Cape Fear、in JAPAN

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『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

シネマしりとり「薀蓄篇」(200)

2017-03-22 00:10:00 | コラム
みく「ろ」→「ろ」ーあんぐる(ローアングル)

小津安二郎の映画には、神の視点が宿っていた。

けれども小津映画の神は「ごろん、と横になって」人々の生活を眺める穏やかなタイプであった・・・だから、ローアングルを多用していたと評する識者が居た。

なーるほど、面白い解釈だなぁと。

ローアングルとは簡単にいえば、低い視点で被写体を捉える撮影技法のこと。

映画ファンの8割が、ローアングルのことばで小津を想起するはず。
そのくらい、小津映画の一大特徴だった。


映像を観たほうが早いだろう、これはオーソン・ウェルズによる怪作『市民ケーン』(41)におけるローアングル・ショット。




キャラクターの視点と同じくらいの高さで捉えるショットに比べ、「ふつうでない」感じがよく表現されているかと。

こんな「ふつうでない」感じのショットを多用し、「ごくふつう」の物語を紡いでみせた小津って、やっぱり(よい意味で)ヘンクツだったのだなぁと思ったり。


コスプレを職業とする「えなこちゃん」を取材したことがある。



露出の多い彼女たちを悩ませるのは、ローアングルばかり狙ってくる一部カメラ小僧だろう。

低い視点から全体を捉えるのは構図として「あり。」だけれども、ファインダーを覗いてみたら「股間のドアップ」だったりするわけで。

彼女はプロだから「ある程度は、仕方ない」と思っているらしいが・・・。


そうなんだ、いわゆる「エロ系」盗撮の手口のほとんどが、このローアングルである。

未だ「そんな恰好をしている女も悪い」という意見があるのは驚きだが、女子高生やギャルはキチガイのためにそんな格好しているわけじゃないしね。

小津映画の神も、きっと怒っていることだろうよ。

だから気持ちは分かるが(分かるんかい!!)、肉眼で「ちら見」する程度で我慢しようよ。

その程度であれば、彼女たちだって「しょうがない」と許してくれるはずだから。


さて映画の話に戻って。

「気をつけて鑑賞」するようにすれば、あの映画にもこの映画にもローアングル・ショットを確認することが出来る。

キューブリックのこのショットとか、まさにそうだし、



コーエン兄弟やQTタランティーノ、クリストファー・ノーランの映画などなど。

・・・なんか、分かり易いでしょう?

つまり野心的な監督ほど、いろんな撮影技術を駆使する傾向にあるというわけです。


次回のしりとりは・・・
ろーあんぐ「る」→「る」ーくすかいうぉーかー。

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明日のコラムは・・・

『Smiley』
コメント (1)
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