リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

オファー合戦の末に新居を買った

2015年03月31日 | 日々の風の吹くまま
やったぁ!新居が見つかった。エイプリルフールじゃない。相場などを勘案してオファーを出
したら、売主側から反対オファー。近いけど遠い差がある。そこへしてカレシがバルコニーと
ルーフデッキの方角が気に入らないとごね出してひと騒動。ま、再度物件を見せてもらうこ
とになっていたので、とにかく見に行く。雨だった前回は靴を脱いでいたので外に出なかっ
たカレシはデッキに出て一気に感動。窓越しの写真から受ける印象よりずっと広い50平米
で、向きは北、北東、東、南東。屋根つきバルコニーの方は20平米で東、南東、南、南西の
向き。奥まっているから部屋の延長と言えなくもないかな。

カレシの懸念が解消して、今度は反対オファーにさらに反対オファーを出す相談。カレシが
相場がどうの高すぎるのとごねたけど、デッキとバルコニーを合わせたら70平米の「裏庭」
を買うようなものだと納得して、希望価格と当初のオファー価格の中間の数字をオファー。
ポールはイニシャルした書類を掴んで23階(4階と13階がないからほんとは21階)へ。私
たちは向かいのティムホでコーヒーとドーナッツ。8時を過ぎた頃にポールが現れて「受け入
れる数字を提示して来た」。カレシが「お前が決めろ」という目つきでワタシの方を見るので、
元々想定していた上限の数値だから躊躇なくオッケー。また数字を訂正してイニシャルして
ポールは飛び出して行った。オファー合戦の末の買値は89万ドル・・・。

ひゃっほぉ~!思わずポールをむぎゅっとハグしちゃった。ちょっと高めなのは確かだけど、
カレシはデッキとバルコニーが気に入ったし、ワタシは新しいライフスタイルを買うつもりな
ので、内在価値を考えたら高すぎではないと思う。いやあ、ほんとにうれしい。午後9時過ぎ
に帰り着いて、マティニで乾杯。今度はカレシをむぎゅ~っとハグして、ほんとにありがとう。
「けんかするが嫌になったから」と言うけど、最後はワタシのために折れてくれたんでしょ?

引越し作戦は大きく前進して、今度は家を売りに出す番。見学はダメとか、「売家」の看板は
出すな(「売約済」のはOK)とか特異な条件をポールが全部聞き入れてくれて、「水面下で
しかるべき方面に根回ししてあるから大丈夫」と、まん丸な童顔に自信たっぷりの笑み。頼
りにしてまっせ。ニュースになるくらいの超高値で売ってくれぇ~。

今度のは買えるかな?

2015年03月30日 | 日々の風の吹くまま
今日から休み!客先に4月一杯休みますとメールをしたら、「ええぇ~っ」。すみませぇ~ん。
でも日本ではもう31日だから、予算消化の「魔の季節」は終わりじゃないのかな。上野の桜
も満開だそうで、新年度、新学年、新入学、新入社。日本は新入生と新社会人でいっぱい
の初々しい季節でしょ?

休み!となるとつい何となく手持ち無沙汰な気分になってしまうのが難点。だから思い切っ
て引退できないでいたのかもしれないけど、この先1ヵ月は引越し作戦の正念場みたいなも
のだから、あっという間に過ぎてしまうかもしれないな。手始めに今日はポールが所属する
不動産エージェンシーで、カレシが出した質問状にエライ人が直々に回答してくれることに
なっていたので、モールに車を止めて地下鉄でダウンタウンまで。歩いているとやっぱり何
となく林立する高層マンションの上の方を見てしまう。

新居を買うのと家を売るのとのタイミングの計り方が難しいんだけど、とっても人当たりのい
いベテランエージェントが懇切丁寧に説明してくれて、どうしてもポンポンと出て来る用語な
どを理解できないでいたカレシもどうやら90%くらい納得が行ったらしい。後はニューウェス
トミンスターの物件にオファーを出すのに書類作り。全部で9ページくらいの書類にサインを
したり、イニシャルを入れたりして完成。希望価格95万ドルのところ、単位面積当たりの相
場にデッキとバルコニーの広さを勘案して87万ドル。期限までに家を売却するのが条件で、
引渡しは売り手と買い手の希望が(珍しく)一致しているので、8月半ばということにした。買
値は買い損ねた物件でオファーした値段を上限として、状況によってはもう少し色をつけて
もいいのでちょっと余裕。

まあ、もうちょっと早くということなら繰り上げてもいいわけで、そこはポールに交渉してもら
う。明け渡しが早くなっても、家の買い手と譲渡手続きをしてしまって7月か8月の末くらいま
で賃貸すると言う手があるので、カレシが心配したような「タイミングがずれたためにホーム
レス」なんてことにはならないと思う。後は受け入れてくれるかどうかだけど、相手側のエー
ジェントがちょっとボケが入っているんじゃないかというお年寄りで、何だか頼りない。でも、
競合するオファーがなさそうなので、ポールの交渉力しだい。うまく行くといいな。カミサマ、
ホトケサマ・・・。

主婦業なるものをやってみたい

2015年03月29日 | 日々の風の吹くまま
今日も仕事、仕事。最後に残ったファイルひとつ。頭の中の小人さん(コロポックル?)がし
きりと「もういいよぉ」とごねるのを叱り飛ばして、何とか抑えて、ひたすらゴールに向かって
ホームストレッチを疾走。まったくもってメロドラマみたいな内容だけど、国際企業なのにこ
のブラックぶりと来たら。日本ではどこでもそうみたいだけど、みんなで毎日深夜まで残業し
なければ仕事が終わらないところが多いみたい。そうなるのは仕事量が人間による処理能
力を上回っているということで、だったら人を増やすのが一番の方策だろうに・・・。

ニューヨークからは何度もダメって言ってるのにまだ何だかんだと言ってくるけど、もうめん
どくさいから無視。そのうちにあきらめてくれるかな。月が替わったら引退のお知らせを出し
て置こうっと。がんばった甲斐があって、納期より3日も早く終わって、待つことはないから、
ささっと納品。ちょうど3月も終わるから、ここで思い立って4月は「臨時休業」と言うことにし
た。いつどんなのが入ってくるかわからない仕事をしながらの引越し作戦はやっぱり何かと
ストレスが増幅されていけないし、家中に溢れているモノの整理と仕分けもやらないとね。
人間、27年もひとっ所に住み着いていると、何ともすごい量のモノを溜め込む癖があるらし
い。はて、地球に優しくないよな、まったく・・・。

