ネイティブとは何ぞや
4月11日。日曜日。目が覚めてみたらもう正午。困るなあ、仕事があるってのに。それでも、春眠は暁を覚えずで、カレシの腕枕でしばしうつらうつら。だけど、仕事にかからないとまた期限ギリギリで慌てるから、やっぱり起きて朝ごはんを食べる。地球が丸いおかげで、日本はもうすぐ月曜の朝。あ~あ。
始めてみて、あ~あ。近頃はほんとうに多くなって来たなあ、こういう日本語。やらなければならないことをずらりと並べてあるけど、主語がないから「誰」がやるのかわからない。責任者が行方をくらましたみたいなもので、センテンスが始まらないのだ。とりあえず受動態で訳しておくけど、全面的に受動態の英語はどうも言い訳がましい響きがあっていけない。最後の行に到達するまでに「主語」が見えてくるといいけどなあ。そういえば、中学だったか高校だったかの英語の試験に「次の文を受動態にしなさい」なんて問題が出て来たっけな。機械的に変換できてしまうんだけど、それでちゃんと丸がついて返って来るから正しい英語なんだろうけど、なんかしっくりしない。何かが違う。能動態が受動態になったんだから文が違っていて当然なんだけど、いつももやもや・・・。
仕事を始めたはいいけど、この何日か熾烈な論争が続いている同業者の掲示板が気になる。ネットの世界ではちょっとした発言が誹謗中傷合戦に発展するのは別に珍しくないけど、なにしろ翻訳業界ではおそらく「永遠のテーマ」と言えそうな「翻訳における言語の組合せの方向」なものでついつい熱が入るらしい。翻訳の世界には昔から「翻訳者は取得言語からネイティヴ言語(母語)にのみ翻訳すべし」という主張がある。つまり、ワタシの場合なら「英語から日本語」の翻訳だけをやるべきだということになる。まあ、日常を日本語で暮らしているならその方が妥当かもしれないけど、日常が全部英語で日本語は読み書きする商売道具のような(しかも、いちいちローマ字の「スペル」を考えながらタイプしている)状況で、日本語の音声としての入力(聞く)がほとんどないせいか音声としての出力(話す)も落ちているのに、今さらそんなこと言われたらおまんまの食い上げだけどなあ。
第一、ネイティブ言語が即生まれ育った国の言語だった時代ならともかく、移民だ、ビジネスだ、国際結婚だと、ものすごい数の人間が国境や言語の壁を越えて移動する今の時代は、「ネイティブ言語」の定義そのものが揺らいでいるから話がややこしくなる。生まれて最初に覚えた言語を「ネイティブ言語(母語)」とするなら、カナダには公用語である英語とフランス語を母語としてないカナダ人が半端じゃない数いて、成人してもその母語を読み書きを含めて完全に使いこなせる人から、読み書きはダメだけど会話はできる人、聞いて何となく内容が理解できる程度の人、はてすっかり忘れてしまった人までいる。読み書きができない人に「あんたの母語は○○なんだから、○○語訳をするのが決まり」なんて言えるわけがない。通訳にしても両方をまったく同じレベルで扱えるかというとそうではない。だけど、通訳は「双方向」が基本だから、「一方通行」を主張する人はいないな。喧々諤々を超えて大げんかになるのは翻訳についてだけ。ある意味、「英語をかじった日本人」に縄張りを荒らされるのがムカつくというところもあるんだけど。
まあ、「翻訳一方通行」論には必ず文書として残る翻訳の質の問題が絡んでくるから、主張の趣旨はわからないでもない。小町でも「翻訳者になりたい」というトピが上がると、必ずといっていいほど「日本語の作文力がないと」というレスがつく通り、日本人が日英翻訳をやることに反対?する英語人も必ず「英語の作文力」を問題点として指摘する。日本人ならまともな日本語文が書けて英語は無理だけど、英語人ならまともな英語が書ける(日本語は元から自信がないから書かない)と言っているようなものかな。もちろん、高学歴の日本語人が書いた日本語原稿にもひどいのがあるし、英語人が書いた英語原稿だって同じようなものなんだけど。
まあ、たとえば日英翻訳なら、原稿を日本語ネイティブ並みに理解できて、翻訳文を英語ネイティブ並みに書けるが「理想」の翻訳者像なんだろうけど、そんな人はまずいないだろうな。だって、日常的に2つの言語を同時に100%ずつ使う環境がまず存在しないだろうし、バイリンガルの環境に生まれたとしても、普通は住んでいる国の言語が「第一言語」になって、もうひとつは脇役に格下げされがちだし。とどのつまり、言語にも「Use it or lose it」の原理があてはまるってことか・・・。
言葉なき言語と言うもの
4月12日。今日もいい天気だなあ。春らしい気候も戻って来たようだし、ライラックのつぼみもだいぶ膨らんで色づいて来た。でも、今年は見られないかもしれないなあ。
