作:中島かずき
演出:いのうえひでのり
出演:古田新太・松雪泰子・森山未来・江口洋介・川平慈英・濱田マリ・橋本じゅん
高田聖子・粟根まこと・北大路欣也
上演時間:3時間30分(休憩20分)
今回の新感線のRシリーズは、大泥棒石川五右衛門と仲間たちが暴れる大冒険モノ。
豊臣秀吉の寝室に盗みに入り捕まって、釜茹でになったかと思いきや
実は生きていて、まわりに乗せられて大モノを盗むに船を出し
その獲物をねらってあっちこっちからいろんな奴らがやってきて
大騒ぎ、という感じ。
年内で無くなってしまうらしい新宿コマ劇場
最後に来られてよかった。
本日のお席は上手ブロック10列ちょっとの通路側。
新感線は席運にめぐまれているなぁ。
新感線と言えば、
ドラマに重きをおく“いのうえ歌舞伎”と
ギャグ中心の“ネタもの”
そしてこれは音楽重視の“Rシリーズ”
私が今まで観たRシリーズは『SHIRO』と『メタルマクベス』
Rの何がすごいって、生バンド。
ミュージカルでいうところのオケピ、舞台両袖の上にはバンドメンバーが勢ぞろい。
みなさんきちんとヘヴィメタ×新感線みたいな感じの衣装をまとっている。
このオケピみたいな空間、バンドメンバーが見えないときには
富岳八景みたいな波の絵が見えるしくみになっていた。
あいかわらずトリハダの立つようなオープニンング。
古田さん演じる五右衛門をおいかける左門字役の江口っちゃん。
登場した瞬間、思わず“かっこいい”とつぶやきたくなるカッコよさ。
思ってた以上にセリフまわしもよくて聞きやすい。
江口っちゃんが新感線に客演って知ったときは、キメキメの役なのかなーと
勝手に想像していたんだけど、思いのほか笑えるキャラだった。
ギターを持って歌いだすところが最高だった。
後半で客席の通路を歩く演出があったんだけど、ちょうどわたしたちの席が
通路側だったものですぐそばを江口っちゃんが通った。
いや~
目張りをきかせた目元がキリリとしていてカッコいいのなんのって。
今作が二度目の新感線の松雪泰子さん
美しいなぁ。
しなやかな動き。
北大路欣也さん演じるクガイの前で踊るところなんたらもう
色っぽいのなんのって。
これまた通路を通っていったときも美しさに見ほれてしまった。
肌キレー。
森山未来さんは、『メタルマクベス』にも出ていたんだけど
どうも“セカチュー”のイメージが強くて、舞台はどうなの?っていう
印象だったんだけど、これがなかなかイイ。
歌も上手だったし、得意のタップもかっこいい。
片手側転とかしてて身体能力高いんだね。
わたしのなかでかなり好感度Up
これは『RENT』も楽しみかな。
川平慈英さんがおっかしかった。
あやしげなインチキくさい外国商人っていう役がはまってる。
白タイツに貴族みたいな格好でくるくる回るのが
おかしかったー。
濱田マリさんはTVのまんま、かわいらしい声だった。
“ちっちゃいアナタ”って歌が最高だった。
そしてなんと言ってもすごかったのが北大路欣也さん。
ものすごい存在感。
声量もあって迫力。
陰のある役だったけど、その悲しさがなんともたまらなかった。
江口っちゃんはカッコいいし、北大路さんもさすがだけど
それでもやっぱりいちばんひきつけられるのが古田さん。
カッコいいんだな。
変装して現れるシーンなんてもう、いよっ待ってました!って感じ。
ロックな曲がカッコよくって盛り上がる。
タタラの民の赤を基調にした服と、バラバの国の白を基調にした服
この2つの民が殺陣をするところは、動きだけじゃなくて
視覚でも楽しめる。
五右衛門のニセのお葬式で踊る町の娘たちの着物も
千代紙みたいな柄でかわいかったし。
五右衛門の着物は裾のところがハデでいい。
動きと視覚の両方で楽しめる新感線。
眠るように静かに最期を迎えるクガイに、ひざまずいてさっていく
カルマ王子の姿がなんだか悲しげで、でも印象的だったな。
毎回おかしな役が多い右近さん、歌声が最高。
五右衛門、お竜、左門字、カルマ王子がかわるがわる見得を切るところは
トリハダもののカッコよさだったな。
最後は、まるで『ルパン三世』の不二子ちゃんみたいにおいしいとこ取りの松雪さん。
左門字はやっぱり五右衛門を追っかける、みたいな。
スカっと気持ちいいエンディング。
五右衛門ロックがイイ。
客席もコブシをつきあげちゃうような、そんなエンディングが
最高だった。
気がつけばスタオベ。
お決まりの古田さんの水しぶき最高。
カーテンコールでは、橋本じゅんさんや粟根さんもちゃんと見たいのに
やっぱり古田さんに目がいっちゃう。
わかり易いストーリー、スピード感、テンポ、笑いとドラマのバランス。
やっぱり新感線はイイ。
斗真くんがジャニウェブで、“新感線の舞台を観ると、こんなオトナになりたいと思う”
って書いていたらしいけど、本当にバカバカしいことを本気でやる集団。
最高。
江口っちゃんがパンフに
“コンピュータで何でも出来る現代に、時間をかけて稽古して
それを観にくる人たちと共有する楽しさがある。”って書いていた。
うん、分かるなぁ、その感じ。
観終わって、本当にスカっと気分よくなれる、もう一回観たくなる五右衛門ロック。
最高でした。