リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2012年5月~その2

2012年05月31日 | 昔語り(2006~2013)
自律神経失調症かな

5月16日。水曜日。きのうは寝酒もせずに早めに寝て、睡眠たっぷり8時間。だけどまだちょっとめまい感が残っていて、ときどき冷や汗が出る。昼間のうちはいいんだけど、夜になると何となく吐き気もして来る。あんまり良くないな、これ。自律神経失調症というやつかな。

いつまでもだらだらちょぼちょぼと小出しに追加して来られたあの仕事がすごいストレスになって調子が狂ってしまったのかな、やっぱり。そこへカレシのころころスケジュールだったもんなあ。何となく中途半端に体調がすぐれないというのが気分的に一番やっかいで、えいっと具合が悪くなってしまえばよっぽど楽なんだけどなあ。

日本での休暇まであと2週間とちょっとしかないのに、ここで体調を崩すってのは癪に障る。残る仕事はあと4つ。シリーズだし、それほど複雑でもないし、期限にもまだ余裕があるから、ここらへんで仕事は「受付終了」ってことにするか。で、後は布団をかぶって寝てしまう・・・と。

眼精疲労の特効薬を見つけた

5月17日。木曜日。今度は12時間も眠ったので、起きたら背中が痛い。やれやれ。でも、起きたときには元気いっぱいなのに、夜になると、めまいがして来て、吐き気がして来て、だんだんおきていられなくなって、日本はまだ終業時間じゃないけどさっさとオフィスを閉めてベッドにバタン。どうしてなんだろうなあ・・・。

とにかく今日は仕事はしないことにして、まずは常時換気装置のフィルタの交換。ずいぶん長いことやっていなかったから、かなり目詰まりしていて、このままじゃ家が窒息状態になってしまう。掃除機でたまった埃やくもの巣を掃除して、きれいなフィルタを入れて再起動。ちょっとの間フィルタに残っていた洗剤の匂いが家中に漂うけど、すぐになんかすっきりと「いい空気」という感じになった。これで懸案をひとつ解決。気分は上々。庭仕事をしていたカレシが摘み菜にできるくらいに育ったほうれん草を収穫して来た。新鮮すぎて調理するのはもったいないからサラダに入れてもらった。葉っぱ類の野菜は成熟するまで育てるよりも、若い葉を摘んでやるとどんどん新しい葉を出すので、かなり長い期間新鮮なサラダを食べられて費用効果が高い。

動き回ってめまいも吐き気もなし。思うところがあって、ググってみたら出てきた。「眼精疲労」。単なる目の疲れを通り越して身体に悪影響が現れ、治療や対策を必要とする状態らしい。症状は目がぼやける、まぶしい、涙が出る、肩や首が凝る、倦怠感、頭痛、めまい、吐き気がある。おやおや、全部あるじゃないの。原因は目の病気の他に身体の病気、目の使いすぎ、精神的なストレス。あれま、こっちも身体の病気以外は全部あるみたい。目の病気はまず「矯正不良」というか、ワタシのコンタクトは右目で遠くを、左目で近くを見る「モノビジョン」という処方なので、一日中モニターの画面を見つめていると左目ばかりが酷使されて左右の疲労度がアンバランスになる。目の使いすぎは今に恥じまたことじゃないけど、これにたまっていた精神的ストレスがずしっと加わって、そっか、これはもろに「眼精疲労」。Asthenopiaというやつだな。月曜の夜に必死で仕上げようとしていた、あのやたらとごちゃごちゃしたパワポの仕事が「Straw that broke camel’s back(ラクダの背骨を折った藁しべ)」だったのか・・・。

夕食後、芝居を見に行った。大丈夫かなあとちょっと心配だったけど、楽しみしていた作品だから見逃したくなかったし、劇場で中段あたりの客席から離れたステージを見るのは主に右目を使って左目を休ませるいい機会だと思って決行。何年か前にバンクーバー出身の劇作家ミシェル・リムルの『Sexy Laundry』というのを見たけど、今回はその続編の『Henry and Alice: Into the Wild』。前回は高級リゾートで倦怠期の夫婦関係の立て直しを図ったヘンリーとアリス。今回はヘンリーがリストラされて優雅な老後の夢を断たれた2人がキャンプに出かける話。キャンプ用具を詰め込んだ大きなリュックを背負ったヘンリーとヒールを履いてスーツケースを引っ張ったアリスが登場して、のっけから新局面に対する夫婦の認識のギャップが提示される。すぐにお金のこと、アリスの高級志向のことでけんかが始まる。56になって今さらまともな仕事は見つからないと、アリスに働いて欲しいヘンリー。アリスは26年間専業主婦として子供を育て、家事をして「働いて来た」と。

あるとき店のウィンドウにどうしても着たいドレスがあったけど、結婚して、子供ができて、家族の世話をしているうちにいつの間にかドレスを着るには年を取りすぎていた・・・とアリス。いさかいの間にかなわなかった夢や未来への不安が語られる。バイクに乗って現れたアリスのワイルドな妹ダイアナが加わって引っ掻き回し役を演じる。どうやら夫は服役中らしい。それでも徹底してポジティブなダイアナはアリスに一緒にアフリカへボランティアに行こうと言う。「アフリカに言ってみたかった」というアリス。ダイアナが去った後、安定を求めるあまり、冒険らしい冒険をしなかったとヘンリーにかきくどくアリス。でも、夜半になって強風が吹き、2人がかりで吹き飛ばされそうになったテントを押さえた込んだとき、何かが変わり始める。We did itと・・・。

どの夫婦も数え切れないくらい繰り返したであろう夫婦げんかに笑ったり、じ~んとなったり、ほろっと涙が出たり。うん、夫婦のどちらにも結婚したためにかなわなかった夢があり、夫婦でいるために諦めた夢があるんだなあ。ショーウィンドウのドレスはアリスが夢見た自分の姿だったんだろう。家族の食事を作り、家の掃除をし、子供を育てながら、「自分の番」が来るのを待っていたというアリス。朝、近くで豪華なRVで来ていて何度も音楽を大音量で流す同年代らしい夫婦を双眼鏡で覗いては「うるさい!」と怒鳴ってばかりいたヘンリーが、何を思ったかアリスの手を取って音楽に合わせて踊り始める。釣り込まれて笑いながら一緒にリズムに乗るアリス。若かった頃の2人に戻って踊りながら熱烈なキスを交わすヘンリーとアリス。アリスに「着られなかったそのドレスを着せてみせる」というヘンリー。う~ん、もう泣けるぅ。

最後にぽろぽろ涙が出てきて、ちょっと疲れていた心だけじゃなくて、疲れ切っていた目も潤ったような気がする。眼精疲労の特効薬は笑わせて泣かせるドラマ・・・?

渡るも渡らないも、石橋は人生の夢のこと

5月18日。金曜日。なんかまたちょっと気温が下がったような。明日からビクトリアデイの三連休だというのに、日曜の夜から雨の予報だって。伝統的にこの三連休がガーデニングのシーズン開幕!というところなんだけど、去年もそうだったけど、なんか昔より寒い。なんでも太陽の極の移動がいつもより早く、しかもちょっと変わったパターンで起きているそうで、地球温暖化どころか長めの寒冷期に入ってしまうかもしれないとか。まあ、こればっかしは人間さまのせいじゃないし、あんがい収支トントンで快適な気候になったりして。ま、太陽の極が元に戻ったときのために、温暖化防止の対策や技術を磨いておくチャンスかもしれないけど・・・。

ロンドンへ行っている天皇陛下と皇后様。日本庭園を手をつないで散策する姿は仲の良いすてきな老夫婦そのもの。夫婦が「仲良く一緒に年を重ねたい」というのはああいう姿を想定しているのかな。老年のリリアン・ギッシュのようなすてきなおばあちゃんになりたいワタシだけど、カレシと金婚式まで行けたら、あんな風にほのぼのとしたすてきな老夫婦になっていたいな。すてきなおばあちゃんになるには、まあ、「おばあちゃん磨き」に精を出せばなんとかなるかと思うけど、すてきな老夫婦になるにはカレシという相手があることだから、はたしてなれるかなあ。あんがい2人してボケちゃって夢がかなったことにも気がつかなかったりしてね。それはそれで幸せでいいかもと思うけど。

きのうの芝居。長いことあたりまえだった「安定した生活」を失ったヘンリーとアリスはそれぞれに先が見えなくなった人生が不安でしかたがない。経済的な不安の他に、老いの不安、マリファナを吸う15歳の息子の心配、アリスの父親の介護の問題も背後に見え隠れするんだけど、初めのうちはどうもそれぞれの不安がかみ合っていない。テントを張ってのキャンプは2人が不安な未来に立ち向かうことを表しているわけだけど、アリスは新しい経済的状況を受け入れるのを拒んでいるようなところがあるし、(アリスの嗜好からするとかなり高収入だったらしいけど)仕事一筋だったヘンリーはエンジニアのプライドを捨て切れず、まだ「どんな仕事でもする」という気持にはなれないでいる。56歳ではまだ公的年金を減額受給できる年令(60歳)にもなっていないから、企業年金がなければ当面は無収入ということになるというのに。

カレシが「早期退職」させられたときは57歳だったから、状況は似ている。潤沢な組合年金の受給資格はあったけど、減額されたからそれだけではカレシ1人でもかつかつの額なのに、ワタシにも仕事を辞めるように迫った。52歳だったワタシは仕事を辞めたらまったくの無収入で、将来の年金も増えなくなる。カレシは公的年金を65歳まで待つつもりでいたから、それまで8年もの間をどうやって生活するつもりだったんだろうな。ずっと家計簿をワタシに任せきりだったカレシには生活感がなかったのかもしれない。まあ、当時のカレシは現実世界には住んでいなかったとしても、アリスに家庭を任せきっていたらしいヘンリーも夫婦、親子、家庭のこととなると生活感がなかったのかもしれない。

見えない将来への不安との戦いも同床異夢という感じだけど、それが所詮は他人の夫婦というものなのか。もちろんそれぞれに独立した人格なんだからあたりまえなのかもしれないけど、少なくとも共同戦線を張って未知のものに立ち向かうという選択はあると思う。ヘンリーとアリスは最後に「いっしょに冒険しようよ」というところに行き着いたけど、ワタシたちはどうなんだろうな。カレシは石橋を叩くのをめんどうくさがるし、叩いても渡るのを渋りがちな安定志向タイプだけど、川向こうにきれいな花が咲いていれば、橋が壊れていても駆け出しかねない衝動的なところもある。ワタシは石橋の状況をざっと調べた上で「ま、いっか」と思ったらさっさと渡るタイプ。危ないと思ったら何とかして渡れないものかと考えるけど、どうしても渡れないとわかったらさっさと回れ右をする「いい加減さ」もある。まあ、石橋がすてきだったら、渡れなくても川岸から眺めを楽しむかもしれないけど、カレシだったら「危ない!何とかしろ!」と怒るかもしれないな。「危ない橋、2人で渡れば怖くない(なんとかなる)」という考え方もあるんだけどね。

叩いてみるか、渡ってみるか。思案投げ首する人間の前にあるこの石橋こそ、人生の「夢」に他ならないんじゃないかという気がして来たな。

いざというときの薬なのに期限切れ

5月19日。土曜日。まだ天気はいいけど、またまた気温はちょっと下がり気味。なかなか平年並みになってくれない。去年は初夏から低温や雨続きで、地物のベリーやトウモロコシが不作気味で旬の季節も短かったけど、おいおい、2年連続はなしにしてほしいなあ。

