ハートマンはフォーマルなスタイルに着替えた。スペースパーティに潜入するのだ。指定の場所は宇宙貿易組織GEALMA(ゲアルマカンパニー)の新社屋完成パーティ会場だった。
次々とマイクに向かい祝辞を並べ立てる招待客を横目で見ながらドリンクを三口ほど飲んだところで、いつからそこにいたのか、隣のストゥールから女が誘いかけてきた。
「ねえあんた、踊らない。」
魅力的な声だ、だが人工的に合成された響きだ。
言葉を交わさなければ全くアンドロイドとは気づかないだろう。いやアンドロイドではないのかも知れない。
地球なら目のやり場に困るようなコスチューム。美しい完璧な女のボディを柔らかくくねらせている。体にぴったりとフィットしたスパイダーマイカ(蜘蛛の糸を合成した繊維)の耐酸ウエアー。長すぎない黒い髪。やや濃いめのペールオレンジの肌。地球人好みの柑橘系フェロモンコロンが控えめに薫る。
「踊るだけでいいのかい?俺は金もGEALMAのトレードパスも持ってないぜ。」
「あたしをその辺にいるAI(ロボットの蔑称=おマシーン)と一緒にしないで。ダンスもできないセックスマシーンがいいんならそうすれば。」
女は口をとがらせたが、目は笑っている。
「悪かった。こんな場所に踊ってくれる娘がいると思わなかったんだ。」
「いいわ。あなた地球人ね。感じでわかるの。」
「君はアンドロイドじゃないね。その声はどうしたんだ?」
「いまいましいけど声だけAI(おマシーン)ってわけ。それもいいんじゃない?あたしは結構気に入ってるのよ、この声。セクシーだと思わない?。名前はミリンダよ。」
スローなサックスの曲で踊りながら不思議な感覚に陥っていくハートマン。
「君と以前どこかで会ったことあるかい?」
何かを思い出しかけているような気がする。腰を抱いて揺れながら、久しぶりに暖かく開放されていく気持を味わっていた。
「どうかしらね。」
女は一瞬動きを止め、ハートマンを見つめた。ふふっと含み笑いを見せ、キスを誘った。照明の落ちたエントランスにLS(Lovers-ship-zone=恋人達の船)のホログラムが、妖しく浮かんでいる。2度目のディープキスの後、二人は無言のままパステルピンクににじむLS-zoneに向かった。
次々とマイクに向かい祝辞を並べ立てる招待客を横目で見ながらドリンクを三口ほど飲んだところで、いつからそこにいたのか、隣のストゥールから女が誘いかけてきた。
「ねえあんた、踊らない。」
魅力的な声だ、だが人工的に合成された響きだ。
言葉を交わさなければ全くアンドロイドとは気づかないだろう。いやアンドロイドではないのかも知れない。
地球なら目のやり場に困るようなコスチューム。美しい完璧な女のボディを柔らかくくねらせている。体にぴったりとフィットしたスパイダーマイカ(蜘蛛の糸を合成した繊維)の耐酸ウエアー。長すぎない黒い髪。やや濃いめのペールオレンジの肌。地球人好みの柑橘系フェロモンコロンが控えめに薫る。
「踊るだけでいいのかい?俺は金もGEALMAのトレードパスも持ってないぜ。」
「あたしをその辺にいるAI(ロボットの蔑称=おマシーン)と一緒にしないで。ダンスもできないセックスマシーンがいいんならそうすれば。」
女は口をとがらせたが、目は笑っている。
「悪かった。こんな場所に踊ってくれる娘がいると思わなかったんだ。」
「いいわ。あなた地球人ね。感じでわかるの。」
「君はアンドロイドじゃないね。その声はどうしたんだ?」
「いまいましいけど声だけAI(おマシーン)ってわけ。それもいいんじゃない?あたしは結構気に入ってるのよ、この声。セクシーだと思わない?。名前はミリンダよ。」
スローなサックスの曲で踊りながら不思議な感覚に陥っていくハートマン。
「君と以前どこかで会ったことあるかい?」
何かを思い出しかけているような気がする。腰を抱いて揺れながら、久しぶりに暖かく開放されていく気持を味わっていた。
「どうかしらね。」
女は一瞬動きを止め、ハートマンを見つめた。ふふっと含み笑いを見せ、キスを誘った。照明の落ちたエントランスにLS(Lovers-ship-zone=恋人達の船)のホログラムが、妖しく浮かんでいる。2度目のディープキスの後、二人は無言のままパステルピンクににじむLS-zoneに向かった。