私は、生粋のテレビっ子だ。
目覚めた瞬間、テレビを付ける。
それが、毎日の習慣だ。
そんな我が家が、昨日、一変した。
おはようございます。
なんかぁ、テレビがぁ、
壊れちゃったんですよぉ。
テレビが無い生活に呆然とする私は、
思わず頭を抱えて、へたり込んだ。
「あれ?頭が痛い。頭頂部を押えると若干痛いぞ。」
頭を打った記憶を辿ってみることにしよう。
どうせテレビが観られないのだから、絵も描いてみよう。
弊社のトイレは、女子用・男子用と分かれていたりしない。
トイレは和式トイレ1個なのだ。
といっても、普通ならば、それほど不便を感じないはずなんだ。
内勤は、事務員の私を含めて、僅か5人の運送会社だ。
ドライバーさんは、運転が仕事だから、社に居る事はほとんど無い。
無いはずなのに、なぜか私がトイレに入ると、
決まって、アイツとニアミスをする。
アイツとは、ドライバーの腕毛という男だ。
私がトイレに入って、しゃがむと、聞き覚えのある足音が近付いてくる。
このトイレは、会社の玄関の横にあるが故、外の音もよく聞こえる。
やっぱり来たな、腕毛め!
おっと、今日は走って来たぞ!
これは、トイレを我慢して仕事を済ませてから、
会社に入るなり、用を足すパターンだな!
外から急いで戻ってくる腕毛が、確認もせず
トイレのドアノブをガチャガチャするかもしれんと思うと、
私は居ても立っても居られなくなる。
だから、私は音を立て始めるんだ。
「私はここよ、ここに居るのよ」という思いを込めて、
ペーパーホルダーをカチカチ・カチカチ鳴らす。
更に、足音が迫ってくる。
「届け~、この思い、腕毛に届け~」と言わんばかりに、
しゃがんだまま、足をパタパタ鳴らす。
ついに、玄関ドアを開ける音がした。
「来る。腕毛が来る!」と、私は焦った。
ガチャガチャされたら、気まずい。
いやもっと恐ろしいのは、
腕毛の腕力によって、トイレのドアが開いてしまうかもしれんという事だ。
「無理。これ以上、とどまれない」と恐怖に囚われた私は・・・
急いで、立ち上がろうとして
頭頂部を、ぶつけたのだった。
そういえば、
あやさんも、ドスっとくるよね~
スンスン
スリスリ
なぜだか、切れ気味
ドス!
ドス!
毛を逆立てて
変なテンションになる。
どゆこと?ねぇ、どゆこと?