Cape Fear、in JAPAN

ひとの襟首つかんで「読め!」という、映画偏愛家のサイト。

『Cape Fear』…恐怖の岬、の意。

にっぽん男優列伝(208)宅麻伸

2013-10-16 00:30:00 | コラム
56年4月18日生まれ・現在57歳。
岡山出身。

元夫人の賀来千香子も回文っぽい名前で面白い? し、
宅麻伸(たくま・しん)さん本人も、なんというか、まぁ多くのひとがいうでしょうが「たくましい」に似ていて覚え易いといいますか、これで距離がグッと縮まる? みたいなところがあります。

どうなんでしょう、芸名ですから、少し狙ったところはあるのでしょうか。
そんなことはないのか、たまたまに過ぎないのかな・・・と思うのは、男前に過ぎて、そんな冗談を思いつかない、思いつく必要がない、、、なんて気もするからです。

ただ、意外と癖のあるキャラクターを演じることが多いのですよね。
男前なのに。
いまCSのTBSで再放送している『金八先生』の第8シリーズ(2007~2008)でも、娘に理解を示さない政治家の父親を演じていますもの。
男前なのに。(しつこい)

いや、男前だから・・・なのか。

永島敏行に少し感じが似ている(似ていますよね? そう思いません?)ということで、映画を中心にやってもらえればもう少し親近感が湧くのでしょうけれど、なんとなくテレビドラマのひとという印象が強いですね。
『課長島耕作』(93~98)的な。


※FOMA登場により、ムーバというのも消えてしまったね~




<経歴>

高校卒業後に上京し、テレビドラマで俳優デビューを果たす。

映画俳優デビュー作は、82年の『誘拐報道』。
一時期、しょっちゅうテレビ放映していた記憶がありますが、最近はぜんぜんですね。
レンタルが身近になって以降の映画のテレビ放映って「ありかた」そのものが変わりました、だからこそ、若いひとがなかなか触れないこの時代の映画をばんばん放送してほしいなぁと。

『日本海大海戦 海ゆかば』(83)、『零戦燃ゆ』(84)、
84年版の『ゴジラ』、『ブラックボード』(86)、『226』(89)・・・ここまで記して、あぁそうか、近代ドラマなどでは軍人役がとても似合うひとなんだなぁと思います。
ガタイ的にもちょうどいいのでしょうね。

ミュージシャンの小田和正が初監督した『いつか どこかで』(92)、『極道の妻たち 赫い絆』(95)、『八つ墓村』(96)、『30 thirty』(97)、『極道の妻たち 地獄の道連れ』(2001)、
『ミスター・ルーキー』(2002)、『ゴジラ×メカゴジラ』(2002)、
大杉栄を演じた『およう』(2002)。

代表作を挙げるとするならば、個人的には『およう』でしょうか。
竹久夢二(熊川哲也)と伊藤晴雨(竹中直人)に愛されたモデル(渋谷亜希)を描いた団鬼六の小説『外道の群れ』の映画化で、宅麻さんは主演というわけではなかったですけれど、熱演されていたと思います。
大杉栄ですからね、気合も入っていたのではないでしょうか。

『戦国自衛隊1549』(2005)、『タッチ』(2005)、なんか妙なタイトル『それでもヤクザはやってくる』(2007)、
『僕らのワンダフルデイズ』(2009)、『ロストクライム ―閃光―』(2010)、
そして最新作が、来年公開予定の『相棒 劇場版III』。

北野武さん、もし『アウトレイジ』の3作目を撮る予定がありましたら、ぜひ宅麻さんを起用してください。
けっこう似合うと思いますよ、北野映画に。


次回のにっぽん男優列伝は、竹内力さんから。

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にっぽん男優列伝(207)田口浩正

2013-10-15 00:30:00 | コラム
67年10月8日生まれ・現在46歳。
福岡出身。

公式プロフィール…そうか、ホリプロさんでしたか

周防正行の映画のなかでいちばん好きなのは、モックンが坊さんに扮した『ファンシィダンス』(89)です。
モックンも鈴木保奈美も好演していたけれど、最も笑ったのは「ふとっちょの俳優さん」による、カラオケボックスのシーンでの「焼肉の替え歌」でした。

