花の詩山の詩

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このブログは「花と山とを友として」の続編です

カッコソウ咲く鳴神山で再会

2016年05月04日 08時57分34秒 | スポーツ・トレッキング
花友から「大変! 鳴神山でアカヤシオとカッコソウが咲いたよ」とメールが入り
急遽、鳴神山に行くことになったのは4月も終わりの頃である。

この山に行くとなれば、どうしても会いたい人がいる。
私のブログのブックマークにも入れている「花と低山を目指して」のブログを
掲載している「kothunagi567」さんである。
失礼を顧みず、ブログのコメントに花友と鳴神山に行くと書き込んだ。

鳴神山は群馬県桐生市の北に位置する山で、桐生嶽(きりゅうだけ)と仁田山岳
(にたやまだけ)の双耳峰の山である。

標高は981.5メートルで、わずかに千メートルに届かない山だが
サクラソウの一種でこの山にしか無いというカッコソウと
鳴神スミレという希少種のスミレが咲く山である。

山頂直下の肩の広場の上に「雷神岳(なるかみだけ)神社」が有り、山頂には
祠が4つもある、古くからの信仰の山であった事が伺える山である。

5月1日、5時50分集合でつくばを出る予定だったが、ゲスト参加のNNさんが
予定の時間になっても来ない、電話連絡も取れないので、6時頃見切り発車をした
数キロ走ったところで、NNさんから連絡が来た。

ユータンしてNNさんを拾って再出発、休みのはずが前夜遅くまで仕事が入り
寝坊したらしい。
今の日本は、猛烈女子で成り立っている?!(笑)
(暇なのはおまえだけっていわれそうだなー)

途中のコンビニで朝食と昼植の調達をして、食事休憩、8時47分頃
吹上のバス停に寄ってトイレタイム。

駒形登山口についたら、最後尾に駐車している「kothunagi567」さんを発見
しかしその辺にはもう駐車スペースがない。
少し登山口に近い前列の路肩にスペースを見つけて駐車した。
それが原因で、kothunagi567さんと一緒に登れなかった。
kothunagi567さんが、私たちが一列前に駐車したとは思わず、もっと前に
駐車したと思い、私たちを捜しながら赤柴登山口の方へ登ったらしい。

私たちがしたくをしているとき、脇を登って行ったらしいが、それに私たちも
気がつかなかった。
支度を終えたKさんが、後ろの列のkothunagi567さんを探しに行って「いないよ」
という。
電話をしたが、この山は電波の通りが悪く通じない。

登山口の受付でバッチを売っている保存会の方に聞いたら、赤柴の方に登って
行ったという。
再度電話するもやはり通じない。
花友がどうしても確認したい物があるというので、私たちは駒形登山口から
登る事にしていた。

ここでバッチを売っているのは、初めてのことだった。
見るとカッコソウの写真が印刷されたキーホルダータイプであった。
500円というので1個購入すると、住所と名前を書いてくれと言う。


記念に買ったカッコソウのキーホルダータイプのバッチ


駒形登山口は、林道工事のためゲートがあり、登山者は
左側の登山者用の通路から入る。


舗装された林道の左側の通路を登る


マルバスミレの白い花を見たりしながら、渓流沿いの道を歩くと
日差しを透かして新緑がまぶしい景色だ。


この若葉の時は、この一瞬だけで、夏への深緑に変わっていく


若葉の間からのぞく東国三ツ葉躑躅は、何よりの励まし
人一倍賑やかなIさんの声が谷にこだまする。
「あっあそこに東国三ツ葉、こっちには山ツツジよ」


新緑を飾るつつじは、この時期の隠し味である。
時折、数日前の雨と風で散ったアカヤシオが登山道に落ちていた。


足下の葉には、名前の知らない昆虫が一休みしている。

大岩のある場所を登ると、やがて針葉樹の間の道になる


右の沢には無数の倒木が横たわっていたり、せき止められた渓流が
飛沫をきらめかせたりしている。


暗い樹林帯の中で、木漏れ日を浴びて黄金に輝いているのはヤマブキソウ


点々と咲くヤマブキソウにしばしば足を止めて見入る


開き初めのヤマブキソウは可憐だ


が再び落葉樹林帯の急登になり、若い花友はスイスイ登っていくが
私は息が切れて、全身汗だくだった。

そんな折り、kothunagi567さんから電話が入ったが、出ると電波が切れた。
どうも谷道なので電波が入りにくいのだ。

少し高い位置まで移動して電話をするとつながったが、通話は千切れ千切れだった。
どうにかkothunagi567さんは、尾根にいる事が判った。そこで待っていると言うことも

そのことを花友に伝えると、エーッ もうそんなに行っちゃったのと驚いている。
ともかく尾根で待っている事は判ったから安心だった。

今回このコースを歩いて気がついた事がある。


鹿の食害防護用のネットで囲まれたレンゲショウマの生育地

「この山にもレンゲショウマが咲くんだね」と言うと
「そういえば、下の方にも木の枝を差して保護していた葉も
これと同じような葉だったよ」と花友は言う。
いつもながら観察力と記憶力が凄い、私はついていくのが精一杯で
それどころでは無かった。

