「俺を買わぬか」
といったのは『用心棒』(61…トップ画像)の桑畑三十郎だけれど、よほどの自信がなければ、そんなことはいえない。
適度なハッタリは必要、しかし「俺を雇え」というのは、ハッタリを超えてゴーマンであるし。
これは「面白くもないのに笑うことなんか出来ない」とオーディションで答えた―という逸話が残る三船敏郎だからこそ許される台詞であって、フツーのひとが発したら即不採用になるのだろう。
こういうひとはたぶん、恋愛などにおいても自信満々な言動が出来るのだと思う。
死ぬまでにいちどくらいは、いってみたいなぁ!
ぶっ飛ばされるだろうけれど。
出来ないものを「出来る」といって採用されたことはある。
適度なハッタリだったかどうかは分からないが、
エクセルなんて起動すらしたことのなかった数年前、「使える?」と聞かれ「大丈夫です」と返し、採用の電話をもらった直後、書店に走って『エクセル入門書』なんか買ってきたり。
それでなんとか切り抜けられたからよかったが、入ってから「使えねぇ野郎だな、コイツは!!」となる可能性だってあり、ハッタリも諸刃の剣? である。
さて。
某牛丼店で深夜帯のチーフを担当していた自分は、店長が忙しいというのでアルバイトの面接を担当することになった。
ひとを見る目があるのかどうかは分からないけれど、店長曰く「最年長だから、お前に決めた」。
ありがたいことだが、受けるほうはともかく、選ぶほうの自信はないなぁ、プレッシャーだなぁ! と。
面接を担当していたのは、約半年間。
そのあいだに、30人くらいは面接したと記憶する。
最初は失敗ばかり・・・というか、店長は選考基準などのアドバイスさえしてくれず、自分の直感を信じるほかなかった。
と、店長の所為にするのはちがうか、要は可愛い子がくれば即採用! みたいにサイテーな選考を下してしまったため、
シフトに「とことん」穴を空ける子や、
「あたし、こんなこと出来ませーーん」みたいなワガママギャルをふたりも採用してしまったり、
タメ口で接客する子なんかも居たりして、もうサイアクだった。
牛丼屋はキャバクラじゃないことを学び・・・って、それは当たり前のことだが、
本人の「やる気サイン」というのを見逃さないようにして、きっちり面接するようになったのは2ヵ月後のことだった。
遅いよ、馬鹿。
そのなかで面白い子だな、と思ったケースをふたつほど。
ひとりは、志望動機の問いに対し「あまりにも暇なので、昼寝するよりは稼ぎたいと思った」と答えた、生まれてから「いちども」働いたことのない金持ちの長男くん。
ここまでくると、怒りよりも笑いがこみあげてくる。
採用しなかったけれどね!
もうひとりは、やはり「これが初めてのアルバイト」という男子だったが、
過保護な母親が面接にまで同伴しようとしてきた。
「心配でしょうけれど、外でお待ちください」
「でも、この子、きちんと受け答え出来ないかもしれませんので」
ほんとうに居るんだね、こういう子が。こういう親が。
「いや、でも、もし採用となった場合は、ひとりで接客してもらうことになりますから、その試験という意味もありまして」
「そうですか、・・・じゃあ、外で待ってますので。なにかあったら、すぐに声かけてください」
面接で、なにがあるっていうんだよ。
採用したらしたで面倒そうなので、話だけ聞いて不採用に。
面接終了後―駐車場で待っていた母親が自分に突進! してきて、菓子折りを強引に持たせる。
「どうか採用してください!」
「いや、お母さん、このあとも面接が控えていますので、連絡は明日にでも」
「ほんとうは、もう決めているんでしょ? どっち? 採用? 不採用?」
こりゃたまらんと、ルールを無視してその場で不採用と告げた。
すると菓子折りを奪い返し! 息子の手を引っ張り、無言のまま帰っていった。
最初のころの自分の面接もひどいものだが、受けにくるほうも少しは考えろよって話である。
おわり。
※トラビスの面接シーン
…………………………………………
本館『「はったり」で、いこうぜ!!』
前ブログのコラムを完全保存『macky’s hole』
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明日のコラムは・・・
『ツキと羞恥心』
といったのは『用心棒』(61…トップ画像)の桑畑三十郎だけれど、よほどの自信がなければ、そんなことはいえない。
適度なハッタリは必要、しかし「俺を雇え」というのは、ハッタリを超えてゴーマンであるし。
これは「面白くもないのに笑うことなんか出来ない」とオーディションで答えた―という逸話が残る三船敏郎だからこそ許される台詞であって、フツーのひとが発したら即不採用になるのだろう。
こういうひとはたぶん、恋愛などにおいても自信満々な言動が出来るのだと思う。
死ぬまでにいちどくらいは、いってみたいなぁ!