存在感というか、とぼけたおかしみというか、抜群だと思いました。
後年、この替え歌を披露した田口浩正(たぐち・ひろまさ)さんが元芸人さんだということを知り、なるほど、あのおかしみはそこからきていたのか・・・と。

芸人時代の相方は、あの芋洗坂係長。(同期は「さまぁ~ず」)
お互い、ピンで成功したことになりますけれど、このふたりがボケとツッコミをやっていたなんて、なんか想像しただけで笑っちゃいます。
いま見てみたい気もするけれど、そんな安いバラエティ的な企画なんか、やらないほうがいいのかな。想像で止めておいたほうがいいのかもしれませんよね。


ふとっちょ―デブ、とはいいたくないです、なんとなく笑―の眼鏡さんって、もうそれだけで「いいひと」感マックスですよね、
でも田口さんのいいところは、イヤなヤツも無理なく演じられるところ―だったりします。

基本的にはコメディリリーフとして作品の「隅のほう」でクスッとする笑いを提供することが多いですが、もっともっと目立ったキャラクターを演じてもいい気がします。


※こんなCMにも出演、やっぱり独特なおかしみがあります




<経歴>

劇団東京乾電池の第1期研究生になったころ、のちに芋洗坂係長となる? 小浦一優と出会い、お笑いコンビ「テンション」を結成。

映画俳優デビュー作は、前述した『ファンシィダンス』。
92年にはコンビを解消し、俳優一本でやっていくことを決意します。

『シコふんじゃった。』(92)、『オールナイトロング』(92)、
伊集院光が演出をする『ファットマンブラザーズ~百貫探偵~』(95…でもはっきりいって、ぜんぜん面白くなかったです)、
そして、周防監督の『Shall we ダンス?』(96)で体型にコンプレックスを持つ中年を好演。
レッスン中、渡辺えり子に罵倒されて泣き出す―この演技で田口さんを知ったひとも多いのではないでしょうか。

『ラヂオの時間』(97)を経た98年、『MIND GAME』で映画監督に初挑戦。
悪くはなかったですが、これ一本だと監督の手腕とかは評価出来ないですねー。

『のど自慢』(99)、『きみのためにできること』(99)、
『恋に唄えば♪』(2002)、『フライ、ダディ、フライ』(2005)、『妖怪大戦争』(2005)、『大奥』(2006)、
『それでもボクはやってない』(2007)、『チーム・バチスタの栄光』(2008)、『僕の彼女はサイボーグ』(2008)、『おっぱいバレー』(2009)。
出演作はそれほど多くはないですね、しかしどの作品でも独特な存在感を発揮していると思います。

最新作は、来年公開予定の『偉大なる、しゅららぼん』。
万城目学の原作小説を映画化したものですが、ここでもコメディリリーフでしょうか。
そろそろ堂々の主演、しかもサイテーな主人公、、、みたいな映画も観たいところです。

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にっぽん男優列伝(206)田口トモロヲ

2013-10-14 01:00:00 | コラム
57年11月30日生まれ・現在55歳。
東京出身。

公式サイト

全世代の? 男子が(引退する)AV男優の加藤鷹のことを呼び捨てにせず「鷹さん」と敬意をこめていうように、
30~40代の映画小僧、音楽好き、サブカルチャーマニアは田口トモロヲ(たぐち・ともろを)のことを呼び捨てにしません。

皆が皆、トモロヲ様という。

たぶん。

たぶん、ですけれど。

少なくとも自分はそうで、NHK『プロジェクトX』(2000~2005)のナレーションを務めてその名が浸透する以前の80~90年代前半、このひとは前衛、アングラの雄だったわけです。

そのころトモロヲ様は、純粋に正しく狂っていました。

塚本晋也の想像を絶する世界観に形を与えたのは、あるいはトモロヲ様だったのかもしれません。
やり過ぎ演技のためにオオシマやイマヘイから怒鳴られつつ、それでいてメジャー/マイナー双方の監督からの信頼は厚く、(受け手から見て)ぜんぜんイメージの湧かない岩井俊二や大林宣彦の映画にも出演しました。

