リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2008年7月~その1

2008年07月16日 | 昔語り(2006~2013)
ハッピーカナダデイ

7月1日。7月1日。あっという間に1年の半分が過ぎてしまった。やれやれ、地球の回転が速くなったのか、年を取るのが早くなったのか。とにかく、1時間、1日、1週間がオリンピック級のスピードで過ぎるから目が回りそう。そのときそのときを大事にしろといわれてもなんか大事にするヒマもないくらい・・・

今日はカナダデイの祭日。いわばカナダの建国記念日だけど、実際は東部の4つのイギリス植民地が集まって「カナダ」というひとつの植民地になったのが始まりで、当時のブリティシュコロンビアは本土とバンクーバー島の植民地が統合されたばかりの別個のイギリス植民地だった。だから、「カナダ」という国は満141周年だけど、ケベックはフランスの植民地として発足して400年。ブリティシュコロンビアはビクトリア女王の命名で正式にイギリス植民地になって150年、カナダの州になってまだ137年ということになる。ロッキー山脈の向こうのアルバータとサスカチュワンがカナダの州になったのは1905年。州として最後に加わったのはニューファンドランドで、何と第二次世界大戦後の1949年だった。

独立国としての主権を獲得したのは1931年。ただし、ごねるケベックに手を焼いていたため、国家の基礎になる憲法はイギリスの「英領北アメリカ法」のままで、イギリス議会によってしか改正できないという変則的な状態が続いた。カナダ連邦議会が改正できる独自の憲法を制定して、ようやっと独立国「カナダ」の体裁が整ったのは1982年のことだ。ケベックは新憲法の承認を拒否し、その対応として出された2度の憲法改正案は最初は2州の反対で、2度目は国民投票での否決でボツになった。勢いづいたケベックは州民投票で独立を決めようとしたけど、これは小差で独立反対派が勝ち、とりあえずカナダの「離婚騒動」は収まった。今のカナダ地図が完成したのはヌナヴート準州がノースウェスト準州から分離された1999年。カナダ人ののんびり気質にはこんな歴史も影響しているのかもしれない。

世界第二の国土面積を持ちながら、カナダの人口は最近になってやっと3300万人を超えた。長いこと北緯49度線の南にいる、できすぎ、やりすぎのお兄ちゃんの陰で目立つことができなかった弟のようなものだったけど、どうもその地位が逆転気味らしい。MacLean’s誌によると、カナダ人はアメリカ人より小さめの家に住んでいるけど負債が少なく、世帯あたりの純資産額がぐんと多い。好みの車も小さめ。労働時間もアメリカ人より短く、取る休暇が多く、外国旅行もずっと多い。医療支出はアメリカ人の半分だけど、肥満率はぐんと低い。窃盗や泥棒の類はアメリカよりも少し多いけど、殺人の発生率は3分の1。銃の保有率も3分の1。よく飲むらしいのは、家族や友だちと過ごす時間が多いからかな。結婚している女性の割合が低いのは事実婚がアメリカの倍以上だからだろう。恋愛やセックスとなると、カナダ人はアメリカ人よりも概してロマンチストであるらしい。

植民地が長い歳月をかけてだんだんに寄せ集まってできあがったカナダ。これからはいろんな民族がだんだんに寄せ集まって、同じように長い歳月をかけて「カナダ人」という民族ができあがって行くだろう。最初の「カナダ」ができた1867年は、蝦夷地が北海道になった年よりわずか2年前のことだ。カナダも北海道も自然の景観だけじゃなく、歴史も似ていなくはない。北海道にはいろんな日本人が寄り集まリ、何世代かを経て、ちょっとカナダ人気質に似ていなくもない「道産子気質」を生み出した。未来25世紀にオープンマインドでおおらかなカナダ民族が育っていて、世界をリードしているといいなあ・・・

電気とんぼだぞ

7月3日。うは、ごちゃごちゃといろいろあったおかげで、ブログ皆勤がストップしてしまったではないか。といっても、それで予定がくしゃくしゃとアコーディオンになったという面もあるから、ま、ニワトリと卵の話になるか。

しばらく続いていた夏陽気がちょっとだけ緩んだ。きのうは朝からなんとなく妙にイラつく気分だったのはそのせいかしら。どうやら大気が不安定になったそうで、午後にまず突然コンピュータがシャットダウン。夜になっても視界の隅っこでどうも照明があふっていた。この「あふる」という表現は北海道の方言かもしれないけど、電圧が不安定になって照明の明るさも不安定になる状態のことで、電球が切れかかっているのか、それとも停電の前触れなのかわからないもので、気分的にもなんとなく不安定になる。まさに、大きな仕事の締切が迫っているときにそうなると、こっちも「あふあふ」の状態になってしまうから困る。

午後のシャットダウンはひとつのパラグラフが丸々ロス。夜になって外で「ゴロゴロ」と音がすると、そのたびにカレシは「おれの縄張りに侵入するの誰だ~」みたいな勢いで外へ出て行くもので、よけいイライラ。で、人の気も知らないで「南の方に稲妻が見えた」と報告してくれる。だ~からあ、雷だよっていったでしょうが。んっとに・・・。でも、やっぱり大気中に静電気が溢れていてチリチリしていたのかなあ、と思っていたら2度目のシャットダウン。カレシのコンピュータは何ごともなかったように動いているところを見ると、バックアップ電源のバッテリがたびたび出るメッセージの通り、ほんとに取り替え時期を過ぎてしまっているのかもしれない。んっと便利な時代ってのは不便だなあ、もう・・・。

何しろこの大仕事、文字サイズを10ポイントに変換してもまだ全部で50ページもある。残り時間は明日金曜日いっぱい。すごくおもしろいんだけど、文章がくどい。「○○の△△である××は」と始めて、次に「この○○の△△である××を」とやり、最後には「従って、○○の△△である××は」というパターンが続々と出てくるから頭が痛い。主張への思い入れの強さはよ~く伝わってくるんだけど、最初の一言で「××」が「○○」の「△△」だってことはよ~くわかるんで、やっぱりよけいだなあ。

