リタイア暮らしは風の吹くまま

古希を迎えて働く奥さんからリタイア。人生の新ステージで
目指すは悠々自適で遊びたくさんの極楽とんぼ的シニア暮らし

2008年7月~その2

2008年07月31日 | 昔語り(2006~2013)
いいから早く光を!

7月16日。水曜日。ほんとにいい天気が続く。ダウンタウンの大停電も、どうやらほぼ完全復旧に近づきつつあるようで、臨時休業をやむなくされたビジネスから損害賠償の声が上がり出した。わかるなあ。レストランなどは2日も、3日も売上がなかっただけじゃなくて、冷蔵庫やフリーザーに在庫してあった食材が使いものにならなくなるという損害も出ている。小さな店だったら死活問題になりそう。Hマートだって、大きな冷凍食品のセクションがあって、他にも肉や魚のフリーザーもあるから、それが全部だめになって廃棄処分ということになれば、損害はすごい額になるだろうなあ。まあ、郊外にある別の店に避難させたかもしれないけど。

2日目のきのうは、午後になって電話設備の予備電源が切れるところが続出して、電話会社が充電したバッテリを届けて回ったという。バンクーバーの観光案内所は天気がいいことだしということか、歩道にテーブルを出して仕事。コンピュータが使えない、案内書やパンフレットをめくりながらのサービスだったらしい。現場に近い大きな教会では、ステンドグラスを通して燦々と差し込む太陽の光の中で昼のミサ。集まった信者にはすごく感動的だったとか。ろうそくの明かりを頼りに店を開けたブティックやコンビニもレジが使えないからキャッシュオンリー。パンパシッフィクホテルでは別のホテルに移動しないで残った宿泊客に懐中電灯や誘導灯を配ったという。宿泊料は半額にしたとか。

ある大手不動産会社の商業リースの担当者は奥さんのEメールのアカウントを借りて自宅から顧客と連絡を取ったというし、ある投資会社はラップトップや書類を抱えたトレーダーたちがそっくり影響のないホテルに移動して営業を続行したという。また、別の証券会社は在宅勤務社員のリモートアクセス権を自宅待機のトレーダーに回したり、社長の自宅に社員を送り込んで株の売買を続けたというからすごい。超高級住宅地にある社長の自宅にそれだけの設備があるというのが驚きだけど、会社の「緊急時対策計画」で決められていた通りの処置だったというから感心する。だって、電力会社は火災の発生現場に近い本社ビルが停電したままで、2日目になってもまだまっくら。「優先順位が低いので後回し」なんてのんきなことをいっていたけど、緊急用の発電機のひとつも設置してなかったんかいな・・・やれやれ。

悲喜こもごもの大停電。木曜の朝までにほぼ全面的に復旧の予定というから、週末にはすべて平常に戻れるってことらしい。ワタシの方はネットの接続がダウンしたと言っても、たまたま風太郎をやっていたときだったから別に困らなかったけど、これがオリンピックの最中だったらえらいこっちゃではすまなかっただろうなあ。また、停電が起きたのが週末明けの月曜日だったからビジネスの損害は少なくて済んだと言う人もいるけど、被害を被ったほうにしてみれば、少なかろうがなんであろうが損害は損害。ちなみに、ダウンタウンにはコンドミニアムが林立しているので、大停電の9ヵ月後によくある「出生率増加現象」を予想する人もいるらしいけど、そりゃよけいなお世話じゃないかなあ・・・

BCハイドロさんや、すでに電気料金の値上げが承認されているんだから、さっさとグレードアップに取り組んでちょうだいよね。だって、バンクーバーは世界中の人たちが住みたがっているといわれる「地上の楽園」なんだからさっ。

のんべんだらり、是好

7月17日。木曜日。今日も引き続き晴天で、引き続き風太郎。(和英辞書では漢字で「風太郎」と書いて、見出しは「ぷうたろう」になっていたけど、最近語では「プータロー」とカタカナ化して書くらしい。まあ、どうでもいいけど。)のんべんだらりのこの暮らし、いつから始まったっけ。たしか先週だったから、もう1週間かなあ。だんだんに慣れて来ると、このまま引退しちゃうのも悪くないなあ、なんて心の底でむずむずし始める。人間て、楽に暮らせるんだったら、もちろんそっちの方がいいに決まってるもんなあ。

会話教室に出かけたカレシとモールで落ち合うべく、頃合いを見計らって出かける。なんだか急に「売家」の看板が増えたような気がする。こういう光景が登場すると住宅ブームも下火なんだとわかる。まだ上がると期待して待っていた人たちが、値下がり必至というニュースにあわてて売りに出すわけで、結果として供給過剰になって、自作自演の予言みたいに家の値段はど~んと下がる。辛抱強く待っていた買い手の出番だ。私たちが今の住処を買った1982年の夏もそんな「潮目」だった。その前2、3年ほどは家の値段がどんどん上がっていた。今のうちに買わなければという心理状態になった人たちが列を作っていたという。インフレは二けたになり、賃上げも二けたになり、インフレ退治で金利も二けた。銀行の普通預金に14%も利子がついた、なんかすごい時代だったなあ。

早めに出たので時間があるからと、下着を買うことを思い立って、めったに行かないデパートの二階へ上がったら、ちょうど靴の半額セール。しかもワタシのサイズがずらっと並んでいる。これは見過ごすわけに行かないと、あれこれ物色しているうちにワインレッドのスエードのハイヒールを見つけてしまった。赤い靴が欲しかったんだ!あんまりうれしかったもので、ついでに同じデザインのサンダルを白と黒の2足、買ってしまった。大きな袋を受け取って、さて、肝心の下着を~と思ったところで、カレシから電話。あわててクリニークの売り場へ行って、そもそもお目当ての化粧品を買って、落ち合う先のスーパーへ直行。下着は買い損ねたけど、前から欲しかった赤い靴が買えたから、いいや。

のんびりとニュースを見ていたら、野茂が引退するという記事。そうか、もう40才が目前。引退の潮目なんだろうなあ。トルネード投法はすごくセンセーショナルだった。野茂がいたからこそ、今やメジャーは日本人選手がずらり。脂の乗った選手がみんなメジャーに来て、落ち目のメジャー選手が日本へ行っているような感じさえする。イチローはもはや「日本人選手」というよりは、メジャーリーグベースボールの大スターで野球殿堂入りは確実。ヒデオ・ノモも殿堂入りするといいなあ。ノモさん、おつかれさま。

最近新しくできた「Japan News Junkie」と言うサイト。英字新聞の日本関連記事のリンク集のようなもので、アホくさい「オトモダチ募集」欄がないのがいい。その中で目に付いたのが「ネイルポリッシュが電車を止めた」という記事。シンナーのような異臭がすると言って何十人もが電車を降りてしまったんだそうで、結局は全員を降ろして電車の運行は取りやめ。異臭の発生源は不明だけど、マニキュアをしていた女性が目撃されていたそうな。揺れる電車の中でマニキュアって、すごい。それにしても、たかがネイルポリッシュごときで電車の乗客がみんな降りてしまうとは、やっぱり今どき日本人の鼻は嗅覚が超鋭敏という証拠。で、「異臭がする!」とパニックになって電車を降りてしまったのなら、繊細な神経も超過敏ってことかなあ。日本は「超過敏症の時代」ということかもしれないなあ。

言の葉の裏側は

7月18日。今日は薄雲が出て、少し涼しい。夏、一服というところかな。もっとも、東京やトロントの人が聞いたら、「え、これで夏のつもり?」と呆れられそう。でも、20度を超えたらほんとに陽射しが暑いんだけどなあ。プータロー暮らしは1週間でおしまい。日本は三連休なんだそうで、向こうの金曜日の終わりに週明け期限の仕事を置いていかれてしまった。ここらあたりが在宅稼業の辛いところ。でも、仕事が途切れたところで「カチッ」と休みモードにスイッチが入らないのと同じで、仕事が入って来たから「はい、カチン」と仕事モードに切り替わるわけじゃない。ま、週末にやっつければ上々と、いつものようにたかをくくって、ファイルの段取りをしたり、パズルをしたり、小町をのぞいてみたりと、休みと仕事の間のグレーエリアをうろうろする1日。これも楽しからずやなんだけど、いいのかなあ。