体調は悪いと言う感じではないけど、何となく疲れが抜けない。ときどき頭がふわっとしてくるし、胃の辺りがいや~な気分になってきたりする。眼精疲労の原因には自律神経の失調もあるそうで、ストレスなどが原因で起きるいわゆる自律神経失調症(西洋にはそういう名前の「病気」はないらしい)は「適応障害」と診断されることもあるらしい。そうか、皇太子妃の雅子さまの「体調の波」というのもこういう自律神経失調の状態なんだろうな。それはつらいなあ。鬱々と塞いだ気分なのも十分につらいけど、自律神経の失調は身体に出るからつらい。今まで元気だったのに、急にいても立ってもいられないくらい具合が悪くなることもあるし、ひと晩ぐっすり眠ればしゃきっと快復するってものでもないみたいだし・・・。

だけど、幸いというのか何というのか、これで打ち切りと引き受けたものを合わせて5つの仕事を訳上がりで1日当り約1000語のペースで処理すれば、うまい具合にそれぞれの期限に間に合いそうでひと安心。通常の「楽々」ペースの半分だから、少しやっては目を休め、また少しやっては気分転換という調子で行けば、体調の回復も望めるかもね。それにしても、ここに来て突然仕事アレルギーになったのかと思ってしまったけど、考えてみたらクリスマスの直後からの5ヵ月というもの、仕事量の爆発的(はおおげさだけど)な増加で、ちゃんと心身を休養させられるような休みが全然なかった。この年でかなりの激務だったわけだな。日本のサラリーマンの「激務」なんて、長い通勤時間を除けば、上司が帰ってくれないからいつまでもだらだら「残業」で、その上に接待やら欠席不可の職場の飲み会のせいで身体が大変なんだろうと思うけど、ワタシは思考の方向がまったく逆さまの異言語の間で極端なくらいの精神集中を要求されるもので、いうなれば脳みそが激務なのだ。だから脳の視床下部というところにある自律神経の中枢だってもつれた毛糸玉のようになって調子が狂ってくるのだ・・・なんて愚痴っても聞いてくれる人がいるわけでもなし。はあ、自営業はつらいよ~、寅さ~ん。

というわけで、300語くらいやってひと休み。また2、300語やって奥の部屋のソファにころん。吐き気とめまいの予防のつもりでGravolという乗り物酔いの薬を飲んでおこうと思ったら、あら、有効期限は2004年12月。う~ん、期限切れで7年半も放置してあったのか。いつ頃、何のために買ったんだろうな。人生最大の精神的ストレスで鬱々としていた頃かな。あの頃も自律神経の失調があったのかな。とにかくそれすら思い出せないくらい古い薬。4錠くらい残っているけど、まあ別に毒になるってことはないだろうな。でも、古過ぎて効き目もないかもしれないから、水を持って来てくれたカレシに(水だけ飲んで)捨ててもらった。考えようによっては、市販薬が有効期限切れでいつまでもあるというのは2人とも健康だという証拠なのかな。鎮痛薬のタイレノルも10錠入りのチューブを買っておいて、いざというときには期限切れになっていることが多い。いざというときに役に立たないようでは、買っておく意味がないような気もするけど、こういう事態も起こるということで・・・って、今回もやっぱり役に立たなかった。ヘンなジレンマだな。

まあ、夕食後に今日の「ノルマ」の1000語を達成したから、今夜はゆっくり寝るぞ~。あしたはママの95歳のバースデイディナー。久しぶりに家族がママの希望で郊外のレストランに集まるから、よ~し、思いっきり息抜きして不調を吹き飛ばして来ようっと。

っつり食べたらてきめんに元気回復

5月21日。月曜日。ビクトリアデイ。三連休の最終日だけど、あいにくきのうから冷たい雨。ポーチの気温は午後になってもやっと12度。5月も下旬に入ったというのに、何なんだ、この天気・・・。

ゆったりしたペースでの仕事になれて、なんかこのままでずっと行っちゃおうかという気になる。きのう起きたときはなぜか頭の左側でちょっと頭痛がしていた。ふむ、人間の言語中枢って脳の左側にあるんだったけな。英語と日本語の処理機能が同じ場所にあるのかどうか知らないけど、もし後で習得した言語が母語と同じ場所に処理センターを構えるとしたら、方向性が逆の2つの言語を互いに混線しないように処理するにはかなりのエネルギーが要りそうだし、もしも別室のような感じでそれぞれ独立した処理センターがあるとしたら、2つの言語を刷り合わせるのにいちいちあっちの部屋、こっちの部屋と走り回らなければならないわけで、やっぱり相当なエネルギーを消費しそう。ワタシの言語中枢がどういう構成になっているのか知らないけど、省エネ構造にはできていないのかもしれないな。

きのうはママの95歳の誕生日でみんながお祝いに集まることになっていたので、早めに出て園芸センターに寄ろることにして、朝食後はメールのチェックだけ・・・のつもりが間違いの元。例のところからまたもやあれこれと神経質そうな質問。期限通りに納品してからもう1週間も経っているところからして、ちゃんとした校正・編集の機能がないんじゃないかという気がして来た。チェックする人はいるんだろうけど、自分の仕事に自信がないのか、それとも発注元から文句が来たら困るとビビッているのか。相手が大企業なのはわかるし、最近この方面に「事業拡大」して来るところが増えて受注競争が激化しているのもわかっているけど、何もそこまでへっぴり腰になることはないんじゃないかなあ。まあ、さすがにひとまとめにして寄こしたらしいから今回は大目に見てあげることにしたけど。

とりあえずしゃかしゃかと返事を送って、降り出した雨の中をおでかけ。郊外は風景の変化が激しくて、行くつもりだった園芸センターが見つからずに行ったり来たり。結局行くつもりではなかった別のセンターに行って、カレシはハーブの苗を買い、ワタシはふと目に付いたイソシギの置物が気に入ってママへのプレゼントに買い、指定の6時にママが前に住んでいたタウンハウスの近くにあるファミリーレストランに到着。この家族は集まると何ともにぎやかで、一番静かだったのはあんがい子供たちだったかも。主賓のママもジョークまで飛ばして、とても95歳とは思えない元気さ。未亡人になってからだんだん「かくしゃく度」が高まって来たような感じだな。

こういうレストランは「ボリューム」が売りなんだけど、そうとわかっていて、ワタシは前菜にタイ風鶏のから揚げ、メインには特大カットのプライムリブ、ついでに「大」グラスの赤ワインを注文。出てきたプライムリブはたぶん400グラムはあっただろうな。3センチくらいありそうな分厚いのがどかんとお皿に載って、グレヴィーがたっぷり。お決まりのマッシュポテトもぼてっと盛ってあって、一瞬食べきれるのかなと思ったけど、うん、こういうのを「がっつり」食べたというんだろうな。久しぶりのビーフ、おいしかったの何のって。プライムリブにつきもののぶわっとした脂身だけ残して、サンダルみたいなのをきれいに食べてしまった。魚料理がないのでグリルチキン入り大盛りサラダにビールだったカレシは、体調不振だったはずのワタシの食べっぷりに呆れるやら、うらやましがるやら。

デザートはチーズケーキやトルテ、パイ、アイスクリームなど5種類が大きめのショットグラスに入って来るのを注文してカレシとシェア。いやあ、ほんとに久しぶりに食べ過ぎるくらい食べて、満足、満足。たまりにたまったストレスが発散されて、自律神経の失調なんか吹っ飛んでしまった感じがする。さすが食道楽のワタシ。うん、人生、こんな風に爽快でなくちゃね。

おかげで今日はやる気もりもりで、日本へ行く飛行機をビジネスクラスに変えようかというカレシに、はい、そうして、そうして。もう2回も変更しているんだから、エアカナダも驚かないって。そうしたら、カレシは本気で予約を変更してしまった。それも往復ともビジネスクラス。追加料金やら変更料やらでしめて5500ドル。うっひゃあ~だなあ。でもまあ、こういう大名旅行も体力があるうちが花で、たぶんこれが最後だろうから、いいか。せっかく脳みそを絞って稼いだんだから、少しはおいしいことをして楽しまなくちゃね、うん。

新婚旅行にはおすすめできないけど

5月22日。火曜日。リラックスして眠れるようになったらしくて、首の凝りがほとんどなくなった。日曜日のプライムリブのたんぱく質が効いたのかな。調子に乗って今日は普通のペースで仕事。もちろん、ちょっと懲りたから、適当にモニターの前を離れて、軽く運動してみたり、オフィスを片付けてみたりして気分転換。この分だと、今月残りの仕事(3つのはずがいつのまにか4つになっている)はまた半日ペースに戻って、くたびれずに完了しそうだな。

一日いっぱい仕事をした後、エアカナダのビジネスクラスがどんなものかちょっと視察。1990年代はまだカナディアン航空があって、日本へ行くときは二階のビジネスクラスに乗っていた。経営難になってエアカナダに吸収合併されてしまったけど、カナディアンはすごくいいエアラインだった。たぶん良すぎたんだろうな。ビジネスクラスの食事なんかかっこいいメニューがあって、コースごとに料理が運ばれてきたもん。一度だけ日本航空のビジネスクラスに乗ったけど、あれはがっかりだった。食事はまとめてトレイで配られるし、何よりも二階にいたら客室アテンダントが、ひっきりなしに新婚さんとか、どこかの偉そうな御仁とかをコックピットに案内して来るもので眠るどころじゃなかった。あれ、社内規定に違反してなかったのかなあ・・・。

今回のエアカナダはボーイング777-300だそうで、カレシが「座席の配置がすんごく変わっていて、興味がある」ということでクラスの変更を言い出したらしい。ビジネスクラスといえば座席が大きくて、おちびのワタシなどはシートに猫みたいにくるっと丸まって寝ることができたけど、今度のはそうじゃないんだというから、エアカナダのサイトを見たら、あら、ほんとにへんてこだ。「エクゼクティブファースト」と呼んでいるのはビジネスとファーストのハイブリッドなのかな。個々の座席を見ると、なんとなくビクトリア朝時代の昔のバスタブみたいでもある。そもそも座席が並んでいない。ジグザグになっていて、その名を「ヘリンボン式」と言うんだそうな。「キャビンを見る」というボタンがあったのでクリックしてみたら、なるほど、ビジネス客向けの設定だな。「となり」がいないから、人の目を気にしないでひと仕事できそう。だけど、新婚旅行のカップルにはおススメできないような・・・。

シートが平らになってベッドになるというのもうれしいし、ボーイング777にはセルフサービスのバーまであるんだって。ちょっとグラスを置ける棚があったり、他の席からの「訪問客」用の小さな席まである。カレシは中央の2席を取ったので、斜めに背中合わせの感じ。ま、カレシはノートブックを持ち込んでひとり遊び、ワタシはDVDプレーヤーを持ち込んで講義のDVDをひとり見だから、「個室」でけっこう。ときどきご機嫌伺いに互いの席を訪問しようか。新婚ほやほやでもあるまいし、飛行機の中でいちゃいちゃしないもんねぇ。

まあ、変わった経験になりそうで、何だか楽しみになって来た。がんばって、仕事、しようっと。

知力と財力があるのになぜ幸せじゃないの?