丸々1ヵ月、仕事なしって、いいな。そのまま5月も臨時休業、6月も臨時休業して、新居に
落ち着く頃にはめでたく引退てことになっていたりしてね。ほんとに引退したら、どんなことを
やりたいかな。まずは書くことと描くこと。本も読みたい。DVDで勉強もしたい。ご隠居さん
らしく趣味三昧と行きたい。でも、何だか「主婦業」もやってみたいような気がする。ワタシは
結婚以来ほぼぶっ通しフルタイムで仕事をして来たので、「主婦業」はやったことがないに
等しい。遠い昔、母が毎日買い物かごを下げて商店街に出かけていたように、トートバッグ
を肩に、今日のご飯は何にしようかなんて考えながらスーパーに行くのも、何となく古き良き
昭和の主婦みたいで楽しそう。それに買って来たものをその日に食べれば、魚や肉を大量
に買って冷凍しなくても良くなるから、ご飯がおいしくなるかも・・・。

新しい風景、新しい環境、新しいライフスタイル。ああ、どんよりした雲の切れ間から日が差
すのを待ちわびるような気分・・・。

自分の靴を履いて歩きたい

2015年03月28日 | 日々の風の吹くまま
大雨の予報が出ている。俗に「3月はライオンのごとくやって来て、子羊のごとく去る」と言
われるけど、今年の3月は逆で、子羊のごとくやって来て、ライオンのごとく去るつもりらしい。
まあ、桜はもうほぼ散ってしまったからどっちでもいいけど。それにしても、もう4月になって
しまうんだなあ。時間の足、早すぎ・・・とぶつぶつ言いつつも追いかける。今日もまじめに
仕事をしたので、残るは一番大きいやつがひとつ。会社の内情話は野次馬根性でやれて
おもしろいけど、しまいにはやっぱり「おなかいっぱい」の気分になって来る。

気晴らしにと小町横町を散策してみても、やっぱり何か「もういいよ」という気分になるのは
何でだろうな。あんがい、引越し作戦を巡ってカレシとけんかしているうちに、ワタシの奥の
奥でずっともやもやしていた霧が晴れて来たようなところがある。「人の靴を履いて考える」
という言葉は他人の身になって考えるということで、耳当たりのいい言葉なんだけど、自発
的に他人の靴を履いてこそ共感が生まれるんであって、他人に「オレ/アタシの靴を履いて
考えろ」と強要するのは「自己主張するな」と言うことに等しくて、相手の人格否定につなが
る虐めの手段にもなる。

翻訳と言う作業は何となくこの「人の靴を履いて考える」行為に似ていなくもない。それがワ
タシの生業だから、表向きは自発的にやっていることになるんだろうけど、自分をどこかに
置き忘れているような気持になることもある。最初の10年間は主に英日翻訳をやっていた
けど、そんな気持になったことはなかったな。英語と言う靴の履き心地が良かったのかな。
期せずして日英翻訳に方向転換してからは他人の頭の中を日本語という靴を履いて歩か
なくてはならなくて、年と共にその靴が足に馴染まなくなって来たのかな。もしかしたらまた
燃え尽きかけているのかもしれないけど。

たぶんもう十分に長いこと他人の靴を履いて歩いて来たよってことで、自分の靴を履いて歩
きたいんだろうな。やりたいことがたくさんあるのに、仕事をやめたらやろうと自分に言い聞
かせて来たけど、環境が変わるのに合わせて本気で引退を考える気持が強くなって来た。
人生があとどれだけ残っているか知る由もないけど、4月はワタシの誕生月。他人の靴は
脱いで、きちんと揃えて返上して、自分の靴に履き替えて外へ出よう。何か新しい発見があ
りそうな気がする。

時代の追いつける変化と追いつけない変化

2015年03月27日 | 日々の風の吹くまま
気乗りがする、しないに関わらず、「プロ」の誇りにはたきをかけて、今日は大まじめに仕事
モード。小さい方は派手なキーワードがぞろぞろあるけど、今ひとつイメージがつかめなくて、
英語で読んでカチッと来る表現をあれこれ考えるのがタイヘン。おまけに同音異義の漢字
を間違えているから、意味が通らない。ちゃんとした日本語で書いてくれよと言いたいけど、
ワタシが日本語ウラシマさんになっちゃったというだけのことで、たぶんこれが「まともな」ビ
ジネス日本語なんだろうな。時の流れには勝てないということか・・・。

そこへしてまたニューヨークからやいのやいのとメールが飛んで来る。できないって断った
のに、1ページでも2ページでもいいからとうるさい。週末だから人が集まらなくて困ってい
るんだろうけど、ダメなものはダメ。だからダメって返事をしたのに、今度は来週早々に3日
間で3万語を訳し出す案件があって、少しでもいいから引き受けられる人は手を挙げて・・・。
訳上がりが3万語というと、1人でやれば約2週間。それを3日でやるとなると6人は必要。
未だに「法律部門を強化したい」とか何とか言って、あちこちの聞いたこともない会社から登
録のお声がかかるくらいだから、法律分野は人が足りないらしい。でも、ダメなものはやっ
ぱりダメなの。

ひとつ片付けてちょっと息抜き。不動産市場が過熱しているメトロバンクーバーでは電車の
駅に近いショッピングモールで商業とオフィス、住居の大規模な複合開発が活発化している
という話。隣のバーナビー市にはそういう地区が4つあるし、バンクーバーでも我が家から
地下鉄でひとつ先のオークリッジモールの複合開発がそろそろ始まって、タワーマンション
が何棟も建つことになっている。来年新路線が開業するコクィットラムではショッピングモー
ルの所有会社が大金を出して駅を作らせたそうで、タワーマンション群の建設計画を進め
ているそうな。

ひと昔まではバス停や駅から離れたところに住むのが中流階級みたいな感じだったけど、
今は若い世代に車を持たない人が増えているそうだし、アジア人が増えたこともあるかもし
れないけど、「駅まで徒歩○分」の便利な立地が大もてで、まるでメトロバンクーバーの「東
京化」。でも、眺望があれば高値が付くくらいで美観にうるさいし、都市計画はまだ欧米感覚
だから、東京のように雑然とした風景にはならないと思うけど・・・。

