たそがれオヤジのクタクタ山ある記

主に北関東の山を方向音痴で歩いています。山行計画の参考にされても責任は負いかねます。深慮せず軽く読み流してください。

本口沢から備前楯山

2011年11月23日 | 足尾の山
◎2011年11月23日(水)

<鉱山神社前空き地(8:58)……橋渡り(9:02)……尾根取り付き(10:05)……備後楯山(10:23)……備前楯山(10:30~10:43)……沢出合い(11:05)……車道(11:51)……駐車地(12:03)>

 終日曇りの予報だったので、どこかに行く予定にはしていなかったが、昨日の夜になって、終日晴れ予報に転じてしまった。中日の休みなので、遠出はせず、足尾の備前楯山に行くことにした。今年に入って、もう3度目となる。今回は、まだ歩いていないコースに挑戦してみよう。

 旧足尾町の商工会がホームページで紹介する備前楯山のコースには6コースある。①船石登山道 ②本口沢コース ③学校口コース ④有越山コース ⑤小滝の里コース ⑥金龍山コース である。「コース」とはいえ、今は、①のハイキングコースがメインになっていて、他のコースを歩く人は物好き以外はまずいない。歩く人がいないから、廃れ、荒れている。金龍山コースに至っては危険が伴う。以前歩いた学校口コースですら、ルートを間違え、切れ立った岩峰歩きを体験し、肝を冷やしてしまった。このコース以外にも、今年1月にハイトス氏と歩いた南尾根ルートや、小滝の里コースで登った際に下った南西尾根ルート(もっとも、このルート歩きは「オッサンの山旅」の後追いだったが)もある。また、本口沢コースから派生する大田沢コースなるものもあるが、これは沢ツメゆえに別世界。自分には範疇外。前置きが長くなったが、②本口沢コースだけは歩いたことがない。

 本口沢は、備前楯山の北東、25000分の1地形図に「出川」と記された「川」の字が置かれたところから派生する沢だ。南西に向かい、1106mの石垣山を通る備前楯山・東尾根に合流する。ちなみに、本口沢からすぐに南東に分岐する沢が大田沢で、石垣山から、この沢を覗いたことはあるが、とても素人では無理なガレた沢。

(先ずは出川を渡る)

(この砂防ダムは右から簡単に巻いて越えられる)


 以前、鉱山神社前には駐車場があったと記憶しているが、関係者以外立入禁止の柵が置かれていた。少し戻り、車が5~6台置けそうな空き地に車を置いて出発。この先、船石峠方面には適当な駐車地はない。足元選びに悩んだが、ガレ場歩きが続くらしいし、ゴム長では、ヘタすればゴムが裂ける可能性もある。久しぶりに登山靴にした。すぐに車道から分かれ、作業道に入り、出川にかかる橋を渡る。眼前に、荒涼とした風景が広がる。目の前は砂防ダム。平成15年完成の碑が置かれていた。作業道はダムの上で終点になる。使われてはいず、草ボウボウになっている。何となく緊張する。ずっとガレ場(正確には斜度がきつくはないからガラ場だろうが、ここではガレで通す)が上まで続いている。

 商工会の紹介文には、本コースは「ヘルメット着用」と記されている。そんなものは持っていない。気にはなっていたところに、来る途中でワークマンが早々に店開きをしていて、つい立ち寄り、ヘルメットを買ってしまった。2000円。「電工用」と記された札が付いていた。どうせなら「トビ用」が欲しかった。スタイルは余り気にしない質だし、あれば、災害時にでも役立つだろう。使うことはないだろうなと思っていたが、遠くで、落石の音がする。思わず被ってしまった。この不気味な乾いた音は尾根に上がるまで3回聞いた。日常的に崩れているのだろう。前女峰山を歩いた時も、ひっきりなしに落石があった。不気味な音だ。

(鉱山神社をアップで。でも見えにくいが)

(ガレ場歩きがずっと先まで続く)


 沢の石は大きく、歩きやすいとはいかないが、意外に安定した歩きができる。大田沢が左に分かれる。しかし、こんな大量の石、どこから流れてきたのだろう。不思議で仕方がない。鉱山の採掘から出たとは思えない。丸い石も目立つし、見た目は普通の石だ。左右を見上げると、もう岩クズだけでかろうじて成り立っているような岩峰が続いている。こんなところから、落石をもろに受けたら、ひとたまりもない。振り向くと、男体山が見え、山腹に鉱山神社が見えた。ここは日陰になっていて、写真を撮っても、近辺が真っ暗になってしまう。空を見上げると、大きな鳥が旋回している。頭部が白い。鷲だろうか。

(大田沢はここから分岐する)

(周囲の岩山)


 落石の緊張歩きが続いているせいか、汗がちっとも出ない。沢は次第に狭まっていく。上に行くにつれ、石に霜が付いていて、これが結構滑る。さらに気を引き締める。傾斜は緩やかなので、谷底に落ち込むといった危険はないだけでも助かる。大田沢ではこうはいかないだろう。3歩進んで2歩ズルズルか。枯れてはいるが、草木が目立つようになる。上に横に張り出した尾根が見える。備前楯山はまだ見えない。手前に岩屑の山がある。ヘルメットもそろそろお終いでいいだろう。