またまた正午を過ぎて目を覚まして、見たらカレシはぐうすか。今日は仕事の納期があるから、だらだらしていられないのだ。がばっと起きて、ささっと身づくろいをして、そのままオフィスに直行。きのうの受動態だらけの原稿をできるかぎり能動態に書き換える作業。どうみても一から十までが「ああしろ、こうしろ」の文書なんだけど、日本語では主語なしでいきなり「必要がある」という言い方をするから、受動態だとなんとなく「お願い」風になってしまって少々パンチが効かない。箇条書きに近い形式だからと、思い切って命令文にしてしまった。ああしろ、こうしろと言ってるんだし・・・。
例の「翻訳一方通行論」はまだ続いている。メンバー歴の浅い若手が古参メンバーのコメントに「激怒」して猛反撃に出たのがきっかけだったけど、結局のところ、けんかを売り買いしているのはいつもの古参の一言居士たち。あはは。ヒマだなあ、おじさんたち。まあでも、けんか腰のやりとりは沈静化して、有益なコメントも出て来たことだし、めでたし、めでたしか。だけど、(英語で育ったから)英語はネイティブだと言い張る火付け役の人の英語のコメントに、日本人にはおなじみのカタカナ語だけど(元がドイツ語だから)英語人にはわからない言葉を元のドイツ語つづりで使っているのを見たときは、ああ、日本に住んでいるらしいこの人は日本語のフィルタを通して英語を書いている日本人なんだなと思った。
そこで思い出したのが、かって通訳の恩師が高校まで英語育ちという日本人に英語訳をやらせたところ、その英語は高校生レベルのものだったという話。つまり、高校生としては英語ネイティブだったけど、英語環境を離れた時点の(ネイティブ)英語レベルで止まったということで、たしかに日本語環境で英語は維持できたけど、まさに最後に暮らしていたレベルを「維持した」だけ。ま、あまりにも長く日本に住んだもので、カタカナ語を実際に英語圏で使われている「英語」だと思う英語人もけっこういるし、ワタシだって、見なれないカタカナ語を端から英語起源だと思ってあれこれ考えまくっていたら、実はフランス語やドイツ語だったり、あるいは英語には違いないけど似て非なる「和製英語」だったりして、「ついに日本語がわからなくなったのか」と愕然とすることがよくある。やっぱり言葉というのは妖怪七変化の生きものらしい。
まあ、言語を学ぶというのは、何語であっても単語と文法と発音さえマスターすればネイティブ並みになれるわけではないことはたしかだと思う。ワタシの英語文にも微妙に非ネイティブ的なところがあるのは自覚しているもの。外国語や第二言語が母語の能力レベルを超えることはないと言われるから、外国語をネイティブ並みに使いこなしたいと思ったら、まず母語のレベルを上げなければ、ということだろうな。よく「英語をしゃべりたい」と言う人がいるけど、英語は単なる情報じゃなくて人間の思考や感情を伝えるための手段であって、だからこそ同じセンテンスを使っていても言い方によって玉虫色になるし、その上にさらに「ボディランゲージ」という言葉では説明できない「言葉なき言語」もある。顔の表情だって「言葉なき言語」のひとつだし、声の強弱でも違ったニュアンスを伝えられる。だけど、そういうことは英語の教科書から習得するものではなくて、実際の体験を通して「体得」する
ものなのかもしれないな。ふむ、コミュニケーションというのは、なんとなく即興芝居に似ていなくもないような・・・。
押し迫った気分だけど・・・
4月13日。目覚まし、午前11時半。今日はワタシがヘアカットに行く日。予約は1時。朝食を済ませて、歩いて行こうかと思ったけど、ネットをのぞいていたら時間がなくなってしまった。しょうがないから、自分でエコーを運転して行く。そうだなあ、ワタシが外に出られるときに愛車エコーも走らせてやれば、バッテリも上がらずにすむ。それはそうなんだけど、現実は運転はあまり好きじゃないし・・・。
月初めの季節外れの寒い日も遠のいたようで、曇りがちだけど摂氏10度。歩いて行かないとなれば、駐車場とモールの間だけだから半袖のTシャツだけでも十分。サロンではいつも奥にいる若いロシア人のスタイリストが機関銃のごとくぺちゃくちゃおしゃべりしながら、熱心にはさみを動かしている。その側でアンナにハイライトを入れてもらって、白髪を隠してもらって、いつも入れてくれるカプチーノを飲みながら、女性雑誌をめくる。「今年、絶対買うべきファッション」とか、「セクシー度アップの秘訣」とか、「ロマンスを取り戻そう」とか・・・そういう記事が広告の洪水の中にちらほら混じっている。読みにくいこと甚だしいけど、まあ、こういう雑誌を買う人は記事よりもたっくさんある写真を見るのかもしれないな。カットの番になって、ジュゼッペが「サンキューは日本語で何ていうの」と聞くので「アリガト」と言ったら、「アリ、アリ・・・」ともごもご。「アリ猫」って覚えたらいいよ。猫はイタリア語でガットと言うんでしょ。「なるほど、アリ・キャットだね。アリ・ガット。アリ・キャット。アリ・ガット・・・」。おいおい、大丈夫なのかなあ。昔「ありがとう=アリゲーター」と覚えたばかりに、本番で「どうもクロコダイル」と言っちゃったアメリカ人がいたと言う嘘かまことがわからない話があった。まあ、どっちも「ワニ」には違いないし、キャットもガットも猫だし・・・。