5月23日。水曜日。ちょっと晴れて来たけど、正午を過ぎてやっとこさ14度。寒すぎっ!ま、後10日ほどで東京。あっちはたぶんずっと暖かいはずだから、いいか。でも北海道はどうなんだろう。道東やオホーツク海側はまだ寒いのかなあ。あんまり昔過ぎて忘れちゃった。

朝食が終わったところで久しぶりにイアンから電話。この週末にイタリア旅行にでかけるんだそうな。バンクーバーからフランクフルト経由でローマまで行って、そこからベニスに出て南下、長靴の先を回ってローマに戻る3週間近いバスの旅というからすごい。パッケージだからホテルや食事、荷物のめんどうは見てもらえるだろうけど、60代半ばの夫婦が全行程をバスで移動と言うのはすごい。それにしても、引退して旅行に出る夫婦の多いこと。トロントのデイヴィッドとジュディも6月末からまず鉄道でニューオーリンズに行って、レンタカーでサンフランシスコを経てオレゴン州の海岸沿いにシアトルまでの大旅行。(シアトルでレンタカーを返すので、こっちから迎えに行って一緒にちょっと遊んで来ることになった。)

どっちも年に2回旅行することにしているんだそうだけど、そういう夫婦は他にもいるから、どうも典型的な引退生活らしい。ワタシたちは長期旅行は今回が最後で、ワタシが(半)引退したら長くても1週間くらいの小旅行をしようねと話していたところだったから、モチベーションの度合いが違うなあ、もう。まあ、みんな共働きで子育てをして来た人たちで、子供たちが独立した、さあ夫婦水入らずの旅行を楽しもう、ということになるのかもしれない。ワタシたちは子供と言う旅行のタイミングを決める要素がなくていつも「2人」だったから、そういう節目がないってことかな。まあ、2人とも今日はこっち、明日はあっちと巡遊する旅行は気乗りがしない方だし、団体行動は苦手と来ているから、さっと行きたいところへ行ってさっと帰ってくるというのが合っているかもしれない。イアンとバーバラはモントリオール経由でちょうどワタシたちと同じ頃に帰って来るらしいから、旅のみやげ話の交換会をやらなくちゃ。

OECDが今年も幸福度指標(BLI)というのを発表して、カナダは36ヵ国(加盟34ヵ国+2ヵ国)中の総合6位だった。何だかんだと愚痴りながらもカナダ人はハッピーなんだよね。この指標のサイトはなかなか良くできていて、国ごとに1項目のスコアや内容を詳しく調べたり、2つの国を組み合わせて比べてみたり、かなりろいろに楽しめる。第1回の去年に続いて今年も1位はオーストラリアで、「No worries, mate!」のオージーの面目躍如といったところか。日本(カッコ内カナダ)は、「安全」は1位(2位)、「教育」は2位(8位)、「収入」は6位(5位)と高いけど、「住居」が25位(2位)、「健康」は29位(4位)、「生活の満足度」は27位(6位)、「仕事と生活のバランス」はどん尻に近い34位(21位)ということで、総合で36ヵ国中の21位。

日本は安全で高学歴の経済大国なのに国民は幸せじゃないんだなあ。自分が健康だと思っている人の割合はOECDの平均が70%なのに対して日本はわずか30%。つまり、世界一の長寿国日本で60%の人が自分を健康だと思っていないということか。それと、仕事以外で友だちや同僚とのつき合いがほどんとないか、まったくない人の割合は15%で、OECD加盟国中で最高だそうな。まあ、他人の身体的特徴や服装や癖や嗜好に違和感がある、苦痛だと言って遠ざけていたらそうなっても不思議はないけど、なんか鬱々として、互いの存在にまでイライラしている感じだな。国民の教育水準が高くて、経済的に豊かな国なんだから、その知力と財力でもって幸福度世界一の国を作れないはずはないのに。このまま高齢化が進んだら、老後の旅行や晴耕雨読を楽しむ体力も気力もない人がどんどん増えて、「健康」と「生活の満足度」は下がるばかりじゃないのかなあ。

泊まるホテルで殺人???

5月25日。金曜日。やっと初夏らしい天気になった。今度こそは続いてくれるといいけどねえ。

きのうはカレシが夜にちょっと先のスーパーへ野菜を買いに行くというので、午後を仕事日にして、またもやパワポの原稿と格闘。それにしても日本の人が作るパワポのプレゼンてどうしてこうごちゃごちゃしているんだろうなあ。講演者が口頭でやれば良さそうなことまで、スライドに押し込んでしまうから、参加者はスライドを読むのに忙しくて講演者の話なんか聞いていないんじゃないかな。まあ、講演する方は言いたいことを全部スライドに入れちゃったから、何も言わなくてもいいのかもしれないけど、それじゃあプレゼンする意味がないようなような・・・。

今日は英語教室にカレシを送り出して、仕事の仕上げ。目がしょぼしょぼして眼精疲労が出てきそうだから、実際の翻訳作業はPDF経由でワードに変換したファイルでやるから少しは楽。見直しをして完了したのを見ながらスライドに上書きしてやればおしまい。(なぜかフォントやサイズがめちゃくちゃに変わってよけいな手間がかかってしまうから、コピー&ペーストは禁物。どうしてだろうな。)まあ、午後いっぱいでワードのファイルを完成して、残る2つの仕事(パワポじゃないのがうれしい)の算段をして、今日のノルマは遂行。やっぱり、パワポは嫌いだあ・・・。

出発まであと1週間に迫って、東京の宿泊先のホテルのレストランでお客を招待する夕食会の日にちが決まったので、オンラインで予約を入れようとしたら、どういうわけか4人までしか入力できなくて、5人以上は電話で直接やれと書いてある。それも代表番号だけで、レストランには直接かけられないしくみ。なんで?はて、どうするかなあ。東京に着いてから(最初に泊まるホテルとは別なので)ホテルへ出向いて予約する手もあるけど、それでは招待した人たちへの案内ができない。やっぱり今のうちに電話でテーブルを確保しておくか。そんなことを考えながら新聞サイトを覗いていたら、ええっ、そのワタシたちが泊まるホテルで殺人事件があったという記事。アイルランドからの留学生が殺されて、若いアメリカ人が容疑者らしい。あらら・・・。

帰ってきたカレシにホテルで殺人があったんだってと報告したら、「へえ、今度の旅行、いろんなことが起きるなあ」。そうだねえ、飛行機の予約を3回も(そのたびに手数料払って)変えたし、ホテルの予約も変更したり、キャンセルしたり、延長したり。でもまあ、あと1週間だから少なくとも予定はもう変わらないよね。でも、あのホテルで殺人事件ねえ。でも、ホテルの名前が出ていたのは産経のサイトだけで、あとは「新宿のホテル」としか書かれていなかったな。まあ、昔のアメリカのテレビドラマで「ニューヨークには800万のストーリーがある」というナレーションが流れたけど、東京にも「ン千万」のドラマがあるということだな。

結局、東京の夕方の時間を見計らってホテルのレストラン予約の代表番号に電話した。代表番号からお目当てのレストランの予約係?につないでくれて(てことは、電話交換手がいるの?)、何とかお客側が一番都合がいいと言う日にテーブルを確保。国際電話だと1、2秒のタイムラグがあるので実に話しにくい。名前の綴りなんか4回くらい繰り返して、間違いなく書き取ってくれたかどうかは不明。チェックインとチェックアウトの日を教えたからそっちで確認できるだろうけど。最後に連絡先はと聞かれて、ええと・・・。妹よ、また連絡先に使わせてもらったぞよ。北海道からおみやげをどっさり盛ってくるからね!

あと1週間だ~。

こういうおもしろい仕事ばかりならいいのに

5月26日。土曜日。いい天気だなあ。正午過ぎにはもう20度に到達。初夏だもん、そう来なくっちゃ。でも、カレシはベーコンとポテトと卵でしっかり腹ごしらえをして庭に出て行ったのに、すぐに暑過ぎて作業ができないと言って入って来た。急に「暑く」なったから体の方が生理的に追いつけないのかもしれないな。

ワタシは今日も仕事日。きのう終わらせたファイルをパワポに上書きして送り、パート1とパート2に分かれている次の仕事に着手。パート1はこのシリーズたぶんこれが最後のパワポ。短いから目がしょぼつかないうちにさっさと終わらせて、パート2。こっちは普通の文書だけど、なんだかロールプレイングゲームというか、即興芝居のテーマの説明みたいで、これがまたおもしろい。あんまりおもしろくて、想像を膨らませながらパカパカと訳して行ったら、あらま、明日やる予定の分までぜんぶやってしまった。おかげで2つまとめて納品できて、残る仕事はひとつだけ。予定は2日半だけど、これもなんかおもしろそうな感じだから、はりきって1日半でやっつけてしまおうか。そうしたらゆっくりと月末処理をして、ゆっくりと荷造りできるしね。

それにしても、ビジネスのお勉強って無味乾燥なものかと思っていたけど、意外とドラマ性もあって、あんがいおもしろそうだな。なにしろ、学ぶのは錬金術(金もうけの術策)だけじゃない。(それだけ学んでおしまいの人たちも多いからこういうお勉強が必要になるんだろうけど。)なんか、人間関係とか、自己啓発とか、自己管理とか、コミュニケーションとか、知識欲とか、向上心とか、指導力とか、いやあとにかく人間のいろんな側面があって、それをぜんぶ総合して初めて人間の、人間による、人間のためのビジネスになるんだなあ。ほんとうのビジネスというのは血も涙もある人間だからこそできることであって、いくら最先端の技術を駆使して「人間」の形の賢いロボットを作っても、人間風味のビジネスマンロボットは作れっこないと思う。平サラリーマン/OLロボットくらいは何とかなるかもしれないけど。

それにしても、いつもこんなふうに内容に興味を持てるような仕事ばっかりだったら、ストレスだの、眼精疲労だの、自律神経失調だのとさわいでいないで、毎日ルンルンの気分で没頭してしまいそう。ま、そんなおいしいことばかりじゃないのはよくわかっているけど。じゃあ、あしたもまたどこまで行けるか、ひと踏ん張りするか・・・。

口コミサイトは斜め読みするとおもしろい

5月27日。日曜日。今日もいい天気だ。あれ、火曜日くらいまでぐずぐずの予報じゃなかったのかな。バンクーバーの天気予報は外れるのがあたりまえということになっているけど、どうしようね。仕事を放り出して、ビタミンDを浴びようか、それとも先に残っている仕事を終わらせてしまって、「臨時休業」の札をかけようか。

腕まくりをして張り切るつもりだったけど、なぜか脱線。まず、どういう風の吹き回しか、今年から始まった引退後の年金追加給付について調べ始めてしまった。なあんとなくおいしすぎる話だなあとは思っていたけど、企業に雇用されている身ならまだしも、自営業にはあんまりメリットがないという感じ。たとえば、自営業は雇用主であり同時に被雇用者という一人二役なもので、年金の掛け金も両方の分を払わなければならない。会社形態にしていないために雇用主の分は事業経費にならないので、最終的に勤め人の倍を払っている(だけど、年金は勤め人と同じ)。つまり、65歳以降仕事をやめないで今まで通りに年金への払い込みを続けると、翌年から追加給付はもらえるんだけど、所得のほぼ10%を払って、もらえる額はその半分しか払わない被雇用者と同じというわけ。なんだかなあ。何度考えてみても、やっぱり、なんだかなあ・・・。