小町では「この表現が苦手」というおもしろいトピックが盛り上がっている。この場合の「苦手」は意味がわからない表現じゃなくて、要するに「不愉快だ」とか「嫌いだ」ということ。そうならそうとはっきり言えばいいものをと思うけど、これも今どき表現らしい。(う~ん、ワタシとしてはこの手の「苦手」が苦手かなあ。)流行語が使われすぎてうんざりするのは洋の東西を問わずのことなんだけど、いろいろあるんだなあ。おかげでワタシの日本語ボキャブラリがわっと増えたけど、ふむ、あんまり役に立ちそうもないなあ。こんなボキャがあたりまえみたいに翻訳原稿に登場するなんてこと、ありませんように。

まずは、あっと驚く新ボキャの数々: ベビ(思わず「へび」と読んでしまったけど)、ガン見(意味不明)、おねだリング(男はつらいなあ、きっと)、アラフォーにアラサー(じゃあ、このワタシはアラシ?)、授かり婚(できちゃった婚とどう違う?)、ヘビロテ(Huh?)、めちゃモテ姫系ワンピ(そんなの着て街を歩けるのかなあ)、愛され服(えっと、新宿駅で見たフリルいっぱいの幼稚園ファッションのこと?)、され妻(愛が抜け落ちるとこうなる・・・)、婚外恋愛に恋愛体質(男がいないとダメだってことでしょ?)、真逆(読めない、わかんない)、妊娠菌(ぞぞっ~)、隠れ家的(ちらかっていて友だちを呼べない状態のこと?)。

わははとひっくり返るケッサク語の数々: おつり様(インフレで格上げ?)、妊娠発覚(ふむ、ナイショでやってたのにばれちゃった?黙っていても早晩ばれるけどなあ)、号泣(大山鳴動して、なみだ一滴?)、わんこににゃんこにやたらに「この子」(で、実の子供は姫と王子に底上げ?)、ダー(知らぬはダーリンばかりなり・・・か)、旧帝大卒(格差社会を作るって、大変なことなんだなあ)、ボリューミー(おいおい、変なエイゴを発明しちゃって)、おねだり(いや、ほんっとに男はつらそう)、自分磨き(すり減って地金が出ないといいけど)、「なんとか王子」(いつの世も白馬の王子様を夢見る乙女の願望はひたむきだ)。

 なんとなく苦手な理由に同感してしまう苦手表現の数々: ドン引き(「心理的なつな引きのことを言う」狭辞苑より)、「なかったことにする」(ずるい逃げ言葉)、「~じゃないですかぁ」(はあ?)、「欧米では/アメリカでは」(たしかに、ごく限られた経験や記憶だけで言っていることが多いとは思うけど、なにしろ「海外在住」とセットになって垂涎のアイテムと思われているらしいからなあ)、「情報を世界へ発信していきたい」(バカのひとつ覚えっていうよなあ)、「あたし」(おつむが空っぽなことをひけらかすこともないだろうけど)、「日本人離れした○○」(これ、もろにマゾっぽい。日本人が日本人離れするわけないって日本人がいっつもいってるじゃん!)、「○○ですけど何か?」はけんかの売り言葉にしか聞こえないし、「いかがなものか」はワタシもぞっとする。これも上から目線てやつなんだろうけど、どうしてすなおに「聞きたくねぇ、うるせぇ、黙れ」といえないのかなあ。

今どきの女性たちの似非ていねい語や、何にでも「お」をつけてみせる傾向は、「バブル時代の栄光よ、今一度」といった、成金ハイソサエティ回帰志向が感じられて、なんだか涙ぐましいなあと思ってしまう。言葉を生業にしているもので、何語であれ、その裏にある心理や思想が好奇心マンマンのワタシにはたまらない魅力。だけど、こんなところで突っ込んでるひまがあったら、仕事せなあかんで、おい・・・

花丸をめざそう

7月19日。土曜の朝なのに何気なく郵便受けを開けてみたら、雑誌1冊と封書2通、それに歩道脇の芝生を刈りに来てくれるガーデナーの請求書。金曜日は郵便がないことが多いからチェックを忘れてしまったらしい。昔は「mail man‘」と呼んでいた郵便配達さんだけど、今は男も女もいるからごく中性に「letter carrier」。だけど、運んでくるのは雑誌とカタログとチラシみたいなジャンクメールばかりで、レターは、もっぱら請求書。それも最近はグリーン化でEメールで来るところが多くなって来たから、ひょっとしたら、「郵便屋さん」は絶滅危惧種になってしまうのかなあ。

封書のひとつはService Canadaから。連邦政府各省庁の窓口業務を一本化した機関で、いうなれば「窓口業務庁」ってところ。(連邦政府に「なんとかCanada」という、あまり英語っぽく聞こえない省庁が多いのは、フランス語とちゃんぽんになった未来のカナダ語のプロトタイプみたいでもある。)この窓口機関は全国各地にオフィスがあって、年金や失業保険の手続きを始め、国民の生活や雇用に関することは何でもござれでやってくれるらしい。カレシの年金受給手続きの申請用紙だって、こっちから頼まないうちにさっさと送って来たから、お役所としてはなかなか感心なところ。今日のは「高齢者所得補助金」の申請手続き完了のお知らせ。添付して送った結婚証明書もいっしょに返送されてきた。「拝見いたしました」ってことらしい。もっとも、27ドル払って取り寄せたものだから、返してもらってあたりまえ。証明書を出せといわれるたびに27ドル払って時間をかけて取り寄せるわけにいかないでしょうが。

もうひとつの封書は州の保健省からのもの。カレシに新しい医療保険カードを送って来たんだけど、なんとゴールドのカード。クレジットカードだったら金持ちが持っているクラスじゃないの。65才になって、「ゴールドメンバー」の仲間入りしたってことらしい。よく見たら小さな文字で「for senior(高齢者用)」と書いてあったけど、ゴールドカードになってどんな特典がつくのかなあ。まあ、この国の政府は上も下もけっこう年寄りをよいしょしてくれるなあ。ふむ、ワタシはあと5年待ちぼうけかあ。でも、共同名義のものは、銀行の口座も固定資産税も州の自動車保険も、カレシのシニアの特典にワタシが便乗しているから、ひと足先に優待してもらっているわけなんだけど、スーパーでは毎週火曜日がSenior’s Dayで割引になったりするから、なんだか早く65才になってみたいような気もするなあ。

結婚証明書は後生大事に金庫に戻した。でも、「Name of Bride」欄の名前が「改名した新しい名前+ミドルネームになった元の名前+日本の旧姓」になっているもので、いつ見ても我ながら奇妙な感じがする。なんだかカレシが結婚した「ワタシ」じゃないようでもあるけど、よく考えてみれば、カレシが嫁さんにした(と思った)のは「仮想的日本女性」であって、ワタシという人間ではなかったのかという感じもまだ消えていない。まあ、名前を変えてから6年経って、カレシの口からもすらすらと出てくるようになったことだし、今の証明書に載っているワタシがカレシの「伴侶」ってことで正解なんだと思えば正解なんだろう。人間は一生変わることがないのなら、これが本来のワタシなんだし、人間は変われるということなら、これが自分で変えたワタシなんだから、どっちにしても、今は人生の「最良の時」を生きているということなんだ。もしも死亡証明書に「備考欄」があったら、そこにでっかい三重花丸を残したい・・・

おいおい、つらつら変なことを考えていないで、仕事、仕事!

