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大学教授キョトンCブログ!!
この1年の研究成果のリストです!
来年度から新しいパートの仕事が増える予定です。そのパート先に、研究業績リストを送ることになりました。せっかくですから、この1年間怠けていなかった証として研究成果の概要だけお知らせいたします。なお、調査データの捏造、改竄は一切ありませんので、ここで宣言しておきます。なお×2、今年1年間の研究は全て単独で行っています。
西下彰俊・浅野仁・大和三重編『高齢者福祉論』川島書店
第1章「高齢化社会と高齢者問題の諸相」(pp.1-29)
日本社会の高齢化、高齢者と家族、就労と所得、社会参加の余暇、高齢者の社会意識と高齢者問題の各トピックスについて、現状を明らかにした。特に高齢者の社会意識については、日本の高齢者の幸福感が世界的に見て著しく高いこと、その一方で、女性高齢者の自殺率が、ハンガリーについで2番目に高いことを指摘した。総頁数181頁 総著者数6名
「第9回 スウェーデンにおけるインフォーマル・サポートの過去と現在」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.64(pp.8-14)
本稿では、スウェーデンのインフォーマル・サポートを歴史的に考察し、あわせて現在のインフォーマル・サポートの構造的問題を明らかにした。17世紀に登場した隠居契約(undantag、老いた親が、子どもや血縁関係のない他者と締結する扶養内容を具体的に示した契約)が20世紀初頭に消滅した理由を実際の隠居契約の契約内容を示しながら分析考察した。さらに、現在のインフォーマル・サポートに関して、要介護高齢者へのサービス提供主体が、当該コミューンから配偶者や別居している子どもへ大きくシフトしているという構造的問題を、Gerdt Sundstromらの研究成果を引用しつつ明らかにした。
「第10回 日本におけるインフォーマル・サポートの過去と現在」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.65(pp.8-12)
本稿では、日本のインフォーマル・サポートを歴史的に考察し、あわせて現在のインフォーマル・サポートの構造的問題を明らかにした。まず、江戸時代のインフォーマル・サポートに関して、隠居に伴う契約の事例(相定申手形之事、兵庫県西宮市)を示し、土地を老後の生活保障財とし保持しつつ家族によるインフォーマル・サポートを強化するシステムが存在することを明らかにした。加えて、5人組によるフォーマル・サポートが外延に位置づくという重層的なサポートシステムの構造が見られることも示した。現在のインフォーマル・サポートに関しては、介護保険により提供されるサービスとの関連で家族によるインフォーマル・サポートの現状と問題について明らかにした。
「第11回 スウェーデンにおける高齢者虐待防止システムの現状と課題」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.67(pp.61-67)
本稿では、スウェーデンにおいて、1997年にpolhemsgårdenという介護の付いた特別住宅で発生した高齢者虐待事件を具体的に説明し、あわせてこの事件を契機に制定されたサーラ法(Lex Sarah)の具体的内容を示した。加えて、スウェーデンの全コミューンを対象に実施した高齢者虐待事件の発生件数調査のデータを示し、サーラ法施行以後も、多数のコミューンで1999年から2003年にかけて、夥しい数の虐待もしくは不適切な行動発生していること、さらに、そうした虐待が運営を委託された民間会社の介護の付いた特別住宅だけでなく、コミューンが運営する介護の付いた特別住宅でも発生していることを実証的に示した。
「第12回 日本における要介護認定の現状と問題点」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.68(pp.1-9)
日本の介護保険システムが2006年度から大きく変更されることが予定され、新しい介護報酬が2005年末に示されようとする中、要介護認定の手続きだけは変更がない。本稿では、常々筆者が問題視している79項目の基本調査(マークシート方式)の具体的な質問項目および選択肢の設け方について、問題点を指摘した。介護認定後のケアマネージメントがどれだけ理想的に行われようとも、肝心の介護認定、とりわけ基本調査項目の妥当性がなければ意味がない。介護保険に関しては、夥しい数の研究が行われているにもかかわらず、この79項目について問題点を指摘した先行研究が全く存在しない高齢者福祉研究の現状を憂いつつ、実証社会調査研究者としてこの構造的問題にアプローチした。
「スウェーデンと日本における認知症グループホームの勤務スケジュールに関する実証的研究」(前半)
東京経済大学現代法学部『現代法学』 第10号 (pp.89-117)
本稿は研究全体の前半だけを掲載したものである。本稿では、スウェーデンのコミューンのうち、Hӓrrydaコミューン、Piteåコミューン、Ydreコミューン、Umeåコミューンの4つのコミューンを対象に、各コミューンから任意に選ばれた1つのグループホームの勤務スケジュールを詳細に分析した。各グループホームとも「ジェットコースター・シフト」と形容しうる週ごとの勤務時間の著しい変動が確認できた。本研究により、スウェーデンの社会サービスの大きな特徴の一つである「人的継続性」が確保されていない現実が明らかにされた。
「第13回 スウェーデンにおける要介護高齢者のニーズ認定」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.70(pp.15-24)
本稿では、これまでのスウェーデン研究では取り上げられることのなかった要介護高齢者に対するケアニーズ・アセスメント(介護認定)に焦点を当て、実際に行われているケアニーズ・アセスメントの具体的な方法をいくつかのコミューンについて紹介した。日本の要介護認定のような統一されたシステムはなく、スウェーデンでは、社会サービス法に示された「相応の生活水準」という極めて抽象的な原則を拠り所にケアニーズアセスメントが行われている。このように、スウェーデンにおけるケアニーズ・アセスメントに関しても構造的問題があることを指摘した。