伸びてむさ苦しかった髪を切ってもらって、すっきりした気分で帰って来たら、今度は一緒にディナーに行くことになっていたイアンとバーバラが来た。牡蠣がおいしい「R」の付く月は4月が終わり。今のうちにというわけでもないけど、久しぶりに生牡蠣を食べたい。ところが予約をしておくはずだったカレシがど忘れ。(なんだかこの頃ど忘れが多くなったような・・・。)あわてて電話したら、「予約はいっぱいだけど、予約を入れないテーブルがいくつかあるから大丈夫」とのこと。火曜日なのに予約がいっぱいとはえらい繁盛ぶりだけど、ま、イェールタウン界隈の若くてファッショナブルな人たちが集まるところだから、いつもそんなもんなんだろう。いつもの半額スペシャルの生牡蠣を狙って6時前に入ったら空きテーブルがけっこうある。ボクサーみたいなウェイター氏に聞いてみたら、実際に予約されるテーブルは全体の4分の1くらいで、あとは早いもん勝ちなんだそうな。つまり、予約の電話をしていっぱいだと言われたからって、必ずしも満員御礼と言うことではないわけで、知っておいて損はない情報だな。
帰って来たらマイクからのメッセージ。本棚の上に置くガラスはでき上がって来たけど不具合があって、カットをやり直し。納品は明日かあさっての予定。へえ、遅れているなと思っていたけど、そういうことだったのか。このガラスが最後の最後に残っているアイテムで、これが納品されないことにはマイクは最後の請求書を出せない。請求書がなければ残金を払ってもらえない。おまけに来週の今頃は私たちは空の上で、日付変更線の向こう側。ちょっとした押し迫った気分かな。まあ、こっちは行く前に精算したいと言ってあるから、少しはインセンティブになると思うけど。
いよいよあと1週間か。来週の今頃は東京のホテルにチェックインしている頃かなあ。こっちもまさに「押し迫った気分」だけど、まだやることがたくさん残っている。さあて、何からやったら・・・。
国債買って年金もらう?
4月14日。電話が鳴っていて目が覚めた。午前10時50分。誰だ、こんな早くに・・・と無視を決め込んでいたら、ゲートのチャイム。誰だろう、こんな早くにと思いつつ、カレシを肘で突付いて起こして、「ゲートに誰か来てるらしいけど」。がばと跳ね起きたカレシ、「誰だ、こんや早くに」。ひょっとしたら、注文してあったスーツが届いたのかも。「だったら、明日にでも取りに行けばいいや」と、また寝ようとするカレシ。ワタシが起き出して、窓の外を見たら、あら、トニーのトラック。そういえば・・・
すっかり忘れていたんだけど、トイレのレバーを他の金具と合わせるのに「サテン仕上げ」を注文してあった。その入荷が遅れて元のぴかぴかクロームのままだったんだけど、ニューファンドランドへ出発する前に届いたら取り付けに来ると言っていた。それがぎりぎりに入って来たので、わざわざ取替えに来てくれたというわけ。たかだか2分もあればできる仕事なんだから、別の人に任せてよかったのに、律儀だなあ。そういうところがマリタイム(大西洋岸諸州)の人情なのかもしれない。出発はあさって。バンクーバーから車で大陸を横断して行くんだけど、途中で友だちや親戚を訪ねてあちこち寄り道するので2、3週間はかかるそうな。なんとなく平原を進む幌馬車を想像してしまった。うん、トニーにはカウボーイハットが似合いそう。旅の安全を祈ってるから、元気でね。
寝たのが遅かったのに思わぬ早起き。だけど、ベッドに戻るわけにも行かない時間だから、そのまま朝食に進んで、終わったところでシーラとヴァルが到着。いつもより30分も早いのは、「ランチはしたし、銀行にも行ったし、買い物もしたから、することがなくなった」から。まあ、この時間にはだいたい起きているからいいんだけど。ヴァルの夫氏のリッチは今月いっぱいでバスの運転手を引退するんだそうな。まだ61歳なので、いわゆる「定年」にはまだちょっと早いからいわゆる早期退職。始発のバスを出すために朝の午前4時に起きて、カレンダーを見ては「あと何日!」と指折り数えているとか。カレシの場合と同様に、公的年金(CPPとOAS)をもらうまでの4年は組合の年金だけ。リッチの娘もヴァルの息子たちもそれぞれに独立しているから、「何とかなるわよ」とヴァル。もっとも、免許を持っていないヴァルも、クリーニング屋を始めた末息子もリッチの「運転経験」を当てにしているらしい。ちょっと強面だけど根はすごく優しそうな人だから、はて・・・。