姿見をひっくり返せば

7月20日。日本関連英語記事サイトのリンクをクリックして、「世論What Japan Thinks」というおもしろいブログサイトを見つけて、そこから、2週間くらい前に書いた「日本や日本人の最高に良いところは何だと思うか」の元ネタにたどり着いたら、何とgooのランキング。灯台下暗しってこのことだ。元のタイトルは「日本/日本人はココがイケてると思うことランキング」。なるほど、「日本/日本人がイケてるところ」かあ。「最高にいいところ」とは何となくニュアンスが違うなあ。「いいところ」というと「美しい日本」とか「折り目正しい日本人」のイメージにつながりそうだけど、「イケてるところ」といわれると、なんか「イケてない」という反対語の拒絶性につながってしまうんだけど。

そこは言語商売のワタシで、元ネタを見たからには、ランキングの日本語と英語を経た(ワタシ訳)日本語と比べて見る。その結果、ニュアンスが少し違うと思ったのは「四季を感じる(季節感)」、「まじめ(勤勉)」、「最先端技術を生み出せる(最新技術の創造)」、「義理堅い(義務感の強さ)」、「気配り(思いやり)」、「もったいない精神がある(ムダに敏感)」、「控えめ(保守性)」、「おしとやか(女らしさ)」。言語解釈の微妙な難しさを感じるところだなあ。英語は同じでも、義理堅さと義務感、気配りと思いやりでは性質が違うし、控えめと保守性も同意語ではない。「ムダに敏感」は駄訳中の駄訳だけど、もったいない精神という言葉があるのを知らなかったから。「もったいない」はわかるけど、「精神」をつけてしまうとなんだか身構えてしまって聞こえるなあ。おしとやか(女らしさ)にはつい笑ってしまったけど、ランキング全体が自己申告なんだから、どっちでもいいか。

このgooランキング、「世の中のトレンドはここでつかむ!」というキャッチに釣られてあれこれのぞいてみたら、これがまたランク付けが好きな日本人らしく、ジャンル別になんでもござれ。おかげで、おもしろがっているうちについ午後いっぱい仕事をサボってしまった。(野次馬とんぼだよなあ・・・。)特に興味を引いたのは、「日本にいる外国人が行うとびっくりする行動」のランキング。電話の相手におじぎをするとか、片手チョップで人ごみを通り抜けるとか、納豆を食べるとか、日本語を流暢にしゃべるとか、箸を上手に使うとか・・・実は、外人サイトでよく盛り上がる「~するとき、日本に長居しすぎたと思う」という、日本に住み着いていつのまにか日本の風習や動作を身につけた外国人たちの自嘲スレッドとそっくり。ガイジンたちは日本の風習に染まったと思っていても、ニッポン人から見ると「へえ、ガイジンなのに」ということになる、そのギャップの大きさが愉快でもあり、ちょっと悲哀でもある。

数年も日本で暮らせば、特に日本人の配偶者がいれば、誰だってそのくらいの「ニッポン人」レベルに達すると思うんだけど、日本人が「びっくり」するのは、外国人にはできっこないという先入観があるからだろうなあ。(「我々日本人」・・・。)これをひっくり返して、「外国にいる日本人がやるとムカつく行動」のランキングをやったらおもしろいだろうなあ。小町によく出てくる「日本人の心を忘れた日本人」に対する批判が並ぶことはうけあい。外国人が日本化?できるんだから、長年外国で暮らしている日本人だって知らないうちにその土地の言葉やボディランゲージを身につけるだろうと思うんだけど、その日本人の外国化?に「ムカつき」を覚えるらしいのは、「日本人は死ぬまで日本人で変わるはずはない」という、強烈な先入観があるからだろうなあ。日本の美の底流にある無常観とはもろに矛盾するけど、そこが人間の心理のおもしろいところ。まあ、いちどそういうランキングを見てみたい気もするけど、とりあえずニッポン万華鏡みたいなこの何でもランキングのサイトをお気に入りに入れておこうっと。

角出せ、槍出せ、山の神

7月21日。今日もまたいいお天気。ポーチの温度計の気温は正午で21度。今日で雨ゼロが連続16日だそうな。これがバンクーバーの夏なんだから驚くことでもないけど、カレシはけっこう早めに起き出して庭の水遣りに忙しい。雨なし連続43日とかいう夏があったのはいつだったかなあ。まちがいなくそんな年があったはずなんだけど。日本も梅雨明け、三連休明けということで、仕事の一部を送って残るところあとひとつ。このまま遊びモード再開になるかなあ。ワタシだって夏休みが欲しいもんなあ・・・

掃除をしている間オフィスを追い出されて、何気なく窓の外を見ていたら、カレシが池のゴミをすくうネットを振り回している。何をやっているのかと思ったら、ありゃ、モンシロチョウを追い回している。でも虫取り網とは勝手が違うから、いくら追い回してもモンシロチョウはあっちへひらひら、こっちへひらひら。まあ、モンシロチョウはCabbage mothといって、こっちでは野菜類に卵を産み付ける害虫扱いだからなあ。キャベツやブロッコリを植えているわけじゃないけど、レタスの類に卵を産み付けられるのは困る。カレシの周りをうろちょろ飛んでいるスズメバチはモンシロチョウを食べないのかなあ。

去年から次々と打ち上げられて話題になったスニーカーを履いた足。これまで右足が4本、左足が1本。そのうちの右足1本の身元がDNAの分析で判明したそうな。バンクーバー周辺の人で1年ほど前から行方不明になっていたという。事件に巻き込まれた形跡はないらしいけど、うつ病だったという噂もある。残る4本のうち、3番目に見つかった右足と1本だけ見つかった左足は同一人物(男性)のもので、一番最後に見つかった右足は女性のものであることがわかったという。科学ってすごいもんだなあ。

小町に「相方と呼ぶのに反対」というトピックがある。だいぶ前から立っていたけど、「相方」が何なのかわからなかったもので、興味がわかないままになっていた。なんと自分の「配偶者」のことをいうらしい。こっちでたまに聞かれる「パートナー」から派生したのかもしれないけど、思わずカレシの方を見て、「相方なんて、口が裂けたってイヤだなあ」と思った。「だんな」というのだって憚られる気持がするのに、「相方」なんて気色がワルイ。だって、「相方」も「旦那」も、ずっと昔に遊郭で使っていた言葉でしょうが。「相方」というのはその夜の相手をする遊女/花魁のことで、「旦那」を妾が自分を囲っているパトロンのことを言ったんじゃなかったっけ?まあ、戦後「遊郭」というものがなくなっただけで、今の時代もそういう関係はちっとも変わっていないんだろうけど、だったらなおさらのこと、口にしたくないなあ・・・

だけど、それじゃ「主人」に代わる適当な語はないのかと言われると、悲しいかな日本語は上下関係が一目瞭然な言語だからなあ。英語ならワタシはカレシのことを「my husband」と言うし、カレシはワタシのことを「my wife」と言い、相手の夫氏のことなら「your husband」で済んでしまうから簡単でいい。男嫌いじゃないないかと思うようなフェミニストが暴れていた頃に、wifeもhusbandもその語源に男尊女卑の思想があるからけしからんということで、「my partner」と言う人が出てきたと思うけど、やっぱりなんかしっくりしない感じがした(今はやりの「違和感を感じる」ってやつ)。でも、今は同性婚カップルが使う以外は、一部の事実婚カップルがいいかっこしいみたいに使っている程度かな。「夫」と「ご夫君」でいいんじゃないのかなあ。

英語はストレートでいいとしても、日本語ではカレシのことを何て呼んでるかなあ。フォーマルには「夫」、少しくだけたときは「連れ合い」、うんとくだけたときは「カレシ」。家族や友だちには「名前」。まあ、カレシが話題に上るような日本語の会話なんてめったにないから、もっけの幸いで悩まずにすんでいるのかもしれない。カレシが日本人だったら、ワタシのことを何て呼ぶんだろうなあ。「家内」かなあ?(まあ、年中家にこもって仕事してるから当たってないこともないけど。)それとも、「女房」?「細君」?(それじゃ太るに太れないじゃん。妻君ならいいけど。)それとも「うちのかみさん」?あんがい、「うちの山の神」なんて言ってたりして。ふ~ん、角、出さずにしまってあるけど、出すぞ・・・

