
所属している俳句結社「童子」には、各地に句会があります。
その句会ごとに、作品集を出す場合があるのですが、このたびは、川越句会のものです。
つき当たればここも寺なり夕永き 辻 桃子
神域をぬければ冬日あたたかし 安部元気
泥あれば泥に休みてあめんばう 佐藤明彦
桃咲くやその頃来よと言はれて来 高橋晴日
甘すぎる鏡開きの汁粉かな 清水雪花
新涼の墨をたつぷり含ませぬ 岩本 桂
籠に置く出張鞄初湯殿 大野 宥之助
行く春の品川宿の札所かな 岡部 郁
吹降りのいつしかあがり小豆粥 梶川みのり
乳呑み子の寝返つたるや煤籠 草野小像
幕間や触れてほめあふ薄衣 斉藤小桐
保育器の子の足うごく聖夜かな 柴田けふこ
でこぼこのありてでこぼこ蟻の列 志村喜三郎
五六個や春の帽子を積みあげる 杉山美加
賢治忌や銀河のやうな草の露 草露そろ
涅槃絵や悲しみのさま生き生きと 永松 史
溶けてなほ抱きあつてゐる雪の像 西村小市
聖堂の椅子に座布団寒の入り 柳川えみり
全集の一巻どこへ書を曝す 吉田 空
それぞれが20句ほどにエッセイがついていて、お会いしたことのない方でも、その人となりが見えるようです。何よりメンバーが月一回集って切磋琢磨し、楽しく俳句をやっているのだなあと伝わってきます。
私が幹事をしている多摩センター句会も、合同句集をいつか作れたらいいのですが・・・。何しろ幹事がいつもバタバタしていて。でもこういうのをいただくと、心が動きます。
辻桃子主宰の句はめずらしく字余りですが、川越の小路に入ってしまった感がでているなあと思いました。「永き日」「日の永き」ではなく「夕永き」としているところ、さすがです。安部元気副主宰の句は、神域(つまり神社ってことか?)はひんやりとしていたのかなという連想が生まれ、佐藤明彦編集長は、泥という場にあめんぼうが休んだ瞬間をとらえいる。
マンネリから脱却できずにいる俳人にとっては刺激になりました。
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