[9月15日17:00.天候:曇 東京都台東区上野 東京中央学園上野高校]
https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI
愛原:「ん?何だこの不気味な音楽は?」
私が校内を探索していると、スピーカーから音楽が流れて来た。
どうやらこれが、下校の放送らしい。
随分と不気味な曲だなと思っていたのだが、何でも“リサのテーマ”なのだそうだ。
新聞部を調査させてもらい、そこで何となく分かったのだが、リサのヤツ、下校時刻後も残っていたことがあって、まだ帰っていない女子生徒達を捕まえては、トイレに連れ込んで『老廃物』や『血液』を捕食していたらしい。
その際、リサの触手から寄生虫が送り込まれ、『捕食』された者は悉く『魔王軍』の配下になったそうだ。
私は美術室に向かった。
急に空が曇って来て、校舎内も薄暗くなってきた。
リサ:「あ、愛原先生!」
美術室からリサと桜谷さんが出て来た。
さすがに2人とも、制服に着替えている。
リサ:「あ、先生。迎えに来てくれたの?」
愛原:「生徒会長の死亡の経緯と原因を探してるんだよ」
リサ:「それは……誰かに頼まれて?」
愛原:「いや、PTA会長代行として、な」
リサ:「……あいつは勝手に死んだだけ。わたしは何も知らない」
愛原:「証拠が無いだけだ。少なくとも、俺はオマエが黒だと思ってるよ」
リサ:「むー……!」
と、そこへ私のスマホに着信があった。
高橋からのLINEで、どうやら車で学校まで迎えに来てくれたらしい。
愛原:「高橋が車で迎えに来てくれたらしい。一緒に帰るぞ」
リサ:「分かった。サクラヤ、それじゃ」
桜谷:「あ、はい。今日もありがとうございました」
私はリサを連れて、学校から出た。
リサは昇降口に向かい、私は通用口に向かう。
愛原:「退校します」
入構許可証を返却し、代わりに入構証を返却してもらう。
警備員:「お疲れ様でした」
事務室の中を覗いてみると、もう1人の警備員が巡回に行く準備をしていた。
今は教員ではなく、委託された警備員が巡回しているのだ。
公立校ではそこまで委託化が進んでいるのかは不明だが、私立校では進んでいるらしい。
愛原:「それじゃ、帰るとしよう」
リサ:「うん」
2人で駐車場の方に向かって歩く。
リサ:「先生、あそこ」
愛原:「ん?」
リサが校舎の方を指さした。
リサ:「あそこから、生徒会長が飛び下りたんだって。地面に激突して、血の海だよ。さすが金持ちの御嬢様だよね。サイトー……じゃなかった。エレンと同じような、美味しそうな血の匂いがしたよ。鬼斬りセンパイに止められなかったら、そのまま飛びついていたかも」
愛原:「オマエな……。そういうのは、自分で抑えられるようにしないと、いつまで経っても人間に戻れないぞ?」
リサ:「うん、そうだね」
愛原:「そうだねって……」
駐車場に着くと、来訪者用のスペースに商用のミニバンが止まっていた。
レンタカー会社でリースしている車である。
商用バンなのは、どこを走っていても、どこに止まっていても怪しくないからである。
覆面調査を依頼された時に車を使う場合、重宝するのだ。
こうして学校の駐車場に止まっていたとしても、何かの業者の車にしか見えないだろう。
まあ、探偵業者の車なのであるが。
大手の事務所では、タクシーをチャーターすることもあるのだそうだ。
確かにタクシーもまた、どこにいたって怪しくはない。
高橋:「お疲れ様です。愛原先生」
愛原:「ああ、ただいま」
私は助手席に乗り込み、リサはリアシートに乗り込んだ。
リサ:「えー、先生も後ろに座ろうよ?」
愛原:「いいから、リサは後ろでゆっくりしてろよ」
リサ:「むー……」
私がシートベルトをすると、高橋は車を走らせた。
高橋:「なかなか帰って来られないので、迎えに来てしまいました」
愛原:「あぁ、悪いな。思ったより、調査が立て込んでしまって……」
高橋:「それで、首尾は?」
愛原:「まあ、証拠は無い。証拠は無いが、多分、リサが犯人だろうな」
高橋:「お任せを。あとは俺が拷問で吐かせてみせます」
愛原:「いや、それはせんでいい」
リサはそんな私達の会話を無視するかのように、リアシートの後ろの荷物スペースに積まれている食材を見た。
リサ:「食べ物のいい匂い」
高橋:「おい、それは夕飯や朝飯の食材だ!勝手に触るんじゃねぇ!」
愛原:「あ、買い物もしてきたの?」
高橋:「はい。この不肖の弟子に、お任せください」
