うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

今日は長いかもです。

2016年08月24日 | 日記

私の元に、また新たな棒がやってきた。

 おはようございます。

 

以前、父から貰った土産の棒達をご紹介しましたが、

今回は、姉家族が行った旅行のお土産の棒です。

「イッタンモメン孫の手」

私の元に、父から姉から、どんどん棒が集まってくる。

さすが、親子ですね。

 

で、どこに旅行してきたかとお申しますと、

島根か鳥取か、とにかくそこら辺に行ってきたそうです。

良かったですね。 

 

今年のお盆休みは、姉は秋田にも登山をしに行ってきたそうで、

それがとても、大変だったと語り始めた。

「泣きそうを通り越して、もう呆然としながら登ったの。」

という姉の言葉に、私は痛く共感を覚えたのだった。

 

あれは、今から数えて27年前、高校2年生の時の事。

詳細な記憶は薄らいでいるが、

確か、こんな感じだっただろうか・・・

 

我が母校には、正確には修学旅行がなく、代わりに合宿訓練なる行事があった。

といっても訓練とは名ばかりで、自然に触れようといった趣旨のもの。

高原を散策したり、牧場でソフトクリームを食べたりと、

それなりに、のんびり楽しい合宿訓練だとOBから聞いていた。

 

そして、我々も2年生になり合宿訓練が始まった。

・1日目、登山。

<登山って?散策ではないの?話が違うぞ!>

スクールジャージと学校指定の通学靴の我々は戸惑いつつ、

せめてもとタオルを首に引っかけて山へ挑んだ。

そこそこ傾斜もある、足場の悪い登山道に、

セブンティーン達から文句が飛び始める。

「靴がスポスポ脱げちゃいます~」

「あの子がもう3回、転んでますけど止まって~」

その文句を聞きながらガイドの山男さんの背中は、

「無駄にしゃべるな!疲れるぞ!」と語っていた。

案の定、数分後、我々は無言でひたすら山の頂きを目指すのだった。

そして我々は、合宿場に戻り、2段ベットでプランを見直し気付いた。

今年の合宿訓練は、OB達が経験してきた場所や趣旨とはすべてが違う。

散策やソフトクリームなど、遊びは一切ないのだという事を。

 

・2日目、トレッキング

<嘘やん、全然トレッキングじゃないやん。岩登りやん!>

昨日の山登りで、我々の筋肉はすっかり疲弊していたが、

やはり昨日と同じ格好で、岩場に挑んだ。

岩を登りながら、悲鳴以外の声が出せる心と体に余裕のある者は

ガイド山男さんだけだった。

「そこ、絶対落ちるなよ。しがみ付け!」

きつい傾斜の岩場では、首に掛けたタオルや、

足を守るための通学靴が、我々の足枷となる。

「僕の歩いたポイントを忠実に辿って歩け。落ちるぞ!」

右を見れば断崖絶壁。悲鳴の声すら失う。

「ここだ・・・ここは、滑落した登山者が数人出たポイントだ。」

 我々は、震え上がるも、さすがに疑心暗鬼で互いを見合った。

まさか、いくらなんでも、この軽装の女子供に、

本気で危険な場所で岩を登らせる学校があるかい。

山男の冗談だろうと思った。

が、山男は一瞬片手を岩から離し、崖の下めがけて拝んだ。

その姿を観た我々は、

死んでる、ここで人が死んでる、と確信をして、

そのポイントを通過する時、とにかく拝んだのだった。

日が暮れ始めると同時に、豪雨に遭う。

ずぶ濡れのまま、岩場にしがみ付く我々は、泥まみれで合宿場へ急いだ。

急いだが、それ以上に慎重さが必要な足場に苦しめられ、

やっとの思いで合宿場へたどり着いた時には、すっかり日が暮れていた。

生きてる、私達生きてる。

我々の心は、その一心だった。

だか、はしゃぐ者は誰一人居らず、その顔は、みな角が取れた仏の様だった。

ようやく休めるのかと安堵したのも束の間、

学年主任であり、この地獄のプランを立てた張本人でもある、体育教師スギヤンの声が飛ぶ。

「今から、地元のお年寄りと、藁草履を作るぞ~!」

その声に、仏と化したセブンティーン達は、泥だらけのまま、

大広間へと厳かに向かっていく。

仏と化したセブンティーンの中に文句を言う者は誰も居なかった。

仏達は、もう無の境地にいた。

 

待ち受ける爺様に、微笑みながら頭を下げる仏達は、

そのまま座り込み、何の躊躇もなく藁を掴んだ。

その時だ。

「もう無理!私、もう、こんなの無理ーー!」という悲鳴。

仏達が藁をこよりながら見つめる声の主は、

すべてのプランに同行した、20代後半の女性教師だった。

女性教師は、そのまま泣きながら、スギヤンに詰め寄って行く。

「こんなプラン、あり得ない!生徒達を見てよ。

ずぶ濡れで泥だらけのまま、まだ藁草履を作れと?あなたは馬鹿ですか!」

 

揉め出す大人達をしり目に、仏達は思った。

早く、藁草履を完成させよう。それだけだった。

仏達には、もう煩悩はない。

大人達が涙ながらに言い合うという奇異な場面に出くわそうと、

仏達の心は、もう乱れはしない。

目の前の藁を草履に形作る事しか、頭になかったのだった。

 

その後、私が正気に戻ったのは、ようやく家に帰ってからだった。

お土産は?と家族に聞かれて、気付いた。

山に籠っていた故、土産など・・・これしかないのだ。

ドロが付いた、藁草履。

しかも、片足。

ちょっと待てよ!

執拗なまでの地獄のプランを立てたくせに、

なぜ、最後の最後で、我々に1足作らせてくれなかったのだ?

スギヤン、あなたは、馬鹿ですか!

 

あや「おばちゃん、山を舐めるなよ」

 

あや「そうでしょ、おたま?」

 

おたま「ふぇ?」

 

おたま「そうそう、山を舐めるな」

なんか・・・むかつく!