メジャーからマイナーまで。
主役からカメオ出演まで。

とても穏やかな感じのひと―に見えますが、音楽家としてはパンクバンド「ばちかぶり」のボーカルを担当し、(いい意味で)筆舌に尽くし難い? パフォーマンスを展開していました。

好き嫌いは置いておいて、ヒトコト、すげぇな! と思います。


※代表作といえば、やっぱりこれでしょう。
『桐島、部活やめるってよ』では、橋本愛が「なんか、マニアックな映画」と評していました。

それは、そのとおり笑




<経歴>

俳優のほかに、ナレーター、ミュージシャン、映画監督としての顔も持つ。

なぜか? 獨協大学経済学部に入学・・・するも中退。
劇画やイラストなどのアルバイトで生計を立てつつ、小劇場や自主映画などに積極的に参加する。

映画俳優デビュー作は、82年の『俗物図鑑』。
筒井康隆の傑作を桂千穂の脚本で映像化したものですが、四方田犬彦まで出演させておいてこれか? みたいな出来でした。

ほぼ同じ時期に音楽活動にも興味を示し始め、84年に「ばちかぶり」を結成する。


まずは、2000年までの映画キャリアをドドドッと。

地味なサラリーマンが鉄化する過程をざらついたモノクロームで捉えた『鉄男』(89)、
そんな男の「もうひとつの物語」をカラーで描く傑作『鉄男II BODY HAMMER』(92)、
『オールナイトロング』(92)、石井隆の「復活」作『ヌードの夜』(93)、『愛の新世界』(94)、『KAMIKAZE TAXI』(95)、
『打ち上げ花火、下から見るか? 横から見るか?』(95)、『あした』(95)、『スワロウテイル』(96)。

『弾丸ランナー』(96)では主役を演じて監督デビューとなるSABUを全面サポート、まるでハーベイ・カイテルのような存在になる。
『うなぎ』(97)、『ポストマン・ブルース』(97)、『東京日和』(97)、
三池監督がタイトルが気に入っただけで撮った『FULL METAL 極道』(97)、
『アンドロメディア』(98)、『カンゾー先生』(98)、市川準が「間違って」撮ってしまった『たどんとちくわ』(98)、
『日本黒社会 LEY LINES』(99)、『双生児』(99)、『DEAD OR ALIVE 犯罪者』(99)。

オオシマ入魂の『御法度』(99)、『バレット・バレエ』(2000)、『MONDAY』(2000)、『弱虫(チンピラ)』(2000)・・・などなど、これ実際の半分以下ですから、そーとー人気者というか、1年で制作される日本映画の1割以上に出演していたことになると思います。けっしてオーバーではなくてね。

94年―漫画家のみうらじゅん(トップ画像左)とユニット「ブロンソンズ」を結成、様々な表現活動をおこなう。
ユニット名はもちろん、チャールズ・ブロンソンからきています。

では、2001年以降の映画キャリアを。

イマヘイの『赤い橋の下のぬるい水』(2001)やSABUの『DRIVE』(2002)、塚本の『六月の蛇』(2003)などでは常連俳優として安定した? 演技を披露、
『AIKI』(2002)、『刑務所の中』(2002)、『ヴァイブレータ』(2003)、『春の雪』(2005)、『カミュなんて知らない』(2006)、『やわらかい生活』(2006)では、大きな役であれ小さな役であれ、なんらかのインパクトを残す好演・怪演。

ここまで書いてきて思うのは、作品の出来がどうあれ、トモロヲ様の演技に関しては、いちども失望したことがない―ということです。

『ゆれる』(2006)、『龍が如く 劇場版』(2007)、『あしたの私のつくり方』(2007)、『オリヲン座からの招待状』(2007)、『クライマーズ・ハイ』(2008)、『石内尋常高等小学校 花は散れども』(2008)、『少年メリケンサック』(2009)。

2004年、『アイデン&ティティ』で映画監督デビューを飾る。
原作は、みうらじゅんの漫画です。
2009年の監督第2作『色即ぜねれいしょん』(2009)もそうでしたが、青春のモヤモヤを描かせたら天下一品ですね。

