28年12月21日生まれ・2010年5月2日死去、享年81歳。
福島出身。
黒澤には三船が居て、小津には笠智衆が居て、ジョン・フォードにはジョン・ウェインが居て、スコセッシにはデ・ニーロが居て、
そしてオオシマには、佐藤慶(さとう・けい)さんが居る。
常に主役を演じていたわけではないですが、『青春残酷物語』(60)から『愛の亡霊』(78)まで、ほとんどのオオシマ作品に顔を出し、「暗くてイビツな」彩りを与えて映画を特別なものにしています。
そう、このひとに明るいキャラクターは似合わず、ジメッとしていて、ひたすら暗く、屈折していると。
笑っているシーンがあったとして、なぜ笑っているのかというと、ひとが死んだから笑う、、、というような。
「じつは、いいひと」という意外性のあるキャラクターではなく、とことんイヤなひとであると。
いいですねぇ。
こういうひとが、映画を面白くするのです。豊かにするのです。
本人もオオシマに巡り合えて幸福だったと思っているのではないでしょうか、いまごろ、あの世で酒を酌み交わしているのかな。
※煽り気味の予告編っていうのも、時代だなぁと
<経歴>
工業学校の染織科を卒業後、会津若松市役所に就職。
同志とともに劇団を立ち上げ舞台公演を繰り返すうち、趣味では留まることが出来なくなって上京、20代なかばのころに俳優座養成所に入団する。
仲代達矢などが同期生だったそうです。
映画俳優デビュー作は、59年の『人間の條件 第3部』。
60年―オオシマに「発見」され、松竹ヌーヴェルヴァーグの誕生を高らかに謳いあげた『青春残酷物語』に出演。
メインキャストではなかったものの、以降、オオシマのゲバラたち(=オオシマ自身の発言)として活躍する。
『太陽の墓場』(60)、延々と政治論争が展開される刺激的な快作『日本の夜と霧』(60)。
個人的に最高の時代劇だと思っている『切腹』(62)、『武士道残酷物語』(63)、現代のJホラーより怖い『鬼婆』(64)、『怪談』(65)・・・って、やっぱりなんとなく、怖そうな映画への出演が目立ちますよね、顔と雰囲気がああですから。
『悦楽』(65)を経た66年、『白昼の通り魔』でオオシマ映画における主演級俳優に昇格? まぁ真の主人公はタイトルロールではなく川口小枝(=シノ)だったわけですが、佐藤さんがどのキャラクターよりも強烈だったことは確かです。
『地獄の掟に明日はない』(66)、『無理心中日本の夏』(67)、オオシマ映画の(個人的)最高峰『絞死刑』(68)、『帰って来たヨッパライ』(68)、『新宿泥棒日記』(69)、『日本の悪霊』(70)、『裸の十九歳』(70)。
ほかの監督の映画にも出演していましたが、やはりオオシマと新藤兼人が起用した佐藤さんが印象に残ります。
それからもうひとつ、このころ隆盛を極めたというのもありますが、ほとんどの出演作がATG発信であったということ。
その中心に居た俳優のひとり、だったのでしょう。
71年―オオシマがまるごと日本を捉えようとした意欲作『儀式』で、眉毛なしの怪演。
ちなみに小山明子の美しさは、このころが「究極系」だったような気がします。
『いのちぼうにふろう』(71)、『夏の妹』(72)、『やくざの墓場 くちなしの花』(76)、『愛の亡霊』(78)、
『殺人遊戯』(78)、『蘇える金狼』(79)、『太陽を盗んだ男』(79)。
81年―『白日夢』のドクトル役で愛染恭子を相手に本番行為をやってのけ、話題をさらう。
映画としての完成度はともかく、徹底してセックスとオーガズムにこだわった演出は悪くないと思います。
藤竜也もそうでしたが、本番撮影ってなぜか、女性ではなく男性のほうが話題になるのですよね。
『愛のコリーダ』(76)は相手が新人女優、『白日夢』はポルノのひとだったから、、、という背景もあるとは思いますが、なんだか面白いです。
80年代以降は基本的に画面を引き締める「大御所」として大作に出演、
『連合艦隊』(81)、『駅 STATION』(81)、『友よ、静かに瞑れ』(85)、『極道の妻たち』(86)、『浪人街』(90)、
『きけ、わだつみの声』(95)、『金融腐蝕列島 呪縛』(99)、『あずみ』(2003)・・・などなど、出演作は多数ですが、ちょっと物足りないです。
むしろ、その「低音ボイス」を活かしたナレーションのほうが印象に残るようになっていて、そうそう、傑作ドキュメンタリー『東京裁判』(83)も担当していましたね。
2010年5月2日、肺炎により死去。
享年81歳、遺作は『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)でした。
オオシマが鬼籍に入ってまもないですから、回顧上映などが続きます。
それによって、佐藤さんの演技も久し振りにスクリーンで拝むことが出来る。
映画小僧として幸福ですけれど、しかし、なんということか、きょうの文章の主人公は佐藤さんのはずなのに、佐藤さんの名前はわずかで、佐藤さんの4倍くらいオオシマの名前が出てくるっていうのは、我ながら、、、苦笑
次回のにっぽん男優列伝は、佐藤浩市さんから。
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本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『映画小僧のバラッド・・・は、なにかね』