愛原:「それは素晴らしい」
高橋:「ありがとうございます!」
愛原:「じゃあ、帰って飯にするか」
高橋:「直帰ですか?」
愛原:「ああ。事務所は閉めて来たんだろ?」
高橋:「そうです」
愛原:「あ、それならいいや」
高橋:「一瞬、迷ったんスけどね」
愛原:「やっぱり、事務所と住まいは統一した方がいいかなぁ……」
高橋:「一応、不動産情報漁ってるんスけど、なかなか思うようには……」
愛原:「だよなぁ……。しかも条件が、なるべく菊川の近くだもんな」
高橋:「ですね」
[同日17:45.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
マンションに着く頃には、雨が降り出して来た。
ゲリラ豪雨だ。
愛原:「急いで入れ!」
リサ:「きゃあ!」
また台風が来るかもしれないってのに、先にゲリラ豪雨にやられるとはな。
車をマンションの駐車場に止めて、それから建物の中に入るから、やっぱり少しは濡れるものだ。
ましてや、大粒の雨がシャワーのように降るといった状況ではな……。
リサ:「あ……ヤダもう……」
リサのブラウスが濡れたことで、その下のブラが透けてしまう。
今日は体育があった為、下は黒いスポブラを着けていた。
愛原:「つったって、オマエ、よくスポブラの状態で家ん中歩いてるじゃないか」
リサ:「あれは家の中だからね。こういう所で、しかも何か透けて見えるなんて、案外恥ずかしいものだよ」
愛原:「そうなのか……」
高橋:「サーセン、お待たせしました!」
高橋が買い物袋を両手に、車から降りて来た。
愛原:「よし、それじゃ行こうか」
私達はエレベーターに乗り込んだ。
と、同時に雷がドッカーンと近くに落ちた。
幸いそれで停電になることはなかったが、それでもビックリするものである。
リサ:「あー、ビックリした。こっちも雷が怖いのに、どうしてそういう時に限って侵入者がいるんだろうね?」
愛原:「制作者側の演出だろ」
ホラー演出として雷はベタな法則だが、リサに言わせると、何もそんな天気の悪い日に来なくたっていいだろうというのが、化け物側の言い分のようである。
案の定、部屋に戻るとリサは制服から着替えたのだが、やっぱり体操服にブルマにしたのだった。
私の気を引く為のはずだが、案外気に入って着ている部分もあるのではと思ってしまう。
https://www.youtube.com/watch?v=BayW7aXI0zI
愛原:「ん?何だこの不気味な音楽は?」
私が校内を探索していると、スピーカーから音楽が流れて来た。
どうやらこれが、下校の放送らしい。
随分と不気味な曲だなと思っていたのだが、何でも“リサのテーマ”なのだそうだ。
新聞部を調査させてもらい、そこで何となく分かったのだが、リサのヤツ、下校時刻後も残っていたことがあって、まだ帰っていない女子生徒達を捕まえては、トイレに連れ込んで『老廃物』や『血液』を捕食していたらしい。
その際、リサの触手から寄生虫が送り込まれ、『捕食』された者は悉く『魔王軍』の配下になったそうだ。
私は美術室に向かった。
急に空が曇って来て、校舎内も薄暗くなってきた。
リサ:「あ、愛原先生!」
美術室からリサと桜谷さんが出て来た。
さすがに2人とも、制服に着替えている。
リサ:「あ、先生。迎えに来てくれたの?」
愛原:「生徒会長の死亡の経緯と原因を探してるんだよ」
リサ:「それは……誰かに頼まれて?」
愛原:「いや、PTA会長代行として、な」
リサ:「……あいつは勝手に死んだだけ。わたしは何も知らない」
愛原:「証拠が無いだけだ。少なくとも、俺はオマエが黒だと思ってるよ」
リサ:「むー……!」
と、そこへ私のスマホに着信があった。
高橋からのLINEで、どうやら車で学校まで迎えに来てくれたらしい。
愛原:「高橋が車で迎えに来てくれたらしい。一緒に帰るぞ」
リサ:「分かった。サクラヤ、それじゃ」
桜谷:「あ、はい。今日もありがとうございました」
私はリサを連れて、学校から出た。
リサは昇降口に向かい、私は通用口に向かう。
愛原:「退校します」
入構許可証を返却し、代わりに入構証を返却してもらう。
警備員:「お疲れ様でした」
事務室の中を覗いてみると、もう1人の警備員が巡回に行く準備をしていた。
今は教員ではなく、委託された警備員が巡回しているのだ。
公立校ではそこまで委託化が進んでいるのかは不明だが、私立校では進んでいるらしい。
愛原:「それじゃ、帰るとしよう」
リサ:「うん」