(鉄パイプの残骸)

(ガレ場もそろそろ終わりか)

(備前楯山)

(備後楯山のピークはこんなもの)


 ようやく、左手に取り付けるくらいまで小尾根が迫って来た。この小尾根を辿れば、備前楯山の東尾根に通じるはず。しかし、まだガレ場は続いている。どちらが楽か。このまま行くとする。錆びて折れ曲がった鉄のパイプが石の間から出ていた。続けて2本。何に使ったものか。ガレの間にヤブが出てき、小尾根が正面に回り込んできたので、上がるとしよう。上がるまで、結構、密な細木だらけのヤブ。小尾根に上がると、踏み跡が上に続いていた。踏み跡といっても、この辺は、草木も枯れたままだから、相当に古いものであっても、隠れたり消えたりすることはないだろう。古河のマークの付いた標石があった。予定では、備後楯山(備前楯山の南東隣接ピーク)の手前で東尾根に上がるつもりでいたが、踏み跡は直登になっていた。ここまで、さらに備前楯山まで、標示の類は一切なし。廃道として、撤去されたのかもしれない。大分前、この東尾根を歩いた時は、何枚かの標示板を散見したのだが。

(備前楯山山頂に到着)


 一歩きで備前楯山。いつもの見慣れた光景。前日光連山には雪が見えない。オバサンが2人、ラーメンかウドンでもつくるのか、湯を沸かしていた。しばらく休む。ここからの下りは、1月にハイトス氏と来た際、ハンター氏が北側に下って行くのを見かけ、どこに至るのだろうと不思議だったのだが、今日は、それを確かめに行く。ここで、地形図の下調べで錯覚をしていたのに気づく。ハンター氏は1061mポイントに至る尾根を下ったとばかりに思っていたが、山頂から、その尾根には直結していない。地形図の「備前楯山」の「楯」の字に隠れた部分がどうなっているのか。もし、行けたとしても、本口沢を歩いて尾根を見上げた限りでは、ガレ場の急峻な岩場歩きになるであろう。あれではとても歩けない。命がけになる。

(すぐに安心して歩ける尾根になった)

(こんなポリ袋が)


 山頂の展望盤の脇を尾根伝いに下る。比較的下りやすい。足元もしっかりしている。いくつか小尾根が分岐するものの、不安で、しっかりした尾根を追う。疎林でヤブもない。しばらく下って、気になってコンパスを見ると、北西に向かっている。このままでは船石峠付近に出てしまう。それでは車道歩きも長くなる。出来れば、右手、北東に下りたい。やがて、尾根が二分した。北東に向かう、雑な感じの尾根に乗り換える。さっきから、人の踏み跡が続いていたが、それはそのまま北西に下っていた。少し下ると、ドリンクのビンが枝に引っかけてあったり、白いポリ袋が木に結わえたりしているのを見かけた。歩いている人もいるんだ。ハンターの残し物だろうか。やがて、尾根は切れ、沢に落ち込んでしまった。

(沢に降り立った)

(この滝下りは無理だった)


 沢とはいえ、涸れ沢だった。石がゴロゴロしているが、歩きにやっかいなわけでもない。このまま下って行けば、出川の本流に出るだろうと高をくくった。いくつか沢が入り込んだ。水もチョロチョロながら出てきた。水の様子を見ていると、どうもこの沢筋、伏流のようだ。チョロチョロは流れになった。何となくやばい感じ。小滝になった。ここは巻きもせずに難なく通過。しばらく行くと、今度は無理な滝になった。水も多くなり、直角に落ちている。左右の脇には足場なし。戻って、右岸の岩場に登る。ここもまたストーンと落ちている。よく見ると、何ということはない。この岩場の下に、並行して涸沢がある。さらに上流に戻って通過。その間、岩場の登り下りで危ない思いをした。何とかクリアし、ほっとしたら、すぐにまた伏流になった。不思議な沢だ。

(このダムで沢から上がる)

(車道に出る)


 谷間を歩きながら、左に這い上がれば、車道に出ることは分かってはいるが、尾根を一つ越えないといけない。せっかく伏流になったのだから、このまま沢伝いがいいかもしれない。そのまま下る。やがて、左側に車道の法面が見えてきた。もうこの辺で合流していいやと、斜面を車道方面に登ると、その先は下って、さらに登るようになっている。ちょっと早かったみたい。これでは汗をかきそうだ。沢に戻って、さらに先まで行こう。そのうち、石塁を見て、涸れ沢はダムになった。この先は最早、無理。ストレートに車道に上がる。投棄物だらけの斜面。電子レンジが転がっていた。

(駐車地)

(鉱山神社は二重になっていて、これは奥社)

(鉱山神社から、本口沢方面を望む)