福島出身。
黒澤には三船が居て、小津には笠智衆が居て、ジョン・フォードにはジョン・ウェインが居て、スコセッシにはデ・ニーロが居て、
そしてオオシマには、佐藤慶(さとう・けい)さんが居る。
常に主役を演じていたわけではないですが、『青春残酷物語』(60)から『愛の亡霊』(78)まで、ほとんどのオオシマ作品に顔を出し、「暗くてイビツな」彩りを与えて映画を特別なものにしています。
そう、このひとに明るいキャラクターは似合わず、ジメッとしていて、ひたすら暗く、屈折していると。
笑っているシーンがあったとして、なぜ笑っているのかというと、ひとが死んだから笑う、、、というような。
「じつは、いいひと」という意外性のあるキャラクターではなく、とことんイヤなひとであると。
いいですねぇ。
こういうひとが、映画を面白くするのです。豊かにするのです。
本人もオオシマに巡り合えて幸福だったと思っているのではないでしょうか、いまごろ、あの世で酒を酌み交わしているのかな。
※煽り気味の予告編っていうのも、時代だなぁと
<経歴>
工業学校の染織科を卒業後、会津若松市役所に就職。
同志とともに劇団を立ち上げ舞台公演を繰り返すうち、趣味では留まることが出来なくなって上京、20代なかばのころに俳優座養成所に入団する。
仲代達矢などが同期生だったそうです。
映画俳優デビュー作は、59年の『人間の條件 第3部』。
60年―オオシマに「発見」され、松竹ヌーヴェルヴァーグの誕生を高らかに謳いあげた『青春残酷物語』に出演。
メインキャストではなかったものの、以降、オオシマのゲバラたち(=オオシマ自身の発言)として活躍する。
『太陽の墓場』(60)、延々と政治論争が展開される刺激的な快作『日本の夜と霧』(60)。
個人的に最高の時代劇だと思っている『切腹』(62)、『武士道残酷物語』(63)、現代のJホラーより怖い『鬼婆』(64)、『怪談』(65)・・・って、やっぱりなんとなく、怖そうな映画への出演が目立ちますよね、顔と雰囲気がああですから。
『悦楽』(65)を経た66年、『白昼の通り魔』でオオシマ映画における主演級俳優に昇格? まぁ真の主人公はタイトルロールではなく川口小枝(=シノ)だったわけですが、佐藤さんがどのキャラクターよりも強烈だったことは確かです。
『地獄の掟に明日はない』(66)、『無理心中日本の夏』(67)、オオシマ映画の(個人的)最高峰『絞死刑』(68)、『帰って来たヨッパライ』(68)、『新宿泥棒日記』(69)、『日本の悪霊』(70)、『裸の十九歳』(70)。
ほかの監督の映画にも出演していましたが、やはりオオシマと新藤兼人が起用した佐藤さんが印象に残ります。
それからもうひとつ、このころ隆盛を極めたというのもありますが、ほとんどの出演作がATG発信であったということ。
その中心に居た俳優のひとり、だったのでしょう。
71年―オオシマがまるごと日本を捉えようとした意欲作『儀式』で、眉毛なしの怪演。
ちなみに小山明子の美しさは、このころが「究極系」だったような気がします。
『いのちぼうにふろう』(71)、『夏の妹』(72)、『やくざの墓場 くちなしの花』(76)、『愛の亡霊』(78)、
『殺人遊戯』(78)、『蘇える金狼』(79)、『太陽を盗んだ男』(79)。
81年―『白日夢』のドクトル役で愛染恭子を相手に本番行為をやってのけ、話題をさらう。
映画としての完成度はともかく、徹底してセックスとオーガズムにこだわった演出は悪くないと思います。
藤竜也もそうでしたが、本番撮影ってなぜか、女性ではなく男性のほうが話題になるのですよね。
『愛のコリーダ』(76)は相手が新人女優、『白日夢』はポルノのひとだったから、、、という背景もあるとは思いますが、なんだか面白いです。
80年代以降は基本的に画面を引き締める「大御所」として大作に出演、
『連合艦隊』(81)、『駅 STATION』(81)、『友よ、静かに瞑れ』(85)、『極道の妻たち』(86)、『浪人街』(90)、
『きけ、わだつみの声』(95)、『金融腐蝕列島 呪縛』(99)、『あずみ』(2003)・・・などなど、出演作は多数ですが、ちょっと物足りないです。
むしろ、その「低音ボイス」を活かしたナレーションのほうが印象に残るようになっていて、そうそう、傑作ドキュメンタリー『東京裁判』(83)も担当していましたね。
2010年5月2日、肺炎により死去。
享年81歳、遺作は『カイジ 人生逆転ゲーム』(2009)でした。
オオシマが鬼籍に入ってまもないですから、回顧上映などが続きます。
それによって、佐藤さんの演技も久し振りにスクリーンで拝むことが出来る。
映画小僧として幸福ですけれど、しかし、なんということか、きょうの文章の主人公は佐藤さんのはずなのに、佐藤さんの名前はわずかで、佐藤さんの4倍くらいオオシマの名前が出てくるっていうのは、我ながら、、、苦笑
次回のにっぽん男優列伝は、佐藤浩市さんから。
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『映画小僧のバラッド・・・は、なにかね』