ぼんやり遠くを眺めていたい

2015年03月26日 | 日々の風の吹くまま
ちょっと咳が出て、あまり良く眠れなかったせいか、ちょっとだら~ん。魔の3月も大詰めで、
ばたばたとまた仕事2つ。気合を入れて仕事モードになるはずだったんだけど、何か気が乗
らないなあ。たんぱく質が足りないのかな。「たんぱくしつがたりないよぉ」。ずっと昔、そん
なコマーシャルを聞いたような記憶がある。たんぱく質と言えば肉。ということで、解凍して
あった骨付きのラム(rack of lamb)をスヴラキのスパイスでマリネートしておいて、さて、仕
事しよ・・・。

ポールがオファーするための適正価格を出すけど~と電話して来たので、ささっと出して受
理してもらうのが喫緊の課題だと言っておいた。ニューウェストの物件の希望価格は95万
ドル。ところが、これは限定共有部分(つまり所有者の専用)であるはずのバルコニーの面
積を専有部分の床面積に「レクリエーションルーム」としていれた「床面積」の値段。売り手
のエージェントの手違いでそうなったのか、わざとそうしたのか知らないけど、実際の床面
積ベースで単価を掛けたら、すんごいインフレ。どうりでオファーがないわけだ。誰だって実
際に見たら、「何だか狭くない・・・?」と思っちゃうもの。

職業倫理的にちょっとグレーなわけで、このあたりが私達のエースの一枚目。所有者があ
まり早く引っ越したくないと言っているらしいのが2枚目のエース。うまく行けばいいけどな。
買えたら、この部屋にオフィスを作って、ぼんやりと遠くを眺めていたいなあ・・・。

     

ああ、早く新居に落ち着きたいなあ・・・。

芝居でちょっと息抜きして

2015年03月25日 | 日々の風の吹くまま
雨模様。シーラとヴァルが来て掃除。追加仕事を片付けて、やっと仕事ゼロ。ニューヨーク
から何も言って来てないけど、めでたく「お払い箱」かな。ま、頃合を見計らって引退の挨拶
をするつもりだったから、めんどうがなくていいや。チーム編成の声がかかっていた4月の
大仕事もたぶん来ないだろうな。ここは(私が主分野にしている)法律関係が専門で、世界
中にぐるっと事務所があるんだけど、最近は翻訳者を機械扱いしているみたいな要求が多
くて、何だか急速に「ブラック化」しているような感じま、。ワタシはご隠居さん化しつつある
ので、互いにあさっての方向か・・・。

今夜はArts Clubの『Vanya and Sonia and Masha and Spike』(ワーニャとソニアとマー
シャとスパイク))という長ったらしい名前の芝居のオープニングナイト。早めに夕食をして、
小雨の中をスタンリー劇場まで。観光用のトロリーバスが待っていて、レセプション会場の
アウディのショールームへ。ピカピカの新車がずらり。ワタシは真っ赤なスポーツカーがいい
なあ。ぶっ飛ばすならウィスラーに通じる風光明媚な99号線か。(白髪だらけだなんけど)
髪を風になびかせて、思いっきりぶっ飛ばしたら、さぞかし気持がスカッとするだろうな。(あ
あ、やっぱり相当にストレスためてる・・・。)

弁護士のリチャードが来ていたので、世間話的に基本的な質問には世間話的な説明。ポー
ルを知っていて、「評判というものがあるから、うちはしっかりしたエージェントからしか依頼
は引き受けない」。そうだろうな。カレシも納得度が上がったかな。ニューウェストミンスター
で狙っている物件があると言ったら、ちょっと「ニューウェストかあ」という表情。(カレシ曰く
「まだあまり人気がないってことだ」。)でも、過熱市場(バンクーバーの戸建て市場)から比
較的クールな市場(郊外のコンドミニアム)に移るのは賢明だけど、値上がりの期待や投資
目的よりも、自分が住みたいと思うところを探すのがハッピーエンドになるよ、と。

芝居は2013年のトニー賞で最優秀作品賞を獲得したコメディで、いたるところにチェホフ
の引用が登場する。特にすぐ衣服を脱いでパンツ1丁になりたがるスパイクがしっちゃめっ
ちゃかに愉快だったし、地元演劇界大ベテランのジェイ・ブラゾーが演じるワーニャは何とも
いえない味があった。最後は思わず涙が溢れて来てしまったけど、今夜は楽しかった。さて、
明日からまた仕事モードになるみたいで・・・。

仕事をやめたくなるとき

2015年03月24日 | 日々の風の吹くまま
あぁ~あ、くたびれた。疲れちゃった。何かわけのわからないシンクタンク(ほんとは「think
tank」だけど、「sink tank」って呼びたくなる)の仕事が終わってやれやれと思ったら、合間
にねじ込んだ小さい仕事の原稿に変更が入った。典型的に日本的にまんがチックなPR文
書なんだけど、あっちゃこっちゃに手を入れて、入れまくって、もう真っ赤。今ひとつ満足でき
ないのかもしれないけど、それだったら満足するまでひねり回して、会心作の最終稿を送っ
てくれないかなあ。急がせるだけ急がせておいて、決めかねてるなんて、何なのよ。まあ、
必死で取った大企業からの発注だろうから失敗したくないのはわかるけど・・・。

くたびれたぁ~と愚痴っていたら、今度はニューヨークの会社から夕食時(あっちは午後8時
過ぎ)に電話がかかってくるは、赤丸爆弾付きのメールが飛んでくるは。何なんだと思ったら、
訳上がり2000語くらいの法律書類を今夜中にやってくれないか、だって。軽く2000語って
言うけど、日本語原稿だと約4000文字。原稿用紙を隙間なく埋めて10枚。訴状だかなん
だか知らないけど、法律関係はややこしいんだから、徹夜でもしなければ「今夜中」にやれ
るわきゃないってば。

時間的に見て、東部では徹夜でやってくれる人が見つからないから大陸の西の果てに一縷
の望みをかけて電話して来たんだろうけど、現実感がなさすぎ。ワタシは投入口にざざっと
日本語をぶちまけると反対側から英語がじゃらじゃら出て来る機械じゃないの。ちょっとムカ
ついたので、担当のジェニファー嬢に「ご指示の時間枠では不可能です。徹夜するには年
を取りすぎています」と返事をしちゃった。いくら極楽とんぼのワタシでもくたびれたら機嫌が
斜めになって、へそのひとつやふたつ曲げるんだから。