掃除が進んで、ワタシが日なたでわんちゃんのレクシーと遊んでいると、またゲートのチャイム。やれやれ、忙しい日だなあ。今度こそは注文のスーツ。濃紺のダブルベントのジャケットがまたいい。全体的にすらりとシャープに見えて、う~ん、かっこいい。旅行に間に合って届いてよかったね。何だかせわしなく午後が過ぎてしまったけど、とりあえず「やることリスト」の一番上にあった携帯レンタルの予約。カレシは1人でどこかへ行きたいようなそぶりは見せないし、特に別行動をすることもなさそうだけど、念のために1台ずつ。別行動をしたってかまわないんだけど。でも、10年間英語のボランティア教師をして来て日本を見る目が変わったんだそうで、今回は観光客に徹して、ひたすら歩いて、ひたすらおいしいものを食べるんだとか。はて、この心境の変化・・・?どこかで「時間薬」という言葉を見たけど、うん、10年という年月の効果はすごい。
gooのページを開いたら、「東京のここが変だと思うこと」のランキングが載っていた。興味をそそられて見たら、何で?という結果。第1位が「家賃が高い」、次いで「人が多すぎる」、「駐車料金が高い」、「空気が汚い」、「満員電車」、「飲食代が高い」、「水道水がおいしくない」、「隣に住んでいる人を知らない」、「夜なのにうるさい」、「終電でも電車がラッシュ」と続く。だけど、何でこれ「東京の変なところ」なんだろうな。どれも「東京じゃあたりまえ」と言えそうものだと思うんだけど。東京にあらずんば二級市民とばかりにみんなが東京に集まれば、そりゃ人が多すぎてあたりまえ。家賃が高くなってあたりまえ。電車は満員であたりまえ。日本の政治も経済も一極集中して残業に明け暮れていたらラッシュだって終電まで続くだろうな。そうやって「休むヒマなし」だから夜になっても喧騒が続いてあたりまえ。どれもちっともヘンじゃないと思うけどなあ。それにしても、「高い、高い、高い」とは、やっぱりデフレ心理が浸透しているのか。
ヨーロッパでギリシャの財政危機の対応がなんとかまとまったと思ったら、今度はイギリスの『エコノミスト』誌は「日本は夢遊病のように経済破綻に向かって進んでいる」という記事を載せたかと思うと、「日本は破局にまっしぐら」と言う過激な記事があったりで、世界の関心が日本に向いて来たような感じがする。ギリシャ政府の借金はGDP比で113%なのに、日本はなんと200%。(アメリカは約70%だそうな。)のんきに親方日の丸だった昔の国鉄を思い出すけど、これはその「日の丸親方」が危ないって話。ただし、日本の借金は94%が日本人が債権者なので、外国から借り入れて首が回らなくなるのとは違う。違うけど、いずれは二進も三進も行かなくなる、という話。だけど、医療や福祉や教育の予算をまかえるだけの税収がないから国債を発行して借金するのに、その国債の買い手(ローンの貸し手)がそもそも医療や福祉や教育のサービスを受ける国民ということになる。要する
に、病院や学校にお金を貸してめんどうを見てもらっているってことで、国債の購買層が団塊の世代や高齢者だとすれば、自分で自分の年金資金を出しているってことにならないのかなあ。これって、もしかしたら「自給自足」ってことになるのか・・・な?
やることが多すぎるのだ!
4月15日。木曜日。(来週の今頃は東京だ!)今日はカレシがヘアカットに行くで、ちょっと早起き。目覚ましは午前11時30分なのに、なぜかやっぱり直前に目が覚めてしまう。まあ、ビーコ、ビーコとけたたましく起こされるよりは心臓にいいだろうけど。時計は11時27分。目覚ましを止めないで、起きないで、じっくり3分。鳴り出したところで、カレシのわき腹を肘でちょいちょい。こらっ、オッハヨッ!
カレシのヘアカットが終わる頃にモールで合流して新しいスーツケースを買うつもりだったけど、他にも何かと用があるので一緒に出ることにした。カレシにヘアカット代を渡して(ど~して自分でお金を持って歩かないの?)、キッチンの本棚の上においてあった納税申告関連の封筒をトートバッグに入れてお出かけ。トラックを止めたところでカレシはサロンへ、ワタシはそのまま道路を渡って銀行へ。当座に日本円を買おうと思ったら、手持ちがありませんと来た。やっぱりダウンタウンの本店に行かなきゃダメか。シーラに払う「留守番料」をおろして、ついでに、前にデフォルトの暗証番号をうろ覚えのまま行って替えられなかったチップ入りクレジットカードの暗証番号を忘れないものに変えて、銀行業務は終わり。