今年から始まったこのRPBという追加給付、翌年から払われて、インフレ調整付きで死ぬまでもらえると、政府は強調しているけど、なんだかなあ。そこで大ざっぱに計算してみた。たとえば、来年と再来年の2年間、いくらか減量して仕事を続けるとして、2年間の払い込み合計額は6千ドル一方で、再来年からもらえる追加給付は(何と、何と)「年間」200ドルちょっとで、85歳まで生きたとすれば20年間で4千ドル強、インフレ調整等々を加味してもせいぜい6千ドルで何とかトントンというところか。ということは、最初の2年で6千ドルを(政府に)貸し付けて、それを20年かけて無利子で回収するようなものじゃないのか。はっ、アホかっ!全然ベネフィットにならんじゃないのっ、ということで、や~めた。どっちみち私的年金にも18%まで払い込むんだから、そっちへ回した方が利子がつくからお得。損得の計算となると、ワタシもけっこう決断が早いなあ。ま、これで申請書が送られてくるまでは考えなくてもいいから、すっきり、さっぱり。

すっきりしたところで、仕事にかかったら、今度はカレシが最初に2泊するホテルから到着人などを知らせてくれとメールが来たと報告。さっそくフライトのスケジュール、成田からリムジンバスで行くことを知らせたら、折り返し今度はバスの時間を知らせてくれとのメール。どうやら、バスを降りるところ(東京駅八重洲南口)まで迎えに来てくれるらしい。ええ?と思ってて調べたら。なるほど。このホテル、普通にイメージする「玄関」がなくて、バスどころかタクシーも横付けできない。ホテルのクラスからするとリムジンバスが寄らないのはヘンだなあと思ったけど、そういうことなのか。カレシ、さっそく「成田で携帯を借りたらバスの時間を知らせま~す」と返事。(聞くところによると、新幹線やNEXのホームまでお迎えが来て、荷物を運んでくれるらしい。)しかも、ワタシたちは「リピーター」ということになっているらしいからびっくる仰天。おととしウィスラーで系列のホテルに泊まったかららしい。なるほど、これも「IT時代のグローバルな展開」なのか・・・。

ホテルの名前を入れてググったら、たまたま「口コミ」サイトが見つかったので覗いてみた。今は世界のどこでもネットでレストランやホテルの「カスタマーレビュー」みたいなものを調べられて、選択の参考にするつもりがなければこれほどおもしろいコメント欄はないんだけど、見つけたサイトでは書き込みした人がいつ、どのクラスの部屋に、どういうパッケージで泊まったかがわかって、よけいにおもしろい。ざっと見たところでは、普通に予約して、普通に泊まった人は概して「良かった」という感想だけど、ネットの「激安情報」サイトのようなところを利用したらしい人に「ここがダメ」という意見が多いような。(それと、「こんだけ払って(やって)いるのに」というタイプの客も文句が多いような・・・。)中には、「あ、この人はすべてを批判して否定しなければすまないネガティブな人なんだろうな」と思ってしまうようなのもあって、こうなると匿名の世界は怖いという気分になるけど。

まあ、あちこちのホテルに普通に泊まり慣れた人たちはそれぞれの「普通」があって、その基準から大きく外れなければことさら文句を言うことはないだろうと思うな。(要するに「普通」だから、わざわざネットに評を書き込むこともないか。)ケチケチの貧乏モードから少しは浪費できる小金持モードまで、わりと広い経済状態を経たワタシたちも、ホテルに関しては「ひっでぇ~」というところから「ああ快適ぃ~」というところまで経験して来たから、ある意味ワタシたちの「普通」の基準ができていて、期待感もそれに合うようになっている。レストラン評でも、何とかフェスタとかいった(格安)イベントの後に「がっかり」評が増える傾向があるように思う。激安価格に魅せられて普段は利用しないところを利用するとなれば、「特別感」と「期待感」が同時に膨らんでしまうのかもしれない。期待感が高揚すればするほど、それが外れたときの失望感も大きく、それは日頃から「自分の期待/気持に添ってくれて当然」という意識が強い人ほど苛烈に感じ取るらしいようなところもあるな。

そもそも期待感というのは万国共通の人間心理であるだろうけど、同時に「人それぞれ」と言われるように、おそろしく個性的な面があると思う。まあ、昨今ネットに溢れ返っているらしい(やらせビジネスまであるという)口コミ評論サイトも、こういう斜めの(ちょっとイジワル?な)アングルから見ると、ちょっとした人間観察の機会になるってことで・・・。

とうとう来た、年金の申請書類

5月28日。月曜日。ちょっと崩れそうな天気。それほど寒くはないけど、気温はやや下がり気味。起床午後12時半。なんとなく寝つきが悪くて、寝返りばかり。おまけにカレシがいびきをかくもので、よけいに寝つけない。ちょいちょいと肘でつつくと、身体の向きがちょっと変わるのかいびきが止まる。だけど、一旦停止みたいなもので、やっと寝入りそうになったところで、ガガ~ッ、ググ~ッ。やれやれ。あのさあ、ミスター・ガガは流行んないし、夢の世界でググってもしょうがないし、駄洒落にもならないと思うよ。

それでも、今日こそは最後の仕事をやっつけようと勇んで起きたら、カレシが「来たぞ」と言って渡してくれた茶色い封筒2つ。あはっ、来た~っ。そっか、とうとう来たか。なんか分厚い方はCPP(カナダ年金)の申請書類で、もうひとつの比較的薄い方はOAS(老齢年金)の申請書類。まずはお知らせを読んでみる。「拝啓、極楽とんぼ殿。記録によりますと、あなたはまだカナダ年金を受給していないようですが、給付を受ける資格があると思われます」と来た。まだ受給してないって、だって、まだ65歳になってないんだもん。(制度上は満60歳で受給資格ができるけど、満額は65歳が基準なので、かなり減額される。だから、60を過ぎてリストラされて収入が途絶えたとか、よほどの事情がない限り早くからもらう人は少ないと思う。)ワタシは65歳まであと11ヵ月。誕生日の6ヵ月前までにちゃんと申請を出せば、来年のちょうど今日あたりに初めての年金が入金されているはずだけど、とにかくその前のその申請手続きをしないことには・・・。

今すぐにもらい始めるとしたら約716ドルだと書いてある。カナダの年金はどんなに高い給料をもらっても、だいたい1人当りの平均所得が掛け金の計算対象の最高限度なので、18歳以降ずっと限度いっぱいに払い続けてきた人でも月の給付額は千ドルに届かない。ワタシはカナダに来て働き始めたのが29歳だったから、「収入ゼロ」の期間がほぼ10年あることになる。そのうちの7年(来年からは8年)は受給額の計算から外されるんだけど、いくら自営業になってから限度額いっぱい払い込んで来ても、事務職女性の平均的な収入だった年数が10年強あるので(秘書をしていた頃は少し良かったけど)、最終的に受給額に響いている。ということは、機会均等で賃金差別がなくなる前からずっと平凡な事務職で働き続けて来た同世代の女性が手にする年金はかなり低い額ということになる。(もっとも、子供が7歳になるまでの期間に専業ママで無職だった女性にはその年数が年金の計算から外されるようになったから、少しは改善されたと言えるかもね。)やっぱり、ワタシの背中をド突いてこの道に押し込んでくれたカレシの怪我の功名ということになるのかな。

今すぐもらえる約716ドルというのは、65歳に達する12ヵ月前の給付額だから、この場合は月.52%の割で12ヵ月分減額されているので、来年65歳になってからもらう金額はもうちょっと多くなる。つまり、60歳でもらい始めたら31.2%も減ってしまう勘定になるし(減額率は少しずつ上がるから将来は目減りが大きくなる)、逆に、65歳を過ぎてもらわずにいると、来年からは月.70%ずつ増額されて行って、もしも70歳になるまでがまんできたら受給額は42%も増えるわけ。で、70歳まで年金をもらわないでその間働き続けるとしたら、掛け金を今度は新設の追加給付制度(PRB)に払い込むことができるし、ほんとに仕事が好きで、70歳まで元気に働く意欲のある人にはいいかもしれない。まあ、ワタシは年金という安定収入を確保して、追加給付制度への払い込みはせずに仕事量をだんだん減らしながら続けて行って、私的年金の資金を増やしてから完全退職、と目論んでいるんだけど・・・。

もうひとつの老齢年金は一般会計から払われる公的年金で、日本の基礎年金のようなものかもしれない。65歳になったらいらないと言ってもくれて、そのかわり収入が多すぎるとなし崩しに取り戻されてしまう。支給基準は18歳以降カナダで市民または永住者として居住した年数で、満額は40年で520ドルくらい。1年不足するごとに40分の1ずつ減額されるから、大人になってから移民した人たちは微々たる金額になるし、海外生活の長かったカナダ国籍の人も同様に減額される。おまけに海外で受給しようとすると25%の源泉税を取られる。ワタシの場合は来年で永住ビザをもらって36年で、満額に4年分足りないことになるんだけど、現行の制度が施行される2ヵ月ちょっと前に永住権が下りたので、経過措置で満額を支給してもらえる。

まあ、2つの年金を合わせて、いずれ私的年金が3つ目として加わったら、かつかつでもおばあちゃんひとりでまったりと暮らして行けると思うからちょっと安心だし、カレシにはもうすぐ私的年金が4つ目として加わるから、老夫婦2人なら悠々自適で行けそう。だけど、説明書を読んでいるうちはストレートでいいんだけど、実際に申請書に記入し始めたら何だかまた迷いが出てきそうな気もするな。だいじに金庫にしまっておいて、帰ってきたらじっくりと考えて見なくちゃ・・・。

今日は極楽とんぼの宅配便

5月29日。火曜日。最後の仕事を納品して、ゆっくり寝酒をして、ぐっすり眠った。なんかゲートのチャイムの音を聞いたようだけど、夢の中なのか目が覚めていたのか。そのうちにゴミ収集車の轟音で目が覚めて、起き出したのが正午。朝のうちに雨が降ったらしい。郵便を取りに行ったカレシがUPSの「不在通知」を持って来た。あのチャイムは夢じゃなかったのか。通販で3ヵ所に旅行関係の注文をしてあって、きのうのも寝ている間に来て「不在通知」が入っていた。まあ、ちゃんと「朝」のうちに起きないからしょうがないんだけど。

配達はこれが最後なんだけど、トロントの店に注文して「(たぶんアメリカ側の)配送センターからの入荷を待っている」というメールがあってから10日。きのうやっと「発送した」というメールが来たけど、はたして間に合うかどうか心配していたところだった。翌日配達って、UPSもやるじゃないの。もっとも、25ドルなりのお急ぎ料金を追加してあったんだけど。靴ひもの代わりにベルクロになっていて空港などで靴を脱げと言われたときに便利なウォーキングシューズ。2人ともかなり履き潰していたのでお揃いで新調。UPSは不在だったときに5日しか保管してくれないから、送らずに保留しておいてもらおうかと思っていたところだったので、間に合って良かった!