 車道歩き10分程度で駐車地に到着。あっけない3時間歩きだった。参考タイムも何もないので、最低5時間はみていた。最初から最後まで慎重に歩いたので、落石の用心を無視して歩けば、2時間半もかからないだろう。しかし、気分的に疲れた。せっかくだから、ザックもそのままに鉱山神社に向かう。鳥居を過ぎると、途中で道が分からなくなった。案内板もない。適当に高みに出たら、反対方向に神社があった。下って登ってヤブをかき分けて着いた。明治の寄進なのに、落ちぶれた、荒れた神社になり果てていた。めったに訪れる人もいないのだろう。栄枯盛衰の思いだ。階段も傾いている。そして、こんなところにまで、真新しい、那智青岸渡寺の御札が置かれていた。駐車地の側のブロックに腰をかけて、ラーメンをつくって食べた。朝は気温が2℃だったが、今は15℃。かいた汗がひんやりする。

 これで、備前楯山に関しては、東西南北に一通り歩いてみた。もう、このこだわりも終わりにしておこう。危険でない、別の知らないルートがあったら歩いてみたいが、船石峠からのルート以外の歩きを、まずはネットでみることのない山だ。ハイトスさんの打ち出の小槌で、妙案ルートでも出していただこうか。実は、下りで一時的に使った北西尾根が気になり出したりしている。これではきりがないな。たかが備前楯の話なのに。

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6 コメント

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ハイトスさん (たそがれオヤジ)
2011-11-25 20:53:50
ヘルメットの話なんか、特にないですよ。場違いな落石除けの被り物に過ぎませんから。そんなにヘルメットに凝っても仕方がないですしね。
ハイトスさんの食指云々というよりも、あの大田沢よりも傾斜は緩く、谷に落ちて行くといった沢ではないですから、むしろ、短時間で疲れもせずに歩けますよ。意外とあっさりと東尾根に着いてしまったので、拍子抜けといった感じでした。
1061m峰、大分、感心がおありで。今度行きますか?その節は、北西の尾根から下ってみましょう。どうもきりがないですね。
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たかが備前楯 (ハイトス)
2011-11-25 12:45:37
まだまだありますねぇ。
自分は今回歩かれた本口沢コースはあまり食指が動かないのです。
何故かと云うと前にたそがれさんとこの東尾根を下ったときに見下ろした沢、たぶん大田沢コース?をみてここは勘弁勘弁と思ったからですねぇ。自分にはとても登れそうに無いと思った。
自分的には残りは北尾根だけと思っておりましたが1061峰は結構厳しそうに見えたとのこと。
しかし今回足尾のRRさんのコメントにありますので益々足を運んでみたくなりましたよ。
ヘルメットの話は後日直接聞くことにしましょう。
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足尾のRRさん (たそがれオヤジ)
2011-11-25 08:45:41
いやぁ、うれしい限りです。噂の足尾のRR氏からのご訪問を受けるなんて。
何ともお恥ずかしい足尾の山行記ばかりで恐縮至極ですよ。
さて、貴重なご助言ありがとうございます。やはり、二股を左に行くと、峠の近くに下りるのですね。あそこなら、自分でも歩けそうですから、次に歩いてみますよ。
しかし、あの1061mピークを往来するなんざ、RR氏もタダ者ではありませんな。それも、寝不足時に限りとは。何ともはやです。
あの尾根に乗るには、東側に戻るということですね。トビ用のヘルメットを入手してから考えましょう。
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ぶなじろうさん (たそがれオヤジ)
2011-11-25 08:34:21
いやいや、僭越ながらです。
足尾のRR氏の歩きの足元にもおよびませんし、私には、老眼交じりの近眼で、大きなヒダしか目に入りませんよ。集大成なんて公表したら、赤恥ものですわ。
下りコースについては、小尾根や岩場、沢が入り混じって、地形図もややこしくなっていますが、車道が傍を走っているという安心さからか、沢伝いにそのまま下ったのですが、そんな安心感がなかったら、おそらく、山頂まで戻ったでしょう。
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本口沢から備前楯山 (足尾のRR)
2011-11-25 05:20:14
はじめまして、何時もブログ楽しく拝見させていただいております。自分も寝不足等であまり無理をしたくない時は本口沢近辺の岩稜から備前楯山によく登ります。(たそがれオヤジさんのいう危険な岩稜です)この近辺は大変眺めもよく、素晴らしい歩きが楽しめます。1061mピークは本口沢出会いの右の尾根上で、下半分はヤブ混じりの岩稜、上半分はつつじとリョウブの密ヤブとなり備前楯山頂上の東側に突き上げます。下りに利用された尾根は二俣を左に行けば舟石峠のすぐ下の出川源流に出る事ができます。ではまた足尾のレポートを楽しみにしております。
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Unknown (ぶなじろう)
2011-11-24 22:21:52
今晩は。
色々なコース取りができるもんなんですねぇ~。心底感心してしまいます。ただ、下りコースは全く把握できませんでしたよ。備前楯山の一つ一つのヒダが頭に入っているのだろうなぁ~と想像してしまいます。
できれば、集大成的なコース図を発表されていただきたいものです。
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