モールでは、まずクリニークのカウンターでローションを買って、長期休暇を取っているチュイがいつ戻ってくるのか聞いてみたら、「辞めた」と。休暇中に体調を崩して、乳がんが発見されて、化学療法が終わったところだという。「髪が抜けてしまったけど、美人には変わりないわよ。ご主人がそれはもう献身的で、チュイは療養に専念しているから大丈夫よ」とリヴィ。ときどき電話をしたり、気分のいい時にはランチもするというから、この次にチュイにあったらよろしく言ってねとメモを残しておいた。でも、ちょっとショックだなあ。元気になっても仕事には戻って来ないだろうな。
笑顔がすごくきれいなチュイのことを考えながら、地下の郵便局へ。封筒の束を出して、投函しようとしたら、あら、4通あるはずなのに、3通しかない。足りないのは追加納付の小切手が入った封筒。ふむ、薄っぺらい封筒だから、一緒に置いたつもりでデスクの上に残っているのかもしれない。とりあえず手元の3通を投函。カレシから終わったと電話があるまで、彼用のスーツケースとショルダーバッグをを物色。今回は2週間以上だから、いつものようにキャリーオンだけでは衣類が間に合わない。カレシは手荷物を待つのが嫌いで、大きなスポーツバッグに全部詰めて機内に持ち込みたがるんだけど、狭い座席であれこれと出したり入れたりするのにひと苦労。どうしてこういちいちものごとをめんどくさくするの?)まあ、今回は成田では指紋を取られたりして入管手続きに時間がかかるんだからと説得して新しく軽いスーツケースを買うことにしたのだった。
買い物を終えて帰ってきて、いの一番に「忘れていった」封筒探し。キッチンにはない。デスクの上にもない。家中どこにもない!さあ、大変。銀行でトートバッグから財布の入ったバッグを引っ張り出したときに一緒に出て落ちたのかな。どう考えてもありえないんだけど、クリニークでバッグを出したときに、な~んとなく底に「3通しかない?」という感じがしたっけ。だから、落としたとすれば銀行しかないということになる。小切手が換金されることはまずないだろうけど、納付伝票に住所指名と一緒に「社会保険番号」が書いてある。悪い人の手に入ったら・・・あああ。すぐに銀行に戻って、拾った人がいなかったかどうか聞いてみた。あのときはほぼがら空きだったから、やっぱり誰もいないらしい。それでも「見つかったら連絡するから」と名前を電話番号を控えてくれた。
問題はどっちの税金の封筒がないのかわからないこと。期限は30日だから、このままだとカレシとワタシのどっちかが未納になって利子を取られる。小切手を2枚ともキャンセルして、改めて別に送るしかないないか・・・。さすがのワタシも胃のあたりがきりきりしてくる。やることが多すぎるのぉ。なんでみんなワタシがやらなきゃならないのぉ?あれも、これも、みんな。ど~してぇ?カレシは「ボクが手を出してややこしくするとまずいと思って・・・」とか何とか。もう、しらない!ワタシは胃がムカつくし、のどは渇くし。オフィスのバックルームにあるウォータークーラーのところへ行ったら・・・白いカウンターの上に白い封筒!
そっかあ。夕べ寝る前にいつものベッド脇に置く飲み水のボトルに水を入れるのに、持っていた封筒が邪魔でカウンターの上に置いた。で、ボトル2本とバッグを抱えて、カウンターの封筒をさらって・・・一番下の薄い1通が取り残されたんだろうな。朝の手順がいつものように運んでいたら、空のボトルを持って来たといに封筒を見つけただろうに。見つかった封筒は(なぜか)2人一緒に2ブロック先の郵便ポストに入れて来た。あ~あ、やれやれ、くたびれた・・・。
夕食のこともすっかり忘れていたから、とりあえずありあわせのディナー。カレシが「ボクにできることある?」とやたらと共同参画に意欲的?なのは、ど~して?ふふ。
今日も波乱万丈だった
4月16日。金曜日。きのうの「落し物」騒動で動揺して疲れたのか、何となくぐっすりと眠れなかった。まあ、旅行の前というとたいていはそうなんだけど、時間はどんどん過ぎるのにやることがありすぎて、やってもやってもちっとも減らないような気がするのはどうしてだろうなあ。今回はぎりぎりまで仕事が詰まるようなこともなて、比較的ゆとりがあるはずだったんだけど、やっぱりないなあ、なぜか・・・。
朝食が終わったら、あわただしくダウンタウンへ。カレシは落としてアクセスできなくなったハードドライブのデータを回収してもらえるかどうかをチェックしてもらいにStaplesへ。ワタシは円を買いにまっすぐ銀行へ。携帯を忘れてきたと言うから、銀行で落ち合うことにした。おとといはカナダドルがとうとうアメリカドルより高くなったけど、きのうからじりじりと下降。それでも口座を振り替えたらマイナスになる。対円レートもしばらく円安だったのに、きのうあたりから少し上がり気味。いつも必要なときに限ってレートが悪くなる。まあ、せいぜい2万円だから別に大損をするわけじゃないけども。