日本語には効率的な代名詞の用法がないからなのかもしれないけど、これをぜんぶそのまま訳したら、訳上がりの単語数で稼いでいる分にはもうかってしょうがない。だけど、そんなダラダラ訳なんかやっていたらプロの沽券にかかわるわい、という意識がわいてくるから、シビアな書き直しということなるわけ。まあ、昔の日本人は今の若い日本人より優れた文章を書いたというわけではないことを証明するような文書なもので、ついつい「ワタシだってもうちょっとましな作文ができるけどなあ・・・」とひそかに思ってしまう。だけど、ほんとのところはあんまり変わらないような気もするんだけど。

とにかくやっと全体の3分の1までたどり着いたところで、そろそろ寝ようかということになって、まずは寝酒。自分で「おいおい」と意識しているのにもかかわらず、イラっとする気分は変わらないってくれない。そこへして、話の途中でカレシが「あ、稲妻だ!」と腰を折ってくれるから、もう、ど~しょ~もない!今度の稲妻は北東の方角。なんだかバンクーバーは雷に包囲攻撃されているような感じ。動物はこういう大気の変化に敏感だというけど、人間でもそれを感じてチリチリするってことがあるのかなあ。

まあ、明けて木曜日はごく平穏。それじゃあ、たっぷり「充電」したつもりで、がんばるかあ・・・

バックギアのタイムマシン

7月4日。なんとなく土曜日のような気がしてしょうがない金曜日。あ、アメリカの独立記念日だ。ケベックシティは開基400周年のお祭。お祝いイベントの資金としてオタワの政府は1億ドルという大金をケベック州に上げたんだって。(だけど、パレードは雨だったような・・・。)ブリティシュコロンビア州は正式に植民地になって150年なのに、オタワからのお祝い資金は600万ドルぽっきりとか。それも文句を言ってやっとしぶしぶ出してくれたみたい。まあ、400年と150年じゃ、同じってわけにはちょっと行かないよなあ。

例の「WaiWai」の問題で、毎日新聞社にデモが押しかけたんだそうな。セクションは廃止になったし、関係者も処分されたんだし、火をつけたブロガーたちも2チャン人たちもさぞかし満足しただろうと思ったけど、調子に乗ってしまって、もの足りなくなったんだろうなあ。今はやりの「土下座して謝罪しろ」ということか、それとも編集長をリンチにでもかけるつもりか。奥さんが日本人らしいのも気に触ったのかな。WaiWaiの記事を流していた「外国のメディア」としてテレビニュースで紹介されていたのは日本在住の外国人がやっている「日本在住のメディア」。まあ、英語だから即外国にあるって思っちゃったのかも。日本のマスコミもあてにならないなあ。しかも、読売新聞、朝日新聞、産経新聞のどれを見たって1行も記事がない。ははあ、でんでん虫の日和見ほっかむりってところか・・・

ビデオをちょこっと見たら、デモだか何だか集まった連中の先頭でがなりたてているのは、まだ若いようだけど、どうみても「彼女いない」風のタイプ。卑猥な記事は「日本女性を侮辱するものだ」と言っていたそうな。WaiWaiに「英訳されて掲載された(日本の大衆週刊誌の)記事のせいで日本の女性が海外で性犯罪の被害に遭っている」とも言っているらしい。ちょっとだけ言わせてもらっちゃうけど、日本女性を侮辱しているのは日本人の男(と若い女)でしょ。新聞を見てごらん。痴漢だの児童買春だの、社会の指導的地位にあるはずの男たちが連日続々と逮捕されているじゃん。思春期のボクちんじゃあるまいし、いい大人がティーンの女の子にコーフンして、手を出しては捕まって人生を棒に振っているのはどこのエロバカ変態じゃい。

あの映像で「抗議」していた連中は、「外国人野郎におれ達の女を侮辱された!」と銃をつかんで飛び 出す世界のある地域、ある人種、ある宗教の連中とあんまり変わらない。そういうところこそ男尊女卑の 思考がはびこって、女性をモノのように扱っているもん。新聞社を「在日新聞」と揶揄する日本人もいたし、ローカル掲示板でも何かにつけてやたらと反在日、反中国、反非日本人の「2チャン化現象」が起きているような感じがするし、とどのつまりは、「大日本帝国的仮想的有能感」の発露ってことなのかなあ。 新聞社に押しかけた連中が何でもありといわれる2チャンネル村の住人なのかどうかはわからないけど、 アラブあたりの「侮辱だ!ぶっ殺せ!」デモのまねなんかしてるヒマがあったら、ネタを垂れ流している日本の週刊誌発行元に抗議デモかけるべきじゃないのん?はあ、それで読売も朝日も産経も火の粉を 避けたくてだんまりってことなのか・・・な?まあ、内容がどうというんじゃなくて、「(日本人の)かっこ悪い ところを外国人が英語で世界に発信した」から怒ってるんだってことはよくわかってるだけど・・・。

それにしても、日本は戦前だなあ、もう・・・。いっそのこともっと遡って、鎖国したら?

