Cape Fear、in JAPAN

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にっぽん男優列伝(185)佐田啓二

2013-03-22 00:15:00 | コラム
26年12月9日生まれ・64年8月17日死去、享年37歳。
京都出身。

現代のチューネン映画小僧が佐田啓二(さだ・けいじ)さんの名前を聞いて、なにを想起するかっていうと・・・

一、ひたすら圧倒的だった『喜びも悲しみも幾歳月』(57)。
これが映画だ、しかも米産にはない、この湿った感じこそ日本映画だ! と感動しました。

二、実子である俳優の中井貴一と中井貴惠。
でもそういう認識で見ないと、血の繋がりはあまり感じられないですかね。
知らなかったとしたら、ピンとくることはないと思います。(あ、でも、ちょっと似てるかも)

三、交通事故による死去。
しかしジェームズ・ディーンやグレース・ケリー、赤木圭一郎に比べると、あまり知られていないのかな・・・。


ちょっと哀しいのは、三船も宮口精二も知っている後輩が、佐田さんのことを「ピンとこない」といったことです。
彼は木下恵介の映画を観たことがないのでした。

秘蔵っ子といっていいですからね、
黒澤や小津、溝口に比べて木下恵介の映画は現代ではあまり観られていないとされています、
だから彼には「とにかく『喜びも悲しみも幾歳月』だけでも!」と強く薦めておきました。





<経歴>

早稲田大学で経済を学ぶ。
下宿先が俳優の佐野周二の家であったことから俳優業に興味を抱き、卒業後、松竹大船に入社。

映画俳優デビューは、47年。
木下恵介による『不死鳥』で田中絹代と共演、きっちりラブシーンもこなしました。

『鐘の鳴る丘 第一篇 隆太の巻』(48)、第二篇の『修吉の巻』(49)。

タイトルから「爽やかに淫靡」な感じを勝手に想像、ドキドキして観たら拍子抜けした『乙女の性典』(50)と『新妻の性典』(50)、
いま観ても新鮮な『カルメン故郷に帰る』(51)、
『自由学校』(51)、『本日休診』(52)など、松竹の看板俳優としてヒット作を連発しスターに。

そして53年、『君の名は』で春樹役を熱演、岸惠子(真知子)とのジェットコースターのような恋愛劇は多くの観客から支持を受け、スターから大スターに。

人気だけでなく実力も確かとなったのは、50年代後半から。

56年、プロ野球のスカウトという現在でも興味を引く題材を扱った『あなた買います』で、イメージにはないダークな演技を披露する。

57年、まさにタイトルがすべてを表す『喜びも悲しみも幾歳月』に主演。
この映画の佐田さんにスターのような輝きはなく、市井の民にしか見えませんでした。凄いことだと思います。

『彼岸花』(58)、『人間の条件 第一・二部』『第三・四部』(59)、『お早よう』(59)、『秋日和』(60)、『血は渇いてる』(60)。
小津の遺作『秋刀魚の味』(62)、『愛染かつら』(62)、
『モンローのような女』(64)、『暗殺』(64)、『悪の紋章』(64)。


64年、8月17日―。
蓼科の別荘から仕事のため東京に戻る予定の佐田さんの車がクラッシュし、頭の骨と右腕を骨折。
意識不明の佐田さんはすぐに病院に運ばれましたが、命は助かりませんでした。

享年37歳。
あぁ、自分より短い人生だったんだ・・・。

遺作は豊田四郎による『甘い汗』(64)。
なんとも甘美な? タイトルですが、ホンは水木洋子によるもので主演は京マチ子。
見応え充分ですし、佐田さんの悪役演技、なかなかですよ。

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明日のコラムは・・・

男優列伝、三連続です。
『にっぽん男優列伝(186)佐藤慶』

コメント (2)
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