くれぐれも気をつけたほうが

7月22日。けさは目が覚めてみたら、うっ、なんだか寒い!寝るときに6時間後にエアコンがオンになるようにセットしておくんだけど、サーモスタットの温度計は約24度。エアコンの設定温度以下で、もう少し下がったら暖房が入ってしまう。冗談じゃない、とばかりにあわててオフ。7月も下旬に入ったんじゃなかったかなあ。そういえば、今年はまだ夜通しエアコンをかけたことがない。やっぱり冷夏なのかなあ。まあ、週末にはまた暑くなるらしいから、まだ夏は滞在中らしいけど、今日はかなり風がある。

日本でまた無差別殺人があったそうな。犯人は「むしゃくしゃしていた」んだそうな。あ~むしゃくしゃする。誰でもいいから殺してやれ。そんな理由で命を奪われる方はたまったもんじゃない。たしかに、おちおち街を歩けないような感じがするけど、こういう犯罪の被害者になるのを未然に防ぐ手立てはないと思う。たとえば、一定の人種や一定のタイプの人間を見たら反射的に警戒するという「ステレオタイプ」が通用しない。だって、みんな同じ日本人。同じ言葉をしゃべり、同じ文化を共有しているはずの日本人。毎日、路上で、駅で、電車で、店ですれ違う、自分と同じような顔で、同じような服装をした何百万もの日本人。これじゃ一億総不安神経症になってしまうのもわかるような気がする。

だ~いぶ昔に聞いた名前がまたぞろ登場した。ボイエ・デ・メンテという、第二次大戦後すぐにアメリカのCIAの諜報部員として日本へ行って、その後は日本通を売り物にした本をやたらと書いて一世を風靡?した御仁。今ごろは少なくとも80才にはなっていて、アメリカのどこかに引退して、聞かれもしないのに「日本の女はよかったねえ」とうんちく?を傾けているのかと思っていたら、「外国人男が日本大好きな理由(それは女だよ)」とかいう、長ったらしい「昔話」で再浮上して来たからびっくりするやら、ムカつくやら、あきれるやら。

とどのつまりは、戦後の日本経済発展の原動力になったのは外国人と「交わった」(水商売の)日本人女性だったという話。日本女性はチャーミングで小柄でやさしくて男を喜ばせるのがうまくて、「世界一女らしい女性」だと持ち上げているけど、どうやらその筋の女性しかご存じないらしい。まあ、終戦後の「進駐軍」に所属していたわけだから、水商売の女性としか交流がなかったんじゃないかなあ。それで、「日本女性は・・・」か。日本女性を侮辱したと毎日の「WaiWai」を潰したにいちゃんねらに聞かれたどうするんだろうなあ。あぶない、あぶない。

ちなみにこの御仁、日本では英語関係、アメリカでは日本のビジネス作法の本をかなり出版したけど、アメリカで一番のベストセラーになったのは「Bachelor’s Japan」という、いわば独身男のための日本ガイド。本が出版されたのは1960年。日本経済が本格的な高度成長期に突入したのは1960年代に入ってからだったなあ。それにしても、なんで今ごろ出てきたんだろう。高齢者ともなればかっても栄光も何もないだろうけど、男のこういうところは年令を問わずらしいから、ご当人にはそれなりに思うところがあるんだろう。だけど、21世紀の日本には、生れたときから豊かな日本に育って、大日本帝国の栄光を信じて疑わない「にいちゃんねら」というおっかない人たちがいるから、特に日本女性に関する発言にはくれぐれも気をつけたほうがいいンジャないかなあ。年寄りの冷や水は体に悪いから・・・

欧米ではってどこの話?

7月23日。今日も涼しくてエアコンがいらない。電気料金の請求書を見たら、去年同期(2ヵ月)と比べて消費量が3kWh少ない。請求書の横っちょに1日平均の消費量が7期分棒グラフで示してあって、その下に請求期間と前年の同じ期間の1日平均の消費量が数字で書いてある。電力料金は単価が変わっていくし、やたらといろいろな付加料がついてくるから、こうやって消費量で比較を示してくれると、消費量の差が大きければ何が原因かをまじめに考えてみるきっかけになって便利この上ない。真冬の期間に一気に真夏の倍になるのは、電気暖房ということもあるけど、最大の元凶は温室で使う電気ヒーター。ソーラーヒーターを導入するのがカレシの夢だけど、現在のところ、技術はあっても設置できる人がほんのひと握りしかいないそうで、さっそく注文というわけにはいかないのが悩み・・・

続発する無差別殺傷事件に関連して、派遣労働制度の実態に関する記事があったので読んでみた。どうもやっぱり日本の「派遣」はカナダやアメリカの「temp」とはかけ離れた労働形態のように見える。こっちで建築現場で雇われる「日雇い」に近いのかもしれない。でも、この人たちはシャベルで穴掘りをしたりといった、大工がやらない単純な作業をするために雇われる。製造業では労働組合の力が強いから組合員じゃない「日雇い派遣」を常用することはないけど、日本の製造業では景気の変化に対する安全弁のつもりで使っているらしい。読んでいてびっくりしたのはその待遇、処遇のひどさ。人間として見てもらっていないのではないかとさえ思える。派遣先の休憩室を使わせてもらえないというのは序の口で、正社員にスタンガンで脅されながら働いたという、戦前のタコ部屋同然の凄惨な話まであった。カナダでそんなことをしたら、訴えられてスキャンダルになるけど、日本では誰も何も言わないんだろうなあ。めんどうはいやだから、自分がかわいいから、見てみぬふり、なかったことにする・・・か。

年金制度なんて、潤沢な順に公務員の共済年金、大企業雇用者の厚生年金、「一般人」の国民年金。欧米式の格差社会になる(大変だ~)とか騒ぐずっと前からちゃんと格差社会が作られているじゃない。しかも社会保険が所得に比例していないらしいから驚き。つまり、日本では労働制度も社会保障制度も昔からしっかりと階級社会になっていたわけで、その上に規制緩和のかけ声で、「欧米では~」を錦の御旗にして、その本家本元の欧米にもないような格差/階級社会を作っているように見えるけどなあ。だいたい、格差、格差と騒いでいるのは上と比べて妬み、下と比べて優越感に浸る「一億総何とか」の中流階級くらいのもんじゃないのかなあ。

で、こういう事件があると、必ず教育界の偉い先生が出てきて、「何とかしなくちゃ」論をぶち上げるんだけど、「欧米では」と来る。その欧米でやっているという「市民性教育」って何のこと?日本も似たようなシステムを取り入れる必要があるって、日本は欧米と違うんじゃなかった?日本には日本の考え方があるんじゃなかったの?ったくもう、どうりで嫌われるはずだなあ、この文句。欧米だって千差万別だし、ピンからキリまであるんだけどなあ。どっかへ視察ゴルフに行ったついでにちょこっと学校をのぞいて、「なんか新しいことらしい」とよくわからず仕入れてきただけなんじゃないの?それで「欧米では」って・・・

えらい教育者先生にはそれなりの理論があるんだろうけど、教員採用試験に絡む汚職といい、続々と逮捕されるエロ教師といい、なんだか日本の子供たちがかわいそうになってくる。個性尊重とか何とか言って、「いやなことはしなくてもいい。無理はしなくてもいい」と刷り込まれて、大人になれないままで「嫌なこと」や「無理難題」がわんさとある社会に放り出されるんだもの。で、上手に泳げなくて溺れたら「自己責任だ」と見殺しにされる。このまま行ったら、日本はほんとに内部崩壊してしまうよ。

おいし~く煮詰まって

7月24日。夏の間は英会話教室が週一ということで、目覚ましが鳴るのは木曜の朝(といっても11時だけど)だけ。自然に目が覚め時間とそれほど違わないのに、夢の真っ最中だったりするとなんとなく寝起きが悪くていけない。今日はなんとなくそんな日。目が覚めたとたんに忘れてしまったけど、なんかへんな夢を見ていたらしい。夢のレコーダーがあって、起きてから再生できたらいいなあ。もちろん、いい夢だけね・・・

