~追悼、デヴィッド・ボウイ~
デヴィッドの名のつく表現者には鬼才・異端児が多い。
リンチにフィンチャー、クローネンヴァーグ、そしてボウイ。
日本には「デヴィッド」フリークを自称する識者(柳下毅一郎)まで居て、じつは自分もそう名乗りたかったりする。
そんな、デヴィッド・ボウイが死んだ。
ニューアルバムを発表し、日本で大回顧展の開催が決定したばかり。
唐突に過ぎて哀しさには襲われず、なんというか、ふわふわした感じがつづいている。
ミュージシャンとしての功績は訃報で散々取り上げられるだろう。
だから自分は映画小僧として、俳優ボウイのキャリアを振り返ってみたいと思う。
※きゃりーPPによる、ボウイ・コスプレ…悪くないね
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/59/c9431948466388bc7ccd1a41c84142cf.jpg)
スクリーン映えする男だった。
映画への参加は自分が生まれる前年の73年、ドキュメンタリー『ジギー・スターダスト』から。
一世を風靡したミュージシャンだからドキュメンタリーも創られることだってあるだろう、
しかし映画業界は、ボウイのなんともいえぬ存在感を放っておかなかった。
76年、カルトSF『地球に落ちて来た男』に主演。
哀しき運命を背負う宇宙人を怪演する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/d5/c57a3f773c9987bbf8ab681fe9464213.jpg)
この英国人に「美しき強さと脆さ」を見たオオシマは『戦場のメリークリスマス』(83)に起用、
それまでは音楽好きのあいだで有名なだけだった華奢なロックスターは、日本人の顔馴染みとなったのである。
86年、「日本でのみ」アイドルとなっていたジェニファー・コネリーが主演するファンタジー『ラビリンス』に出演、
主題歌も担当したボウイ様は、冗談のようなコスチュームで王様を演じた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/ad/3cbe5430ef85a4b9d456ddbfb6fd1e2b.jpg)
駄作にはちがいないが、なんとも憎めないB級映画である。
88年、スコセッシがキリストを描いた『最後の誘惑』で、ピラト総督を好演する。(トップ画像)
キリスト処刑に関与した人物だった。
ウィレム・デフォーはキリストそっくりだし、
バーバラ・ハーシーはマグダラのマリアをキャリア最高の美しさで演じ、
裏切り者ユダに扮したハーベイ・カイテルの演技は印象に残るものだった・・・が、ボウイの冷たい感じも悪くなかった。
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(92)ではFBI捜査官を演じ、謎多きドラマを「さらに」謎めいた感じにすることに貢献、
『バスキア』(96)ではアンディ・ウォーホールを「そっくり」に演じた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/40/fea41daaa64d7ffc9b4bfb06ea06791a.jpg)
2009年―低予算で撮られた『月に囚われた男』という映画が公開される。
海外版の予告編を観たときには気づかなかったのだが、日本公開直前になって、監督ダンカン・ジョーンズがボウイの実子であることが分かった。
父親とはちがった才能を宿している、そんな風に確信出来る佳作に触れて、これから互いが刺激しあって作品を発表していくのだろうな、、、とワクワクしたものである。
ガンであることも知らなかった。
知っていることといえば、(繰り返しになるが)最近ニューアルバムを発表したばかり、ということと、来春の日本で大回顧展が開催されるということ、、、くらいである。
自分はずっと、「男に抱かれるとしたら、デヴィッド・ボウイがいい」といっていた。
ほんとうだって、友人たちに聞いてみるがいい。
まぁボウイが拒否するだろうが笑、
これほどの女好き? にそう思わせる、性別を超越した魅力がボウイにあったのはたしかなことなのだ。
デヴィッド・ボウイ、16年1月10日死去。
享年69歳。
合掌。
…………………………………………
明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(309)松尾貴史』
デヴィッドの名のつく表現者には鬼才・異端児が多い。
リンチにフィンチャー、クローネンヴァーグ、そしてボウイ。
日本には「デヴィッド」フリークを自称する識者(柳下毅一郎)まで居て、じつは自分もそう名乗りたかったりする。
そんな、デヴィッド・ボウイが死んだ。
ニューアルバムを発表し、日本で大回顧展の開催が決定したばかり。
唐突に過ぎて哀しさには襲われず、なんというか、ふわふわした感じがつづいている。
ミュージシャンとしての功績は訃報で散々取り上げられるだろう。
だから自分は映画小僧として、俳優ボウイのキャリアを振り返ってみたいと思う。
※きゃりーPPによる、ボウイ・コスプレ…悪くないね
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/42/59/c9431948466388bc7ccd1a41c84142cf.jpg)
スクリーン映えする男だった。
映画への参加は自分が生まれる前年の73年、ドキュメンタリー『ジギー・スターダスト』から。
一世を風靡したミュージシャンだからドキュメンタリーも創られることだってあるだろう、
しかし映画業界は、ボウイのなんともいえぬ存在感を放っておかなかった。
76年、カルトSF『地球に落ちて来た男』に主演。
哀しき運命を背負う宇宙人を怪演する。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0a/d5/c57a3f773c9987bbf8ab681fe9464213.jpg)
この英国人に「美しき強さと脆さ」を見たオオシマは『戦場のメリークリスマス』(83)に起用、
それまでは音楽好きのあいだで有名なだけだった華奢なロックスターは、日本人の顔馴染みとなったのである。
86年、「日本でのみ」アイドルとなっていたジェニファー・コネリーが主演するファンタジー『ラビリンス』に出演、
主題歌も担当したボウイ様は、冗談のようなコスチュームで王様を演じた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4f/ad/3cbe5430ef85a4b9d456ddbfb6fd1e2b.jpg)
駄作にはちがいないが、なんとも憎めないB級映画である。
88年、スコセッシがキリストを描いた『最後の誘惑』で、ピラト総督を好演する。(トップ画像)
キリスト処刑に関与した人物だった。
ウィレム・デフォーはキリストそっくりだし、
バーバラ・ハーシーはマグダラのマリアをキャリア最高の美しさで演じ、
裏切り者ユダに扮したハーベイ・カイテルの演技は印象に残るものだった・・・が、ボウイの冷たい感じも悪くなかった。
『ツイン・ピークス/ローラ・パーマー最期の7日間』(92)ではFBI捜査官を演じ、謎多きドラマを「さらに」謎めいた感じにすることに貢献、
『バスキア』(96)ではアンディ・ウォーホールを「そっくり」に演じた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/71/40/fea41daaa64d7ffc9b4bfb06ea06791a.jpg)
2009年―低予算で撮られた『月に囚われた男』という映画が公開される。
海外版の予告編を観たときには気づかなかったのだが、日本公開直前になって、監督ダンカン・ジョーンズがボウイの実子であることが分かった。
父親とはちがった才能を宿している、そんな風に確信出来る佳作に触れて、これから互いが刺激しあって作品を発表していくのだろうな、、、とワクワクしたものである。
ガンであることも知らなかった。
知っていることといえば、(繰り返しになるが)最近ニューアルバムを発表したばかり、ということと、来春の日本で大回顧展が開催されるということ、、、くらいである。
自分はずっと、「男に抱かれるとしたら、デヴィッド・ボウイがいい」といっていた。
ほんとうだって、友人たちに聞いてみるがいい。
まぁボウイが拒否するだろうが笑、
これほどの女好き? にそう思わせる、性別を超越した魅力がボウイにあったのはたしかなことなのだ。
デヴィッド・ボウイ、16年1月10日死去。
享年69歳。
合掌。
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明日のコラムは・・・
『にっぽん男優列伝(309)松尾貴史』