Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(149)

2016-01-07 00:10:00 | コラム
る「す」→「す」なっく(スナック)

居酒屋は大好き。
洒落たバーも、女子に格好つけるため行かないことはない。
キャバクラも、付き合い程度に。
好みでいえば、キャバクラよりもガールズバーだけど。

まぁ酔いどれなので、酒の置いてあるところには「大抵」顔を出す。

けれども、スナックにはなかなか行かない。
というか、行けない。
行ったとしても、連れがその店の常連であった場合のみ。

気軽に入っていける気がしないのである。
あれに似ているのかな、女子ひとりで牛丼屋に入っていけない感覚に。

座って呑み始めれば、周りも気にならないのだけれども。
それまでの流れがイマヒトツ分からないので、呑みに行く場合でもスナックは選択肢から漏れてしまうのであった。

スナックとはスナックバー(snack bar)の略で、簡単にいえば「カウンターのある飲食店」を指す。
だからガールズバーも、ほんとうはガールズ・スナックバーということになるのだろう。


スナックの登場する映画は沢山ありそうで、それほどでもない。
そのなかで最も印象的だったスナックはふたつ、『青春の殺人者』(76)と、『3-4X10月』(90)である。

前者は、両親殺しを描いた長谷川和彦の衝撃デビュー作。
主人公を演じた水谷豊はスナックを営んでいるが、この店は親のものである。
その手伝いをしているのが、幼馴染のケイ子(原田美枝子)という設定だった。

自分はこの映画を中学生のころに観て(物語に)大変なショックを受けたが、それと同時に、ケイ子みたいな子が働いているのだとすれば、



スナックってよいところだなぁ、、、と思ったものである。

それ以上に鮮烈な印象を残したのは、後者のスナック。

ガタルカナル・タカが経営する「古くさい」スナックに、一見さんの男女4人がやってきた。

「シンガポール・スリングをひとつ~」
「あるわけ、ないない!」
「じゃ、水割りで~」

とふざけた調子の男女に「作り笑い」で接客していたタカだが、

女のほうがトイレに立ち、「くさい~。くさいから、我慢する~」と戻ってくると、

灰皿で女を殴り、

「お前なんか野グソしてればいいんだよ!」

と、いい放ったのである。

はっきりいって、スッキリした。
と同時に、こんなスナックには(当たり前だが)行きたくないと思った。

北野武は好んでスナックを取り上げている、いちばんの映画監督かもしれない。
『3-4X10月』では沖縄のスナックも登場、
『ソナチネ』(93…トップ画像)の「突発的な」銃撃戦もスナックを舞台にしていた。


ほかの映画でも、スナックが登場しない「わけではない」。
最近では『映画 みんな!エスパーだよ!』(2015)に、板野友美がホステス役でカメオ出演していたりもしたのだが、どうも印象に薄い。
板野ちゃんがどうこうではなく、スナックである必然性が感じられないのだ。

たぶんこの場面は、ファストフードでもファミレスでもよかったんじゃないか。


スナックの独特な空間が活かされた映画が、もっと誕生すれば面白いのにね~。


※原田美枝子、このとき17歳




あすのしりとりは・・・
すなっ「く」→「く」わいがわまーち。

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明日のコラムは・・・

『シネマしりとり「薀蓄篇」(150)』
コメント (1)
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