今日は仕事がないから、カレシが出かけた後のひとりきりの時間を「今のうちにやっておこう」ということに集中できる。まずは、カレシとワタシの合同バースデイディナー。予約を申し込んだレストランから希望の8月23日。に暫定的に予約OKの返事が来ていた。その日の1週間前までに予約金250ドルを払えば確定ということになるらしい。プライベートルームは最大18人までということで、一応14人を予定しているから、問題なし。ディナーパーティ用に3コースのメニューがあるけど、特別に5コースくらいのお試しメニューを希望するならシェフと相談できるから、詳細は2週間前までに決定してほしいとのこと。さっそく招待予定の人たちに連絡を取って、人数を数えなくちゃ。

カレシのビッグバースデイまであと2週間。今から注文すれば配達はぎりぎりになるけど、とにかく家の中に散らばっているカタログを集めてきて、お買い物。ガソリンスタンドのようなノズルがついている6ガロン入りの容器。シュレッダに給油するのに便利そう。ビデオテープをPCにコピーしてDVDに変換するキカイ。エレクトロニクスはある意味過渡期にあるもので、最近はカセットテープやレコードからCD、VHSからDVD、ネガやスライドからDVDといった「メディア変換装置」が多い。保存しておきたいビデオテープのセットがけっこうあるからなあ。充電式バッテリとソーラーパネルがついたポータブルの電源。これはデッキが(いつか)完成したら役に立ちそう。それと、屋内から履いたまま外へ出られるスリッパ。怪しい物音に速攻で対応できるぞ。最後は、手でハンドルを回して充電して使うラジオ。懐中電灯にもなる。温室でフットボールやホッケーの中継を聞きながら作業ができる。さて、包み紙とリボンをたくさん買っておかなくちゃ。

文化庁の調査によると、日本語表現の誤用が多いらしい。まあ、誤用も定着してしまえば「正規」になるわけで、言語はそうやってだんだんに変化するものなんだけど、「論陣を張る」かわりに「論戦を張る」、「足をすくわれる」という代わりに「足下をすくわれる」というのは、なんとなく奥が深いような感じがする。計画が「行き詰まった」のではなくて「煮詰まった」というのは、焦げ付いたなべを連想させておもしろい。行き止まりで立往生しても、引き返して別の道を探すといった打開策があるけど、煮詰まってなべ底にまっ黒に焦げ付いてしまったら一巻の終わり。なんか切迫感があるなあ。

「琴線に触れる」ことを「相手の怒りを買うこと」だとする回答が正しい回答と肩を並べているあたりは、ここでも時代が反映されているような感じがする。意外だったのは、「憮然とする」。「失望してぼんやりする」が正答なんだそうな。ワタシはてっきり「ムッとすること」と思っていたけど、調査でも回答者の70%が「腹を立てている様子」と思っていた。だけど、よ~く「憮然」の「憮」の字を見るてみると、りっしん(立心)べんに「無」。なるほど、心が空っぽの状態か。漢字は表意文字なんだから、やっぱり文字の構成まで見なければいけないんだなあ。でも、耳から「ブゼンとする」と聞くと、どうしても腹を立てて「憤然」としているような印象になってしまうんだけど・・・。

今日見たgooのランキングは「恋人に作ってもらいたい手料理」。トップ5は、「カレー」、「ハンバーグ」、「肉じゃが」、「チャーハン」、「味噌汁」。それってファミレスの味?今どきの恋人たちってかわいいなあ。ついでに「1000円を超えると高いと思うもの」。トップは「ラーメン」だった。「安くてうまい」の代表選手。東京で食べたおいしいラーメンは290円だったなあ。笑えたのは12位に入った「義理チョコ」。こっちは100円でも高いと思うんじゃないかな。(もらってしまった方には、「タダほど高いものはない」・・・。)

異人種の双生児

7月25日。金曜日なんだけどなんか土曜日のような感じがしてしょうがない週末。ま、日本はとっくに土曜日だからいつもながらなんだけど、慣れてしまってもっと混乱してくるといけないから、「う~ん、なんかヘンだ」と感じるあたりで思考をストップしておく。で、1日中、なんかヘンだけど、ま、いっか・・・

イアンが引っ越した先のコンドミニアムの自転車置き場の改装が始まることになって、その間うちの庭で預かることになって、カレシがまずトラックで出かけて行った。自転車を庭に入れるにはガレージを通るのが一番手っ取り早いから、出かけたらすぐにエコーを外に出しておけという。ディナーに呼ばれているから、自転車を下ろしたらイアンを乗せてエコーで行くことになっているんだってそうな。そういえば、ゆうべは5分おきに電話が行ったり来たり。一番「ロジカル」な手順を相談していたらしい。指示の通りにエコーをガレージから出したのはいいけど、バックミラーもサイドミラーも調節しないままだから、歩道の縁が見えなくて、みごとにハブキャップを縁石にガリガリ。あんまりかっこよくないけど、ま、いいか。

イアンとバーバラのコンドは築後30年。今どきのデザインと違って、ちょっと日本の団地に似ていなくもないのっぺりした建物。バーバラのお母さんが介護ホームに入ったときに買い取って、キッチンやバスルームを改装してから引っ越した。それほど狭く見えないし、ワンレベルだから階段の上り下りがなくて楽だというけど、ショッピングセンターのすぐそばだからけっこう交通量が多い。バルコニーはガラスで囲ったサンルームに改装されていて、カレシはさっそく園芸好きのバーバラと「ブラインドを居間に移して、ここを温室にしたらいい」とプランを練り始める。3棟ある15階建ての建物を見ると、窓を付けて室内に変換したバルコニーが多い。

ディナーは娘夫婦が加わってにぎやかになった。アーニャは妊娠6ヵ月。赤ちゃんは男の子の二卵性双生児だそうで、ぽこんと丸くなったおなかに触らせてもらったら、赤ちゃんの動きが手のひらに感じられた。予定は10月初め。かなり長い出産育児休暇を取れる職場らしいけど、それでも初めての育児でいきなり赤ちゃん二人は大変だろ。二卵性ということで、イギリスとドイツで異人種婚カップルの間に生まれた双子の話になった。どちらの場合も、双子の一方が父親(白人)に似て、もう一方が母親(黒人)に似ているというケース。つまりはメンデルの法則を地で行っているようなものだけど、人間の兄弟はえんどう豆じゃないから、どんなふうに育つのか興味がある。というのも、ママになるアーニャは白人で、パパになるブライアンはフィリピン人。ヨーロッパ系の顔の子とアジア系の顔の子が双子として生まれる可能性はあるわけ。アーニャはかわいいし、ブライアンはとってもハンサムだから、どっちに似てもかわいい赤ちゃんが生まれることは間違いないんだけど。

がやがやとおしゃべりをしながら、大皿いっぱいのブルーベリーを平らげ、イアンの秘蔵の「メタクサ」をとうとう空っぽにして、8月のディナーパーティの出席OKを取り付けて、夜中過ぎに帰宅。おしゃべりをしすぎて、ちょっぴり声がかれてしまったみたい・・・

シェフ自慢のおまかせ料理

7月26日。うわ~、どうなってんだろう。7月もほぼ終わりだってのにこの涼しさ。朝の10時過ぎにオンになるようにセットしておいたエアコンの寒さで目が覚めて、あわててオフに。来週は8月、ひと月もしたら新学年が始まる「秋」だってのに、日本全国津々浦々猛暑でうだっているというのに、なんでバンクーバーはこう寒いの?熱い空気と冷たい空気をうまく混ぜ合わせて、不公平のないようにちょうどうまく分配できないものかなあ、ほんとに。

もうひと眠りして起きたら正午。いつものようにニュースを見ながら朝食。そうか、今日は花火コンペの第2回目で、今夜はアメリカチーム。タイトルは「Love Will Change the World(愛は世界を変える)」。水曜日に先頭を切ったカナダチームは「Attack」というタイトルで、伊福部明作曲の「ゴジラ」のテーマを使った。(ちなみに、伊福部明は生まれ故郷がワタシと同じだから同郷ってことになるのかな。)アメリカのは何を使うのかな。たった30分足らずの花火ショーで日本人にはもの足りないらしいけど、浴衣がけでは震えてしまいそうなバンクーバーじゃ納涼花火という感じもないから、光と音楽のショーということでいいのと違うかなあ。