同じ日に出した3つの注文のうち、いの一番に届いたのはLLビーン。カナダ側の通関代行業者がカナダからの注文品を一括して通関して発送するから、だいたい10日で来る。今回は旅行用に新調したワタシのジーンズ2本。1本は普通のジーンズでもう1本はジーンズスタイルのストレッチパンツ。さっそく試着しようと袋から出して、ええっ、何だ、これ?ワタシが2人入ってしまいそうなブカブカ。袋にもラベルにも「4号」となっているけど、どうみたって「14号」のまちがいじゃないのかなあ。おもしろ半分に履いて姿見の前に立ったら、まるで「こ~んなにヤセた!」というダイエットの広告写真みたいだったので笑ってしまった。もちろん返品だけど、出発まであと1週間しかないのに困ったなあ。まあ、とりあえずカスタマーサービスに緊急メール。

返事が来たのは何と1時間後。「お取替え品の発送を手配しました。ご旅行に間に合います」で始まって、返品の手順を細かく説明して、「30日以内に返送してください」。わっ、北米だってこのくらいの迅速サービスができるんだ。へえと感心していたら、その1時間後には「発送しました」とのメール。それが水曜日の夜で、週末をはさんで月曜日のきのう届いてしまった。今度はちゃんと正しいサイズで、ぴったり。ストレッチするから履き心地がすごくいいし、心なしかスリムに見える(?)。感激しちゃったので、さっそく着きました~とメールを送ったら、「間に合って幸いです。どうぞ楽しい旅を」と返事。

きのうはLLビーンのお取替えの配達はキャッチしたけど、その前に来たMagellan’sという会社からの注文品の配達は「不在」。関税と売上税でしめて47ドル払って、翌日午後1時以降にキャンビーの方のドラッグストアの中にある郵便局で引き取れとのことで、ちょうど行きつけの保険代理店の隣だから旅行保険をかけられて一石二鳥で。きのうは蛇口のセットも店に届いたとメッセージが入っていて、こっちはWhole Foodsに近いから、切らしたミルクとシリアルも買おうということで、朝食後すぐに出発して北端からキャンビー沿いに「蛇口」→「食品」→「保険」→「郵便物」とひと走りすることにした。

そこでカレシがまたいつものドタチェン癖を発揮して、酒屋にたまった空きびんを持って行くと言い出して、「食品」と「保険」の間に「酒屋」を挿入。だったら酒屋のそばの銀行でシーラの「お留守番料」をおろして来るとワタシが言い出して「酒屋/銀行」に変更。最初の「蛇口」のピックアップに向かっている途中でカレシが「私書箱が溢れないように空にしておいた方がいい」と言うので、「酒屋/銀行」と「保険」の間に「郵便局」を挿入。一直線だからいいけど、なんだか宅配便の配達ルートみたい。それでも駐車場出入り4回、1時間半で6ヵ所全部を回って「業務」を完了して来た。いや、何という生産性の高さよ!あした、あさって、しあさって、そして・・・。

旅立ちの前ってどうしてこう忙しいんだろう

5月30日。水曜日。正午に目覚めて、ん、相変わらず初夏らしくならないなあ。正午を過ぎてもまだやっとのことで13度。もう6月だというのに、出かけるのにジャケットがいるなんて異常だなあ。まあ、平年並みでも今頃の最高気温は18度くらいらしいけど、20度を超える日が続くのだって珍しくないのが5月。なんでも、東北大地震と津波から発生した電子が地球の大気の皮のような電離層の電子を撹乱したそうで、ひょっとしたら天気の混乱にも関係があるのかな。地球がぶるっと身震いしたせいで大気層全体の流れが微妙に変わって、天候不順や、豪雨や竜巻が起こったりしているとか・・・?

天気に関する文句は(バンクーバーっ子の得意中の得意ではあるけど)取りあえずさておきということにして、まずはきのう不在通知が入っていた靴をフレーザーのUPSストアまで取りに出かけた。住所から推定すると歩いて行けないことはない距離だけど、箱の大きさがわからないので、トラックのバッテリを充電がてら、ひと走り。このあたりはちょっと昔ながらの商店街と言う感じがするところで、アジア系の商店がずらり。路上駐車もずらり。止めるところがなくて住宅街の方へ入ったら駐車規制の標識がずらり。結局元の道路に戻って、カレシがレーンに止めるというのでワタシだけ降りた。通りがかりにレーンの方を見たら、狭いところに配達のトラックが止まっている。あらあ、カレシ、どうするのかな。

そうこうしているうちに救急車と消防車が来て交差点を半分塞いでしまった。カレシ、どうしてるのかな。レーンに入れたのか、交差点の手前で立ち往生しているのか。とりあえず、トラックから看板が見えたあたりに目星をつけてオフィスを探したけど、あれ・・・?行ったり来たり2度も通り過ぎてやっと見つけたオフィスは間口が狭いし、歩道で目に付く看板もない。客は誰もいなくて、退屈そうなお兄ちゃんが脇の下に抱えられるくらいの軽い箱を出して来てくれた。外に出たら、まだ救急車が止まったまま。どうしたものかと突っ立っていたら、消防車がサイレンを鳴らさずに帰って行った。救急車は動きそうにないけど、信号が変わったのか後ろから車がその横をすり抜けて来て、3台目がカレシのトラック。「レーンに入れなくて、ちょうどいいと思って消防車の後ろに止めていたら、帰っちゃったもんで止めていられなくなった」と。曰く、「ここは車では二度と来ない!」うん、30分もかからないだろうから、運動がてら歩いて来ればいいよね。(帰り着いたところで、小雨。ほんとは早起きして配達を逃さないのが一番いいんだけどね・・・。)

今日のTo Do(やること)リストから「UPS」を消して、次は配管屋。蛇口を取り替えてもらう予約を取るのに、「あしたの朝一番(9時)に行けます」。サービス満点のつもりで朝イチなんだろうけど、またまた「不在通知」になってしまうから、昼まで寝ているのでと言って午後(12時から2時の間)にしてもらった。次は東京は札幌での空港バスの時間と料金の検索。宿泊先のホテルに止まってくれるリムジンバスは、駅からスーツケースを引っ張って東京の人ごみの中を歩かなくてもいいから、ワタシたちのお気に入り。旅は楽ちんなのが一番だから。ウェブからコピーして、印刷して、資料のフォルダに。次は移動やイベントを書き込んだ日程表作り・・・。

そこへシーラから「あした1時ごろに行ってもいい?」と電話。今回は留守番がちょっと長いので、我が家でラップトップを使えるように、カレシのルータに接続するテストに来る。わっ、あしたもまた忙しくなりそう。忙しくなりついでに、持って行く下着類の洗濯もしてしまおうか。そうそう、あしたの夜はミュージカルを見に行くことになっているんだった!どうして休暇の前ってこうもいろんなことがあって忙しいんだろうなあ。ま、やることを全部やって、金曜日にはゆっくりと荷造りをしようっと・・・。

昔、結婚式で流れていた失恋の歌

5月31日。木曜日。5月最後の日。せっかくよく眠っていたのに、朝方トイレに起きたカレシに「寒い!毛布はどこだ!」と起こされた。たしかに肩がちょっと涼しい感じがしたから、パンツ一丁で寝るカレシには寒いかも。掛け布団というものがないので、冬の間はフランネルのシーツと純毛の毛布2枚だけで、ワタシも夏冬を問わずスリーブレスのナイトガウン1枚。こういう超薄着で寝るのに慣れているから、ホテルでよく使っているデュベットという羽根布団は2人とも大の苦手で、汗びっしょりになって眠れないことが多い。ま、寝ぼけ眼で冬の間に上にかけて使っていた旅行用毛布を(まだ片付けずに)置いてあるところを指差して、ワタシはまた眠ってしまった。

まったくもう明日から6月だというのに、平均より3、4度低い。起きて寝室のサーモスタットの温度を見たら24度で、暖房が入るぎりぎりのところ(寝ている間に入ったかもしれない)。我が家は天井に埋め込んだパネルからの輻射熱で部屋の中の物体を温める電気暖房なので、各階で別々に生活時間に合わせて温度設定している。寝室は就寝前の午前1時から4時まで24度で、寝ている間の午前4時から午前10時までは20度、起き出す頃の午前10時から午後1時までは再び24度で、午後1時には19度というサイクル設定になっているので、午前10時に室温が24度になっていなければ、季節に関係なく勝手に暖房が入る。でもさあ、いくらなんでも5月の31日に暖房ってのはないよねえ。(といっても、子供の頃は夏でも薪ストーブを燃やすようなところに住んでいたんだけど・・・。)

今日はまず配管屋が来て二階のバスルームの蛇口の取替え。次にシーラが来て、カレシとネットワークの設定。配管屋とシーラが帰ったところで、大洗濯を始め、その間に請求書を作って送り、月末処理。「売上高」は去年2011年の1年間の総売上高を12%も上回って、過去10年の平均ラインだった2010年の9月末に匹敵する数字。どうりで疲れるはずだな。このままのペースでストレートに行ったら、1990年代の荒稼ぎの水準になってしまう。引退前の最後のきらめきなのかどうか知らないけど、40代後半だったあの頃の体力はもうないという感じがするな。まあ、震災で落ち込んだ去年の反動なんだろうと思うけど、遊んで帰って来て、あとはずっとヒマでもいいなあという気もする。(遊んだ後だったらなおさらかも・・・。)

最後の予約リクエストに確認メールが来て、これで旅の足回りと宿はすべて確保。洗濯も夕食前に乾燥まで終わったことだし、後はささっと夕食を済ませて、余裕たっぷりの気分でミュージカルに。今シーズンのフィナーレ。この後に去年ヒットだった『Buddy Holly Story』の特別公演があるけど、この劇団は2つの劇場どちらもシーズンの最後はミュージカル。今夜はコール・ポーターの『High Society』(邦題『上流社会』)。モナコ公妃になったグレース・ケリーの最後に出演した映画で、ビング・クロスビー(元夫役)とのデュエット『True Love(トゥルーラブ)』は後にも先にもグレース・ケリーが映画の中で自分で歌った唯一の曲だそうだけど、「私があなたにあげて、あなたが私にくれる、本当の愛・・・」と泣けて来そうなくらいロマンチックな曲で、ワタシは聞くたびに胸がキュンとなる歌・・・。

もう一度結婚式をすることがあったら(ありえないとはわかっているけど)、絶対に、絶対にバックグランドに使いたいな。「私とあなたには高いところに守護天使がいて、あなたに、私に永遠に本当の愛をくれるばかりだから」。う~ん、結婚式はこじんまりとチャペルでやるのが一番曲が心に響きそうだなあ。日本で教会での結婚式がはやり始めたのはたしか高度経済成長に乗った1960年代の後半くらいだった思うけど、あの頃の結婚式で一番人気があったのはブレンダ・リーが歌った『この世の果てまで』だったらしい。スローテンポで甘~い感じの曲だったから、日本語のタイトルを「この世の果てまで愛し合うことを誓う」と解釈したんだろうな。(原題の『The End of the World(この世の終わり)』を訳し過ぎて「まで」をつけてしまったのがそもそも間違いの元かも・・・。)

あの頃、英語の歌詞を読んだワタシは「なんだってこれが結婚式の歌なの~?」びっくり仰天した。だって、失恋してしまった人が「どうして太陽はまだ輝いているの?どうして海は波を打ち寄せ続けるの?この世は終わりだということを知らないの?あなたがもう私を愛さなくなったから」と切々と恋人に去られた悲しみを歌っているんだもの。縁起を担ぐ結婚式で、永遠の愛を誓って新しい人生の第一歩を踏み出す若い2人には何とも縁起の悪い内容だと思うんだけど、まあ、知らぬが仏だったということかな。この歌に送られて(たぶんその頃人気だった宮崎への)ハネムーンに飛び立って行った何万組、何十万組というカップルのその後はいかに・・・と、ヘンなことまで想像してしまうけど、実際、どうなんだろうなあ。やっぱり、ワタシは『True Love』にする、絶対に!