しつこいなあ、スカンク

7月5日。大きな仕事がやっと終わって、地球の反対側にいる編集者にリレー。おかげさまで、たっぷりと理科の勉強をさせてもらったけど、脳みその方はやっぱりくたびれた。カレンダーを見ると、あした、あさってと小さい仕事がちょこちょこ。夏休み、ほしい~

次の仕事は明日に回して、ちょっとひと息・・・と思ったら、またぞろスカンク野郎のお出まし。ほんっとにしつこいやっちゃ~と呆れる。今度はポーチの真正面をあっちを掘り、こっちを掘り。向こうは夜行性なもので、穴掘りの後始末と緊急対策も丑三つ時の作業になるから困る。おとなりさんも迷惑だろうけど、ポーチの下に入って、居候を決め込まれるのも大迷惑。

最初に大きな穴を見つけた頃はちょうど子供が生まれる時期。ベースメントの外壁を覆っている材料の断片が外に点々と落ちていたところを見ると、どうもポーチの下で子育てをしていた疑いがある。ああ、ひょっとしたら、スカンクベビーがいるまんま穴をふさいじゃったのかもしれない。それで、しつこく掘りに来るという可能性もある。おお、この母性愛の強さよ~」とほめてあげたいところなんだけど、とっくに死んじゃってるだろうし、それにやっりスカンクに住み着かれるのは困っちゃうから、恒久的な対策を考えなくちゃなあ・・・

ゲートから玄関までのアプローチをセメントで舗装してしまえば絶対なんだけど、カレシはあんまり乗り気じゃないみたい。セメントは流し込んだらそれっきりで、アプローチのデザインを好きに変えるってわけには行かなくなるもんなあ。庭はカレシの「領地」だしなあ。(たぶん)ママスカンクとの神経戦、さて、どうなるんだろう。くたびれるなあ、もう・・・

かゆい、かゆい

7月6日。日曜日のはずなんだけど、何だか月曜日のような気がして困る。ふ~ん、海の向こうの日付変更線の向こうの国の時間に合わせて生活しているようなもんで、カレンダーの日付をプラス1で見る癖がついてしまったのかなあ。ちょっとばかりまずいんじゃないかい、これ?

ゆうべの臨時のスカンク対策で、玄関前はまるで工事現場みたい。四角の思い敷石をどかして、古い合板をポーチにぴったりつけて敷いて、その上に敷石で重し。朝になって、掘り返した形跡がなかったところを見ると効果はあったらしい。もぐらじゃあるまいし、1メートルもトンネルは掘らないと思うけど。対策としては、金網のロールを買って来て、それを直角に折って、その一方をポーチの縁に固定して、もう一方をアプローチに埋め込もうという案が浮上。これだったら、スカンクがいくら必死になって掘ってみたってくたびれ損でしかないな。いくらこだわり症のスカンクでも、まさかワイヤカッターを持って来るということはなさそうだもん。こっちは敷石をどけて、金網を設置して、土をかぶせてから敷石を戻すだけ。カレシひとりでもできそうな作業。カレシに(座布団がないから)クッション1個あげよう。

夜になって庭に出るとなぜかいつも体中がかゆくなるから困る。別に草木にも何にも触っていないのに、頭皮がかゆい、顔がかゆい、背中がかゆい・・・じんましんが出ているわけじゃなくても、かゆい、かゆい。空気中に花粉とか何かが漂ってるのかなあ。まあ、なんとなくかゆい~というだけならまだいいんだけど、時にはかゆいどころか、露出していた手や足に大きな腫れが出てくることがある。カレシに調べてもらっても虫に刺されたような痕跡が見つからないのに、あっというまに真っ赤な腫れが直径10センチ以上に広がって、消えるまで
1週間や10日はかゆくて、痛くて、熱い。虫に食われたのか、有毒植物に触ったのか、とんと見当もつかないでいるんだけど、ゆうべは足首をやられてしまった。重力でどんどんくるぶしの下まで広がって、うは、ピンクの象の足・・・

いつだったか、郊外の丘のやぶの中を歩き回った後で手の甲全体が真っ赤に腫れ上がって来て、とうとうゲンコツも作れないほどパンパン。あのときは1ヵ月くらいして手の甲の皮がびりびりと剥けたけど、薬指の付け根にちっちゃな傷跡が並んで2個残ったので、クモにかまれたんだろうということになった。ふむ、傷跡がちょんちょんと2つ、ということは、やっとこみたいな牙?ですれ違いざまに速攻でガブっとやるんだろうか。ぞぉ~。

たぶん虫アレルギーなんだろうけど、ねえ、カレシ、ワタシに「悪い虫」がついたらどうする~?

姿見よ、姿見よ・・・

7月7日。月曜日。あまり暑すぎないさわやかな日。といっても、ワタシは外へ出ないので実感はないけれど。足首の腫れはくるぶしのずっと下までひろがってなんかブヨブヨ。おかげで指先までなんとなくしびれてしまった。ゆうべは一番かゆかったところをちょっとかきむしったら、その周りが変な色になってしまった。ひっかきすぎて毒を広げてしまったのかも。やっぱりクモだったのかなあ。なにしろうちの庭は「ガーデン」なんてもんじゃなくて、うっそうとしたジャングルみたいだから。ふむ、毒グモもスカンクは苦手かなあ・・・?

久しぶりの契約書の仕事。弁護士の帽子をかぶって、ちょっと気分が変わっていい。(デスクの下で足をもぞもぞ動かしながらだけど。)カレシは外へ出て、天気が良くてすっかり乾いた生垣の枝や雑草をシュレッダにかける作業。細かく砕くのでマルチになるし、速成でコンポストにもなる。シーダーの匂いが庭中にあふれて、森林浴みたい・・・と思っていたら、作業を終えたカレシが家に入ってきたとたんに頭がかゆくなってきた。さては、犯人はシーダーだったのか。シーダーは油性成分が防虫剤に使われるくらいだから、アレルギー反応が起きても不思議はない。だけど、毒グモには効かないのかなあ・・・?

「WaiWai騒動」に関連して「海外の偏向?サイト」として槍玉にあげられたサイトからリンクをたどって、おもしろいアンケートの結果を見つけた。質問は「日本や日本人の最高に良いところは何だと思うか」というもので、記事は英語だったけど、どうやら日本の某ネットメディアが日本人千人を対象に実施したアンケートを誰かが英訳したらしい。(あ、いいのかなあ。あぶなくないのかなあ・・・?)

