報恩坊の怪しい偽作家!

 自作の小説がメインのブログです。
 尚、ブログ内全ての作品がフィクションです。
 実際のものとは異なります。

“私立探偵 愛原学” 「鬼娘は山が好き」

2025-03-04 20:32:43 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月16日07時00分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階ダイニング]

 

 4人で朝食を囲む。
 昨夜はカレーだったので、一晩寝かせたカレーを再び……ということがあるわけがなかった。
 この鬼娘2人が米ごと全部食らい尽くしたからである。
 その為、今朝の朝食はハムエッグにトーストというものだった。

 愛原「8時11分発の電車で、とりま新宿に向かうから」
 リサ「はーい」
 パール「御夕食はありで、昼食は無しですね?」
 愛原「ああ。また、多めに作っといてくれよ。このコ達、いっぱい食べるから」
 パール「かしこまりました」
 美樹「ん?パールさんは一緒に来ねェのけ?」
 パール「メイドは留守番が基本なのです」
 美樹「メイド!?」
 パール「ある時は愛原学探偵事務所の事務員。ある時は、愛原家のメイド……」
 愛原「しかして、その正体は!」
 パール「先生!みなまで仰らなくて結構です!」
 愛原「そ、そう?」

 もちろん、パールを誘っても良かった。
 ただ、彼女としてはテラセイブの工作員としての活動に専念したい所があるようで、あえて1人にする時間を多めに作ってあげる方が親切のようだ。

 愛原「お土産は買って来るからさ」
 パール「ありがとうございます」

[同日08時11分 天候:晴 同地区内 都営地下鉄新宿駅→都営新宿線727T電車・最後尾車内]

 

 私達は準備を整えて出発した。
 さすがに今日は山の方に行くから、少し動きやすい恰好で来ている。
 リサは白いTシャツに、デニムのショートパンツを穿いている。
 美樹は緑色のシャツに黒いショートパンツだった。
 意外と普通の恰好だ。
 私は水色のポロシャツに、ベージュのチノパンを穿いている。

〔まもなく、1番線に、各駅停車、笹塚行きが、10両編成で、到着します。ドアから離れて、お待ちください。急行電車の、通過待ちは、ありません〕

 ホームに接近放送が鳴り響く。
 トンネルの向こうから、電車が接近する音と、それが巻き起こす風が吹いてくる。
 さすがに2人とも、今はスカートではないので、風で捲れる心配はしなくて良い。
 入線してきたのは、東京都交通局の車両だった。

〔1番線の電車は、各駅停車、笹塚行きです。きくかわ~、菊川~〕

 

 日曜日ということもあり、平日の同じ時間と比べれば格段に空いている。
 ポツリポツリと空席がある程度なので、私は座らせてもらい、鬼娘2人は立っていた。
 すぐに短い発車メロディが鳴り響く。

〔1番線、ドアが閉まります〕

 電車のドアと、ホームドアが閉まる。
 駆け込み乗車があったのか、再開閉があった。
 それからようやくドアが閉まり切って、車掌が運転士に発車合図のブザーを鳴らす。
 エアーが抜ける音がすると、電車が動き出した。
 時折、天井から冷房の風が拭き下りてくる。

〔次は森下、森下。都営大江戸線は、お乗り換えです。お出口は、右側です〕

 リサと美樹は、互いにスマホを出して、画面を見せあいながら色々と喋っている。
 2人とも人間形態でいることもあり、普通の人間の女子高生のようだ。
 私はというと、斉藤元社長の動きとかをチェックしている。
 警察から検察庁に身柄を送られたそうで、そうなると、今は東京拘置所に収容されていることとなる。
 基本的に未決拘禁者は雑居房には入らず、死刑囚と同様、独居房に入る形になる。
 なので斉藤元社長も、そこにいると思われる。
 今のところ、面会OKの手紙は来ていない。
 また、色々と逃亡したこともあってか、やはり保釈は認められなかったようだ。
 もしも裁判になったら、千葉刑務所に収監されている沖野献受刑者が証言台に立つようなことも有り得るのだろうか。
 ……いや、待て……。
 私まで呼ばれたりして?
 さすがに無い……よな?