どんなに好きな仕事であっても、天職であっても、やめたくなるときがある。きっと誰にもそう
いうときがあるんじゃないかと思うけど、最近は日本語の意図するところがわからなくなって
来た気がするし、もうさっと引退しちゃってせいせいしたい気分。早く新居を見つけて、ぼん
やりと遠くの地平線を眺めて悠々自適の隠居暮らしをしたいなあ・・・ほんとに。


めんどくさい人たちもいるもんだ

2015年03月23日 | 日々の風の吹くまま
何だかんだで仕事が遅れるばかりで、とうとう納期寸前。ワードに上書きしていると、処理済
みの英語文がいつの間にか文字化けしていたり、原稿の日本語まで文字化けしていたりで、
何度も起きるものでしまいには泣きたい気持。日本語は元原稿からコピーすればいいけど、
英語文は元の原稿と突き合せて翻訳のやり直し。前にも何度か起きたけど、何でだろうな。
まあ、きのうがんばったおかげで、今日は見直しだけになって何とか間に合ったけど、くた
びれたぁぁ~。

知り合いの弁護士に住まいの売り買いで助言してもらえることになって、カレシもやっと肩
の力を抜いたらしい。リチャードは不動産や遺産管理の法務が専門だし、Arts Clubの理事
だし、私達の遺言状作成を担当してもらうことになっているので安心感は抜群。ポールに伝
えたら、「僕の個人的な売買で3度頼んだから知ってるよ」。あは、世の中って狭いもんだ。
知っている同士なら心強さ倍増ってところで、カレシもいよいよ「心の準備」ができたらしく、
ポールに適正なオファー価格の試算を依頼。今度はこっちが相手のエージェントに対してあ
る切り札を握っているので前回よりも勝算ありかな。まあ、これでまた一歩前進。

ひと息ついてのんびりとメディア回遊。ミスユニバース日本代表にハーフが選ばれて日本で
騒がれているというニュースが世界を駆け巡っている。日本生まれの日本国籍で日本育ち
なんでしょ?だったられっきとした日本人じゃないの。日本人の血が半分だけで、後の半分
が「黒人」なのが気に入らないの?もしも半分が白人だったとしても同じようにネガティブに
反応したのかな。オリンピックではハーフの選手が日本代表として活躍したのに、それとど
う違うっての?そういえば、何年か前にミスユニバースのカナダ代表になったのは「元男性」
で、幼い頃から性同一性障害があって性転換した「美女」だった。

ワタシとしては、日本代表はスマイルに華があって素敵だと思う。ある英語メディアで、世界
のミスコンに「平均的な顔」の女性を日本代表として送るのと、非凡な美しさを持つ女性を送
るのと、どっちがいいか?と問いかけていたけど、平均的でないものを嫌う日本人としては、
日本代表は典型的な純血日本人で平均的な日本顔でなきゃダメってことか。でも、写真で
後ろに並んでいた候補たちはみんな似たりよったりで、あんまり素敵に見えないのは、ワタ
シの目が曇っているからか・・・?

もっと大きな鯛を釣り落とさないように

2015年03月21日 | 日々の風の吹くまま
きのうは雨の中をニューウェストミンスターまで車を飛ばして、道を間違えて盛大に遠回りし
て帰って来て、イーディスとデイヴィッドにディナーに呼ばれていたので、ひと息ついて今度
は西へ。イーディスは生物学の教授で、デイヴィッドはプラズマ物理学の研究で特許を持っ
ている博士夫婦だけど、つるんでいてすごく楽しい。2人の家があるポイントグレイという昔
から金持が住んでいる地区。築100年超の家は、バラード入り江とノースショア山脈を眺望
できるモダンなキッチン以外は昔のままに大修理をしたそうで、温水暖房の蛇腹式の古風
なラジエーターがあった。引越し作戦で緊張が続いていたから、楽しいおしゃべりのひととき
はすごくありがたかった。

今日は仕事に気合を入れないと納期が黒雲のごとく迫っているんだけど、きのう見た物件
がすっかり気に入ってしまったカレシが、まだ買えるかどうかわからないのに、今からプラン
ター園芸の計画に熱中して話しかけて来るからちょっとメイワク。庭仕事が終わるまで動か
ないと言い張っていたのは誰だっけ?そのおかげで「鯛」を釣り落としたようなもんなのに何
なの?ま、なにしろ2つのデッキを合わせると75平米で、ポールに言わせると内外を合計
すれば190平米の「生活空間」。うん、園芸はカレシの「生活」のうち・・・。

ワタシとしてはスーパーと銀行と電車の駅さえ徒歩圏にあればどこでもいい、家の中はいく
らでも工夫できるというスタンス。ためしに距離と所要時間を調べられるサイトで、物件の便
利度を調べてみたら、銀行まで徒歩1分。スーパーまで徒歩3分。電車の駅は2つあって、
徒歩16分か17分(帰りは上り坂)。バンクーバーのダウンタウンまで電車で26分。Whole
Foodsができるブレントウッドまでは電車で19分。酒屋のあるハイゲートヴィレッジまで車
で7分。Hマートまでは車で10分。勉強したければ、ダグラスカレッジまで徒歩13分・・・。

あら、何だか便利すぎて信じられないくらい。所有者は早くても6月中旬くらいまで動きたく
ないらしいから、私達の条件にもぴったり。(どうやらカレシはもう庭仕事はどうでもよくなっ
た感じだけど。)カレシがOKだったら、さっさと家を売りに出して、オファーを出そうよ。希望
価格が高すぎるからすぐに他の買い手は現れないだろうけど、時機ってものがあるんだか
ら、今度はもっと大きな「鯛」を釣り落としたなんてことにならないように・・・。

鯛を釣り落としたけど・・・

2015年03月20日 | 日々の風の吹くまま
春分の日。公式に「春初日」。かなりの雨で、桜がどんどん散って行く。東部の沿海州では
まだ大雪だそうで、今頃は「バンクーバーに引っ越そうよぉ」という声が聞こえているかもし
れない。水曜日と木曜日は仕事をしながらの引越し作戦でしっちゃかめっちゃか。やっとオ
ファーを出した物件には別のオファーも入ったから、さあタイヘン。相手は不動産エージェン
トということで、たぶん値上がり益を見込んで1年か2年住んで売るつもりだろうな。戸建て
市場が過熱して、コンドミニアム市場も動き出したと言うことかな。結局は、買値は私達が少
し上だったけど、相手の「条件なし」には敵わない、気に入っていたのに鼻先でさらわれてし
まった。