トップは(パンパカパ~ン!)「季節感」。次に「勤勉」。その後に「親切」、「豊かな食文化」、「最新技術の創造」、「礼儀正しさ」、「義務感の強さ」、「思いやり」、「新しい文化を取り入れる柔軟さ」、「器用」と続く。トップ10以下は、「ムダに敏感」、「保守性」、「奥ゆかしさ」、「あいまいに表現すること」、「信頼できる」、「若く見える」、「味の微妙な違いがわかる」、「きれいな髪」、「女らしさ」、「テーブルマナーが良いこと」。

これは外国人から見た印象じゃなくて、あくまでも日本人が思い込んでいる日本や日本人のすばらしいところ。ま、にいちゃんねらにかまれると怖いから先に断っておくけど、英語で読んだものを日本語にしてみただけで、元の日本語の記事を読んでいないもんで、違っていたら悪しからず。まあ、結果をどう解釈するかは人それぞれ。だけど、それを太平洋をへだてて浦島花子の目で見るとまた印象が違って来るからおもしろい。色眼鏡ってことかもしれないけど、色調が違って見える。突っ込みどころもたっぷりあるし・・・だけど、やめとこ。どっちみちガイジンサイトで喧々諤々になるだろうから。それに、せっかくのきれいな包み紙、破るのもったいないもんね。

ネットなくして家事とんとん

7月9日。きのうの夜、緊急で一部だけでもと泣き落とされた仕事を大汗かきかきやっつけて、午後11時の締切に滑り込みセーフ。これで、カレンダーの仕事は全部赤線が入った。やれやれ、久しぶりに休みモードだ!少し早めのミッドナイトランチでひと息。カクテルはペルーやチリのブランディ、ピスコにレモンやシロップ、卵白を入れて作るピスコサワー。ふわっとした上品な感じで口あたりが良い。デザートはカレシ特製のラベンダーのアイスクリーム。咲きたての花を摘んですぐに作らなければならないし、おまけにできる量のわりには卵黄が3個も入っていてハイカロリーときている。だけど、口の中にほわんと広がるラベンダーの味わいはなんともいえないもので、花が咲き出すとカレシにせがんて作ってもらう季節限定の逸品。

けっこうリラックスしたところで、さて今日のブログでも・・・と思ったら、ええ?ネット接続がダウンしちゃっている。仕事を終えて送信した後だったからラッキーなことはラッキー。だけど、なんだって、ああ、なんだって、せっかく(いつまで続くかわからない)休みモードになって、さて、サイバー空間を散歩しようかというときに接続がダウンしなきゃならないんだあ!もっとも、こんなときの命綱というか、別のプロバイダに昔ながらのダイアルアップのアカウントがあることはあるけど、何しろのろりそろりだし、接続しっぱなしにするわけにもいかない。しょうがないから、日本の退社時間を見計らってクライアントからメールがあるかどうかチェック。あとはさっさと休みモードに切り替え。久しぶりに手に入ったアルマニャックを傾けながら、神さまが「遊んでおいで~」と言ってくれているんだから・・・

久しぶりに仕事ゼロになった日。朝はゆっくり起き出して、ゆっくり朝食を食べて、ニュースでも読もうかとコンピュータを起動・・・あらら、ネットの接続はまだダウン。おいおい、どうなってんの?しょうがないから、メールだけダイアルアップで下ろして、ホントに仕事がないことを確認して、あとはもうし~らない。んっとになあ。な~んかすることがなくて、手持ちぶさたな感じで、しょうがないから、洗濯でもするか・・・。いやあ、すごい山だなあ。そういえば最近の小町に「洗濯するとソックスが迷子になる」というトピックがあったっけ。うちも、うちも!の大合唱で、そっかあ、カレシのソックスだけじゃなかったんだと、ちょっぴり安心したけど、どうもソックスの片方だけがなくなる現象は世界共通らしい。洗濯機に食べられてしまうんだろうとか、ブラックホールがあるに違いないとか。ひょっとしたらUFOに乗ってきたETが足が冷えるからとソックスを持っていってしまうのかもしれない。(そういえば、この近辺に流れ着いたソックスとスニーカーを履いた足、今のところ、右足4本、左足1本。今度はスウェーデンで同じような片足が見つかったとか。)

洗濯と乾燥はしめて3ラウンド。乾いたものを二階に運ぶのに、バスケットに大盛の山盛りになってしまって前が見えない。しょうがないから、重たいバスケットを捧げ持って、階段をそろり、そろり。ついでにベッドを整えて、窓のガーベラの鉢に水をやって、ちょっぴり主婦業をやっている気分になるからおかしい。だけど、カレシがママと電話で話をしていて、ワタシのことを「今日は仕事がないからって、のんびりと遊んでらあ」なんてノー天気に言うから、「大洗濯が遊びなら、はい、大いに遊んでます」と、ママに聞こえるように大きな声で言ったら、カレシがママに「わかってるよ」と言っていたところを見ると、「ちゃんと手伝いなさい」とお小言をくらったのかもしれない。自分のものは(1週間はかかるけど)自分でたたむし、シャツやパンツには自分でアイロンをかけているから、洗濯はしなくても、まあいいんだけど。

洗濯物の山を片付けて、ゆったりディナーをして、オフィスに下りて見たら、いつの間にか接続が復旧していた。だけど、今度はいつまでたってもメールが来ない。スパムさえ来ない。ええ?そんなのありえるの?ためしに自分にメールしてみたら、ちゃんと届いた。カレシにもテストメールをしてもらったら、やっぱりちゃんと届いた。ふむ。ったく、便利な世の中のはずなのに、ほんとに便利なのかどうかわかったもんじゃないなあ。ネットがなかった頃はいったいどんなにゆったりした暮らしをしていたやら。普通のメールが届き始めたのは復旧してから6時間。今のところ「お仕事メール」は見あたらない。しめしめ、ネットがダウンしたおかげでたまっていた「家事」もあっさり片付いたことだし、このまま、あしたも休みモードだといいなあ・・・。