銀行で待っていたら現れたカレシ。データは回収可能だけど2時間くらいかかるとか。じゃ、今日はショッピングデーということで、まずはカレシのソックスを買う。もう1年も前から「新しいソックスがいる」と言うのを、昔のように買っておいてあげると「夫教育」の上で良くないらしいということで、ずっと聞き流していたんだけど、これで耳にできた「たこ」もポロリと取れるかな。ソックスの次はワックスの耳栓。テレビの前ではぐうすか眠れるのに、ベッドでは耳栓がないとよく眠れないというヘンな人なのだ。ドラッグストアを2軒回ってやっと見つけたのを2箱。(耳栓をするせいか、耳垢がたまって聞こえが悪くなることがある。というよりは、聞きたいことしか聞こえない「選択的聴覚」という可能性もあるけど、人(特に女性)の話を聞かないのは「男の病気」かもしれないな、うん。
必要品を調達したところで、東京のガイドブックを買いに本屋へ。今回は東京だけで10日ほど過ごすから、ホテルで寝酒を片手にガイドブックをめくって「明日はどこへ行こうか」。東京には1週間より長くいたことがないと思うから、ま、根っからのおのぼりさん観光客。観光ガイドを買うのに一番困るのは情報が古いこと。それでも、メイドカフェの記事があったりして一番新しそうな「Time Out」というシリーズのものを買った。ぱらぱらめくっていてカプセルホテルの写真を見たカレシ、「映画に出てくる警察の死体置き場みたいだ」。う~ん、リッチモンドにカナダで初めて?のカプセルホテルができるという噂だけどなあ。(どんな人が利用するのかなあ・・・。)
駐車メーターにお金を足して、今度はHマートへ。カレシは当座の野菜を調達。ワタシは「コチュジャン」を探すけど、あいにくハングルが読めないから、どれがどれなのかわからない。店員をつかまえて、カタカナ韓国語で聞いてみたら「?」という顔。何度かいい直してやっと通じたらしく棚一面にいろいろな「みそ」が並んでいるところに連れて行ってくれた。容器を見ると「Gochujang」と書いてある。そっか、韓国語は「か行」と「が行」の区別があまりはっきりしないんだっけ。でも、ハングルを指して「これがそうだ」と言うから、これで判読?できる言葉が(「キムチ」に次いで)2つになった。レジでトートバッグに詰めてもらっている間にトイレに行ったカレシは「故障中だって」と戻って来た。へえ。
店を出て車に向かって歩いていたら、警備員の制服を着たお兄ちゃんが「ちょっと、ちょっと。レシートを見せて」。は?ま、これがレシートだけど。何かを疑っていることは確かなので、カレシは「わざわざ追いかけてきてレシートを見せろって、理由は説明できるんだろうな」と少々けんか腰。警備員氏は一生懸命に説明しているんだけど、言っていること(英語)がさっぱりわからない。身振り手振りで何度も「ここをこういう風に通ったでしょ」みたいなことを言っていて、まるでジェスチャーゲーム。そのうち、ワタシがカレシに「通ったというのはトイレに行ったことを言ってるんじゃない?ほら、故障してるって戻って来たでしょ」と言ったら、警備員氏がトートバッグを指して「店の袋じゃない」と言い出した。いつも自分のバッグを使うからレジ袋はもらわないと言ったら、やっと半分納得したような顔。カレシが「全部出してレシートと照合する?」と挑んだら、「いいです」と言って、店の方へ引き返して行った。「たぶん、品物をトイレに隠しておいて、レジを出たところでバッグに入れたと思ったんだ」とカレシは推理。なるほど、そういう万引きの手もあるわけか。ま、こっちはやましいところがないから「なるほど」で済むけど、あの英語をもう少しなんとかしないと、ひとつ間違ったら怒った客とひと悶着が起きかねないなあ。
ハードドライブは結局完了したら連絡するということで、とりあえず帰館。今日も波乱万丈(千丈くらいか)だったけど、きのうがありあわせだったので、今日は極楽とんぼ亭の人気?メニュー「機内食風」。たけのこの「若竹煮風」、キハダとビンナガをミックスしたポケ、サーモン、ビンナガ、タコの刺身。冷蔵庫に入れてあった越後の純米酒で乾杯。
食べ終わったところでタイミングよくStaplesから連絡があって、またダウンタウンへ。「連れがいるといいから」とカレシが言うので、とりあえずくっついて行ったけど、行って、壊れたドライブとデータを写した新しいドライブをピックアップして、帰って来るだけなのに、ど~してワタシが一緒について行くのかなあ。やることがまだたくさんあるってのに・・・。(そういいながらついて行く方も行くほうなんだけど。)
改装工事はほんとに終わり!
