Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

年末年始企画(9)ノンカラー映画10傑

2016-01-03 00:01:05 | コラム
エロは除いたとして、写真はモノクロームのほうが好き。

陰影が強調されるし、なんといったらいいのか、雰囲気が出るので。
(ときとしてエロも、モノクロームのほうがいい。繰り返し強調しておくね、あくまでも「ときとして」)

映画の世界では、どうか。

スタンダードな映画創りをすれば、現代では当然カラーとなる。

カラーが導入されたころの映画界とはちがって、モノクロームで撮るとなると「かえって」手間がかかる。
さらにいえば、モノクロームという「イメージ」だけで敬遠するひとも居る・・・ために、商業面においても「苦戦」が「前提」となってしまう。
実際、オスカーを取った『アーティスト』(2011)を、単に「モノクロームだから」という理由で観たくないというひとが、自分の周囲にもふたりほど存在したのである。

それでも、モノクロームで撮りたい。
撮りたいというか、モノクロームでなければ意味がない。

以下の映画たちは、そんな映画作家の意志・意思を最優先にして制作された10傑である。


※広義の意味におけるモノクローム映画なので・・・
パートカラー、特殊効果を用いたカラー映画も含まれる。

※※モノクロームしかなかったころの映画は、当然除外されている。


(1)『ユリイカ』(2001…トップ画像)

クロマティックB&Wという現像手法を用い、「カラーに近い」モノクローム映像を再現。

エンディングまで観ると、手の込んだ映像を採用した理由が分かる仕組みになっている。

蛇足をひとつ。
2000年以降に公開された日本映画で、本作以上にこころを動かされた作品は未だ誕生していない。

(2)『六月の蛇』(2003)

青みがかった、、、というより、青一色にちかいモノクローム映像。



ジャンル的にはポルノだが、この映像の効果でいやらしさが緩和されている。

(3)『レイジング・ブル』(80)

オープニングだけで、入場料分の価値があるかと。




(4)『おとうと』(60)

名カメラマン・宮川一夫により、映画界初の「銀残し」で現像され、「発色を抑えたカラー」のような映像を創りだした。

銀残しの技術解説は難しいので、各自ウィキペディアで。

(5)『お熱いのがお好き』(59)

トニー・カーティスとジャック・レモンの女装を「ソフトに見せるため」に、モノクロームを採用。

こういうセンスが、ビリー・ワイルダーのすごいところだと思う。

(6)『シンドラーのリスト』(93)

パートカラーの好例。



撮影監督をヤヌス・カミンスキーにしてからのスピルバーグ作品は、物語や演出がペケだったとしても、映像だけは完璧といっていい。

(7)『オズの魔法使』(39)

中盤~後半の見せ場を強調するための、技ありモノクローム。

(8)『バーバー』(2001)

常に新しいことに挑戦をつづけるコーエン兄弟が、「満を持して」っぽく撮ったモノクロームの映画は、実際にケチがつけようのない傑作だった。

(9)『黒い雨』(89)

墨のような黒い雨。
これを描くには、やっぱりモノクロームが最適だったにちがいない。



(10)『イレイザーヘッド』(77)

鬼才リンチのデビュー作。

日本の公開は81年で、この年にスコセッシの『レイジング・ブル』も公開され、映画小僧のあいだでは「スコセッシ派」と「リンチ派」に分かれたという。(園子温・談)

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明日のコラムは・・・

『年末年始企画(10)ウェディング映画10傑』
コメント (1)
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