[同日08時31分 天候:晴 東京都新宿区西新宿1丁目 都営地下鉄新宿駅・京王新線ホーム]

 菊川駅からは、ものの20分くらいで新宿駅に到着する。

〔「まもなく新宿、新宿です。お出口は、右側です。この電車は京王新線直通、各駅停車の笹塚行きです。お降りの際、お忘れ物、落とし物の無いよう、ご注意ください。本日も都営地下鉄新宿線をご利用頂きまして、ありがとうございました」〕

 都営地下鉄の線路はここまで。
 ここから先は京王電鉄の線路になる。

 

〔「ご乗車ありがとうございました。新宿、新宿です。お忘れ物の無いよう、お気をつけください。4番線の電車は、8時32分発、笹塚行きです」〕

 ここで電車を降りる。

 愛原「ここで京王線の方に乗り換える。同じ京王電鉄だから、通路が繋がってるんだよ」
 美樹「迷路みてェな……」
 リサ「愛原先生について行けば大丈夫だよ。先生は鉄オタだから」
 美樹「そりゃ凄ェ!」
 愛原「いや、大した事じゃない。電車は9時ちょうど発だ。少し余裕があるから、トイレとか行きたかったら、今のうちにな」
 リサ「はーい」

 改札口のあるフロアにトイレがあるので、取りあえず、そこに寄っておくことにした。
 これから乗り換える有料特急“Mt.TAKAO”号には、トイレが付いていないからだ。
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“私立探偵 愛原学” 「鬼娘ブルマ伝説」

2025-03-04 15:43:47 | 私立探偵 愛原学シリーズ
[7月15日21時30分 天候:晴 東京都墨田区菊川2丁目 愛原家3階リビング]

 リサ「お風呂上がったよ~」
 太平山美樹「お風呂頂きまスた~」

 

 鬼娘2人が風呂から上がって来る。
 リサはお決まりの体操服にブルマだったが、美樹は白いTシャツにエンジ色のショートパンツだった。
 Tシャツには、校章らしきマークが左胸に入っていることから、これが秋北学院の体操服らしい。
 ショートパンツは、正にそう言って良い長さ。
 ハーフパンツよりは短く、短パンよりは少し長い。
 ここも、かつてはブルマだったのだろうか。

 リサ「ほらほら、見てよ、ミキ。ミキがブルマを穿かないから、先生がガッカリしてる~!」
 美樹「ンな!?」
 愛原「おい!」
 リサ「私もエンジブルマを持ってるから、それを貸そうか?」
 美樹「ンだって、リサのサイズじゃ、あたし穿けねぇべよー。……いでっ!」

 リサ、美樹に素足でローキック。

 リサ「悪かったな、小さくて!」
 美樹「いンや、そーゆー意味でねぐ……」
 愛原「まあまあ。そんなこと言ったって、今は持ってないんでしょ?」
 美樹「そりゃもう……。リサの学校は復活したみてェですけど……」
 愛原「まあ、リサが復活させたんだけどな」
 リサ「私立だから、上手くやった!むふー!……秋北学院も私立でしょ?上手くやれよ」
 美樹「ンなこと言っだっで……」
 愛原「どこのメーカーだい?」

 私は美樹のショートパンツのタグを見た。

 愛原「ギャレックスか。それなら、今リサが穿いているオータニのブルマがギャレックスのOEMらしいから、それで似たようなものが購入できるな。そのショートパンツ、無地らしいが、ブルマもそうだったのかな?」
 美樹「よく分かんねっス!どうしたんスか、愛原先生?」

 バチン!

 美樹「あだぁ!?」

 リサ、明らかに自分のよりも豊かな美樹の胸をバチンと叩く。

 リサ「愛原先生に逆らうな。地獄に墜ちるぞ?」
 美樹「じ、地獄!?まさか、獄卒さんに縁が!?」
 リサ「いいから、黙ってろ」
 愛原「美樹。キミの学校にも、卒業アルバムはあるだろ?」
 美樹「へ、ヘェ!あります……」
 愛原「もしかして、キミの親族の中にも卒業生とかいたりしない?」
 美樹「実は、あたしの母も卒業生でした」
 愛原「その卒業アルバムに、体育祭とかの写真は?」
 美樹「あ、あっだような気がします……」
 愛原「キミの母親、お歳はいくつ?」
 美樹「よ、42歳です」
 愛原「俺と同じ氷河期世代、体操服はブルマ世代だな。よし、そのアルバムの写真を確認してもらってくれ」
 美樹「え、ええーっ!?い、今からスか!?」
 リサ「愛原先生の命令は絶対だと言ったよな?」
 美樹「う、うっ……!」

