野党勢力の代表が、まずは、公正かつ自由な選挙の実施を条件に、平常化への回帰を約束し、候補を擁立して選挙準備を開始すれば、国民の関心は、新たな大統領の選出に向かいます(言論の自由を保障…)。

 各大統領候補者は、国民に向けて、来るべきエジプトのヴィジョンを提示し、そのヴィジョンに基づいて国民が投票を行えば、民主化の一歩を踏み出すことができます。混乱を収拾し、政府の腐敗や不正を除去し、果敢に国政改革に取り組む能力を持つ大統領の選出こそ、エジプトを救うと思うのです。

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