カレシがいちゃもんをつけまくってオファーが遅れたせいだけど、2人とも気落ちして何となく
憔悴気味。仕事の調子が上がらないのを自分のお尻を叩いてがんばっていたら、ポールか
ら、代替候補に上げておいたニューウェストミンスターの物件のアポが取れたから3時15
分に来いと電話。うじうじしていられない。さっそく雨の中を車を飛ばして行った。場所は最
初に見に行ったワンフロア独占のペントハウスがある建物から3ブロック上がったアップタ
ウン地区。市の「ダウンタウン」と位置づけられていて、モールまで徒歩2、3分という、便利
さでは逃した物件とさして変わらないし、環境的にはカレシが気に入っているところ。

築3年にならない新しい26階建ての23階で137平米。住んでいる所有者は年配の韓国
人夫婦。奥さんが体調を崩して、療養のためにしばらく韓国に帰ることになって売りに出し
たということだった。中に入ったとたんにカレシが目をつけたのが大きなデッキ。ひとつは屋
根なしで、日当りが良さそう。床面積はやや小さめだけど、かえってこじんまりしていいかな。
キッチンの脇には冷蔵庫のようなキムチメーカーが置いてあった。主寝室では家族の写真
を見ながら、奥さんが「これはロンドンに留学中の娘で、こっちがアメリカ留学中の娘で、こ
れが息子」。一男三女だそうで、うちは子供がいないから羨ましい、と何か昔から知り合って
いたような感じ・・・。

値段がけっこう高いけど、こっちはカレシが大いに気に入ったようだし、できるだけ明け渡し
時期を延ばしたいようなので、願ったり叶ったり。おい、カレシ、失敗から学んで、今度こそ
はぐずぐずしないでオファーを出さないとね!

☆思いがけず引っ越し大作戦が始まって

2015年03月18日 | 日々の風の吹くまま
3月17日。あれは1月下旬。北米東部では記録的な寒波の上に大雪に次ぐ大雪なのに、バンクーバーの冬は記録的な暖冬で、早々と桜の花芽が見えてきた。春爛漫の到来を感じていたときに、我が家の後ろの家に住むうるさい活動家タイプのミシェルがカレシに我が家の外に路駐しているトラックと車の間を詰めてくれとメールして来た。間借り人が車を止めるところがないと言っているらしい。この15年ほどの間にバンクーバーの住宅価格が呆れ返るほど高騰して、マイホームを手に入れるためにはベースメントに間借り人を入れて家賃を稼がないとローンを払うことができない。戸建て住居のベースメントの貸室が「モーゲージヘルパー」と呼ばれるのはそのためで、バンクーバー市は「家族が住宅を取得するのを支援する」ために市内全域で許可している。そこで発生するのが駐車スペースの問題・・・。

ミシェルの要求に、カレシは「オレの家の外だからどう止めようとオレの勝手」と取り合う気がない。カレシの意固地も困ったもんだけど、カレシに思うところがあったのか、ミシェルの要求通りにトラックを前に動かしておいたら、後ろに止めてあったパットの車との間にちゃっかり入り込んだ車があった。カレッジの学生かと思ったら向かい側にも2台。どうやらパットの隣の迷惑一家の悪がきの仲間らしい。そこへパットから「知らない車が止まっている。通報してくれ」と催促の電話。隣のパットは法的には角地にある我が家の南側の道路の住人じゃないので、取締りを要求できる立場にないんだけど、いつのまにかカレシのトラックの後ろを自分専用の駐車スポットにしていて、誰かが止めるとカレシに通報を以来して来るから困る。隣の迷惑一家に自分の家の前のスペースを占領されているからしょうがないところもあるんだけど・・・。

カレシが(いつもながら渋々と)駐車違反取締係に電話したら、いつのまにか「住人専用」の路駐規制が有料の許可証制に変わっていて、旧制度下の住宅地域では経過措置として午後2時以降は対応しない方針になっていた。まあ、戸建てに貸室が加われば車の数が増えて、駐車スペースの争奪戦になるのは火を見るより明らか。「あの迷惑一家がいる限りは解決しないし、パットも問題のうちなんだから、オレはもう知らん」とカレシ。そこで思わずいっそのこと引っ越そうか?と言ったのがきっかけで、急転直下のごとく「引っ越し大作戦」が始まってしまった。今の土地に引っ越して来てこの秋で33年、ぼろ家を壊して新築してから27年。周囲の環境が大きく変わって、前の道路の交通量が増えたし、住人の代替わりで若い層が代わりでお互いについて行けなくなったと感じていたのかもしれない。

じゃあ、どこへ行く?真っ先に思いついたのが隣のバーナビー市北部のブレントウッドという地区。そこは大規模な再開発計画で20階、30階の高層コンドミニアム(タワーマンション)が建ち並んでいて、Save-Onがあるし、近々Whole Foodsもできるし、ショッピングセンターと電車の駅に近い。今はバンクーバーのダウンタウンへ遠回りになるけど、来年の夏に新しい路線が開通すれば便利になる。「オフィスを作るスペースがあって、ガーデニングができる広いバルコニーがあって、地面から離れたところ」というカレシの最低条件から、「寝室3つ」を条件にして検索したら、ぞろぞろ出て来た中に「ペントハウス」が何件か。最上階のユニットのことで、床面積は広めのものが多いし、専用駐車スペース2台で、バルコニーも広い。希望価格は我が家の評価額の7~8割で、我が家を地価で売ってもたんまりお釣りが来る勘定。ワタシは「いいなぁ」と夢見心地で、カレシは広いバルコニーに「いいねぇ」。戸建てを買えば温室を持って行けると言ってみたら「戸建てはもうめんどくさい」。じゃ、ペントハウスか、でなければできるだけ高層階のユニットを探そう・・・。

ネットで検索してまず見つけたのが築10年のタワー。30階に150㎡とかなり広いペントハウスが売りに出ていた。写真を見たらモダンなオープンプラン。カレシが覗き込んで「いいねえ」。リビングに両面型のガス暖炉があって、後ろ側はファミリールーム。ここを2人のオフィスにしたらいいね。寝室3つ、バスルーム2つ。駐車スペースは3台分で、物置もある。外のバルコニー(デッキ)もかなり広い。西、北、東と眺望があるそうで、バンクーバーの夜景はきれいだろうな。ま、景色なんて美人と同じで、住み始めて3日もしたら興味がなくなるもんじゃないかと思うけど。とりあえず不動産会社にメールして、引越し作戦のキックオフしたところで1月が終わり・・・。