風、風、吹くな

7月10日。わっ、青空にそよ風以上嵐未満の風。玄関を開けたら、ゴルフ場の並木がざわざわ、どうどうとうなっていた。風の又三郎がやってきて、「どっこどっこ」と並木を揺すぶっているのかなあ。それとも、ハイジがアルプスの山小屋で聞いたモミの梢の音かなあ。ポーチに立って耳を澄ましていると、地平線のずっと向こうのどこかでの誰かのおしゃべりや笑い声までが風に混じっていっしょに聞こえそうな感じがする。だって、風の便りっていうじゃない・・・

ネット接続復旧から一夜明けて、ありゃ、スパムメールも復活。そっかあ、受信箱に入ってくるメールのほとんどはスパムなんであって、ほんとうに意味のあるメールはごくごく少数ってことなんだ。つまりは、ちょっとの間ネットがつながらないからって、おたおたするこたあないってことか。考えてみると、旅行に出たらメールなんかチェックしないし、携帯メールなんてやったこともないし、だからって、別に不便しているわけじゃない。もしもスパムメールがなくなったら、ワタシのメールボックスは閑古鳥が鳴いて、さびしいことになってしまいそうだけど、まあ、何でもありで何の役にも立たないスパムメールも、枯れ木の山の賑わいってことか。山をにぎわす枯れ木の上を吹く風は、さしずめ風説の又三郎か・・・

お昼のニュースでは、内陸オカナガン地方のリゾート地域を猛烈な嵐が襲って、湖面は三角波が立つやら、気温は急降下するやら、木がばたばたと吹き倒されるやら。バンクーバーの郊外でもバスに木が倒れてきたり、停電したり。そういえば夕食後のおでかけの途中、ずいぶん折れた枝や吹き落とされた葉っぱ山になっていた。寝ていたから気がつかなかったけど、これはほんとの風害・・・

今日は早めの夕食を済ませて、久々にショー。メル・ブルックスの大ヒットミュージカル「Producers」はこの週末で打ち上げだから、うかうかしているとあと2枚残っているオープンの切符が使い残しになってしまう。もうひとつの劇場のオープンチケットは、忙しがっているうちに、今シーズンの出しものをみんな見逃してしまったから、まだ8枚がそっくり残っている。有効期間はあと1ヵ月。最後のショーに行っても、6枚分が残ってしまう。ああ、さしずめ1万円札が3枚、ひらひらと風に舞っていくの図・・・

このミュージカルはめちゃくちゃにおもしろい。実は3年前にニューヨークのブロードウェイで見ているし、オリジナルキャストのDVDも持っているんだけど、何度見ても飽きない。プロダクションによって微妙に演出が違ったりするからだろう。中でも、「絶対にひと晩でキャンセルになる」最悪ミュージカルの作者のナチ狂男を演じたジャクソン・デイヴィスは歌って踊っての大奮闘。この人は地元でよく知られた俳優で、70年代にバンクーバーの北のサンシャインコーストを舞台にして大ヒットした「Beachcomers」というテレビシリーズで、コンスタブル巡査(カナダでは巡査をイギリス式に「constable」というので、この役名だとConstable Constableとなる)を演じて人気者になった。ベテランの風格だなあ・・・

さて、日本はもう金曜日の終業時間が過ぎたところ。仕事メールが来ていないということは、この週末は(少なくとも日曜日の夜までは)完全休みモードになりそう。しめしめ、久しぶりにちょっと風太郎・・・

わが太陽の黒点

7月11日。朝からちょっぴり暑くなりそうな予感がする日。カレシは朝からちょっとご機嫌ななめ。きのうの夜に視界の上のほうで光がチカチカすると言い出した。ワタシも視界の隅で照明が「あふる」ように見えることがあるもので、そういったら「いや、閃光が見えるんだ」という。同じような現象じゃないかと思うんだけど、カレシはむきになって違うというから、違うんでしょ。そんなことがあって、今度は目の中に黒い点が見えると言う。「動いてる?」と聞いたら、「目を動かすと動く」と。ははあ、それは「飛蚊症」ってやつだ。

ワタシなんかだいぶ前から右目の中でひらひらとしてるのがあるけど、眼科の先生は老化現象のひとつだし、失明するわけじゃないから大丈夫、そのうちにあまり気にならなくなると言っていた、といったら、「こんな状態じゃやっていけないじゃないか!」と切れてしまった。やっていけないといわれたってなあ。だけど、何かが気になると、それにこだわってしまって、よけいに気になって、気になりすぎてストレスになってしまうのがカレシの性分だ。パラノイアの傾向もちょっぴりあるのかもしれないけど、それが性格なんだからしょうがない。だからといって切れらるのはたまったもんじゃないから、「ワタシに切れたって何もできないのに、そんなひまとエネルギーがあったらさっさとドクターに行けばいいでしょ」と、こっちも逆切れ。んっとに、もう・・・

しばらくして、しおらしく姿を見せたと思ったら、「これ、たいていの人が持っていることなんだってさ」と、ネットで調べたらしいことをとくとくと説明してくれた。だぁかぁらぁ~、さっき、ワタシがそう言ったでしょ?もう、んったく、ワタシの言うことは何にも聞いてないじゃん。まさに「話を聞かない男」の典型じゃん。(実は地図もあんまり読めないようなところがあるけど・・・。)まあ、目の前にいる人間の経験談よりも、ネット世界の他人の話のほうが聞きやすいらしいのは、どこぞの国の人っぽいかなあ。まあ、カレシはワタシの話を聞かないのではなくて、自分の知識として発表したいらしい。すなおにワタシの話を聞いてしまっては、男の沽券にかかわるとでも思っているんだろうなあ。ま、いっしょうけんめいググって、ああだこうだと情報を集めて、そろそろ眼科で検診してもらう時期だし、「ついでに」診てもらうとのご託宣。うん、そうした方がいいでしょうねえ・・・ついでに、ね。