4月17日。土曜日。雨模様。外があまり明るそうじゃないので、目が覚めてもなんとなく眠い。きのうはさすがにちょっとクラクラッとしたり、寝てから喘息発作のような咳が出たりして、「ストレス注意報」はオレンジ。まあ、「やること」リストのチェックマークがついた項目が半分以上になったし、残りは出かけなくてもできることばかりだから、リラックス、リラックス・・・。
午後はとにかくだらだら。ひたすらだらだら。だけどなあ、気合いを入れてひたすらだらだらするって矛盾もはなはだしいし、実はかえって疲れた気分になる。我ながらヘンな性分だと思うけど、かって名うてのワーカホリックだった後遺症みたいなものかなあ。こんなんだったら、ついに65歳定年が来たらどうしようかなんてつい考えてしまう。ひたすらの~んびりすることを心がけなきゃならないかな。そこで「ひたすら」が付いてしまうところを見ると、あんがい趣味ホリックになったりして・・・。
夕方になって、マイクが本棚の上に置く強化ガラス板と最後の請求書を持って来た。ベイウィンドウの幅いっぱいに作った本棚の上に一枚板のガラス。窓からの光を反射してキッチンの中がいっそう明るくなって見える。これでプロジェクトはほんとうに全部終わり。最後の請求書はだいたい予想通り。さっそく小切手を振り出して支払い完了。のんびりと3ヵ月もかけた小さなバスルーム改装の総工費は税込みで3万8750ドル。あれこれ変更したり、追加したりした割には初めの見積もりからあまり大きくオーバーしていない。それにしてもまあ、あの安っぽくて、シンクに穴が開いて、シャワーが水漏れしていたど~しょ~もないバスルームが我が家で一番のデラックススペースに変身。ファイル用の写真を撮っていたマイクが「狭くて全部入らないよ。もうちょっと大きなバスルームがいるんじゃない?」。あはは、もっと大きくしたらラスベガスのホテルみたいになっちゃうよ。
夕食はちょっとしたお祝い気分で、厚さが3センチくらいもある大きさアヒ(キハダマグロ)のステーキをグリル。味噌とコチュジャンを混ぜて日本酒でゆるめて、おろししょうがを入れた即席マリネード。やっと終わったんだ~という実感がしてくる。住んでいる家での工事はやっぱり精神的にきついよね。生活時間を尊重してくれたおかげであまりリズムが狂うことはなかったけど、体内時計では丑三つ時みたいな時間に起きたり、徹夜したりはやっぱりきつい。カレシが(危ない場面がなかったわけじゃないけど)ストレスをかなりコントロールしてくれたから、今になって「きつかったね~」とのんきに言えるんだけど。ま、やってよかったね。ごくろうさま。ワタシも自分の背中をポンして、ごくろうさま。
竣工を祝って気持がおちついたところで、最後の最後の最後の仕事、ランドリーシュートのドアの縁のペンキ塗りをする。小さなスポンジのブラシでちょいちょいと壁と同じ色に塗るだけのことなんだけど、一応はペンキ塗りようの古いジーパンのカットオフに着替えて、床にシートを敷いて、ドアにつっかい棒をして、ちょちょいのちょい。で、ものはついでと、反対側の取り出し口からシュートの中も真っ白に塗ってしまった。合板が露出しているのはいかにも安っぽいけど、10分もあればやれるのに新築のときから22年そのままになっていた。全部でたかだか15分程度の作業なのに、やっぱり手も腕も足もペンキだらけ。ここがプロと素人の違いなんだろうけど。それでも、これでほんっとに正真正銘の終わりの終わり。ばんざ~い!
改装工事というお荷物が肩から降りたから、さあ、あとは1週間後に迫ったプレゼン用のスライドを仕上げなきゃ。パワーポイントのスライドに翻訳を上書きする、どえらい手間のかかる仕事は何度もやったけど(、自分で一からスライドを作るのは初めてだから、Kiss(Keep it simple, stupid)原則で行くのが一番なんだけど・・・
静けさの前の嵐
4月18日。えっと、日曜日。正午をたっぷりすぎて目が覚めたら、春だ、春だという感じがするいい天気。大地震に火山の噴火に大雨にと、地球上ぐるりと天変地異の感があるけど、窓からまぶしい日差しを見ている限りはやっぱり別世界のように感じられてしまう。ヨーロッパはまだ大混乱しているようだけど、試験飛行を始めた航空会社もあるという。火山の場所が違えば、そこの地質によって火山灰の成分も違うんだろうと思う。エンジンに危険な灰もあれば、すんなり通り過ぎてくれる灰もあるんじゃないのかな。中国から黄砂が飛来したときはアジアの飛行機便は欠航したんだろうか。あれだって危険じゃないかと思うんだけど。それとも、砂が飛ぶ高度は火山灰とは違うから影響がないのかな。
改装プロジェクトが100%終わったところで、やっとのことであさってに迫った出発の準備に集中できる。「やること」リストは、ブランクはあと5個。会議に出るから業務関連の準備もある。まずは、名刺。いつもは(会議をサボって遊んでいるせいもあって)あまり名刺を交換することはないんだけど、今回は名刺大国の日本だし、クライアントを訪問する予定もあるし、ということで手持ちの他にとりあえず20枚ほど増刷。ついでに一緒に会議に参加することになったカレシの名刺も作ってあげることにした。といってもたぶん会議では唯一のモノリンガルで翻訳に関わっているわけじゃない。ちょっと考えてタイトルは「公認英語ネイティブ」にして、裏に大きなスマイリーを印刷したメイシが出来上がった。カレシも大笑いして、大いに気に入ったようす。これならちょっとしたおしゃべりのきっかけになりそうだな。
さて新品のスーツケース。カレシが「似たようなのが多いから何か目印をつけなきゃ」とうるさい。リボンか何が結んでおけばいいじゃないの。「いや、それじゃほどけたりするから心配だよ」と、先天性?心配症のカレシん。クゥ~ッ。「それに、ちょっと遠くからでもひと目でボクたちのだとわかる印がいいよ」。クゥ~ッ。まあ、とり急ぎでステンシルを作って、タイルの縁取りに使った油性ペンキで前と後にでっかく苗字の頭文字を塗って、これでどうだ!カレシ、「うん、かっこいい」。クゥ~ッ!