2月に入って紹介された不動産エージェントとのやり取りが始まった。住所を聞いて「いい立地だ」。評価額を聞いて「需要があるから、いい値で売れる」。そりゃ地下鉄駅周辺と沿線の高密度化の圧力が波及して来そうなところだから、需要はあるだろうな。ポールと会ったのは引っ越そうと言い出してから2週間ほど後。外回りを検分したようで、ゴルフ場、カレッジ、地下鉄駅、(大規模な再開発を控えた)モールに近いし、南北の道路に面していて住所に「East(東)」がついていないし、しかも人気のある角地だから、すごく条件がいい、と。いいことずくめだけど、まっことかいな。それにしても、我が家はバンクーバー市を東西に分ける道路の東側、つまり「イーストサイド」の側にあるんだけど、不動産業界ではいつのまにか「ウェストサイド」になっているらしい。昔からウェストサイドの方が格が上と言うことになっているもので、景気がいいと我が家の一帯はよく「ほぼウェストサイド」なんて謳い文句がついていた。それが今や「ほぼ」じゃなくてれっきとした「ウェストサイド」。なるほど、いくら見栄を張って「ウェストサイド」だと言っても、住所を見ればほんとは「イースト」だってことがすぐばれるから、「E.」のつかない住所は条件がいいってことか。

まずは家の中を回って見てもらった後で、私達の方から新築用宅地として売ってかまわないと言っておいた。ワタシとしては自分で設計した家に住むという十代からの夢を果たした家なので、何となく知らない人に住んでもらいたくない気持がある。ポールは持参した分厚い資料を見ながら、「家を度外視しても評価額よりもかなり高く売れる」と。なぜなら、地下鉄沿線再開発による需要が波及しているし、角地で隣家のない長辺が南向きだし、ゴルフ場が「お向かいさん」で家が並んでいないから開放的だし、テニスコートや小学校から離れているから静かだし、二階の南西の角からは緑と空(特に夕焼け)の広がりを眺められるし、裏の車庫の横と上の空間に後ろの家を覗かないような配置で50㎡前後の(賃貸用)レーンウェイハウスを建てられるし、現行の建築条例では25%広い家を建てられるから、ベースメントにも貸室を作れてローン返済の足しになるし、2月に入ってから戸建て物件の動きが活発で、売れ足が速くなっているし・・・というわけで、売る方に関しては問題はなさそうだけど、売れたら引越し先が必要なわけで、ペントハウス(最上階)、寝室3つ、広いバルコニー、駅近くという条件だと1フロアに3、4戸しかないから絶対数が少ない。ブレントウッド地区を第一希望として、バーナビー南部のエドモンズ駅周辺も視野に入れて、明日からでも手当たりしだいに見て回った方がいい。Get the ball rolling(事を始める)と言うけど、ボールが転がり始めたらどんどん転がして行かなきゃ・・・。

「13日の金曜日」。新聞を見ていたら、あら、ゴルフ場の向こう側のリハビリ施設や長期介護ホームがある保健医療局の所有地の売却が決まったというニュース。再開発が進む地下鉄沿線の土地のうち9ヘクタールを買った開発業者が3年後から28階、30階のタワーマンションを含む3000戸近い分譲ユニットの建設を始める計画で、すぐそばに新しい地下鉄駅を作る資金も分担。もしかしたら我が家の市場価値も上がるのか。隣のバーナビー市の南からさらに先の隣のニューウェストミンスター市まで範囲を広げてみたら、坂道を上がったアップタウン地区に16階ワンフロアを独占する177平方メートルのペントハウスが見つかった。最初に見に行く予定だった3件のうち2件が週末のうちに売れてしまったので、提示価格が予算の上限だし、管理費がえらく高いけど、エアコン付きなのが魅力で、見に行くことにした。

ネットで見つけた間取り図を見たら、「エレベーターのドアが開くとそこはおうちだった」という感じ。こういうのが本来のペントハウスなんだろうけど、ホテルみたいな不思議な感じ。ロビーでポールと落ち合って、売り手側のエージェントと一緒にエレベーターで「物件」へ。キーリングにつける電子キーみたいなものでピッとやると行き先の「PH2」のボタンを押せる仕組み。エレベーターが止まって、ドアが開いたら、ほんとに家の中。玄関ドアと言うものがない。眺望はほんとにすばらしい。ワンフロア独占だから、景色は360度。工事開始前のプレセールで買った夫婦が完成前に別れてしまって、まだ誰も住んだことのない新品。ただし、バルコニーが小さいし、屋根つきなのがカレシの条件に合わない。

ポールがしきりに「市場が燃えているよ」と言うのを半信半疑で聞いていたら、今週に入って東は3軒先、北はひとつ先のブロックで「売家」の看板が立ってびっくり。希望価格を聞いて仰天。評価額と比べてさらに仰天。おまけにまだ売る気のない隣のパットが不動産屋に具体的な買値を示されたと言うので唖然。どうも地下鉄沿線の再開発計画区域で買い損ねた中堅業者が周縁部で「地上げ」を始めている感じだな。あんがい我が家もほんとにポールが自信があるという希望価格で売れるんじゃないかという気がして来た。情報通のパットによると近所の独居老人2人が大病で入院したそうだから、近いうちにもう2つ「売家」の看板が出そうな予感。新聞にはバンクーバーでは売値の中央値が全市で100万ドル(約1億円)を超えたという記事があった。誰が買っているんだろうな・・・。

次に見たのが同じ建物のペントハウスと一階下のサブペントハウス。お隣のバーナビー市の南部で、幹線道路キングスウェイはうらぶれた感じだけど、新装したモールの後ろに30階前後のタワーが4棟あって、高級化への過渡期にある感じ。徒歩3分くらいで行けるモールにはスーパーも酒屋も銀行もあって、電車の駅は徒歩15分。サブペントハウスは30階にあって、所有者が戸建てを買ってすでに引っ越してしまったので、ソファや食器やグラスを並べたテーブル、寝室のベッドなどは、プロのデザイナーが設えた「セット」。空っぽでがらんとしていると買い手にアピールしないらしい。ワタシなら空っぽの方が頭の中で家具を置いてみてどんな具合になるか見られていいと思うけどな。広さは150平米で、ペントハウスよりもずっと広いから不思議。カレシは細いL字型の屋根のないデッキが気に入った様子。その上のペントハウスは120平米で、真っ先に見たキッチンが窮屈そうで、こりゃダメだ・・・。