なんて、ヘンなところで妄想満開で力んでみたりして、どうやらワタシも「遊びモード」全開になって来たような。さてさて、あしたは荷造りしなきゃ・・・。


2012年5月~その1

2012年05月16日 | 昔語り(2006~2013)
時間よ止まれ、キミは急ぎすぎる

5月2日。水曜日。いつのまにかもう5月。ああ、1年の3分の1がどこかへ行ってしまった。時間よ止まれ、キミは急ぎすぎる!そんなに急いでいたら、ちっとも美しくないじゃないの。もうちょっと優雅に、しずしずと進みなさい・・・なあんて言ってみても、時間はせっかちで頑固。ただただ前へ前へ、ひたむきに前へ、何がなんでもひたすら前へ進むことしか知らない。でも、もうほんのちょっとだけスローダウンしてくれないかなあ。子供だった頃はうんざりするほど時間の経つのがのろかったのに。

きのうはひたむきに仕事日。置きみやげ仕事を3つ片付けた。ゴールデンウィーク明けまでに仕上げる仕事はあと5つ。あんまり急ぐから、あれが抜けていた、ついでにこれもと、忙しないことはなはだしい。どれがどれなんだかわからなくなって来たじゃないの、もう。祝日がいくつも続くからゴールデンウィークと呼ばれるんだろうに。(いくつもの祝日やお盆休み、年末年始と、日本は休みの多い国だと思う。多すぎるから仕事が終わらなくて残業三昧になるのかと思ってしまうくらい。)せっかくの輝ける黄金週間なんだから、間にはさまった2日くらい会社を閉めて総出で休んだって、日本経済がどうこうなるってわけじゃないだろうに。ああ、時間よ、働きづめで休み続きでも休めないでいる人たちのために、止まってやってくれ。

そういえば、ずっと昔、NHKの子供番組に「時間よ、止まれ!」とおまじないのように唱えて時間を止められる少年の話があった。あんな風に自由自在に時間を止めたられたらどんなに便利だろうと空想を膨らませているうちに、周りのみんなの時間が止まっているときに自分だけ動いているということは自分の時間だけはどんどん経つということで、いい気になって時間を止めていたらそのうち親よりも先に年を取ってしまうかもしれない、それはいやだなあ、と思いあたって、時間を止める超能力の「夢」はぱちんと弾けたのだった。でもやっぱり、日本の人はちょっと時間を止めて、ゆっくりと深呼吸する必要がありそうに見えるけど・・・。

まあ、すっかり底をついた野菜をど~んと仕入れて来たので、冷蔵庫の野菜入れも、カレシの野菜冷蔵庫も満杯。冷蔵庫やフリーザーが空になって来るとなんかストレスっぽくなるけど、こうしていっぱいになったのを見るとふんわりした安心感で気持がゆったりするから不思議。(いつもしっかり買い置きをしていた母の影響かなあ。ま、食いしんぼうなだけかもしれないけど。)落ち着いたところで、残る5つの仕事にかかることにするか。またひたむきに仕事したら、週末前に全部終わるかな。よし、チャレンジ・・・。

ビデオカメラを探し歩いた日

5月5日。土曜日。ぐっすり眠って正午をだいぶ過ぎてから目が覚めた。2日間がんばった甲斐があって5つのファイルが全部完了。どれもやたらとグラフィックが多いもので、編集者に送るメールにまとめて添付したら、圧縮してあっても重くなりすぎたのかタイムアウト。送ったら終わりという瀬戸際でメールを分割したりしてちょっと手間取ってしまったけど、とにかく「予約」の仕事が来るまでは(ニューヨークの方も静かでいてくれれば)、棚ぼた的休み。ワタシのゴールデンウィークになるかなあ・・・。

カレシが旅行にビデオカメラを持って行きたいというので、きのうワタシがガシガシ仕事をしている間にリサーチさせておいて、基礎情報を仕込んでショッピングに出発。しばらく走らせていないからと、週末の駐車事情を懸念しながらトラックで出かけたけど、運よくWhole Foodsの向かいのメーターが空いていて駐車。目いっぱい2時間分のコインをジャラジャラと入れて、まずは近くのBest Buyへ。スマートフォンなどに押されてどこもカメラ類の売り場は小さくなるばかり。ビデオカメラもご他聞にもれずで、いろいろとあるように見えるんだけど、よく見るとメーカーはSony、JVC、Canon、Samsungのほんのちょっぴり仕様を変えてあるものばかり。カレシが内蔵メモリがなくちゃというので、やっと1機種見つけたら、「在庫ありません」。近頃は多いなあ、量販店なのに在庫がないっての・・・。

では、ということで近くのLondon Drugsへ行ったら、見本はもっと少ないし、カウンターのお兄さんは「ビデオカメラのことはあまり知らないから・・・」。じゃあ、何でビデオ機器のカウンターにいるの?人材不足なのかなあ、この業界。ふむ、州の公務員だった頃に州政府職員組合の委員長がどこかから引用してたな、「If you pay peanuts, you get monkeys(ピーナッツを出せば猿が集まる)」と。この「peanuts」には「はした金」、「monkey」にはできるのに大した仕事をしていない人という意味がある。安く売るためにはコストを切り詰める必要があって、コストを切り詰めるには何かを切り捨てなければならないわけで、「激安」は何か重要なものまで切り詰めないと実現は難しそう。「安かろう悪かろう」という言葉があるけど、そこで切り詰めるのが人材だったら損をするのは売り手の方。でも、コストがかかるからといって安全対策を切り詰められたらたまったもんじゃないのは買い手の方。あまりにも安かったら目に見えないところで「何」を切り詰めているのかを探ってみるのも消費者の護身術のひとつかも。

結局、地下鉄でダウンタウンに出て、まずは駅から直結しているLondon Drugs。ここはカウンターの「えげれす弁」のおじさんがわりと物知りだったけど、探している機種がなかったので、最後の砦?のFuture Shopへ。ここでは熱心なお兄さんが新型の機種はフラッシュメモリを内蔵していないこと、スペアの電池は置いていない(置かせてもらえない?)こと、ブロードウェイの電池専門店ならあるかもしれないこと(スマートフォンをちょちょっとなぞって地図を見せてくれた)などなど細かく説明してくれた。それでもカレシがフラッシュメモリ内蔵がいいと食い下がるので、在庫も入荷予定もない見本品を売ってもらうところまで行った、なぜか同梱の電池がなくてアウト。じゃあ、一番仕様が近い機種をということで、値段が20ドル違うだけのフラッシュメモリなし、カードスロットはひとつのそっくりさん機種2つに絞り、明るくなくても使える(から20ドル高い)方に決めた。カレシには初めてのビデオカメラだからこんなところかな。ま、これで任務完了・・・。

夜、オレンジ色の大きな月が昇ってきた。これが今話題のスーパームーンってやつ。たしかに、大きく見えるなあ。ハタチくらいの頃に広角レンズをつけた望遠鏡をもろに昇ってくる満月に向けたことがあって、目の中いっぱいにすごい迫力で広がった月面に、うおぉ~っと叫びそうになったな。昔から満月の光に当ると気が狂うというけど、「スーパームーンが昇って来たよ」と言っても、カレシは新しいおもちゃに夢中で月を愛でるどころではなさそう・・・。

なんとも不思議な感覚過敏症候群

5月6日。日曜日。どこかで朝っぱらから外でロックを鳴らしているやつがいて、おかげで正午前に目が覚めてしまった。まあ、大音響ってわけではないし、日曜日だし、天気もいいことだし、2軒先の家のガキンコたちが庭で遊んでいるらしい。この家はシングルマザーと6人の子供が借りていて、両隣とよくひと悶着起こしているらしい。情報通のパット曰く、生活保護世帯で親子7人が住める福祉住宅がないので政府が借り上げているらしいとか。まあ、どんな事情にせよ、幼児を含めて6人も女手ひとつで育てるというのはすごいけど、誰にもつんけんと突っかかるもので近所中から総すかん。なんか損な性格だと思うけど、ワタシがそう思ったところでよけいなおせわ。

でも、しばらくうとうとしながら、これが日本の都市圏の住宅地だったらどんな反応になるかなあと想像してみた。小町横町には、うるさい、臭い、うざったいはもとより、見える、見られる、はては○○暮らしなのに持っている車がどうのこうの、子供を私立学校にやっているのいないの、はては服装がだらしないとかださいとか年不相応だとか、まあとにかくいろんなご近所関連の苦情や愚痴が渦巻いているけど、これはどういう範疇に入るんだろうな。それとも、「外で遊ぶ子供がうるさい」、「非常識な近所のシングルママ!」なんてトピックが上がるのかな。で、「生活保護を受けているのに6人も子供がいて、しかも男が訪ねてくるなんて非常識」と細かな観察報告までしてくれたりして。(子供が何人いてもシングルなんだから、ボーイフレンドの1人や2人いてもおかしくないと思うけど、まあ、小町横町には「自分のものさしに合わないことはすべて非常識」という常識があるらしいから。)

この、うるさい、臭い、見苦しいはご近所だけの問題じゃないようで、職場の誰かのキーを叩く音やヒールの足音がうるさくて頭痛がする、咳払いの音、デスクにものを置く音、話し声にひとり言、はてはため息まで、耳についてうるさい、イライラする。これって「騒音問題」というよりは、頭痛や吐き気がするとまでいう人の「感覚異常」じゃないのかなと思うけど、そういう「周囲に気遣いのできない非常識な人」を糾弾する書き込みがずらっと並ぶから驚きで、ウォークマンの出現以来若い人の聴覚障害が増え続けているという話をきいたけど、最近は逆に聴覚過敏症の人が増えているのかと思ってしまう。その上、嗅覚過敏症も増加中のようで、職場の誰それが臭い、加齢臭がきつい、口臭がきつい、洗濯物が臭い、あれが臭う、これが臭いとトピックを立て、頭痛や吐き気がすると訴える。前に慢性副鼻腔炎になると鼻の奥で存在しない臭いを感じると聞いたことがあるけど、日本人には蓄膿症が多いんじゃなかったかなあ。

過敏化しているらしいのは聴覚や嗅覚だけじゃない。視覚過敏症はもう先鋭化している感じで、顔かたちや容姿から男の頭髪の多寡、利き手から箸使い、服装のあれもこれもみんな見苦しい、違和感があると訴え、しまいに視覚過敏症の自分に配慮しないでビジュアル攻撃をかけて来る非常識な人が育った環境まで分析してくれるからすごい。特に他人が持って生まれて来た(その人にはたぶんどうすることもできない)個性に「正しいマナーと秩序でできている視野」を撹乱されて過敏症状が出るとしたら、どう見ても普通じゃないという感じがするけど、たぶん「お育ちが悪いのね、かわいそうに」と思うことで症状を和らげようとしているのかもしれないな。もっとすごいのになると、嫌いな食べ物は視野に入っただけでも「おぇっ」と吐きそうになるという偏食家がずいぶんいるらしいし、目の前で他人が食べるのを見ていると吐き気がするという重症例もあるらしい。ここまで来たら何か未発見の精神疾患があるんじゃないのかと疑ってみたくなる。

感覚過敏症が進行を続けると、そのうち鏡に映った自分が左利きに見えたり、醜いアヒルの子に見えたりして、そのあまりの違和感に「おぇっ」となる人も出てくるかもれしないな。そんなところまで行ったら視覚的に自分自身に対して拒否反応を起こすようなもので、イライラ病や不安神経症よりも性質が悪そうな気がする。もっとも、そういう五感過敏症が蔓延している環境の中で毎日を過ごしていたら、たぶんそれがごくあたりまえの状態で誰もおかしいと思わず、おかしいのは何千キロも離れたところでちょっと異常じゃないのかと心配?しているオマエの感覚の方だろうが!と言われてしまいそうだけど・・・。