10年代も好調をキープ。
『GANTZ』『GANTZ PERFECT ANSWER』(2011)、
『軽蔑』(2011)、『探偵はBARにいる』(2011)とその続編(2013)、
『苦役列車』(2012)、『黄金を抱いて翔べ』(2012)、『その夜の侍』(2012)、『中学生円山』(2013)、そして最新作は、まもなく公開の『ルームメイト』(2013)。


トモロヲ様を知りたければ、とりあえず最近の日本映画を観ましょう―つまりは、そういうことなのです。

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青い影、赤い公園

2013-10-13 03:35:25 | コラム
日本でおこなわれる格闘技の興行が減少しているから・・・だろうか、音楽関係の取材が増えた。

映画ほど精通しているわけではないものの、偏りはあるが音楽も好きだし、よく聴くほうだと思う。
繰り返す、偏りはあるが。

ただアイドルも聴きつつ邦洋ロックもOK! というスタンスは、じつはあまり偏っていないのかもしれない。
「これしか聴かない、これは聴いたこともない」というわけではないのだから。

音楽の情報・知識は主にFMラジオ、それからバンドをやっている友人たちから手に入れる。
あとはあれだ、リンチやQT、フィンチャーやスコセッシなど、映画界のなかでもとくに耳のいい監督と評されているひとの映画に触れていれば、いま最高にエッジなミュージシャン、過去の掘り出し物などに自然と詳しくなったりする。

自宅で原稿を書く際は、ラジオの聴けるサイト「radiko」を起動させ、J-waveかNACK5を聴いている。
大抵が深夜であり、この時間帯はミュージシャンが番組を担当していることが多く、実際、そこでクリープハイプや星野源、オズを知った。

ただ、ひとが歌う音楽は原稿執筆の妨げにはならないが、ひとが喋るのを聴くのはダメなんだよね。そっちに耳を持っていかれるから、ぜんぜん書けなかったりして。
だから、ちょっと面倒ではあるが、音楽が流れると音量を上げ、喋るコーナーだと下げたりしている。

書くことに集中しろってね。

執筆と相性がいいのは、やはりインスト。
つまりひとの歌声のない楽器のみで構成された音楽で、とくにマイケル・ナイマンの曲を流すと、オーバーでもなんでもなく、ことばが弾むように紡ぎだされていく。

2番目に相性がいいのは、50~70年代の米国産ロック。
ストーンズはもちろんだが、プロコム・ハルムの『青い影』なんて執筆のために創られた曲なのでは? と思うほど、とっても相性がいい。

じゃあナイマンか『青い影』を流し続けろ?
まぁそうなのだが、ときどき飽きてしまうから、いろいろ聴いてみたくなるのだ。


取材の多い職種を順に挙げると・・・

AV女優

AV監督

映画監督

グラビアアイドルなど

ミュージシャン

格闘家

・・・となる。

1位のAV女優は、はっきりいってケタがちがう。
自分がモテているんじゃないか・・・と錯覚を抱くほどにAV女優と話したり酒呑んだりしている。

いい意味で? アケスケな子が多いから、その感覚でミュージシャンと対峙するとヤケドしてしまう。
映画監督もそうだが、なかなかこころを開いてくれないひとも多いのだ。
あまりに馴れ馴れしいと「いいたいことは、曲にすべて表現されているから」なんていわれて、あとは無言を通されることだってある。(実際に、そういうことがあった)

まぁそれは、自分がインタビュアーとして技術がないというだけの話かもしれない。
日々、勉強しております。

で、先日取材をしたのがガールズバンドの「赤い公園」である。

ノッポが居たりミニミニな子が居たりアニメ声だったり、バラバラ感の際立つ彼女らだが、歌とパフォーマンスは好みだ。
というか、彼女たちが生み出す音楽は意外にも執筆と相性がよく、最近はラジオがつまらないなぁと感じたら、彼女たちのCDを流すようにしている。

『青い影』から、赤い公園まで。
うん、まぁ、偏りはないかな。・・・たぶん。

音楽好きが着ているTシャツ「NO MUSIC、NO LIFE」とまではいかないけれど、
やはり音楽がないと、この世はつまらないし、いいモノも書けない気がしてきたよ。