それにしても、新居探しは都市計画とか人間の心理とか、いろいろとおもしろい発見がある。たとえば、築10年前後の建物には「4階」がない。末尾が「4」のユニットもない。昔は12階の次は14階になるビルがあちこちにあったけど、顧客層が変わった今は3階の次は5階、3号室の隣は5号室ということになる。というのも、「4があるとアジア人に売れないから」。中国系の人たちはかなり迷信深いと言われているけど、市場を動かしている中国系に売るためには「4」はタブーということらしい。(そういえば、日本にいた頃、近所にあった貸車庫に「4番」がなかったな。)気に入った物件のある建物には「4号」がないし、4階も13階もない。13階がないというのはアジア系、西洋系の両方の市場をヘッジしているということか。

立地があまり治安の良くない地区なので興味半分で見に行ったメゾネット形式のペントハウスは、家具類一式も鉢物もぜんぶ込みという希望価格。上下を合わせて162平米、ルーフデッキは83平米でさすがに圧巻。でも、ソファやダイニングセット、ベッド、ナイトスタンドは所有者が置いて行ったそうで、かなりの高級品。でも、戸棚には何足も靴が残っていたり、未使用のトイレットペーパーがあったり、何じゃ、これという感じ。売り手のエージェントに聞いたら、所有者は永住者じゃなくて、奥さんが妊娠したので急遽一家で香港に帰ったとか。急遽って、ほんとに夜逃げみたいに取るものも取りあえずという感じで、しっくりしない。何からか知らないけど、もしかしたらほんとに「逃げた」のかも。ちょっとしたミステリー・・・。

引越し作戦が始まってまだ数週間だけど、市場情勢はかなり急激に変化しているらしい。何年ぶりかで売り手市場に転じつつあるそうで、ボロ家にすごい値がついている。まあ、そこで「もっと上がるんじゃないか」と欲の皮を突っ張らせたりすると潮時を見誤りかねないけど、沖のかもめは教えてくれない。ハイゲート地区の物件が一番気に入ったので、売り手が受け入れるかどうかわからないけどオファーを出すことにして、いよいよ我が家を売り出す相談にかかる。新聞もテレビもバンクーバーは「4年ぶりの売り手市場」と騒いでいる。ポールが提案する価格を見て「その値段でほんとに売れるのか」と相変わらず懐疑的なカレシ。公定評価額の4割増の数字だから無理もないか。ポールに言わせると立地条件が良すぎるくらいだから提示価格より高値のオファーがあっても驚かないって・・・?

そうこうするうちに、裏のブロックで売りに出ていた家が売れたと言うニュース。一丁先の築15年の家はすごい値段だったのに1週間足らずで売れたし、このぼろ家も「売家」の看板を立てて3週間であっさり希望価格以上で売れたということで、いくら戸建てでも、築60年のボロ家を億で買う人はいないと思うから、買い主はたぶん建売業者だろうな。前世紀の日本のバブルのような様相だけど、膨らみ過ぎと言われながら一向に弾ける気配がなくて、逆に加熱しているのは海外から投資家や移民が入って来るから。まあ、どっさり抱えて来たお金はまずどこかにpark(一時駐車)する必要があるわけで、そこで一番安全なのは銀行や株じゃなくて不動産。で、大金持は商業ビルを買い、小金持は高級住宅地の豪邸を買い、プチ小金持はちょっといい地区の新築戸建てを買い、庶民はコンドミニアムを買う、というところ。特に中国人は新築好きなんだそうで、ちょっと古いけど手入れの行き届いた「素敵なおうち」には興味がないらしい。

そして3月も半ば。引っ越し大作戦のボールが転がり始めて2ヵ月弱。まだ2ヵ月しか経っていないというべきか、もうあっという間に2ヵ月経ったと言うべきか、今現在、我が家はまだ売りに出ていないし、転居先も決まっていないけど、ワタシとしては自分でできるだけの宿題をやり尽くしたと思うから、後は最善の結果になるのを祈り、そうならなかったときの対応を考えておくしかない。学歴も人脈も何もないワタシが生まれた文化や言語は違う社会で40年生きて来て、25年間おひとり様ビジネスで培って来た(はずの)「状況を客観的、総合的に見る目」と「妥当なリスクを恐れない自信」がどこまで役に立つのか、ちょっとばかり(かって意図的にやり過ごした)大学入試の結果を待つような気分でもあるかな。


ケルト人のはぐれ遺伝子があるかも

2015年03月17日 | 日々の風の吹くまま
セントパトリックスデイ。聖パトリックはアイルランドの守護聖人だけど、今日は肌や目の色、
宗教に関係なく1日だけ誰でもアイリッシュになって、ギネスで乾杯。もう何年も前だけど、イ
ギリスに行ったときにパブで「きりっと冷えた」ギネスを売っていたのでびっくりしたな。ギネ
スのようなスタウトは(エールもそうだけど)冷やしすぎると味がなくなってしまう(とワタシは
思う)んだけどな。霜が付きそうなくらい冷えたギネスなんかよせよぉ~と言いたいけど、舌
の好みは人それぞれだし、冷たい清涼飲料で育った世代には冷えているのがあたりまえな
のかもしれないな。

アイルランドには2度行った。ワタシが生まれ育った北海道に漠然と通じる雰囲気を感じて、
アイルランドは大好きなところ。アイルランド人には苦難の歴史に耐えて培って来た粘り強
さがある。それは原野開拓の厳しい労働の中で道産子が培ってきた粘り強さと共通すると
ころがあるし、だからアイルランドはまるで故郷に帰ったような気持になったんだと思う。特
に南西部ケリー州にあるディングル半島の霧に包まれた海岸線は道東、道北の霧深い風
景に良く似ていて、荒涼とした能取岬の断崖の際の光景がそっくりで、ああディングル半島
だ!と懐かしくなったくらいの親和感がある。

