Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(312)松重豊

2016-01-28 00:10:00 | コラム
63年1月19日生まれ・53歳。
福岡出身。

公式ブログ

地味ながらきちんとした仕事をこなし続ける、陽が当たらないタイプの俳優さんを愛でるのが好きです。

しかしときどき、なにかのきっかけによって「唐突に」目立ち始め、急に売れっ子になるケースがあります。
その代表格は大杉漣だと思いますが、映画小僧であればあるほど「このひとのよさ、今ごろ気づいたの? 自分、前から評価していたよ」などと「いいがち」です。

それが映画小僧の持つプライドだからしょうがないのですけれど、売れたのだから、そんな屈折した優越感などを誇示せず、ふつうに喜べばいいじゃないか、、、とも思ったり。

そんな「唐突に」目立ち始めた俳優のひとり、松重豊(まつしげ・ゆたか)さん。

目立つきっかけとなったのは、テレビ東京のドラマ『孤独のグルメ』(2012~、トップ画像)ですが・・・
どれだけ頑張っても報われない状況に腐り、俳優を休業していた時期もあるひとなのですよね。

建築現場で働き始めた松重さんを励まし、再び演じる機会を与えたのは「籍だけ置いていた」芸能事務所のザズウ社長。

話の分かるボスに恵まれて、ほんとうによかったですよね!!




<経歴>

明治大学文学部卒。(専攻は、演劇学)
入学当初は「創り手」を目指していたものの、数々の舞台を観劇するうちに「演じ手」に魅力を感じるようになっていったそうです。

このころ下北沢の中華料理屋でアルバイトを始め厨房に立ちましたが、同じように働き始めたのが、上京したての甲本ヒロトでした。(すごいドラマ!!)

83年、三谷幸喜が率いる東京サンシャインボーイズに所属。
86年、蜷川スタジオに入団。

大学で専攻したとおり、基本は演劇のひとなんですね。

映画俳優デビュー作は、92年の黒沢清監督作『地獄の警備員』。

『病院で死ぬということ』(93)、『青空に一番近い場所』(94)、『午後の遺言状』(95)、『新 居酒屋ゆうれい』(96)、『東京夜曲』(97)、『リング』(98)、『らせん』(98)、『カリスマ』(99)、『アドレナリンドライブ』(99)と、出演作は多岐にわたりますが、このころ松重さんに注目していた映画小僧は、さすがに少なかったと思います。

自分も、キャリアを振り返ったときに「あぁ、出ていたなぁ!」と思うくらいですもの。

しかし「使い勝手のよさ?」から、テレビドラマや映画からのオファーは絶えませんでした。
自分が「出番は少ないけど、いいツラをした俳優さんだな」と思ったのは、2001年の『EUREKA』。

主人公・役所広司の再生に「理解を示さない」刑事で、観客に不快感とリアリティを与える重要なキャラクターでしたね。

この2000年代のキャリアは膨大な数になるので、代表作をザザザッと記しておきます。


2000年…『MONDAY』『どら平太』『ざわざわ下北沢』『新・仁義なき戦い』『三文役者』

2001年…『EUREKA』『えんがわの犬』『みんなのいえ』『けものがれ、俺らの猿と』『修羅雪姫』

2002年…『FILAMENT』『DRIVE』『ロックンロールミシン』『刑務所の中』

2003年…『T.R.Y.』『ドラゴンヘッド』『ロッカーズ ROCKERS』

2004年…『着信アリ』『地球で最後のふたり』『血と骨』『レディ・ジョーカー』

2005年…『交渉人真下正義』『いらっしゃいませ、患者さま。』『亀は意外と速く泳ぐ』

2006年…『シムソンズ』『ラフ ROUGH』

2007年…『愛の流刑地』『龍が如く 劇場版』『しゃべれども しゃべれども』『図鑑に載ってない虫』『スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ』『転々』『クローズ ZERO』『スマイル 聖夜の奇跡』

2008年…『石内尋常高等小学校 花は散れども』『K-20 怪人二十面相・伝』

2009年…『ディア・ドクター』『曲がれ!スプーン』『インスタント沼』

2010年…『孤高のメス』『踊る大捜査線 THE MOVIE3 ヤツらを解放せよ!』『ハナミズキ』

2011年…『探偵はBARにいる』『DOG×POLICE 純白の絆』

2012年…『麒麟の翼 劇場版・新参者』『アウトレイジ ビヨンド』

2013年…『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』『俺俺』

2014年…『野のなななのか』『MONSTERZ モンスターズ』

2015年…『さよなら歌舞伎町』『マエストロ!』『ソロモンの偽証 前篇・事件 / 後篇・裁判』『HERO』

とくに2007年あたりの活躍は目を見張るものがありますね。

最新作は、本年公開の『星ガ丘ワンダーランド』と『グッドモーニングショー』。

最近まで『孤独のグルメ』のシーズン5が放送されていましたし、これも好評でしたので、きっとシーズン6も放送されることでしょう。

しばらく、、、というか、このままずっと好調がつづきそうです。


次回のにっぽん男優列伝は、松田翔太さんから。

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明日のコラムは・・・

『珍しい空間』
コメント (2)
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