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Creature Show

2013-10-12 00:33:47 | コラム
出来立てホヤホヤのシナリオは、軽犯罪ばかりを繰り返していた青年が殺人事件を起こしてしまう過程を、雑誌記者のインタビュー構成で展開していく―という物語。

冒頭5ページは、殺害描写がこれでもかと続く。
イメージとしてはリンチの『ワイルド・アット・ハート』(90)の冒頭だが、シナリオは小説ではないので、ここまでねちっこく描写する必要はなかったかな。

小悪党のなかにも潜んでいた怪物性―みたいなものが表現出来れていればいいのだが、そこらへんの評価は自分でやっちゃいけない、専門家に任せておかないと。


怪物性を扱った映画といえば、公開中の日本映画『凶悪』がまさにそうだ。
俳優3人―山田孝之、ピエール瀧、リリー・フランキー―の熱演によって、そーとー見応えのある力作に仕上がっていたが、
結局、いちばん怖くて厄介なのは人間だよと・・・そういう話なのだと思う。

見た目のおぞましさを凌駕する、ヒトの闇の恐ろしさよ!

ヒトの怪物性のなにが厄介かというと、関係性を築いていかないと「それ」が見えないところ、、、なのだろう。
映画に登場する「分かり易い」見た目の怪物というものは、まぁすべてがそうだとはいわないが、ヒトの闇を実体化したものだ―という考えがある。
「ある時代の」ホラー映画の裏テーマが人種差別だったという歴史的事実もあるわけで、その考えは正しいと思う。


以下に挙げた10作品に登場する怪物たちは、上記のような「実体化したもの」もあれば、そうでないものもある。
共通するのは、醜く、敵意に満ち満ちていて、ひたすら恐ろしい―ということだろうか。


(1)『ポゼッション』(81…トップ画像)

美女イザベル・アジャーニが妄想のなかで生み出したとされる、「でっかいタコ」のような怪物が登場する。

アジャーニと「でっかいタコ」のセックスは一見に値する。

(2)『デッドリー・スポーン』(83)

80年代に量産された「クダラナステキ」なB級ホラーのなかでも、一際異彩を放つ珍品。

無数の牙を持つ「ヒト喰い」モンスターが登場。

(3)『イレイザーヘッド』(77)

リンチ、伝説の処女長編作。

エイリアンのような赤ちゃんが出てくるが、
よく知られているように、この物語は貧乏映画小僧だったリンチが彼女の妊娠を知り、パニックに陥ったことをヒントにして生み出されたものである。

(4)『スターシップ・トゥルーパーズ』(97)

でっかい昆虫が登場。
あんな連中に突き刺されて死ぬくらいなら、自ら命を絶ってやろうと思う。

いや、マジでマジで。

(5)『ロボコップ』(87)

広義の意味で捉えれば、彼もまた怪物である。

気の毒な、真に気の毒な犠牲者ではあるけれど。

(6)『ゴジラ』(54)

日本代表は、これで決まり。

異論はほとんどないだろうし、この怪物は「人間の闇の実体化」にほかならないのだから。

(7)『裸のランチ』(91)

喋るし、なんか脚まで生えてくるタイプライター。

気持ち悪いのに、なんとなくエロティック。

(8)『鉄男』(89)

ヒトから、怪物へ―。

鉄化していく過程は「たいへん痛そう」だが、完全に鉄男になると、なんかそれはそれで、楽しそうだぞ。

(9)『エイリアン2』(86)

卵を守ろうとするエイリアン・クィーンの威厳と異形と。

いま観ても造形というかデザインは斬新、H・R・ギーガーって、ほんとうすごい。

(10)『グエムル』(2006)

韓国代表。

なかなか怪物を見せないところはスピルバーグ的でもあり、
怪物誕生の真相はゴジラ的でもあり、監督は映画をきっちり勉強してきたひとだと思う。


※Creature(怪物)とCreep(俗語で、気味が悪いヤツ)は、意味がちがうけれど、
世界で3番目くらいに好きなこの曲の「Creep」は、どちらかというと「Creature」的な意味合いが強いのではないか、、、なんて、勝手に思っている。




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