当時のメモからたどってみます。
★ 1982.7.2 Fri 大毎地下劇場(大阪梅田の名画座でした)
傑作だと思いました。ものすごいフェリーニの第18作だそうです(私は初めてフェリーニを見たのだと思われます)。もう、全編が男と女の性で連なっていて、なんと2663人の女性が出演しているということでした。
パンフレットからあらすじを紹介すると、主人公スナポラッが、列車の中で美女の誘いに乗って、ウーマンリブの国際大会に迷い込む。そこを脱出する際に、スケートリンクやビニールハウスで散々な目に遭って、ようやく逃げ込んだ巨根博士カッツオーネの豪邸で博士の〈一万人斬り〉の儀式に立ち会い、夢の通路から遊園地に出ると、今度は主人公自身の過去の女性たちと再会して、そのまま女性法廷の捕虜にされて、判決の結果、理想の女性との〈対決〉のリングの登る。
(あらすじ紹介をしても、意味がわからないと思います。とにかく、次から次といろんなイメージが重なっていくのです。テーマは男と女のいろいろということなんだけど……)
そして、リングには理想の女がいなくて、おばあさんがこの気球に乗りなさいというので、そのまま乗ってしまう。
(イメージの中で旅をしていると、案内役が出てきたら、たいていはホイホイそのまま行ってしまうと思われます。
それを、イメージが押し寄せてくるのを「イヤだ。私は……さんと一緒に行くのだ」とはっきり自己主張できる人だけが夢から覚めることがてきる人で、ホイホイとイメージを追いかけてしまう人はいつまでも夢を見ていなくてはなりません)
この「女の都」のヒロインのように扱われている女の子の顔をした気球に、主人公は乗ってしまいました。イメージのままに移動してしまった。すると、狙撃手の女性が現れ、気球に穴をあけてしまう。主人公(マルチェロ・マストロヤンニ)はもう風に吹かれて大騒ぎになります。あー、助けてと思うと、主人公はうたた寝から目覚めて、目の前には妻がいて、なんでもないように列車はまたトンネルの中に入り込み、キャストの字幕が出るのでした。
これだけじゃ、何の映画かハッキリしないけれど、シーンの1つ1つにお金がかかっているのだろうと思われました。ドナテッラ・ダミアーニという女優さんがなかなかかわいくて、めまぐるしく出入りする女優陣の中でも大切に扱われているようでした。小柄なのにすごいボインで、もう感心しました。
フェリーニは老いたとかいう評価みたいなのがあったんですが、私には本当におもしろくて、評論家の意見がまるで信じられませんでした。
さて、トンネルといい、すべり台といい、映像の仕掛けによって女性の胎内というのを意識させたり、くすぐりの笑いのネタがあったように思う。……89点!
★ 今から33年前、私はフェリーニさんに出会い、圧倒され、ファンになりました。それから、いくつかの作品を何度か映画館でお昼寝したりしながら、少しずつなじんでいって、今は少し遠ざかっていますが、相変わらず好きな作家さんとして尊敬しています。
今は、ちゃんと見ていないから、何も言えなくて、とにかく漠然と好きなわけですが、いつかイタリアに行き、少しでもそちらの空気を吸って、何か自分の世界を少しでも広げられたらと思います。
けれども、イタリアは遠いところです。簡単に飛び越えられる人もいるみたいだけど、うちは奥さんも一緒じゃないとダメだし、いつか奥さんとイタリアに行き、ワイン飲んで、町中を歩いて、飲み屋さんにも入って、向こうの人とお話できるといいですね。
だれかに出会えたら、それはもうすごいんだけどなあ。