午後いっぱいダラダラして、ディナーにおでかけ。花火のせいでダウンタウンは避けてブローでウェイの、すっかりお気に入りになったTojo’sへ。いつも2ブロックくらい行き過ぎたところに車を止めてしまうから不思議なんだけど、ブロードウェイはあまり目立つものがないせいかもしれない。(住所を覚えておけば問題はないんだけど、そこはほら・・・。)でも、よく見るとほぼ向かいに巨大な「BOWMAC」のネオンがある。20年くらい前まではBowell MacLeanという老舗の自動車ディーラーがあって、このネオン塔は50年代から60年代にかけてのバンクーバーのネオンサイン全盛時代に「北米一」の大きさを誇った。ディーラーはなくなってネオン塔だけが残り、どういうわけか「市の遺産」に指定されたのはいいけれど、跡地にオープンしたトイザラスが「歴史遺産」のネオン塔の上に自分の看板をくっつけてしまったから、目も当てられないくらいアホくさい構築物になってしまっている。それでもまあ、この次からはTojo’sの場所を見つける目印にはなるから、いいことにしておくか。しげしげと見なくたっていいんだし・・・

いつもの通り早目の予約なのに、今日はいつもより早くから客が入っている。どうやら食事を済ませてからキッツの方へ花火を見に行こうという人たちらしい。6人ぐらいのグループが多いのは、夏だから家族親戚が遊びに来ているんだろうなあ。バンクーバーといえばスシ。高級ジャパニーズレストランとなればやっぱりTojo'sの知名度は抜群ということだろう。今日は新潟産のオーガニックの冷酒で乾杯。氷の入った小さな容器に小瓶を入れて持ってくる。これをしゃれたショットグラスで飲むのが今はやり。地元産の大吟醸なんてのもあるからすごい人気のほどがわかろうというもの。同じ冷酒でも日本のは少々甘酒っぽく感じられるのはお米そのものが甘いせいだろうか。

いつものクラスの「おまかせ」を注文したら、着物姿の威勢のいいサーバーさんが「前にもいらっしゃいましたよね」と聞く。へえ、覚えられていたのかと思いつつ、4回目だといったら、「前にも同じお値段のおまかせだったでしょう」と。そうだと言ったら、注文をとって引っ込んで少ししてから、「シェフに料理を変えてもらいましたからね」と言いに来た。メニューがあまり変わっていないので前と同じものを食べることになる。それではバンクーバーの名物シェフのプライドが許さないということらしい。私たちは前にすごくおいしかったから、同じ料理でもちっともかまわないといっても、サーバーさんは「おまかせね」。

おかげで、最初のマグロの後は、ウニとホタテをのりで包んで薄い衣をつけて揚げたものにしし唐の天ぷら添え(うわっ、おいし~い!)、カニとマンゴーと春雨のサラダ、本マグロのステーキ!にシメジのソース、ギンダラの煮物に柚子を添えたもの(み~んな、美味、美味)。最後のお寿司もいつもの凝ったロールとエビ天の手巻きの他に本マグロや甘エビの握り。デザートは抹茶のクレムブリュレ。内容から考えると、お店の方は足が出たんじゃないかなあ。チップをはずんで、シェフのところへ行って念入りにお礼を行って、満足、満足で帰ってきた。ああ、ほんっとにおいしかった~

どういうわけかヘンな日

7月27日。やれやれ今日はヘンな日だ、あい変わらず今の時期としては涼しすぎる。もっともワタシはアウトドアタイプじゃないから、インドアで快適ならそれで文句なし。眠れないのかかなり早くから起きだしたカレシ。ゆうべ寝る前にワタシが食洗機のスイッチを入れるのを忘れたもので、ワタシが寝ている間に洗っておこう、と気を利かせてくれたのはいいけれど、勝手がわからなくて設定のボタンをあれこれと押しまくったらしい。結局はよくわからないまま中止。起きだしたワタシがスイッチを入れたけど、なんだかサイクルが狂っている感じがする。なんとか洗えたことは洗えたけど、念のため、リセットボタンを押して、いったんスイッチをオフにしてから、洗剤を入れずにディスペンサーを閉めてスイッチをオン。普通のサイクルにセットして回してみた。リセットされたのかどうか、まじめに回っている感じだけど・・・。

日本では週末明けなので請求書を書いていたら、やたらとしつこいせきが出る。しつこさが増してくると、全身でせきをするような猛烈なのがでることがあrんだけど、今日はそれが息もつけないような感じで、やっとのことで大きな息をついてホッとしたところで、急に胃のあたりが微妙。ん?あれ?と思って立ち上がったとたんに中のものがそれこそ一気に噴出してしまった。ほとんど液体だけど信じられない量で、その中に立っているワタシを見て「具合が悪いのか」と一瞬青ざめたのはカレシ。別にどこも具合は悪くないけど、あっという間にドボッと出て来ちゃったの。とりあえず、バケツとモップを持ってきてもらって、床の掃除。オフィスの床には椅子のキャスターで傷が付かないようにプラスチック樹脂のチェアマットを敷いてあるので、後始末は簡単なんだけど、そばのスタンドに開いてあった辞書にちょっと被害が出た。もしキーボードに向かっていたら激甚災害になっただろうなあ。ひょっとしたら、なんかの虫の知らせでキーボードから離れたのかしらん。

掃除が済んだところで、バスルームで手足を洗って、食洗機を点検。こっちの方はどうやら正常状態に戻っていた。吐いたと言ってなんとなく胸焼けっぽい感じがする以外消化器系統はピンピンしている。激しく咳き込んだときに嘔吐するのは特にめずらしいことでもないらしい。せきの中枢と呼吸中枢と嘔吐中枢はどれも脳の延髄にあって、いわばご近所さん同士みたいに近いんだそうな。それでせきがあまり過激だったもので、嘔吐中枢まで刺激されて、胃の方へ「ぜんぶ出しちゃえ」という勘違い指令を送ったために、突発的にゲッとなったわけ。何か病気が隠れている兆候ではなさそうだからいいけど、せきはTPOを選んでくれないから、気をつけなくちゃいけないなあ。一件落着してみたら、今度はしゃっくりが止まらない。やれやれ、しゃっくり中枢までご近所さんなんじゃないだろうなあ・・・

思いがけず朝食抜きのようなことになったもので、夕食の支度の時間を待たずにおなかがグー。ああ、やっぱり健康で元気なんだとヘンに安心したところで、少しょっと早めの夕食となった。きのうとおととい、外でのごちそう続きだったから、今日はハンバーガーにしちゃおう。大きな冷凍ハンバーガーは1個が150グラムもあるけど、サーロインを使って脂身が少ないからカロリーは350と低め。もっともそれに、たまねぎ1個を全部スライスして、戻して刻んだポルチーニを加えてたっぷりのバターでゆっくり炒めたものを一緒にはさむから、結果的に高カロリーかな。バンは大きなカイザーロール。(どうして日本ではハンバーガーバンを「バンズ」と複数形で言うようになったのかなあ?)あとは蒸したインゲンとサラダ。簡単だけど、独特の香りのするポルチーニが加わるだけでちょっぴり「高級な味」がでるから不思議。組み立てたら高さが10センチ以上もあるようなハンバーガーをぎゅ~っと押さえながら精一杯の大口を開けてかぶりついたら、しゃっくりのほうもびっくりして退散してくれた。

ほんとうに今日はヘンな日。カレシは、「外へ出ると秋のような雰囲気がする」という。火曜日には嵐が来るらしい。夏の盛りの7月だっていうのに、もう少し夏になってくれないとトマトがかわいそう・・・

