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『流星ワゴン』 重松清

2008-06-26 23:39:59 | 本のこと

重松清さんの作品はこれが3作目
『舞姫通信』『疾走』とも救いのない感じだったんだけど
これはちょっと意外なファンタジーもの。

リストラされ、子供は家庭内暴力、奥さんには離婚を切り出され、
“死んじゃってもいいかなあ、もう”と思っていた38歳の僕
5年前に交通事故で死んでしまった親子の運転するワゴンに拾われ
“大切な場所”に連れていかれる。
そこで会ったのは、今の自分を同い年の自分の父親。
もうすぐ死にゆく父親とのやり直し、壊れた家族との後悔を探しに
ワゴンは宙に浮くように走る。

5年前に死んじゃった、幽霊親子とのタイムトリップっていう
ファンタジーでありながらも、描かれていることはとてもリアル。
ワゴンは“後悔”を乗せて走り、“やり直しの現実”へ走る。
やり直しの現実をなぞっても、未来は変えられないけど、
それでも、後悔の量は減るかもしれない。

もしも自分がワゴンに乗って、“自分にとって大切なところ”へ
連れていかれるとしたら、わたしはいつの、どこへ連れて行かれるんだろ。
それじゃダメだと思いながらも同じことしか出来ないのかな。
それとも結果は変わらないと分かっていても、何か少しくらいは
あがくことができるだろうか。

僕と父親チュウさんがワゴンを降りるとき、
ちゅうさんはこの出来事を“魔法”と言っていた。
こんな“魔法”みたいなこと、もしかしたら実際に起きているのかも
しれないなぁ。
世の中の予言者と言われている人は、未来からやり直しをしに来た人なんじゃなかって
僕は言ってた。

せつなかったなぁ。
それでも最後はがんばる光がほんの少し見えた感じ。

チュウさんの話す田舎言葉、広島か岡山か山口あたりかなーと思って
読んでいて、読み終わって巻末の作者紹介のところを見たら
重松清さん、岡山出身だった。
納得。

また読みたい作家さん。

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