水道職人の達夫のアタマの中に“しらひげ”と名乗る蚊トンボが住みつく。
その蚊トンボは達夫に話しかけ、達夫の肉体に驚異的なパワーをもたらし、
裏社会のいざこざに巻き込まれる達夫とシラヒゲの冒険物語。
アタマの中に言葉を理解する虫が住みつくっていう
ファンタジーものなんだけど、でも藤原伊織の世界。
人としてまっとうなやくざや、デイトレーダー、
職人気質の親方たちの生き方が男くさくてひきこまれる。
達夫にひかれる真紀と一夜をともにしちゃうのがちょっと意外だった。
わたしが今までに読んだ藤原作品の男の人は
そういうのするっとかわして最後まで一人、っていう感じが多かったから。
シラヒゲの命が尽きるまでのたった3日間の物語、
最後はちょっと悲しかったな。