トップのKさんにNNさんもぴったりついて登っていく。
尾瀬の檜枝岐で大杉林道を歩いたときも、しっかりついて歩いていた
私は暑さとザックの重さで足が上がらない、年の差を感じる時である
もう一緒に歩くのは無理かなと心の中で思った

ようやく肩の広場直前のジグザグの登りにさしかかった。
倒木の陰にヒトツバエゾスミレがひっそりと咲いていた。
木の間の三ツ葉躑躅が静かに見下ろしている。

肩の広場についたときは、本当にホッとした。
丸太に腰掛けて、ザックを下ろした。
少し上にある神社では、祭礼が行われていて御幣の飾り付けが風に
舞っていた。


肩の広場のすぐ上にある神社を見上げて

花友達は、肩の広場のすぐしたにあるカッコソウの植栽地を見に行った。
地元の高校生達がカッコソウの保護のために植えた場所である。
私は無理せず広場で待つことにした。
汗を拭いてカフェオレで喉を潤した。
「疲れたー」と無意識に独り言が出た。

小学校生らしい女の子とその弟らしい子が、大滝コースの方から
駆け上がってきた。
「お姉ちゃん 待ってー」と言いながら、弟も元気に駆け上る。
女の子は木の杖を片手に、余裕を見せて辺りを見回している。
その姿がなぜかほほえましい。

花の数が少なかったと言いながら、花友たちが戻ってきた。
祭礼の行われている神社に行って、お参りした。


軒先に「雷神岳神社」と書かれた紙が下がっている。
それをみて花友が何か言うと、中に座っていた氏子さんらしい人が
「それでね、なるかみだけじんじゃと読むのよ」と説明してくれた
Kさんは御神酒を勧められたが運転があるので断ったらしい。

神社の後ろが鳴神山の山頂 桐生嶽である。
登っていくと桐生嶽と似田山岳の双耳峰の鞍部つく。
ところが桐生嶽に登らず似田山岳の方に向かったので「登らないの?」
と聞くと「今日はかすんで展望がないから、登らない」という。

それで初めて登ったNNさんだけは桐生嶽に登る事になり、ひとりで
桐生嶽に足早に登っていった。
本来なら誘った私が案内すべきだろうが、その気力が無かった。
情けない。

にこにこしながら戻ってきたNNさんが「かすんでいたけれど結構
展望があって、日光の山なども見えていましたよ」と言う。


Kさんが山ツツジの蕾を写真に撮って笑っている。
何かあったと聞くと、私と鍋足山に登ったとき、「チューしている木」
という写真を撮った事を覚えていて、この蕾もそんな風に見えるという。
なるほど、右の蕾が左の蕾に激しく迫っているね。(笑)


鮮やかな東国三ツ葉躑躅を眺めながら似田山岳を巻いてゆけば
すぐに第一展望台につく。


第一展望台からの眺め、写真には写っていないが右奥に赤城山が
見える展望地だ。
名も無き山も、新緑の衣をまとい、萌えいずる春の調べを奏でる


いよいよ椚田峠に向かって落葉樹林帯を下ってゆくと、トップの
Kさんが足を止めた。
フモトスミレがヒナ壇のように並んでいる。
「色々な方向を向いて、生態写真にはぴったりね」とIさんが言う。


椚田峠の付近に、Kさんが丁字桜ではないかと気にしている桜があり
見に行ったら花は終わって、一輪のみ咲き残っていた。


椚田峠に着いたが、kothunagi567さんの姿がない。
「たぶんカッコソウの保護地にいると思うよ」とすぐにカッコソウの
保護地に向かうことにした。

峠から50メートルほど下ると、カッコソウの保護地である。
やはりkothunagi567さんはそこで待っていた。
すれ違いになったいきさつや、久しぶりの再会で話が弾んだ。
ここの保護地の手入れをされているメンバーの方達にも紹介された
保護地の中に落ちた杉の枝や葉を一本一本拾って片付けている人達だ

ベンチに座れたので、ここで昼食にした。
私がザックを開けると、保護地の手入れをしているメンバーの方が
連れてきた犬が駆け寄ってきて、私のザックをのぞき込む。
この犬は前回も出会っているので気心は知っている。
噛みついたりはしない。頭をなでてよけた。
後で花友に聞いたが、自分の好物のにおいがすると寄っていくそうである。


カッコソウの花


カッコソウの花2


カッコソウの群落

今回は望遠レンズを持参しなかったので、16~80ミリの標準
ズームで撮影したが、通路側を向いている花が少ないので、やはり
ここでは望遠が欲しい所だ。
しかも途中で電池が切れた。予備の電池は持っていたが、あえて交換せず
手持ちのコンパクトデジカメで撮影することにした。

カッコソウの保護地の下には、ルイヨウボタンの大群生地がある。
kothunagi567さんの事前の情報で、開花が始まったばかりと聞いていた。


咲き始めたばかりのルイヨウボタン、(コンパクトデジカメで撮影)
この花は撮影者泣かせで、ほんの少しの風でも揺れる。
だからこんな写真でもヨシとしよう。(っていつもじゃん(笑))