それでもいろいろな情報を仕込んで一応は安心したのか、ご機嫌はなおったらしい。肉類の買い出しに行くついでに向かいのインドネシア料理店でディナー。ルンピアやレンダンやチュミチュミ(イカ)やナシゴレンをたっぷりたんのうしてから、ファミリーパックの肉類を山のように仕入れて、支払いの段になってクレジットカードが受付拒否されてしまった。同じアカウントのカレシのカードもダメ。おいおい、つい1時間前には使えたんだけど。ワタシのビジネス用のカードで払って、帰る途中、「黒い点が見えてきた」と。なんでもネットにはストレスになると目立つと書いてあったんだそうな。翻訳すると「ボク、ストレスなの」というところかな?「目は口ほどにものを言う」っていうけどねえ。ま、帰ってすぐに電話で問い合わせてみたら、スーパーのレジでスワイプした際に何らかの理由で自動的にセキュリティロックがオンになったらしいということで、いつのまにか誰かがビー玉くらいあるダイヤをお買い上げしたってことではなかったから、ロックを解除してもらって一件落着。やれやれ・・・

どぉお、わが太陽カレシ、黒点の活動は落ち着いたかなぁ~?

嗅覚肥大症候群?

7月12日。なんだかやっと何ごともない、だらだらの~んびりの1日。今のうちに楽しんでおかないと・・・なんて変にせかされる気分にもなるけど、そこはぐっと抑えて、今日は食べる以外は家事も勉強もなんにもしない日に決めた。(だいたいはそう決めた日が後になって休みモードの最終日だったということになるけど。)

ちょっとイラつき気味のカレシは、家の外でちょっと物音がするたびに外へ出て行くから忙しいことこの上ない。ポーチでどさっという音がしたのは、「2匹のリスが取っ組み合いをしていた」そうな。へえ、リスのレスリングなんて初耳だなあ。それにしても、いったい1日に何度外へ出て行くんだろう。何かをやっている途中でも、車のドアの音、庭やポーチでのかそこそいう音、なんでも耳にしたら出て行って確かめないと落ち着かないらしい。街中で暮らしていれば、いろんな生活音てものがあるはずだけど、ああやって毎日いったいどれだけの時間を費やしているんだろう。それが一生のうちに積もり積もってどれだけの時間とエネルギーが費やされるんだろう。なんとも損な性格だと思うんだけどなあ・・・

どうもまだスカンクが近所をうろついているらしく、夜になると悪臭が換気装置から侵入してくるから困る。夏になれば10時近くまで薄明かりが残っているから、犬や猫も遅くまで外に出ている。おかげで、犬がスカンクに遭遇する可能性がぐんと高まって、特にあまり賢くないらしい犬はまともにちょっかいを出す。スカンクの悪臭は一発ブハッとやると1キロ四方くらいで臭うというからすごい。そこへしてカレシがやたらと玄関を開けて外を点検するもので、玄関の内側まで臭いが入ってしまうから困る。そのうちに、またいつかのようにスカンクに出っくわして、今度はまともにぶちかまされるかもしれない。そんなことになったら、池にでも飛び込んで、臭いを落としてからじゃないと、家の中に入れてあげないよ~。

臭いといえば、日本の若い人の嗅覚はワンちゃん並みに鋭いらしい。加齢臭だ、加齢臭だと、なんだか日本人はみんな臭いのかとつい思ってしまいそう。白人は体臭がきつくてたまらないと愚痴る日本人が多いけど、はて、日本の西洋化もここまで進んだってことなのかなあ。加齢臭というのはノネナールとかいう物質が元凶だというので、ちょっと英語でググってみたら、出てきたのは日本人が書いた研究論文ばっかり。つまり、加齢臭というのは日本人特有の現象ってこと?ワタシが日本にいた頃にはそんな言葉はなかったなあ。いつも父の隣に座って、父の匂いをかいでいたけど、特に変な臭いはしなかったなあ。ある意味、なつかしいふるさとの匂いのように思い出すし・・・

加齢臭とかいう現象だけではないらしい。若いオフィスレディが一番ストレスを感じるのは上司の体臭と口臭なんだそうな。ここでもおじさんは「臭い!」と切り捨てられるかわいそうな存在。なんだか小学生がクラスの子を「くさい、くさい」とはやし立てていじめるのと似ていなくもないなあ。まあ、そういう時代に育ったお嬢さんたちだからかもしれない。でも、人間は視覚と嗅覚ばっかり発達したってアンバランスだと思うんだけど。そういえば、小町に「となりの洗濯物が臭い」というトピックもあった。バルコニーを隔てた自分の洗濯物にまで悪臭が移って、(迷惑になるから)外へ着て出られない。となりが洗濯物を干すと、自分の家の中にまで悪臭が充満して、もういても立ってもいられない・・・うへえ~。ここまで来たら、もう妄想症状に思えるんだけど、同調する書き込みがけっこう多かったからびっくりした。

こっちでもダンナの体臭がきつくてかなわんという日本人妻はけっこう多いらしい。「臭い、臭い」と髪を振り乱して、ファブリーズをシューシューやりながら家中を狂奔している笑うに笑えない図が浮かぶけど、ぶしつけな質問ではあるけど、いわゆる恋愛中は臭ってるのに気づかなかったの?それとも、その頃はぜんぜん気にならなかったの?カレシだって白人だからそれなりの体臭があるけど、わきの匂いも、汗まみれの時も、臭いと思ったことはないなあ。だって、それがカレシの匂いだと思っているから。これでもワタシは視力が低い分だけ嗅覚のほうが発達しているんだけどなあ。日本のお嬢さん方の嗅覚が超人的な鋭さにまで発達して、他人が臭くてイヤだというのは、生身の人間との接し方を知らないらしいポストバブルっ子の「人見知り」の表現なのかもしれない。小学生の「おまえ、くさ~い」と同じかな。

