ハードディスクに録ってた「ラ・ラ・ランド」(2016)をこの前見ました。何か書こうと思いながら、なかなか書けませんでした。
最後は、それぞれが自分の道を見つけて、離れ離れになるという映画で、ボーイ・ミーツ・ガール映画のお決まりの結末にはなりませんでした。そこが現代のミュージカル映画ということになるんでしょうか。
渋滞でクルマが動かないハイウエイ、ものすごく暑いはずなんだけど、みんなわりとさわやかで、オープンカーだってあるし、窓を開けて気長に待っている様子です。
ここからオープニングの「Another Day of Sun」という場面が繰り広げられ、みんなこの渋滞の中でも、それぞれの新しい1日が始まるみたいにして、物語の世界に引き入れる作戦です。
そんなのについていけない人は、「何だよこの始まりは、どうしてみんなクルマを放置して踊り出すんだよ!」と、怒ってしまうんですけど、それを乗り越えたら、ミュージカルを楽しめるんですよね。そして、それぞれのシーンが忘れられなくなっていくんだけどな。
私は、見終わってもう一度このオープニングシーンを見直してみました。そうしたら、ミアとセブという二人は見つけられなかったけれど、この場面が終わったら、二人とも渋滞に巻き込まれていたんだというのを確認することができました。
セブさんは、今まで経営していたジャズのお店がつぶれて、仕方がないので雇われピアニストをしている。ミアさんは、普段はコーヒーショップの店員さんなんだけど、オーディションを受けまくってるけど、サッパリ受からない。そんなパッとしない二人がパーティだかで出会い、意気投合しかける。でもまあ、お互いの生活があるので別れると、ミアさんの愛車プリウスがなかなか見つからない。アメリカはどこもかしこもプリウスがあるようでした。安くて経済的ということで、広がってたのかな。
セブさんは、ファンクロック系のバンドに誘われ、そちらでツアーなどをしなくてはいけない。もちろんやりたいのはジャズなんだけど、生活のためにバンドをしている。そして、一緒に住み始めたミアさんの舞台初日にも行けないし、ミアさんの演劇活動も全く芽が出ないのでした。
もう何もかも捨てて、故郷に帰ったミアさん、その彼女を見つけ出して、明日はオーディションだから、迎えに来るからとセブさんがやって来て、彼女を送り出します。
そのオーディショんでは、「さあ、今から好きなことを語ってください」と注文され、実家から着替えもしないで、普段着のままにやってきた感じのミアさんがオバサンのことを語ります。
My aunt used to live in Paris
叔母さんはパリに住んでたことがあります。
I remember ,
私はそんなことを憶えてました。
She used to come home and tell us
these stories about being abroad
彼女はよくうちに来てくれて、パリのお話とか外国のこと、いろいろと話してくれました。
And I remember she told us that she jumped into the river once,barefoot
憶えてるんだけど、彼女はセーヌ川に裸足で飛び込んだとか、とても寒かったから、1ヶ月くらい寝込んだとか、いろいろと聞かせてくれたんです。
でも、彼女の夢は終わらなかった。そんなおバカなことをしたとしても、彼女はパリで夢を見つづけ、それを私たちに伝えてくれたんです。
そして、私はここにいて、好きなことは何か、やりたいことは何かという夢を追いかけているんです。
そんな歌を歌います。
ああ、なかなかいい感じのナンバーだ、と感心していたら、5年後の世界に飛んでしまうし、ミアさんは女優として売れてるらしいし、ダンナさんもいるし、子どもさんもいる。そんなところへワープして、少しだけフラッシュバックみたいなのして、物語は終わってしまいます。
悲しい結末ではあるんだけど、それを乗り越える勇気と記憶と印象を与え、中で躍動する役者さんたちの姿が心に残る、そんな作品ではありました。しばらく保存しておいて、また気が向いたら見ることにします。ディスクに保存してもいいかもしれない。そんな作品でした。