甘い生活 since2013

俳句や短歌などを書きます! 詩が書けたらいいんですけど……。

写真や絵などを貼り付けて、二次元の旅をしています。

美杉の淡墨桜! オーナーに聞く!

2014年03月29日 11時13分46秒 | 三重・熊野さんぽ
 今は不通となっている、名松線の家城と伊勢興津間の沿線には、桜の名所があったり、火の谷温泉ファイアーバレーという名前は何やら恐ろしい所(実際はまったりしたところなんです)があったりします。雲出川と国道と鉄道が3つそろって走る区間があって、ここは桜の名所、鉄道ファンの撮影スポットだったりしました。今はまだ列車が通らないので、ソメイヨシノと川の流れしか写せないですけど、それでも満開になればキレイだろうなと眺めながら走っていきました。


 だから心は、それ以外の花木を探しています。どこかステキな花があればクルマを止めて写真でも撮ろうと、下心いっぱいでトロトロ走っていました。軽トラがイライラしながら後ろから迫ってくれば、少し道の端に寄って先に行かせてあげ、ダンプが前を走っていればこれまたしばらくダンプのお尻を見ないでいいように時間調整して、川と山と集落といくつかの学校や福祉施設、お茶畑などを見ては、春が来たのだと実感していました。

 そういう陽気の日だったのです。でも、ソメイヨシノはまだだし、梅はもう盛りを過ぎてあまりなく、ヒカンザクラの深い赤が時折目に入ってくるくらいでした。モクレンもありました。


 そうしていたら、山の中程に絵に描いたような桜の木が見えました。信じられないような気がして、狂い咲き? それとも梅? いったいこれはどうなっているの? とにかく確かめよう! と、川を渡り、細い道を抜けて、小さな集落の中にクルマを止めました。めざす大木は角を曲がったあたりにありそうだから、早く集落を抜けて茶畑くらいのところに出たいと、スタスタ歩きました。


 角を曲がると、やはり信じられない光景が見えました。やはりそれは桜でした。先に来た人がいて、お話をしています。とにかく写真を撮ろうと、遠くで、近くで、木の下で、木をくぐって向こう側から、谷の向こうも入れて1枚と、しばらく写真を撮っていたら、先にいた横浜ナンバーのご夫婦は帰っていきました。そこに残されたのはしっかりとしたある程度の年齢の方でした。さっき通り過ぎたときにあれこれと話しておられたので、桜のことは詳しいのだろうと、最大の疑問をぶつけてみました。



「あの、これはソメイヨシノですか?」
「いえ、これはウスズミザクラです。」
「それは岐阜県の日本三大桜の?」

「はい、あそこへ行ったときに、その木の苗を買って、ここに植えて20年になります。ソメイヨシノよりも満開は早いんです。今は満開で、こうして揺すっても全然散りません。根っこもほら、反対側は川になっていて伸びないけれど、こちら側の茶畑にはこうして根っこが盛り上がって伸びています。茶畑には肥料を与えるから、その肥料を吸ってこんなに大きくなったんです。桜の木は上に伸びている部分と同じくらい根っこも伸びるというから、茶畑の方に十メートルくらい同じように広がっているんでしょうね。」

「そうか、すごいですね。キレイだから、国道でチラッと見て、おかしいなと思って、こっちに上がって来たんです。ウスズミザクラという木の種類なんですね。」
「今はこうして白とピンクみたいな色をしているけれど、散るときにうすい墨のような色になるので、そう呼ばれているんです。でもね、これが五分咲きとか、つぼみをたくさん付けているときは、また違ったピンク色をしてるんですよ。そうだな……(つぼみをつけた枝を探してくれて、折り取ってみせてくれました)ほらね、こんなピンク色です。」
「今度、家族を連れて見せてあげたいと思います。」
「いいですよ。4~5日咲いていると思います。京都から見に来てもらったり、たくさん来てもらうんですよ。」
「はい、連れてきます。ありがとうございました。」



 かくして、名乗らず、相手のお名前も聞かず、きっとこの桜のオーナーさんで、桜を見に来た人たちと桜のお話をするのを楽しみにしておられるのだと思ったのです。だから、クルマを止めさせてもらった集落の方も、慣れておられたのだとあとから、そう理解しました。



 集落の馬酔木(アシビ)も写真に撮って、クルマを止めるときに電線を支えるワイヤーに後ろをぶつけて、少しショックだった気持ちもなくなって、とにかく春を見つけた幸福感にひたっておりました。奥さんを連れてあげればなと思いました。


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