
西 加奈子(著)
通天閣近くに暮らす中年男「俺」と、
若い女性「私」の生活が交互に描かれていく。
この世界には多くの人々が暮らし、生きている。
その生き方は様々であって、何が正解か誰にもわからない。
私の生き方だって、他人から見れば不可解なものかもしれないし。
でも、私だけじゃない、私だって皆だって一生懸命生きている。
辺りをどう見回しても、
私の周辺には作中人物誰一人として心当たりがない。
私が気づかないだけかもしれないのだが。
最初のうちは眉間にしわを寄せながら、ではあったが、
次第に読み進めるうちに、段々と彼らとの違和感が薄れ始め、
それどころか、身近な存在に変わっていくのだ。
彼らが小説から飛び出し、生身の人間になっていく。
体温を感じ始める。
ぐだぐだで、享楽的で刹那的で、破壊的で。。。
日々を生きる、だなんてきれい過ぎる言葉だと、
日々をこなす、が、しっくりくる。
自分のことしか考えずに生きている。
愚痴を言い、悪態ついて暴れまわる。
でも、そうそう、わかるな~って共感してしまう。
嫌いではなく、共感。
型にはまった毎日から抜け出せる作品。
こんな生き方あるのかな。
あるのだよ。
ありなんだ。