35【南橘北枳(なん……ほくき)】……境遇の変化によって、人の気質が変わることのたとえ。《晏子春秋》 「橘」を音読みすると、何と読めばいいですか?
→「所変われば品変わる」……各地にそれぞれの名物や風土があるということ。
「難波の葦は伊勢の浜荻(はまおぎ)」……地域によって呼び方が変わる。
まあ、アジサイが植えたところで花の色が変わるみたいなものですかね。少し違うかな?
晏子さんが南の国の楚に使いに行きました。楚の霊王(「鼎の軽重を問う」でおなじみ! そして、裏切りと人殺しと領土拡大と自己顕示欲のかたまりみたいな人です)は、晏子さんの背の小ささを馬鹿にして小さな犬しか通れないような門を作って、人間が通る門は閉じておいたといいます。そんな嫌がらせを普通に思いつく人だったのです。次から次と、周囲のものに要らぬ不安・難問を与えて、プレッシャーをかけていく王様でした。まあ、南の楚の国は勝手に自分たちで王号を使う国なので、唯我独尊というのか、独善的というのか、田舎者的なのでした。
これに対して晏子さんはどう答えたのでしょう?
「犬の国には犬の門から入る。楚に入るのに犬の門からは入れない。」と叫んだそうです。
これはなかなか高等戦術です。相手に自然な礼儀を引き出させる気の利いた発言です。楚の国側としては、最初から晏子を見下していて、「おまえなんか犬同然だ」というメッセージの門を作った。そして、晏子さんがどう対処するのか待っていたのです。そこで、「なんだよ! この門は!」と怒ってみせると、楚の国側としてはシテヤッタリだったのです。それを「私は人間の国に来たのに、人間の門がないのはどういうことだ」と切り返した。まさか、そう来るとは思ってもみなかった。少し単純なイタズラだったのですね。
晏子さんから打ち返されたボールを受けないのは恥です。霊王さんは、自分の国を犬の国と認める訳にはいかないので、やむなく門を開いたということです。先ず1敗します。
第2ラウンド、霊王さんは晏子さんを呼び出し、その場に斉の出身である盗人を連れて来ます。そして、「斉人は盗みをよくするようだ」と言います。まるで斉の人間は盗っ人ばかりだというような雰囲気です。お前の国はドロボー天国だというイジワルです。これで、晏子が困るだろうと思ったのです。うまく裏切りと人殺しと人をだますのを得意としていた霊王さんは得意満面でした。
晏子さんは答えます。
「橘(たちばな)は淮南(わいなん・淮河の南)では橘になり、淮北(わいほく)では枳(からたち)になると聞いています。この二つの違いはその土地の風土の違いです。斉では盗みを働かなかった者が、楚に入ると盗みを働く。楚の風土は盗人を作るようです」とやり返しました。
さすがの霊王もこれには「聖人と共にたわむれるものではないな。かえって恥をかいた。」と脱帽したと言うことです。晏子の帰国後、暴虐(ぼうぎゃく)なことで天下に悪名が知られる霊王を驚嘆(きょうたん)させたということで評判になり、晏子さんの名声は更に上がったのでした。
★ ヒント 「源平藤橘」という貴族の名門という言い方があったり、みかんのグループを「柑橘類」といいます!
それから「只見ダム」でおなじみの「只」の音読みはどうしたらいいんでしょうね。
「只」の音は「シ」、「枳」は「キ」または「シ」、八咫烏の「咫」は「シ」などがあるようです。「枳 からたち」を「キ」と読むのはムズカシイです。私は読めませんでした。
★ 答え 35・なんきつほくき
→「所変われば品変わる」……各地にそれぞれの名物や風土があるということ。
「難波の葦は伊勢の浜荻(はまおぎ)」……地域によって呼び方が変わる。
まあ、アジサイが植えたところで花の色が変わるみたいなものですかね。少し違うかな?
晏子さんが南の国の楚に使いに行きました。楚の霊王(「鼎の軽重を問う」でおなじみ! そして、裏切りと人殺しと領土拡大と自己顕示欲のかたまりみたいな人です)は、晏子さんの背の小ささを馬鹿にして小さな犬しか通れないような門を作って、人間が通る門は閉じておいたといいます。そんな嫌がらせを普通に思いつく人だったのです。次から次と、周囲のものに要らぬ不安・難問を与えて、プレッシャーをかけていく王様でした。まあ、南の楚の国は勝手に自分たちで王号を使う国なので、唯我独尊というのか、独善的というのか、田舎者的なのでした。
これに対して晏子さんはどう答えたのでしょう?
「犬の国には犬の門から入る。楚に入るのに犬の門からは入れない。」と叫んだそうです。
これはなかなか高等戦術です。相手に自然な礼儀を引き出させる気の利いた発言です。楚の国側としては、最初から晏子を見下していて、「おまえなんか犬同然だ」というメッセージの門を作った。そして、晏子さんがどう対処するのか待っていたのです。そこで、「なんだよ! この門は!」と怒ってみせると、楚の国側としてはシテヤッタリだったのです。それを「私は人間の国に来たのに、人間の門がないのはどういうことだ」と切り返した。まさか、そう来るとは思ってもみなかった。少し単純なイタズラだったのですね。
晏子さんから打ち返されたボールを受けないのは恥です。霊王さんは、自分の国を犬の国と認める訳にはいかないので、やむなく門を開いたということです。先ず1敗します。
第2ラウンド、霊王さんは晏子さんを呼び出し、その場に斉の出身である盗人を連れて来ます。そして、「斉人は盗みをよくするようだ」と言います。まるで斉の人間は盗っ人ばかりだというような雰囲気です。お前の国はドロボー天国だというイジワルです。これで、晏子が困るだろうと思ったのです。うまく裏切りと人殺しと人をだますのを得意としていた霊王さんは得意満面でした。
晏子さんは答えます。
「橘(たちばな)は淮南(わいなん・淮河の南)では橘になり、淮北(わいほく)では枳(からたち)になると聞いています。この二つの違いはその土地の風土の違いです。斉では盗みを働かなかった者が、楚に入ると盗みを働く。楚の風土は盗人を作るようです」とやり返しました。
さすがの霊王もこれには「聖人と共にたわむれるものではないな。かえって恥をかいた。」と脱帽したと言うことです。晏子の帰国後、暴虐(ぼうぎゃく)なことで天下に悪名が知られる霊王を驚嘆(きょうたん)させたということで評判になり、晏子さんの名声は更に上がったのでした。
★ ヒント 「源平藤橘」という貴族の名門という言い方があったり、みかんのグループを「柑橘類」といいます!
それから「只見ダム」でおなじみの「只」の音読みはどうしたらいいんでしょうね。
「只」の音は「シ」、「枳」は「キ」または「シ」、八咫烏の「咫」は「シ」などがあるようです。「枳 からたち」を「キ」と読むのはムズカシイです。私は読めませんでした。
★ 答え 35・なんきつほくき