世界は今日もあれやこれやと忙しい

5月7日。月曜日。一連の仕事が終わって、小さい単発仕事がひとつあるだけになったら、何だかやたらと眠い。良く寝ているはずなのに何でこう眠いのかと考えてみたら、なぜか夢の中でせっせと仕事をしているんだよね、これが。酔狂もいいところだけど、なぜか日本語原稿の単語の意味がわからないと、ウンウン言いながら英語を考えている。いったい、どうしちゃったのかなあ・・・。

あんがい、時節柄ここのところいろんな発表会で使う、「電報式」とでもいうのか、完結文がない仕事が多かったからかな。そうでなくも日本語は主語がはっきりしないし、行間を読んで想像を働かせないと何を言いたいのかわからない「暗黙の了解」的な文章が多いのに、それを項目にされてしまうからますますわからなくなる。そういうのをありったけの知恵を絞って訳したのに、客先の客先は「これはかくかくしかじかのところなんちゃらかんちゃら、というニュアンスなんですが~」と後出しして来る。おいおい、それはニュアンスなんかじゃなくて、そっちのお家の事情でしょうが。たったひとつの単語にそんなに奥の深~い「ニュアンス」を込められても困りますがな、もう。夢にまで出て来て、安眠妨害もいいところ。

今日は税務署から2人分の確定申告の確認通知がもう届いた。へえ、早いなあ。昔は1ヵ月か2ヵ月経って送られて来ていたのに、電子申告の指示書にサインして会計事務所に送ってから2週間足らず。今年は、カレシは追加納税(済)、ワタシはかなりの還付があるけど、金額は申告の通り。今年はカレシが約16万円の追加、ワタシが約37万円の還付で、差し引きざっと20万円。ひょっとしたらと思って銀行の口座をチェックしたら、あはっ、もう入金している。ずいぶん早くなったなあ。小切手が郵送されて来ていた頃はやっぱり1ヵ月以上かかっていたもんだった。サービスが良くなったのかどうか知らないけど、還付は払い過ぎた税金なんだから、早く返してもらった方が気分がいいことはたしか。

朝食を食べながらテレビを見ていたら、世の中は相も変わらずいろんなことが起きている。アメリカ競馬の名門ケンタッキーダービーで劇的な逆転優勝をした騎手は6年前にメキシコからバンクーバーに来て、地元競馬で好成績を挙げていたんだそうな。メキシコから来たときはまったく英語が話せなかったそうで、ゼロから始めてたったの6年であのレベルはすごい、とカレシは感心のしまくり。もちろん寝ても覚めても英語しかない環境だったからだと思うけど、それにしても、本命から5馬身遅れていたのが、ホームストレッチで馬の胴体がぐ~んと伸びたように見えたくらいに追い上げて、1馬身半の差で堂々とゴールイン。すごい迫力だった。全力疾走する馬の姿はほんとに「美しい」のひと言に尽きるなあ。

フランスの大統領選挙はサルコジが負けて社会党のオランド。ギリシャでは超緊縮財政を実行する連立政権が成立しなかった。ユーロ圏はどうなるんだろう。ドイツもEU経済の建て直しがやりにくくなるかな。EUが急速に東へ、南へと拡大し始めた頃、なぜかワタシはこりゃ危なっかしいなあという印象を持った。豊かな国とそれほど豊かじゃない国と発展途上の国とがひとつになって、市場の国境を取り払い、単一通貨を持つというのは、理想としてはすばらしい。すばらしいんだけど、所詮EUはローマ帝国とは違う。経済クラブみたいな感じで、会員の生活水準に目立った格差がないうちは和気藹々でうまく行くだろうけど、大きな格差のある会員が急に増えると、同じ(高い)水準に追いつこうと急ぐし、そこで通貨が同じで借金しやすいとなると、何かと問題が起きてくる。まあ、早くアメリカに対抗する勢力になろうとしたんだろうけど、ワタシにはEUは急ぎすぎた実験という感じがするな。

夜になって、新聞サイトを見ていたら、サンフランシスコで日本の若い副領事がDVで逮捕されて、保釈金を積んで釈放されたというニュース。こういう事件では外交官の不逮捕特権は通用しないんだそうな。奥さんの歯を折るくらいの暴力を振るっておいて無罪の主張も何もないだろうと思うけどね。バンクーバーでも日本総領事がDVで逮捕されたことがあったな。警察の取調べに「家で女房を殴るのは日本の文化なんだ」と主張したとかで、地元の新聞にでかでかと載ってしまった。この人は罪状を認めて、犯罪歴の残らない温情判決をもらった。日本に呼び返されてからはせいぜい軽い減給処分になった程度で、キャリアにはさしたる傷がつかなかったらしい。その後(ほとぼりが冷めた頃?)大使に出世してどこかの国に赴任したという話を聞いたな。エリートだったからかな。でも、今度の事件はどうなるんだろうな。アメリカだからなあ・・・。

こんなんで良いのかとは思うけど

5月9日。水曜日。いい天気。日が高くなって来ると晴れた日はいやでも暖かくなる。まあ、夜はまだちょっと季節外れに低温がちだけど。今日はわりと早めに目が覚めてしまって、しょうがないから正午前に起きた。シーラとヴァルが掃除に来てくれて、ワタシはワンちゃんのレクシーのお相手。シーラが園芸センターで苗を買ったときについてくるプラスチックのポットをたくさんカレシに持って来てくれたので、大きな袋にいっぱい貯まっていた1セント銅貨を引き取ってもらった。もう製造が中止になったし、慈善団体に寄付しようにもワタシたちのことだから、忘れっぱなしでそのうちお金として使えなくなってしまうだろうから、今のうち。

きのうはにわか雨のように降ってくる追加依頼に捕まってヘンに忙しかった。ひとつの語にワンセンテンス分の経緯を詰め込んで「そういうニュアンスを訳せ」とのたまわったところだけど、日本では今日が「その日」らしく、発注担当者がかなり焦っていたらしい。きちんと完成させてから翻訳を発注すればいいものを、納品してからも1行、2行と追加が来て、そのたびにちゃちゃっと訳しては送り返すんだけど、やれやれと思っているとまた2、3行、さらに2、3行と、とにかくちょぼちょぼと後出しで、その合間にも確認や質問が来る。こういうのは集中できなくてやりにくい。海外にも名の知れた一流企業なんだから、もうちょっと効率的にやれないもんかと思うけど、最近はこういうケースがよくあるような気がする。大丈夫か、ニッポン企業・・・。

それにしても、次の仕事にかかったのに、中断に次ぐ中断で、ついにはあきらめて一晩中スタンバイ状態でお相手をしたけど、何となく幼稚園からずっとお受験人生を過ごして一流大学に入り、めでたく大企業をゲットしたサラリーマン2年生あたりの若者が、プレゼンの作成を言いつけられて苦悶しているところを想像してしまった。「これでどーでしょーか」と上司にお伺いを立てるたびにあれこれとダメ出しされて手直し、追加発注。そんなことをやっているうちに上司から「言っている意味わかる?」とか、「そんなこともわからないのか」と言われてますますおたおた。しまいにエージェンシーまでが「あちらでは夜中を過ぎて待ってくれているんですが、残りはまだですか~」とプレッシャをかけて来る。何だかかわいそうな気もして来るけど、それが社会人になるってことだから。まっ、ごくろうさまぁ~(は付き合ったワタシに言うことかも・・・)。

読売の英語版に最近の新人社会人は35%だかが上司に「言っている意味わかる?」と言われると重圧感を感じ、次いで「そんなこlともわからないのか」だったという記事があった。そんなんでへこむなんて、世界に名だたる企業戦士たちもずいぶんとひ弱になったもんだなあ。大学生についての別の調査では、大学が伸ばすのが難しいと感じている能力として、「粘り強さ・ストレス耐性」、「環境への適応能力」などが上がっていた。ワタシが子供だった頃は「我々日本人は非常に順応性に富む国民である」と教えられたもんだけどな。まあ、小町横町でも仕事や人間関係にしんどい、疲れた、やめたいという愚痴が多いから、今どきの若い人たちにはほんとに忍耐力も適応力もないんだろうな。「やれない、やらない、やりたくない」か・・・。

ゆとり教育、過保護、過干渉・・・いろいろ理由はあるんだろうけど、その中でも、いわゆる「ゆとり教育」は日本の教育政策の大失敗として後世に残るかもしれないな。前に小学校の理科の文科省検定教科書を見る機会があって、こんなんでいいのかなあと思ったもんだけど、なにしろ教科書というよりはマニュアルという感じ。失敗しないように、決められた以外の答がでない仕組みになっているという印象だった。実験材料も全部予めパッケージしてあるんだろうな。自主研究とやらのレポートも親切にテンプレートと言えそうな例が用意してあったし、復習問題に至っては「わからなかったら○○ページを見てね」みたいなもんで、自分の頭で考えなくてもマニュアルのステップを忠実に追って行けば所定の結果が出るように作られているとしか思えなかった。

教育政策の失敗を是正するには世代交代を待つしかないんじゃないか思うけど、「ゆとり世代」がやがて「脱ゆとり世代」の新人と対峙するようになる頃のニッポン企業がどんなものか、ワタシには想像もつかない。まあ、その頃にはワタシはとっくに横丁の半ボケご隠居さんになっているだろうけど、ここはボケないうちに次の仕事をやらなきゃ・・・。

さっさとやってよ、もう・・・

5月10日。木曜日。おお、すご~くいい天気。ちょっと風が冷たいけど、週末には平年並みかそれ以上の陽気になるらしい。そろそろクーラーの稼動再開準備をしなきゃ。5月の中旬になってのスイッチオンはちょっと遅めだな。やっぱり春が遅かったということか。

今日は二階バスルームのシンク用蛇口セットの調達にでかけるので、朝食後にまずメールだけチェック。はあ、またまた追加?それも日本語数文字ずつが4つ。ついでに「何でこんなことがわからないのっ?」とキレたくなるような質問。そんなのTOEICが400点もあれば自分で辞書を引いて解決できるでしょうがっ。いい加減にしてくれ。1万円の仕事に2万円もかけるバカがいるかいな。ひょっとして、客(神様)だから24時間即応サービスをしてもらって当然だと信じ込んでない?それがすばらしい日本の「サービス」のあり方だと思ってない?狂乱バブルはとっくの昔に潰れたんだけど、アタマ、大丈夫?有名企業かもしれないけど、人間をロボット扱いしていたら先は暗いんじゃない?でもまあ、ワタシは郷に入ってないから、郷に従わなくてもいいよね?