ぶっ飛ばされるだろうけれど。
出来ないものを「出来る」といって採用されたことはある。
適度なハッタリだったかどうかは分からないが、
エクセルなんて起動すらしたことのなかった数年前、「使える?」と聞かれ「大丈夫です」と返し、採用の電話をもらった直後、書店に走って『エクセル入門書』なんか買ってきたり。
それでなんとか切り抜けられたからよかったが、入ってから「使えねぇ野郎だな、コイツは!!」となる可能性だってあり、ハッタリも諸刃の剣? である。
さて。
某牛丼店で深夜帯のチーフを担当していた自分は、店長が忙しいというのでアルバイトの面接を担当することになった。
ひとを見る目があるのかどうかは分からないけれど、店長曰く「最年長だから、お前に決めた」。
ありがたいことだが、受けるほうはともかく、選ぶほうの自信はないなぁ、プレッシャーだなぁ! と。
面接を担当していたのは、約半年間。
そのあいだに、30人くらいは面接したと記憶する。
最初は失敗ばかり・・・というか、店長は選考基準などのアドバイスさえしてくれず、自分の直感を信じるほかなかった。
と、店長の所為にするのはちがうか、要は可愛い子がくれば即採用! みたいにサイテーな選考を下してしまったため、
シフトに「とことん」穴を空ける子や、
「あたし、こんなこと出来ませーーん」みたいなワガママギャルをふたりも採用してしまったり、
タメ口で接客する子なんかも居たりして、もうサイアクだった。
牛丼屋はキャバクラじゃないことを学び・・・って、それは当たり前のことだが、
本人の「やる気サイン」というのを見逃さないようにして、きっちり面接するようになったのは2ヵ月後のことだった。
遅いよ、馬鹿。
そのなかで面白い子だな、と思ったケースをふたつほど。
ひとりは、志望動機の問いに対し「あまりにも暇なので、昼寝するよりは稼ぎたいと思った」と答えた、生まれてから「いちども」働いたことのない金持ちの長男くん。
ここまでくると、怒りよりも笑いがこみあげてくる。
採用しなかったけれどね!
もうひとりは、やはり「これが初めてのアルバイト」という男子だったが、
過保護な母親が面接にまで同伴しようとしてきた。
「心配でしょうけれど、外でお待ちください」
「でも、この子、きちんと受け答え出来ないかもしれませんので」
ほんとうに居るんだね、こういう子が。こういう親が。
「いや、でも、もし採用となった場合は、ひとりで接客してもらうことになりますから、その試験という意味もありまして」
「そうですか、・・・じゃあ、外で待ってますので。なにかあったら、すぐに声かけてください」
面接で、なにがあるっていうんだよ。
採用したらしたで面倒そうなので、話だけ聞いて不採用に。
面接終了後―駐車場で待っていた母親が自分に突進! してきて、菓子折りを強引に持たせる。
「どうか採用してください!」
「いや、お母さん、このあとも面接が控えていますので、連絡は明日にでも」
「ほんとうは、もう決めているんでしょ? どっち? 採用? 不採用?」
こりゃたまらんと、ルールを無視してその場で不採用と告げた。
すると菓子折りを奪い返し! 息子の手を引っ張り、無言のまま帰っていった。
最初のころの自分の面接もひどいものだが、受けにくるほうも少しは考えろよって話である。
おわり。
※トラビスの面接シーン
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明日のコラムは・・・
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