西下彰俊・浅野仁・大和三重編『高齢者福祉論』川島書店
第1章「高齢化社会と高齢者問題の諸相」(pp.1-29)
日本社会の高齢化、高齢者と家族、就労と所得、社会参加の余暇、高齢者の社会意識と高齢者問題の各トピックスについて、現状を明らかにした。特に高齢者の社会意識については、日本の高齢者の幸福感が世界的に見て著しく高いこと、その一方で、女性高齢者の自殺率が、ハンガリーについで2番目に高いことを指摘した。総頁数181頁 総著者数6名
「第9回 スウェーデンにおけるインフォーマル・サポートの過去と現在」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.64(pp.8-14)
本稿では、スウェーデンのインフォーマル・サポートを歴史的に考察し、あわせて現在のインフォーマル・サポートの構造的問題を明らかにした。17世紀に登場した隠居契約(undantag、老いた親が、子どもや血縁関係のない他者と締結する扶養内容を具体的に示した契約)が20世紀初頭に消滅した理由を実際の隠居契約の契約内容を示しながら分析考察した。さらに、現在のインフォーマル・サポートに関して、要介護高齢者へのサービス提供主体が、当該コミューンから配偶者や別居している子どもへ大きくシフトしているという構造的問題を、Gerdt Sundstromらの研究成果を引用しつつ明らかにした。
「第10回 日本におけるインフォーマル・サポートの過去と現在」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.65(pp.8-12)
本稿では、日本のインフォーマル・サポートを歴史的に考察し、あわせて現在のインフォーマル・サポートの構造的問題を明らかにした。まず、江戸時代のインフォーマル・サポートに関して、隠居に伴う契約の事例(相定申手形之事、兵庫県西宮市)を示し、土地を老後の生活保障財とし保持しつつ家族によるインフォーマル・サポートを強化するシステムが存在することを明らかにした。加えて、5人組によるフォーマル・サポートが外延に位置づくという重層的なサポートシステムの構造が見られることも示した。現在のインフォーマル・サポートに関しては、介護保険により提供されるサービスとの関連で家族によるインフォーマル・サポートの現状と問題について明らかにした。
「第11回 スウェーデンにおける高齢者虐待防止システムの現状と課題」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.67(pp.61-67)
本稿では、スウェーデンにおいて、1997年にpolhemsgårdenという介護の付いた特別住宅で発生した高齢者虐待事件を具体的に説明し、あわせてこの事件を契機に制定されたサーラ法(Lex Sarah)の具体的内容を示した。加えて、スウェーデンの全コミューンを対象に実施した高齢者虐待事件の発生件数調査のデータを示し、サーラ法施行以後も、多数のコミューンで1999年から2003年にかけて、夥しい数の虐待もしくは不適切な行動発生していること、さらに、そうした虐待が運営を委託された民間会社の介護の付いた特別住宅だけでなく、コミューンが運営する介護の付いた特別住宅でも発生していることを実証的に示した。
「第12回 日本における要介護認定の現状と問題点」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.68(pp.1-9)
日本の介護保険システムが2006年度から大きく変更されることが予定され、新しい介護報酬が2005年末に示されようとする中、要介護認定の手続きだけは変更がない。本稿では、常々筆者が問題視している79項目の基本調査(マークシート方式)の具体的な質問項目および選択肢の設け方について、問題点を指摘した。介護認定後のケアマネージメントがどれだけ理想的に行われようとも、肝心の介護認定、とりわけ基本調査項目の妥当性がなければ意味がない。介護保険に関しては、夥しい数の研究が行われているにもかかわらず、この79項目について問題点を指摘した先行研究が全く存在しない高齢者福祉研究の現状を憂いつつ、実証社会調査研究者としてこの構造的問題にアプローチした。
「スウェーデンと日本における認知症グループホームの勤務スケジュールに関する実証的研究」(前半)
東京経済大学現代法学部『現代法学』 第10号 (pp.89-117)
本稿は研究全体の前半だけを掲載したものである。本稿では、スウェーデンのコミューンのうち、Hӓrrydaコミューン、Piteåコミューン、Ydreコミューン、Umeåコミューンの4つのコミューンを対象に、各コミューンから任意に選ばれた1つのグループホームの勤務スケジュールを詳細に分析した。各グループホームとも「ジェットコースター・シフト」と形容しうる週ごとの勤務時間の著しい変動が確認できた。本研究により、スウェーデンの社会サービスの大きな特徴の一つである「人的継続性」が確保されていない現実が明らかにされた。
「第13回 スウェーデンにおける要介護高齢者のニーズ認定」高齢者住宅財団編『いい住まい いいシニアライフ』Vol.70(pp.15-24)
本稿では、これまでのスウェーデン研究では取り上げられることのなかった要介護高齢者に対するケアニーズ・アセスメント(介護認定)に焦点を当て、実際に行われているケアニーズ・アセスメントの具体的な方法をいくつかのコミューンについて紹介した。日本の要介護認定のような統一されたシステムはなく、スウェーデンでは、社会サービス法に示された「相応の生活水準」という極めて抽象的な原則を拠り所にケアニーズアセスメントが行われている。このように、スウェーデンにおけるケアニーズ・アセスメントに関しても構造的問題があることを指摘した。
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