ああ、東京の街にはラーメンの醤油の匂いが漂っていたっけなあ・・・

びっくりデコデコ電

7月13日。静かな、静かな日曜日。日本の月曜の朝に合わせて、請求書を1本買いて送って、休みモードを再開。ジグソーパズルをやる。シェアウェアで買ったチェコの人が作ったソフトで、自分の画像を取り込んで、ピースの数や形を好きなように決めることができる。複雑にしすぎると、真ん中が今にも折れそうな細いピースができたりするけど、紙のパズルと違って折れない。ピースがなくなることもないし、やりかけのパズルはやりかけのままで保存されるから、置き場所に困らないのがいい。モニターの大きさが制約になって、800ピースが限度だけど、仕事の合間にちょっと開いて、何個かはめるのが手軽な息抜きになっている。

設定を変えれば同じ画像で何度でも遊べるけれど、色合いで場所の見当がついてしまうようになると、やっぱり飽きてくる。そんなとき、右クリックで簡単にダウンロードできる画像は手軽な材料になるから、新聞やニュースサイトのフォトニュースのセクションを毎日見て回る。読売新聞のサイトにはできの良いニュース写真があったんだけど、ダウンロードさせてくれなくなったのが残念。朝日新聞もけっこういい。料理のセクションなどはカラフルな写真の宝の山だ。在日本外国人向けサイトにはよくおもしろいのが登場する。NOVAうさぎのポスターしかり、ハローキティちゃん各種しかり。

そうやって集めた何百ものファイルのひとつが「デコ電」。というか、携帯だけでなく、腕時計やゴルフのクラブまで、デコデコ。ビーズだのをびっしりくっつけてキラキラ。とにかく飾り立てることが流行っているらしい。そういえば、東急ハンズにも蒔絵風に飾るキットを売っていたし、ビーズだの宝石風のガラス玉だのもたくさんあった。デコ電なんて聞いたことも見たこともなかったから、「なんじゃ、こりゃ?」と目が点々になった。ワタシにはどうしても「ゴテ電」に見えたけど、はやりということは、好きな人が多いってこと。「ワタシだけのものが欲しい」、「目立ちたい」という心理はなんとなくわかる。要するに、「和を以って尊しと為す」のにうんざりしたってことなんだろう。いくら日本はそういう文化なんだといっても、やっぱり人間は生まれつき十人十色だから、自己主張のひとつやふたつ、したくもなるよなあ。それができないから、自分の所有物を「カスタマイズ(自分だけのもの)」することで自己主張しているってことでしょ?

だけど、近頃はデコ電を専門とする人が登場して、あちこちにデコ電教室なるものができているそうな。さ~すが、なんでも「教室ビジネス」になるカルチャー教室大国ニッポンならではの現象。セレブ先生やカリスマ先生が女性雑誌でもてはやされて、あっちの教室、こっちの教室と飛び回り、習いに来る生徒(それとも弟子なのかな?)は「今、○○先生のデコ電教室に通っています」とほっこりブログに書くんだろうか。ドールハウスが流行っていた頃はドールハウス作家なんて人たちがぞろぞろ女性誌に登場していたらしいから、そのうち、デコ電作家なんて人たちが登場するのかなあ。(と、ちょっとググって見たら、ひゃあ、もうアーティストに昇格しちゃってる。雑貨アーティストなんてのもあるけど、何じゃ、それ?)

ということは、華道や書道のように、先生が家元になって、弟子入りした生徒は大家元から師範免許をもらって家元に、というふうにピラミッド式の組織ができて来て、街を歩くと、「○○流デコ電教室」なんて看板が出るようになるのかなあ。まあ、ドールハウスと同様に、いっときだけマスコミにもてはやされて、やがて飽きられるのがオチだろうけど、自己主張するのにも教室/学校があって、何級とか何段とか、ヒエラルキーを作らなければできないらしいのは、やっぱり和を以って尊い日本人なのかなあ・・・。

バスティーユデイの暗黒

7月14日。月曜日。バスティーユデイ。フランスでは「Quatorze Juillet(7月14日)」というそうだけど、アメリカで独立記念日のことをよく「Fourth of July(7月4日)」というのと似ている。それがまたなんで日本では「パリ祭」という呼び方になっちゃったんだろう。ロマンチックに夢見る日本人らしくていいことはいいんだけど、パリジャンには「Fete de Paris」なんて言ってもわからないだろうなあ。まあ、わからなくたって、パリ祭は日本人のものなんだから、日本人の好きなように祝えばいいのかも。

今日は正午より前に起き出して、朝食を食べながらお昼のニュースを見ていたら、けさダウンタウンで爆発があって、ビジネス街が大停電で大変なことになっているという。どうも地下の変電設備が故障か何かで爆発してマンホールのふたを吹き飛ばしたらしいけど、有毒な黒煙がもくもくと上がって、周囲のビルは全員避難ということになったとか。交通信号もぜんぶダウンして、渋滞なんてもんじゃないらしい。停電したオフィスタワーでは、仕事にならないからと出勤してきた社員たちを帰宅させたというニュース。オフィスビルだけじゃなくて、ホテルも店もレストランも真っ暗。なにしろダウンタウンの中心部がそっくり停電しちゃっているわけで、銀行のATMも停止しているというから、えらいこっちゃ。

朝食後、思い立ったが百年目のカレシにつきあって、リサイクルデポに紙や段ボールの類を持って行った。大きなゴミ袋2つにいっぱいにシュレッダのゴミ。たまったカタログや雑誌の山。段ボール箱にためておいた封筒やチラシの類。トラックに積んで、近くのデポまで。何ヵ月もためこんだ不用品だけど、捨てるのは5分足らず。でもまあ、ゴミを捨てるってのはけっこう気分がすっきりするし、ちょっとは環境保護に貢献しているわけだし、ほんのすこ~しだけ家の中が広くなった気分になるし・・・