堪忍袋の緒がほつれて切れたワタシ、えいやっとそのままお気に入りのトートバッグを肩にお出かけ。1週間くらい前にセットをシンクに固定している止めナットが割れて、温水側のハンドルを回すたびにずれるようになり、そのストレスで冷水側のナットも壊れてしまった。セット全体を片手で押さえながら使うことはできるけど、そのうち配管の接続部に無理がかかって来そうなので、緊急の問題。今の蛇口は技術が進んでハンドルを軽く回すだけできちっと水が止まるんだけど、カレシが昔の癖で「しっかり」回しているうちにプラスチックのナットにひびが入って壊れてしまったらしい。それを指摘したところで、カレシはそんなことしていないと言うに決まっているけど、ボタンやハンドルを強く押しすぎたり、逆に押し方が足りなかったり、なぜかそのあたりの手加減がうまくつかめないらしい。

ま、地下鉄でオリンピックヴィレッジ駅の近くにある元のセットを買った専門店に行って、同じモデルがあればいいけど、9年前のものだし・・・と思いながら見て回っていたら、バスタブのと同じデザインのものがあった。バスタブ用があればマッチするシンク用もあるはず。さっそく在庫があるかどうか聞いてみたら、倉庫から取り寄せるので来週の火曜日には到着するとのこと。良かったあ、ばんざ~い!それまではダクトテープで固定してだましながら使えばいい。約2万円といいお値段だけど、これでも一番安いクローム仕上げ(最初にクロームにしておいてよかったな)。量販店で似たようなデザインのものを半額以下で買えるとしても、薄利多売用のものはブランドは同じでも所詮そのレベルの質でしかないから、こんなところかな。

蛇口の調達が済んだので、道路を渡って向かいのBest Buyで電話機を探しに行く。ここのところ、カレシのデスクの上にあるコードレス機の電池が続かなくなったし、充電中に熱くなるとうるさい。まあ、キッチンの電話も古くなって雑音がひどかったから、親子式機種で一石二鳥を狙い、最終的にハンドセットが3個あって、カレシが「絶対に必要」というスピーカーフォンと、ワタシにはうれしい「インタコム」機能が付いたものを調達。まったく、必要なものがあるならさっさと自分で調達して来ればいいじゃないかと思うけど、そこはいつも誰か(ワタシ)が買って来てくれるまで「新しいのが必要だ~」と言い続ける、筋金入りの「ヤッテちゃん」のカレシ。ワタシが「さっさとやっちゃ王女様」でラッキーだよねえ、ほんと。ベースは今まで通りカレシのデスクに置き、1個はキッチンに、3個目のハンドセットはワタシのデスクに。これで、本棚をぐるっと回ってカレシのデスクまで取りに行かなくても、いつでも電話を使えるぞ。(といっても、ワタシはあんまり電話はかけないんだけど・・・。)

落ち着いたところで「追加」を送ってあげた。返事が遅れたことをああでこうでと謝って、お客さんには効率的にまとめて送るように言ってねと、やんわりとお願いメモもつけた。こういう仕事をしていると、ひょんなところで企業の「ん?」なところがちらっと見えたりするからおもしろい。さて、キーボードの文字が消えてしまったので、ついでに衝動買いで調達して来た新しいキーボードとマウスに切り替えて、次の仕事のスタンバイ。今度のマウスはちょっと小ぶりで、指が短くなるばかり?のワタシの手に優しそう。お~い、肝心の原稿はまだかいな。こっちも人を待たせる「ダラダリアン星人」じゃないといいけど、そうだったらもう仕事は引き受けないよぉ・・・。

異国へ飛び立つ娘を見送る父親の心境

5月12日。土曜日。やっと5月らしい天気。何だかどこかへのんびりと散歩にでも行きたくなるような陽気。だけど、あ~あ、残念ながら今日も退屈な仕事・・・。

今日5月12日、ワタシが日本を離れてカナダに渡ってきて満37年になる。37年というと、ワタシの人生のほぼ60%。日本で日本人に生まれはしたけど、カナダで暮らして来た年月の方がそれだけ長くなったということで、これからも長くなりこそすれ、短くなることはありえない。それに、今年は日本国籍だった年月とカナダ国籍で生きてきた年月が等しくなる。これからは「カナダ人」として生きる年月の方がどんどん長くなるわけで、はて、何らかの感慨を持つべきなのか。でも、ワタシの人生は「今」が一番幸せなときだと思うから、これから年をとるごとに「今が一番幸せ」と思える限りは、もうそれ以上望むことはないんじゃないかという感がする。だって、いつでも「今」が一番幸せと言うことは、少なくとも人生が悪い方には向かっていないということだ思うから。

これまでの人生の約60%、37年という年月が長いものなのか、あるいは短いものなのかはワタシにはわからない。生まれてから64年の「人生」というタイムラインの先端にあるのが「今」であって、その「今」がこの先どこまで延びるのかは神のみぞ知るで、ワタシにはわからない。まあ、まだ「今」を通過していない時間を予見する術はないし、未来を見通せないことによる「不安」は見かたによっては常に「考えろ!」と囁き続けてくれるポジティブなストレスでもある。自分の「未来」がわかってしまったら、良くても悪くてもそこで一気にやる気がなくなってしまいそうな気がするし、何よりも、この「今」は常に人生という名の「時間の流れ」の最先端にあるというのはちょっとしたスリルを感じる。

ちょうど37年前、昭和50年5月12日の今日、ワタシは千歳空苦で両親に見送られ、羽田空港で妹に見送られて、カレシと一緒の人生の第一歩を踏み出すべく日本を離れた。まだ成田空港は完成していなくて、ちょうど日本を訪問していたエリザベス女王夫妻が帰国の途につく日と重なった羽田は何だか物々しかったように思う。(考えたら、生まれて初めて飛行機に乗った日がたまたま日本赤軍による「よど号」ハイジャック事件が起きた日で、大阪行きに乗り換えるために降りた羽田は薄暗くて、警察官だらけだったな。あれは札幌と大阪の間に初めて直行便が就航する前の日だった。)その37年前の5月12日、当時の千歳空港での父と娘の後ろ姿・・・。[写真]

不確定要素が多いのに、ひたすら「愛する人のところへ行くのだ」という幸せ感だけで胸がいっぱいの娘と、その不確定要素を知っていて、搭乗口に向って歩いていく娘の後ろ姿を黙って見送る父。いつもワタシの(もしかしたら唯一無二の)良き理解者であった父。この写真を見るたびに、あれから37年経った今でも胸がじ~んと熱くなって目が潤んで来てしまう。気軽に里が得るができるような格安の航空運賃はなかった。格安で便利な国際電話もなかった(まだ交換手を通していた)。メールもインターネットもスカイプも何もなかった。まだ、太平洋には物理的な距離感が厳然としていた。その37年前のあの日、生まれるときから成人するまで何かと手のかかる子だったワタシが異国へ飛び立って行くのを、父はどんな気持で見送ってくれていたんだろう。

かろうじて母の死に目に会えたワタシに「間に合ったんだから親孝行したんだ」と言って慰めてくれた父。その父の死に目にもかろうじて間に合ったワタシ。もう言葉を交わすことはできなかったけど、「最後に孝行した」と思ってくれたかな。その父の死からもすでに20年。長いのかなあ。短いのかなあ。でも、お父さん、ワタシは「今」とっても幸せだからね。お父さんの人生にいろいろあったように、ワタシの人生にもいろいろあった。でも、ひとつだけ確実に言えることは、ワタシはあの日ひとりで日本を飛び立ったことを後悔したことは一度もなかったということ。これからもいろいろあるだろうけど、ワタシ、大丈夫だから・・・。

とうとうぶっ倒れた、は大げさだけど

5月15日。火曜日。今日も初夏を思わせる天気。今日はちょっと早起き。といっても起床は午前11時過ぎだけど、10時間以上も眠った勘定になる。一度も目を覚まさずに、とにかくひたすら眠った感じがする。まあ、よく眠れてよかった。ベッドに入ったときはどうなるかと思ったから・・・。

そうなんだ、ゆうべはとうとう「ダウン」してしまった。夕食後に仕事をひとつ終わらせて納品してしまおうとキーを叩いていたら頭がくらくらして来た。やけにごちゃごちゃしたパワポでの作業だから目がちかちかして疲れるんだよなあ、なんて思っているうちにだんだん視線が定まらない感じになって来て、おまけに吐き気がして来た。仕事が進まなくなって「ちょっと」横になったのが午後10時過ぎで、「ランチの時間だ」とカレシに起こされたのが真夜中。なんか空腹感があったので軽いランチを食べて、仕事に戻ったけど、ダメだ。後1ページくらいで終わりというところなのに、めまいはするし、冷や汗がわっと出るし、吐き気はするし・・・。

期限は今日の午後だったこともあって、もうほんとにあと一歩というところでどうしようもなくなって仕事を諦め、ふらふらとベッドに潜り込んだのが午前1時ちょっと前。身体的にしんどくなったというよりは、精神的なバッテリが上がってしまったというところだと思う。ここのところ、そうでなくても仕事の予定がびっしりなのに、たった何文字かの追加注文だとか、まともに校正できる人はいないのかと思うような質問がまるで降るか降らないか決めかねている雨みたいにぽつん、ぽつんと来るし、そんなときにカレシが食料の買出しに行く予定をどたん場で変えて来る。木曜の夜ということだったのが、土曜の夜になり、日曜の午後になって、そして当日の朝に「夜になってから行こう」。さすがに予定が狂ってやりにくいと文句を言ったら、カレシがしぶしぶ「じゃ、今から行こう」。あのさ、その手には乗らないのよ、ワタシ。さんざん振り回しておいて、ワタシがうるさいから「合わせてやった」とむくれられるのはごめんだって。

結局買い物は日曜の夜に済ませたけど、ワタシが商売相手のご機嫌を取っているように見えるからって、いい年をして「ママ~っ」とばかりにヤキモチを焼くこたあないでしょうが。お金を払ってくれる商売相手だから(もちろん妥当な範囲で)ご機嫌を取ってるんだから。それが商売ってもので、それがワタシの生計なんだからね。まあ、諸般の事情からカレシにはわからないとわかっているから、そこまでは言わないけど、言わないからどうしてもストレスが雪のようにしんしんと積もる。(どこかで「雪はね」をしないとそのうち豪雪に埋もれてしまいかねないから、ブログで「王様の耳はロバの耳」みたいなことを言っているわけだけど・・・。)

メンドクサイ客の相手とこうしてときどき輪をかけてメンドクサくなりたがるカレシの間に挟まれてイライラしながら、ワタシはこれまた諸般の事情に触発されて何となくカレシとの関係の精神的な「収支」のようなことを考えていた。端的に言ってしまえば、カレシについては「赤字」なのは明らかなんだけど、周囲の家族や友だちが何かと補填してくれているし、自分でもある程度穴埋めができているから、連結方式ならまだ十分に黒字だと思う。でも、けんかしたときにカレシが目を見開いて左右に激しく動かすことがあるのがどうも異常じゃないかと思っていたのが、どうやらパニックの症状らしいとわかって、カレシ部門が今後黒字に転じるのは難しそうな感じ。つまり、カレシと真っ向からけんかしたって生産的じゃないということで、「赤字転落」を避けるためには「経営方針」を見直して、赤字部門を補填して、梃入れするか・・・。(あ~あ、△印だらけの決算短信の翻訳をやりすぎたみたい。)

まあ、それやこれやで気づかないうちにストレスがたまって、ちょっとばかり自律神経が失調を来たしてしまったというところかな。でも、10時間寝て起きたら元気いっぱいというのは、重みで屋根が潰れるところまで行かなかったということで、安心材料かな。やり残した仕事もちゃんと期限通りに納品したし、またまた(今度はまとめて)飛んできた「なんで~」というような質問にもまじめに答えたし、カレシは「あんまり働きすぎない方がいいよ」なんて、やさしいことを言ってくれるし、ワタシの精神部門の業績はどうやら上向きの兆し・・・?