そんなこんなで短い午後はあっという間に過ぎる。夕食を済ませて、最後の小さな仕事を始めたら、カレシが「ルータのライトが全部消えている。ネットにつながらない」とおたおた。あ~あ。自分で何とかしてもらいたいんだけど、「この黄色のコードはどこにつながると思う?」と来る。一見して電話のプラグみたいだけど、大きすぎて合わない。あのね、ワタシはモデムだからルータのことはわからないの。ヘルプに電話でもしてよ、クゥ~ッ!カレシのコンピュータにはやたらといろんなものをつないであるから、コードが入り乱れてスパゲッティ並みで何が何につながっているやら。おまけにネットはプロバイダも電話回線も別々で設定も違うから、まさに異言語コミュニケーション。なのに、「ボクの手が大きすぎるんだよねえ」とか何とかグチグチ言うもので、ワタシがデスクの下にもぐったり何だりして大汗をかくはめに。それでもわからなくて、結局は「自分でやるからいいよ」。それを早く言ってくれっつうの、クゥ~ッ!なにやらごそごそやっていたと思うと、「電源スイッチがオフになってる」。クウ~ッ!「だって、すごく小さくて、スイッチがあるなんて知らなかったんだよ」。はあ、すごく小さくてもうっかりオフにすることはできてしまうのがカレシ。もう、ククク・・・。
あ~あ、どうして旅行の前ってこうくたびれるんだろう。いよいよ残るはあした1日きり。結局やりそこなった仕事を片づけて、あと3個になった「やること」にチェックマークをつけて、それから荷造りという手順。う~ん、搭乗券の印刷、すんなり行けばいいけど。この調子だと、あさっての午後、離陸したらバッタン、グーということになるかも・・・。
嵐の前の嵐のような・・・
4月19日。月曜日。天気予報は雨だと思ったけど、晴れたいい天気。いよいよ出発の前日で後がないから、よく考えて効率よくことを運ばないと夜中になって戦場になりかねない。だけど、カレシはなぜか庭仕事に出て、足首をくじいたかもしれないと言ってきた。あ~あ、なんでこんなときにそうなるの?
とにかく、ワタシは昨日やり損ねたミニ仕事を片づけ、クレジットカードの支払い手続きや消費税の申告。それから換気装置のフィルタの取替え。工事中に石膏ボードを外したり、取り付けたりしたから、排気側のフィルタは石膏の粉がびっしり。この3ヵ月、家の中の空気がそれだけ汚れていたということで、さっそく洗濯しておいたけど、これじゃあ換気装置だって窒息してしまう。換気装置の次はエアコンの試運転。しばらくファンだけを回してから、冷却に切り替えて、異常がないことを確認。
庭仕事を諦めて入って来たカレシは搭乗券の発行手続きにかかる。いつもなんだかんだとマイナーな問題が起きるんだけど、今回はエアカナダの方からメッセージが入っていて、搭乗手続きの前に「今ならビジネス/ファーストクラスにアップグレードできます」と来た。お一人様800ドル。シートがちょっと大きくて、食事がちょっと良くなって、お酒が飲み放題で、乗り降りが優先・・・ふ~ん、優先されたって到着が早くなるわけじゃないし、成田に着いたら入管手続きでエコノミーと同じ時間がかかる。機内食が少しくらい良くなっても、800ドル×2で1600ドルなら、東京でだって三つ星レストランのひとつやふたつ行けるよなあ。ああ、ばかばかしい。ということで、アップグレードはパスして、搭乗券を印刷。ゴールデンウィークの直前だからなのか、JALが値引き攻勢をかけて客を取られたのか、よくわからないけど、きっとビジネスクラスはがら空きなんだろうな。
ちょっと気になるのはジムとデイヴィッドが同時に知らせて来たカレシのパパの容態。肺炎の方は抗生物質で治まって、ホームの介護棟に戻されたけど、ほとんど食事をしないという。食べられないのか、食べたくないのか、意思表示もあやふやでわからない。出発直前のことでどうしたものかと、ママに電話したら、「もう年なんだからちょっとでお病気をすればしょうがないわ。明日、あさってにもどうなるということでもないから、心配してないで行って来なさい」と言われたそうな。まあ、ジムから送られてくるニュースはちょっと大げさな憶測が入っていたりするから。一応、マリルーに連絡先を残しておくことにした。
留守番のシーラのためにパンを焼いて、後は荷造り。例によってカレシは「念のために」あれもこれも持って行きたがる。あのさ、文明を遠く離れて暗黒大陸のど真ん中へ行くわけじゃないんだから、文明国日本じゃ何だって手に入るの。おまけに、ワタシの担当になっているものまで、「あれは持って行くの?あれはどうするの?」と聞きに来る。心配性の旅行者はこれだからやんなっちゃうなあ。まあ、スーツケースに詰めるのは引き受けるから、もうちょっと持っていくものを厳選しないと、重量超過になりかねないよ。
荷造りが済んだら、ちょっとトラックを走らせてきて、シャワーを浴びて、あとは目覚ましをかけて寝るだけ。なんかたびれたけど、ま、とにかくバケーションの始まり・・・。
行ってきま~す
4月20日。いよいよ今日。このブログも来月6日までしばしの休み。まあ、日本では毎日何かしら日本語をしゃべるだろうし・・・。
では、行ってきま~す。