電話の話あれこれ

7月28日。月曜日(だよね)。エアコン天気かなと思ったけど、水銀柱が伸び悩み。寒暖計はデジタルだから、伸びなくてイライラしている水銀柱はイメージだけ。うん、デジタル世界はやっぱりちょっとだけ趣が足りないような感じだなあ。あしたから雨の予報で、しばらくは秋口のような天気が続きそうなので、カレシはひと山の園芸クズをシュレッダにかけるのに忙しい。雨で濡れてしまうと乾くまで待たなければならないけど、シュレッダにかけてしまえば、雨に濡れればコンポストとしての分解が早くなる。このコンポストのおかげで我が家の野菜は殺虫剤どころか化学肥料も使わない完全オーガニック。汗とシュレッダくずにまみれて入って来たカレシ、自分のシャツを嗅いで「うわっ、くっせぇ~」。だけど、それはグリーンのカレシの匂い。今晩はゆっくりお風呂に入ろうよ。

KDDIが国際電話のオペレータによるサービスを2010年3月で終了することにしたそうな。この会社、ワタシがまだ日本にいた頃は「国際電電」と呼んでいなかったかなあ。ダイアル直通になったのはカナダに来てからのことだったから、それまではカレシとの電話はぜんぶオペレータを通っていた。まず国際電電に電話して、「どこそこの何番の誰それに指名電話(Person-to-person)」と申し込んで、いったん電話を切って、国際電電の方から電話がかかって来て、誰それさんにつながったので「お話ください」とオペレータに言われるのを待たなければならなかった。もしも運悪く回線が混み合っていればつながるまでに20分も30分も待たされた。それで3分単位で何千円という料金だったから、長々と愛を語らっていることもできない。恋人たちにはもどかしいことこの上ない「不便な」時代だったけど、今どきの若い人たちは送ったメールにすぐに返事が来ないと苛立ってしまうらしいから、あの「待ち」のじりじりするような長さはきっと想像もつかないだろうなあ。

今の時代は格安料金でピッポッパッと簡単に電話がかけれられるようになったのに、どういうわけか、おしゃべりに生まれついたはずのワタシはちょっとした電話嫌い。かかってくるのはいいんだけど、かけなくてすむ電話ならまず絶対にかけない。友だちや家族には、かけようかなあと思いつつも、いつまでたってもかけない。おまけにおしゃべりなわりには筆不精と来ているから、こんな不義理な友だちはいないわけで、小町流に言うなら「疎遠にする」候補のトップに挙げられてしまうかもしれない。会えばまさにノンストップでしゃべりまくるし、こうやってブログも饒舌なのに、なぜ電話や手紙を敬遠するのか、う~ん、自分でもよくわからない。誰かに心理分析してもらおうかなあ。

一応は時代の流れに乗って携帯も持っているんだけど、でかけることがないし、さして出先から電話をしなければならない相手もいないから、持っているというだけの話。街では時計代わりに電源を入れる。カレシはモールで落ち合うときくらいしか使わないし、テキストメッセージなどは二人とも使い方を知らない。だったらどうして安くもない料金を払って使わない携帯を持っているのかということになりそうだけど、要するに「公衆電話ボックス」。携帯電話の普及でバンクーバーでも公衆電話が希少な存在になってしまって、いざというときの重要な「通信手段」が急速に姿を消しつつある。これではほんとうに「いざ」というときに困るから、月50何ドルかで「自家用公衆電話ボックス」を担いで歩いているわけで、一種の保険といえるかもしれない。もっとも、カレシはその「いざ」というときにかぎって家に忘れていったりするからなあ・・・

蟹工船の時代と今と

7月29日。予報どおりの雨。それも商売っ気たっぷり(本気)の雨。気温は15度というから、ひょっとして寝ている間に夏が終わって秋深しになってしまったんじゃないかと思ってしまう。家の中とはいえ、この寒いのにスリーブレスでいるのがあほっぽく思えてくる。(かといって、めんどうだから着替えようとは思わないんだけど。)それでも、今月はほとんど雨が降らなかったから、庭の樹木にはうれしい潤いだろう。久しぶりの雨の日の空気はなんとなくやさしい匂いがする。日照が続くと人の気持まで乾いて来るのかなあ。

ゆうべやり残した仕事を仕上げて納品。ちょこちょこと仕事がある状態も慣れてくるとペースがつかめて悪くないと感じるようになる。月末処理が待っているし、また例のごとく消費税の申告のために大車輪で3ヵ月分の帳簿を整理しなければならない。まあ今期は徴収した消費税がゼロだから、経費にかかった分が戻ってくる勘定で、政府の方も還付があるときは少々遅れてもあまり文句はいわないらしい。もらうときは「今すぐ」、払うときは「後で」というのはあんがい人間的な心理じゃないんだろうか。

新しいgooランキングに「職場で実践して欲しい経費節減」というのがあった。トップにランクされたのは「残業廃止」、それに「休日出勤廃止」が続いている。うん、残業や休日出勤をやめてしまえば光熱費のような経費が減って、ついでに二酸化炭素の排出量も減るだろうなあ。働く人たちは残業や休日出勤はやめたいのだ。会社だって、光熱費だけじゃなくて残業にかかわる人件費も節約できる上にエコ企業をアピールできるとしたらいうことなしだと思うんだけど、そこがよくわからないニッポン。どうしてそれほど残業をしなければ仕事が終わらないんだろう。企業に人材を見る目がなかったのか、でなければ経営管理がまずいから残業を強いることになるのか。まあ、こっちで働く日本人が口をそろえてカナダ人は怠け者だというところを見ると、そうやって「勤勉な日本人」をアピールしているのかもしれないけど。

ほんとうに毎日みんなが残業をしなければならないほど仕事が滞っているんだったら、人手が足りないことは明白だろうに、どうしてもっと人を雇わないんだろう。そういえば、ワタシが高校卒業を前に就職先を探していた頃、求人票に給料は「残業を含めて」月何万円と書かれていた。就業時間外の臨時労働であるはずの残業が、実際は暗黙のうちに就業時間と給与に組み込まれていたわけで、ようするに労働基準法が何と言おうとも、労働時間は1日10時間、12時間の方が「平常」なんだということらしい。ワタシが初めて働いた会社では、当時は女性や未成年者の深夜労働が禁じられていたにもかかわらず、午後7時になると上司に言われるままタイムカードに「退社」と記録し、会社が安食堂から取る出前の食事をして、あとはなにごともなかったように真夜中まで(あるときは午前1時まで)仕事を続けたけど、午後7時以降は一銭も残業代をもらえなかった。そうしてワタシの19の春は月に100時間近い残業と重なる日曜出勤で過ぎてしまったのだった・・・やりたいことがいっぱいあったのに。

戦前に書かれた小林多喜二の『蟹工船』がベストセラーとして復活しているという話は、ある意味、働くだけの生活を強いられる人たちと働きたくてもまともに働けない人たちの「がまん」が限界に来ているということかもしれない。日本は表向きこそは世界に誇る経済大国になったけど、政治風土も企業文化も、人間を「人間」として見ていないという点では「蟹工船」の時代と変わりがないような感じがする。社員を人間としてみていないから、表向きは「家族的経営」とか何とか言いながら実は残業の名目で数え切れない家族から父親を奪って、実質的な母子家庭社会を作ったのが日本の大企業。働く母親を見て育つほんとうの母子家庭と違って、夫の給料は確実に入ってくるから、生活に困らない母親はもてあましたエネルギーを子供に向ける。教育ママとかママゴンとか、いたっけなあ。バブル景気の狂乱で崩壊した人間としてのモラルは、おそらくはこの頃からすでに崩壊への道を進んでいたのかもしれない。

どんなに難しい社会問題が山積みになっていても、何か破局的なことが起きるまでは誰も危機感を感じなかったり、あるいは危機感は持っても何もしないのが人間の性。でも、たまりにたまった怒りや不満を一気に爆発させるのも人間の性。この先、日本の人たちは何かやれるのかなあ・・・