 リサは鬼形態になっているが、ギラリと赤い瞳を光らせた。
 それに気圧される、生まれながらにして鬼の末裔の美樹。

 愛原「それともう1つ。その卒業アルバム、各部活動の写真は?」
 美樹「それもあっだような気がします……」
 愛原「今、キミは女子バレー部員だそうだが、ユニフォームはブルマかね?」
 美樹「い、いや、まさか!スパッツっスよ!」
 愛原「そのユニフォームの写真は?」
 美樹「そ、それならスマホの中さ……」

 美樹は自分のスマホを取り出すと、その中に保存されている自分の部活中の写真を見せた。
 ユニフォーム姿ということは、試合の時の写真だろう。
 私は体操服のショートパンツとを見比べた。

 愛原「なるほど。全女子生徒が穿く体操服の方は地味な無地デザインだが、女子バレー部のユニフォームは派手な赤いスパッツか。なるほどなるほど……」

 しかも、サイドに白いラインも1本入っている。
 ブルマだった頃も、そのような感じだったのだろう。
 あとは実際にどうだったか確認してからだ。

 美樹「あの……先生……。あたし、本当に……リサみたいな恰好を……」
 リサ「それがどうした?鬼なら、パンイチでも恥ずかしくないはずだよ?」

 リサはそう言って、自分の体操服の上を捲り上げた。
 その下には、黒いスポブラを着けている。
 ノーブラだと乳首が擦れて気になるというのもあるし、リサのヤツ、裸で寝たがるものだから、それを禁止したら、せめて下着だけでもということになり、折衷案としてスポブラとショーツということになった次第。

 美樹「いや、うちでは裸になンねーよ?」
 リサ「そうなの???」
 美樹「多分、裸さなるのは、西日本とかの、もっと暖かい所でねーの?」
 リサ「鬼ヶ島の鬼って……」
 愛原「瀬戸内海にある女木島だろ?瀬戸内海だから、まあ暖かいよな。夏は暑そうだ」
 リサ「獄卒、獄卒……」
 美樹「そりゃ、焦熱地獄とかさ行ったらクソ暑いから、パンツ一丁にでもなるべ」
 リサ「秋田県って……」
 美樹「そりゃ、最近の真夏はクソ暑いけど、その時だけだべ」
 リサ「今、暑いよね?」
 愛原「東京の夏の暑さナメんなよ?……あぁ、美樹。心配要らない。ブルマなら、俺が買ってあげるから」
 美樹「あたし、やっぱし穿く前提っスか?!」
 愛原「別に、裸になれって言ってるんじゃないんだから……」
 リサ「そうそう。愛原先生と関わった鬼の女の子達は、みんな穿いてもらうことになるから」
 美樹「ええーっ!?そ、そりゃ……」
 リサ「リンのヤツ、ようやく穿くようになったよ。今までは女子陸上のブルマで誤魔化してたけど……」
 愛原「女子陸上のは、まだまだ現役だから助かるな」
 美樹「はー……」
 リサ「だいたいミキだって、パンツは虎柄じゃん!」

 リサは美樹の穿いているショートパンツをずり下げた。

 美樹「ちょちょっ!」
 愛原「おおっ!」

 その下には、ラムちゃんもかくやと思われるデザインのショーツを穿いていた。

 リサ「派手なパンツは校則違反じゃないの?」
 美樹「鬼のパンツは、これだべ!」
 リサ「いや、ベタ過ぎるんだよ。ズレてるねぇ……」
 愛原「いや、感覚のズレ方はリサも大概だと思うぞ」
 リサ「んんっ!?」
 愛原「とにかく美樹、キミも似合うと思うから、確認の方だけ頼むよ」
 美樹「……分かりました」

 美樹は後に、『愛原先生の家も、怖い「鬼の棲む家」だったべ!』と、帰郷後、周囲に話したという。
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