再び椚田峠に戻り、赤柴登山口を経由して駒形登山口に戻るコースで
下山開始。

この下山途中で、kothunagi567さんから、緑カタクリについて、貴重な
アドバイスを頂いた。
緑色になる原因が、突然変異だけではなく、細菌の感染によってもおきるので
緑色のカタクリは、持ち出してはならないこと、持ちだすと外のカタクリにも
感染してカタクリがダメになる可能性があると学会の研究報告もあると。
このような事は、図鑑を見ているだけでは判らない事である。

思えば、鳴神山で出会い、エンレイソウの白花が咲いていると教えて
いただいた事から始まった交流である。
人とのつながりの大切さを改めて感じた花旅である。


ヒイラギソウを撮影していたら蝶が飛んできて吸蜜を始めた
やがてマルハナバチもやって来て、花にぶら下がった。
そんな事を見ていると、時間の経つのも忘れてしまうのだ


赤柴林道には、ウラシマソウの群落があって、ひとかたまりになっていた。
またもやIさんが言う「ほら色々な方向を向いて、生態写真には丁度良いよ」

そのことで、冨山のイワウチワの事が話題になった。
イワウチワの花と葉が正面を向いている株があり、葉が手を挙げたように
立っていたので、「イワウチワの典型的な見本写真が撮れる」とIさんが
言ったからである。

やがて長い林道歩きも終わり、白いヒメウツギの咲く駒形に帰り着いた。


駒形登山口から駐車位置まで下る道に、こけむして立つ
不動明王の石像があり、帰りを急ぐ私たちを優しく見守っていた。

おしまい。

尚、帰り道で、赤城山南麓のサクラソウ自生地に寄り道して、自生の
サクラソウを見てきたが、長くなったので割愛する。ごめんなさい。


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4 コメント

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再会の喜び (kotsunagi567)
2016-05-06 20:10:04
minoさん、こんばんは。
先日は鳴神山までお出でいただきありがとうございました。
私の思い込みによるミスで、お手数をおかけしました。
近くの場所に駐車されたとは思いませんでした。ともかく、皆さんの登りのペースは早いなと感心しながら、
追いつくつもりで赤柴林道そして登山道を歩きました。追いつけなくても椚田峠下の保護地では必ずお会いできると
確信していました。尾根の近くに着きましたら受信音が鳴りましたが、これは登る直前にminoさんが私にご連絡を試みられた結果によるものでした。間もなく、電波の状態は良くありませんでしたが、お互いの状況を知ることができましたので、早とちりした私は安心しました。

記事ではお気遣いをいただきありがとうございました。記事は鳴神山登山記としてたいへん面白くかつ参考になる
と思います。ご一緒に歩きだしてから、皆さんの鋭い観察力に感服しました。また、話題が途切れることがなく、
山と花の話しをしながらの歩きを楽しみました。ありがとうございました。
ところで、5日には以前の赤城山でお会いしたことを思い出しながら、同山のアカヤシオ(アカギツツジ)を眺めて
きました。これからも、お会いできるチャンスを楽しみにお待ちしています。
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貴重なお話ありがとうこざいました (mino)
2016-05-06 23:03:55
kothunagi567さん こんばんは
丁寧なコメントをありがとうこざいます。
ちょっとしたすれ違いはありましたけれど、受付で赤柴の
方へ登って行ったよと聞いていたので、途中で会えると
思っていました。
同行の花友は、話しだしたら止まらないので、いつも賑やか
なんですよ。(笑)
赤城山は、赤城ツツジの本場なので、いつかは当たり年に
行ってみたいです。
それとは別に、鍋割山の野草も見に行きたいと言って
あるのですが、なかなか実現しません。
kothunagi 567さんと、そのときご一緒出来たらいいなーと
思っています。


返信する
カッコウソウを見てきましたよ! (yugoro)
2016-05-09 23:39:28
minoさん、こんばんは。
自分も5日に鳴神山のカッコウソウを見て来ました。
追っかけじゃないですよ、偶然です。
受付で協力金と交換に缶バッジも頂きました。

移植地の前で話を聞くと、守る会の人達は30年前から熱心に整備されている
とのこと、頭が下がります。これが鳴神山の人気を支えているのですね。
八溝山では盗掘騒ぎが起きていて恥かしい限りです。
返信する
私はヨレヨレで登りました(笑) (mino)
2016-05-10 07:31:17
さすがyugoroさん、早速協力金に募金したんですね。

あの犬連れの方が、最初の頃 一人でやっていたらしいですよ。
今回 若い人を誘ったら、ペースが早くて私はヨレヨレで登りました。(笑)

盗掘騒ぎは、鳴神山でも大変らしいですよ。
花の山は、どこに行っても盗掘の話で、腹が立ちますね
某山で監視カメラがありましたよ
盗掘を監視している訳じゃ無いだろうけど、自分も疑われているようで
気分が良くないですね。
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