人も車の動いてなんぼ

7月30日。青空が戻って、ちょっぴりだけと夏復活。今日はエコーのオイルチェンジの予約がある。ディーラーの方から「そろそろ」といった葉書が来るんだけど、なにしろ3年かかって走行距離がやっと7千キロだから、必要があるのか、ないのか。それでも、運転席側のドアでキーを二度回すと全部のドアのロックが解除されるはずなのに助手席側だけ開かないことが2、3度あったので、念のため調べてもらうことにした。「たいした問題じゃないけど」というと、「来月いっぱいで保証期間が終了するので今のうちに点検しておきましょう」とのこと。最近の自動車ディーラーは車の販売よりもサービスの方で利益を上げているという話。ガソリン代高騰で車の売れ行きは落ちるばかりだから、売った車を整備することで稼がなくてはならないのかな。

ワタシがエコーを運転して、カレシが後からタコマでついてくる。ディーラーは5分くらいのごく近いところなもので、運動がてら歩いて帰って来ることもできるんだけど、野菜類が底をついてきたから、出かけるついでに買い出しに行こうという算段になった。ワタシの方が先について、ちょっと待ったけどカレシは影も形もないので、中へ入った。愛想のいいおじさんが、「おたくのエコー、走行距離が極端に少ないのでちょっと勇名なんですよ」と言って笑った。そ、なんせ3年乗って7千キロ弱だもんねえ。ドアのロックの話になると「使わなさすぎかもしれない。車は乗らないとねえ」。ははあ、ここでも「Use it or lose it」の原則かあ。人間も車も、ひょっとしたらあらゆるものが「使わないとなまくらになる」ということかなあ。

キーを渡してオフィスを出ようとしたところでカレシが現れた。駐車するところが見つからなくて走り回ったんだそうな。ちびっ子のエコーと違ってタコマは小型と言ってもトラック。図体が大きいから駐車が悩みになる。そのタコマも買ってから6ヵ月になるから、そろそろ最初のオイルチェンジの時期。だけど、走行距離を見たらなんと「827キロ」。これじゃ3年乗っても5千キロ行かないなあ。オイルなんかまだまっさらの状態じゃないのかなあ。ディーラーからお知らせが来たときに「これしか走っていないけど」と言ったら、ちょっと有名どころか話題で持ちきりになってしまいそう。もともとお篭りしてばかりの二人が一台ずつ車を持っている方がヘンなのかもしれない。使わないとなまくらになると言われたといったら、カレシはさっそくここ、あそことおでかけプラン。まめにリサイクルデポに行って、まめに園芸や家周りの修繕の材料を買いに行く方が家もすっきりして一挙両得だと思うんだけどなあ・・・

夕食の支度を始める矢先にディーラーから電話。ちょうどラッシュアワーでトラックを止めるところがないからと、カレシにディーラーの店先で下ろされて、ひとりでエコーを引き取りに。結局ドアロックには異常なし。どうやらカレシのキーを回すタイミングに問題があるらしい。初めからそんな予感がしていたんだけど。担当のおじさんは「誰もマニュアルを読まないからねえ」。それもあるけど、カレシはせっかち。電話のボタンもせっかちに押して「そんな番号ありません」なんてメッセージが流れたりするから、キーを2度回すことはわかっていても、タイミングが悪くて失敗することは大いにあり得るわけで、だけど、これはカレシのクセだからしょうがないんだよなあ。

ワタシが戻るまで、カレシは腕によりをかけて「ニース風サラダ」を大きなお皿にいっぱい作っていた。あまりにも大量なので、メインのメルルーサのフライの方が付け合せになってしまったけど、サラダはきれいに平らげてしまった。レタスやトマトの他にゆでたジャガイモやインゲン、オリーブ、アンチョビー、ツナ、ゆで卵が入って、これだけで十分にディナーになるボリューム。あしたはガドガドを作ってくれるそうだから、メニューはアジア風がいいかなあ。韓国風にしようか、タイ風にしようか・・・

極楽とんぼ小町の見解

7月31日。また今日も雨もよう。ポーチの寒暖計は午後1時でたったの13度。なんじゃいな、これ。地球温暖化は誰かの勘違いで、ほんとは地球寒冷化じゃないの?だって、30年かそこら前には科学者が氷河期が来るって騒いでいなかったかなあ。もっとも、地球温暖化で局地的な氷河期が起きるという話は聞いているけど、それだって、ここじゃなくて北極海や南極大陸で起こってもらわないと困るんだよなあ。

ぶつぶついいながらも、カレシが英語教室にでかけた隙にモールへひとっ走り。なにしろ注文した品がぜんぶ分割で「発送済」のメールが来たので、来週あたりトータルで5個の小包が届く勘定だから、今のうちにギフトラップをたくさん買っておかなくちゃ。ついでにひびが入ってしまった四角い小皿も買い足さなくちゃ。ということで車を飛ばして行って、大車輪で買い物をして、また車を飛ばして帰ってきたら、やや、カレシのほうが先に帰ってきていて、抱えていたギフトラップのロールを見てにんまり。ふむ、秘密作戦、出鼻をくじかれちゃった。小包、いっそのこと不在通知だけ入れて行ってくれると、ワタシ一人で取りに行けるからいいんだけど、なにしろ数が多いから、この小さな家の中のどこに隠そうかなあ。

日本発ニュースを読んでいたら、8月1日から値上げラッシュだって。実施日を指定して予告するのはいかにも「秩序」が好きな日本人らしい。だけど、こんなふうにいろんなものが一斉に値上げされたら、消費意欲は一気に覚めてしまうだろうに。まあ、カナダでもガソリン高騰には悲鳴が上がっているけど、好景気が続いてインフレ気味だったので、たいていのものはちょこちょこと値上がりして来ていたはず。だけど、いちいち予告なんかしないから、ある日ずいぶん高くなったと気づく人が多いのかもしれない。デフレが続いた日本では事情がかなり違うだろうなあ。長いこと値段が変わらなかったものがいきなりど~んと値上がりするわけだから、財布へのショックは激震並みなんじゃないのかな。小町でも「何から切り詰めるか」というトピックで、車をできるだけ使わないとか、新聞購読を止めるとか、パン食をご飯に切り替えるとか、携帯のネット利用を減らすとか、バターを使わないとか、やりくりに苦心している切ない様子がわかる。ただし、これはたぶん普通に収入があって生活ができている家庭のことだろう。生活が不安定な人たちにとっては、そんなのんきな切り詰めどころじゃないはず。日本国総理大臣殿、国民は新聞も買えないって嘆いてますよ。ここが国民のためのがんばりどころだと思うんだけど、どうなの?

日本の総人口が3年ぶりに増加したそうな。少子化にちょっとでも歯止めがかかったのかなと思ったら、自然増加は過去最大の減少幅。つまり、新しく生まれてくる日本人の数はまだ減り続けているわけで、増えたのは日本に帰化した人たちと海外から帰国した日本人。「社会増加」というそうだけど、これが自然減より上回ったから「人口増加」ということになったそうな。帰化人は1万数千人もいるそうだけど、社会増の合計の4万人ちょっとから差し引きすると、日本に帰国した人の数は2万数千人もいたことになる。海外進出した企業が撤退して帰国する駐在員たちが増えたんだろうけど、それだけで2万人もいるとは思えないから、たぶん、移住したものの海外生活の夢破れて帰国した人たちもけっこういると見ていいかもしれない。円高のときに移住してきて、高騰した家を売って円安になった日本に帰る人もいるだろう。カナダに来て強い円で楽々買った家を売って、円安の日本で楽々家が買えてお釣が来る勘定だもの。

だけど、総人口に比べたら微々たる数字かもしれないけど、これだけの数の日本人が日本へ帰ったら、国も企業もこの人たちの職場を確保するのに困らないのかなあ。逆移民で経済が拡大するということも考えられなくはないけど、ガソリンも食料も輸入が頼りの国では、どうなんだろう。安全弁として使われる派遣の人たちがしわよせを受けるのはかわいそう。だけど、人が増えては養えないと、現代の口減らし(リストラ)によって、帰国組も派遣に転換せざるを得なくなるのかなあ。日本国総理大臣殿、ほんとにここが親子代々蓄積してきた(はずの)政治手腕の見せどころと違うん?