ひと仕事?したところで、コンピュータを立ち上げて、メールを下ろして、ニュースを読んで・・・10分ほどして「接続なし」のメッセージ。おいおい、またかいな。こんどは文句を言ってやらなくちゃと、テクニカルサポートに電話したら、「今朝バンクーバー市内で発生した停電のため、ただ今・・・」というアナウンスのテープが流れた。そうか、ここはダウンタウンにハブがあるから、停電のおかげでサーバーがもろにオフライン。「電力会社の発表では、午後7時ごろ復旧の見通し」というけど、夕食時のニュースでは朝までかかるかもなんていっている。これこそほんとのブラックマンデイだなあ。

食後に日本からカナダに戻ってくることを考えているという同業者が訪ねてきて、ひとしきりおしゃべり。日本には10年以上も住んでいたそうだけど、ふと「終の棲家」を思いやったら、やっぱり帰りたくなって、何年か前に家を買ったんだそうな。それで準備を始めようかという段階になったらしい。大学の講師の奥さんはオーストラリア国籍で、二人の間に日本で養子にした日本人の幼い子供がいるとか。子供はひとりだけの戸籍を持っていて、カナダ人の養子になったことでカナダ国籍も取得。つまり、親子三人が別々の国籍を持っているということ。まあ、ハリウッドのセレブでなくても、こっちの人たちは人種の違う子供をあたりまえのように養子にするから、別にめずらしいことではない。家族観の違いなのだといってしまえばそうなんだけど、血よりも濃い家族関係だってあるってことだろうなあ。

ひとしきり翻訳談義に花を咲かせて、郊外の滞在先へ帰るのを見送って、オフィスに下りてきてみたら、「接続しました」というメッセージ。午後10時。でも、ニュースによると、まだ停電しているところが残っているらしい。あしたの午後にカレシが予約を入れた眼科はダウンタウン中心の高層ビルのひとつ。だいじょうぶなのかなあ・・・

明るい夏の日の明暗

7月15日。ダウンタウンのブラックアウトから一夜明けた火曜日。昼のニュースによると、一部の地区でまだ停電が続いている。電力会社のサイトの地図を見たら、眼科のあるビルは赤で囲まれた未復旧地区のちょうど外になっている。少しずつ復旧してはいるものの、停電区域の東側半分はまだ遅れているような感じだ。電力会社は昼夜兼行で焼けた送電ケーブルの取替え作業中だけど、何しろ地下だから人間が入って作業できるのはマンホールの部分だけ。直径が7センチもあるケーブルが何本も焼けたということで、最終的には水曜日の夜中くらいまでかかるらしい。

カレシが念のために眼科に電話してみたら、平常通りとのこと。実際はまったく影響がなかったんだそうな。まあ、大きな地下モールがあるパシフィックセンターの一部だから、停電した送電系統とは別になっているのかもしれない。交通信号も予備の電源で機能しているそうだし、予定通りにでかけることにした。ポーチの温度計は21度と暑そうだからスリーブレス。ダウンタウンは特に日差しが強いからこの温度でも十分に暑い。車もエアコンをかけて、あまりグリーンじゃないかもしれないけど、まあ、週に1回くらいしか動かない車だから、いいことにしとこ。

ダウンタウンへの道路は未だにオリンピック関連の地下鉄工事でてんやわんや。一部は舗装を終えて、開通したものの、途中がまだ工事中だから、まるでF1レースよろしく、ジグザグコース。いっそ現状復帰する前にインディカーレースを開催したらもうかるかもしれないのになあ。それでも週日の午後にしては交通量が少ないような気がする。で、ダウンタウンへ入ってみたら、パーキングメータは選り取り見取り。あっちこっちにスペースが空いている。そっか、まだ復旧していないビルに入っているオフィスは今日も臨時休業だろうし、天気があまりにもいいものだから、朝のニュースで「まだ停電が続いていて・・・」と聞いただけで、「おお、今日も休みだ」と決め込んでさっさと遊びに行ってしまった人たちもいるだろう。(昔、カレシも朝起きて外が銀世界なのを見て、「今日は休みだ」とサボったことがあったっけ。)

眼科で検診した結果、飛蚊症。こっちは数が増えたりしなければ心配ないけれど、閃光のようなものが見えたのはたんぱく質かなにかの破片が遊離するときに網膜が引っ張られることがあるそうで、穴があくこともあるので、そういうときは網膜剥離に進行することもありえるということで、念のために網膜の状態を精密検査してもらうことになった。ただし、こっちが専門の眼科先生はバケーションで留守なので予約が取れるのは月末。まあ、今すぐにどうかなるということじゃないから、あわてなくてもいいってことなんだろう。検診の方は医療保険でカバーされないので92ドルかかったけど、専門家の診察は医療になるので保険がきく。それでもカレシは少し安心した気分らしい。

瞳孔を拡大するために入れた点眼薬の効果が切れるまではちょっと視界がぼやけているということで、コリアンスーパーのHマートで買い物をして、ついでに大き目のブランディグラスを探そうかということになって、スーパーのあるビルまで行ったら、ドアが閉まっていて、「停電のため臨時休業」という張り紙がしてあった。隣の店も、向かいのスーパーも閉まっている。冷凍食品はきっと融けてしまっただろうなあ。刺身用のマグロの塊とか、ああ、もったいない。ブランディのグラスは見つからなくて、結局メーターに1時間も残したまま、野菜の買い出しへ。ラッシュアワーの時間帯なのに、ほんとに車の数が少ない。

行きつけの青果屋にはローカルのブルーベリーがあった。ブルーベリーは目にいい成分があるそうで、どんと1キロ入りのパックを買った。朝食のシリアルによし、アイスクリームによし。夏はいいなあ・・・