お昼ごろ、お買い物に出ていて、少しだけ雨が降ってきました。気まぐれな小雨というのか、日本海からの雪雲の残りが吹き飛ばされて、少しだけ雨を降らせていました。 何だか去年の冬も、同じようにソワソワした時間を過ごしていました。落ち着いて何かに取り組んでいること、最近あったでしょうか。いつも不安なことを見つけて、そちらに気を取られて、肝心なことをしないままに過ごすこと、最近はよくあるみたいです。 ほんの . . . 本文を読む
飛行機の窓ガラスに油がずっと漏れて張り付いていました。どうするんだろう。 スチュワーデスは返事をしなかった。じっとエンジンの方を見詰めていた。その真剣な横顔に、五郎はふと魅力を感じた。やがてエンジンの形も見にくくなった。黒い飛沫(ひまつ)が窓ガラスの半分ぐらいをおおってしまったのである。斜めうしろの乗客たちも、異常に気付いて、ざわめき始めた。 スチュワーデスは何も言わないで、足早に前方に歩いた。 . . . 本文を読む