2人で駐車場の方に向かって歩く。
リサ:「先生、あそこ」
愛原:「ん?」
リサが校舎の方を指さした。
リサ:「あそこから、生徒会長が飛び下りたんだって。地面に激突して、血の海だよ。さすが金持ちの御嬢様だよね。サイトー……じゃなかった。エレンと同じような、美味しそうな血の匂いがしたよ。鬼斬りセンパイに止められなかったら、そのまま飛びついていたかも」
愛原:「オマエな……。そういうのは、自分で抑えられるようにしないと、いつまで経っても人間に戻れないぞ?」
リサ:「うん、そうだね」
愛原:「そうだねって……」
駐車場に着くと、来訪者用のスペースに商用のミニバンが止まっていた。
レンタカー会社でリースしている車である。
商用バンなのは、どこを走っていても、どこに止まっていても怪しくないからである。
覆面調査を依頼された時に車を使う場合、重宝するのだ。
こうして学校の駐車場に止まっていたとしても、何かの業者の車にしか見えないだろう。
まあ、探偵業者の車なのであるが。
大手の事務所では、タクシーをチャーターすることもあるのだそうだ。
確かにタクシーもまた、どこにいたって怪しくはない。
高橋:「お疲れ様です。愛原先生」
愛原:「ああ、ただいま」
私は助手席に乗り込み、リサはリアシートに乗り込んだ。
リサ:「えー、先生も後ろに座ろうよ?」
愛原:「いいから、リサは後ろでゆっくりしてろよ」
リサ:「むー……」
私がシートベルトをすると、高橋は車を走らせた。
高橋:「なかなか帰って来られないので、迎えに来てしまいました」
愛原:「あぁ、悪いな。思ったより、調査が立て込んでしまって……」
高橋:「それで、首尾は?」
愛原:「まあ、証拠は無い。証拠は無いが、多分、リサが犯人だろうな」
高橋:「お任せを。あとは俺が拷問で吐かせてみせます」
愛原:「いや、それはせんでいい」
リサはそんな私達の会話を無視するかのように、リアシートの後ろの荷物スペースに積まれている食材を見た。
リサ:「食べ物のいい匂い」
高橋:「おい、それは夕飯や朝飯の食材だ!勝手に触るんじゃねぇ!」
愛原:「あ、買い物もしてきたの?」
高橋:「はい。この不肖の弟子に、お任せください」
愛原:「それは素晴らしい」
高橋:「ありがとうございます!」
愛原:「じゃあ、帰って飯にするか」
高橋:「直帰ですか?」
愛原:「ああ。事務所は閉めて来たんだろ?」
高橋:「そうです」
愛原:「あ、それならいいや」
高橋:「一瞬、迷ったんスけどね」
愛原:「やっぱり、事務所と住まいは統一した方がいいかなぁ……」
高橋:「一応、不動産情報漁ってるんスけど、なかなか思うようには……」
愛原:「だよなぁ……。しかも条件が、なるべく菊川の近くだもんな」
高橋:「ですね」
[同日17:45.天候:雨 東京都墨田区菊川 愛原のマンション]
マンションに着く頃には、雨が降り出して来た。
ゲリラ豪雨だ。
愛原:「急いで入れ!」
リサ:「きゃあ!」
また台風が来るかもしれないってのに、先にゲリラ豪雨にやられるとはな。
車をマンションの駐車場に止めて、それから建物の中に入るから、やっぱり少しは濡れるものだ。
ましてや、大粒の雨がシャワーのように降るといった状況ではな……。
リサ:「あ……ヤダもう……」
リサのブラウスが濡れたことで、その下のブラが透けてしまう。
今日は体育があった為、下は黒いスポブラを着けていた。
愛原:「つったって、オマエ、よくスポブラの状態で家ん中歩いてるじゃないか」
リサ:「あれは家の中だからね。こういう所で、しかも何か透けて見えるなんて、案外恥ずかしいものだよ」
愛原:「そうなのか……」
高橋:「サーセン、お待たせしました!」
高橋が買い物袋を両手に、車から降りて来た。
愛原:「よし、それじゃ行こうか」
私達はエレベーターに乗り込んだ。
と、同時に雷がドッカーンと近くに落ちた。
幸いそれで停電になることはなかったが、それでもビックリするものである。
リサ:「あー、ビックリした。こっちも雷が怖いのに、どうしてそういう時に限って侵入者がいるんだろうね?」
愛原:「制作者側の演出だろ」
ホラー演出として雷はベタな法則だが、リサに言わせると、何もそんな天気の悪い日に来なくたっていいだろうというのが、化け物側の言い分のようである。
案の定、部屋に戻るとリサは制服から着替えたのだが、やっぱり体操服にブルマにしたのだった。
私の気を引く為のはずだが、案外気に入って着ている部分もあるのではと思ってしまう。