そのディングル半島でいちばん感動したのがガララス礼拝堂。日本では飛鳥時代から奈良
時代。石を積んだかまぼこ型の小さな礼拝堂の中に入ると、正面に一条の光が差す窓穴
があって、外には風化したケルト十字架。風の音、鳥のさえずり、耳を澄ますと遠くの絶壁
に打ち寄せる大西洋の荒波の音。自然の音だけの世界は息をするのが憚られるくらいだっ
たな。あそこに立ったら、キリスト教徒でなくても敬虔な気持になるんじゃないかと思う。もし
かしたら、ワタシにはかってケルト人が中央アジアからヨーロッパへ移動し始めたときに逆
の方向(東)に行った天の邪鬼なケルト人の「はぐれ遺伝子」のかけらが混じっているのか
もしれない。

引っ越し大作戦がすっかり終わって新しい生活が落ち着いたら、真っ先にニューヨークに遊
びに行く話をしていたけど、そのまま大西洋をひとっ飛びしてアイルランドにも行きたいね。
ガララス礼拝堂に行って、空と大地の間にひとり立ち尽くしているような、畏敬の念とでも言
うのか、あの魂を洗われるような雰囲気にまた浸りたいなあ。ま、今日は誰でも1日アイリッ
シュ。セントパトリックスデイにスロンチャ!

いよいよオファーを出したけど

2015年03月16日 | 日々の風の吹くまま
今日も睡眠時間が半分なのにキツツキとごみ収集トラックに目を覚まされて、何とか眠りに
戻ろうとしたけど、今度はパットの車の音でまた目が覚めて、後はうとうとしたまま起床の時
間。今日はポールが買いオファーの書類を持って来るので、午後はできるだけリラックス。
でも、外はけっこうひっきりなしに車の音。斜め後ろの家の未亡人が亡くなって、子供や孫
たちが集まっているんだった。古い家だからたぶん遺産分割のために売りに出されるだろう
な。これで私達がこの近所で一番の古参の住人になってしまった。33年。やっぱり代替わ
りの時期ということか。

アポの3時を少し過ぎてポールが現れた。このところ仕事で1日15時間駆け回る忙しさだ
そうな。さっそくきのう送ってもらって目を通しておいた書類のおさらい。ひとつだけカレシが
気にしていた個条をあっさり消して、次は提示する値段を考える。不動産売買が一番活発
なのは中国系なので、8がずらりと並ぶことが多く、対象物件の売り主も中国人なので「8」
がいっぱい。カレシが「88セントにしないの?」と茶々を入れる。あっちに記名して署名して、
こっちに記名して署名して、いったい何ページあるんだか。回答期限は24時間以内で、つ
まり明日の夜。ポールは受理される確率はきわめて高いと自信ありげだけど・・・。

終わる頃にシーラが大きなKFCのバケットを抱えて、残りのジグソーパズルを取りに来た。
一緒に持って来てくれたサラダとワインで3人で夕食。精神的に高ぶって夕食のことはすっ
かり忘れていたから大助かり。持つべきものは友だちだね。KFCのチキンは20何年ぶりだ
ろう。ピクニックみたいにおしゃべりしながら、ほんっとに久しぶりですごくおいしかった!車
のトランクにも後部座席にもジグソーパズルをぎっしり積んで、ワタシの「断捨離」第一弾が
完了。シーラがいてわいわいやったおかげで2人とも気分が落ち着いて、後は朗報を待つ
だけ・・・。

次はこの家を正式に売りに出す番だけど、ポールは1週間で売れてもおかしくないと、また
また自信ありげ。カレシはまだ懐疑的だけど、ポールは不動産を売るのが商売なんだから
と、ワタシはふたを開けてのお楽しみの態度。でも買いオファーの条件が「4月30日までに
家を売却」だから、いったん受理されたらそれまでに売らないと元の木阿弥。そうならない
ようにポールにがんばってもらわなくちゃ。スラムダンクで行こう!

男の更年期というもの

2015年03月15日 | 日々の風の吹くまま
3月15日はIdes of March。ローマの独裁者になったシーザーは占い師に「3月15日に気
をつけよ」と言われたのに、聞かなかったから暗殺された。まあ、何しろ泣く子も黙るローマ
の独裁者なんだから、そんな占いにびくついてられるか!という心理だったのかも。今も独
裁者じゃなくてもワンマン何とかにそういうのが多い。イギリスでは傲慢は人格障害の一種
として研究している学会まであるとか。周りが見えない、人の意見を聞かない・・・木を見て
森を見ないどころか「木」そのものになって、「オレは巨木だから倒れっこない」。はて、長い
間不動だった巨木はけっこう中が空洞化していたりするけどな。

夕食の支度をしていたら、テレビでチュー・ワンティン(曲婉婷)というシンガーソングライター
のドキュメンタリーか何かをやっていた。ハルビン生まれでカナダ(バンクーバー)在住。歌手
としてアジアでは人気だそうだけど、北米では無名。バンクーバーでも若い中国系以外には
まったく無名だったのが、歌手としてではなくて月光市長の「恋人」として一躍有名になった。
去年だったか奥さんと別居していたことが公になり、「不倫の噂があった」と言った市議会の
反対会派を名誉毀損で訴えたのに、選挙が終わったとたんに市長は若い歌姫とツーショッ
トで大はしゃぎ。ま、50歳なら、男の更年期なのかなあ・・・。

市長選では中国系の票集めや寄付集めに奔走したと言う話で、番組でもなかなか強かな
女性という印象。月光市長どん、ちょっと頭を冷やした方がいいよ。男の更年期ってのは、
カレシに言わせると熱病ウィルスみたいなものだそうで、悪質なのに罹ると高熱に浮かされ
て重態になるとか。自分が自分でなくて、周りは見えないし、人の意見はよけいなお世話。
やっと熱が引いて正気に戻ってみたら、人生が取り返しの付かない事態になる寸前で、今
度はパニックという合併症。まあ、たしかにそんな風に見えなくもなかったな。統合失調症に
なったかと疑ったくらいだもの。(引越し関わる徹底した対話の後で「あの頃」を普通に語り
合えるようになったのは想定外のご利益・・・。)

テレビをちら見したカレシ、「何かきな臭いな。あいつが市長になったせいでバンクーバーは
薄っぺらな都会になったよな。土地っ子のオレがもういいよって思うくらいに」。そう、何かと
漠然と住み難さを感じるようになったよね。ま、それも引っ越したい病の原因のひとつなん
だけど・・・。