うめと愉快な仲間達

うめから始まった、我が家の猫模様。
犬好きな私は、チワワの夢を見ながら、
今日も癖が強めの猫達に振り回される。

赤い髪の女

2017年02月03日 | 日記

大人の女性を演出したくて、

伸ばしていた前髪が、

ようやく顎にまで届き、考えるのです。

 

おはようございます。

 鏡に映る、伸ばした前髪を見て、考えてしまう。

サラッと垂れくる髪をかき上げる様は、

さぞや、いい女風に見えるだろう。

しかし、

出掛ける時は、毎日、金八スタイルだ。

 

髪が垂れてくるのが、邪魔で仕方がないからだが、

これでは、

前髪を伸ばしたメリットが、一切感じられない。

 

行き詰った私は、

軽く見積もっても、私より100倍は女子力が高い隣のデスクの熟女に、

前髪を切った方がいいのかと、問うてみた。

「そうねぇ、前髪がある方が、若々しくなるわね。

でも、ちょっと前髪をサラッと垂らしてみて。

うん、そうしていると、お洒落に見えるわね。そうしていればだけどね。」

 

そうしていられないから、金八なんだよ、熟女さん。

どうしても邪魔になるから、ロバート秋山なんだよ、塾女さん。

 

そんな事を心で連呼していたら、蘇ってきたんだ。

ショートヘアにしたいという願望が。

 

私は、昔からベリーショートに憧れがある。

いつか試みたいと思いながらも、勇気がだせないでいる。

なぜならば・・・・

 

若い頃のことだ。

巷でベリーショートが流行り、

私もやってみたいと友人と話し合った事がある。

そんなある日、電話が鳴った。

それは、その友人からの電話だった。

 

電話に出るなり、彼女は興奮した様子で話し始める。

黙って聞いてみると、どうもベリーショートを試みて、

それが失敗したという事らしい。

私は呑気に、先陣を切っただけでも、凄い勇気じゃんと称えたが、

彼女は、「おかっぱ、会って見て欲しいの。どうすればいいか、聞きたいの。」

と言う。

髪を短くした自分を、見慣れないだけだと慰めたが、

彼女は、「そんなレベルじゃないの。もう事件なの。助けて。」

と、縋ってきた。

 

もちろん、すぐ会う事にした。

私は、彼女が大げさなだけだろうと踏んではいたが、

決して、笑ったりからかったりは、しないように、

そう自分に言い聞かせつつ、待ち合わせ場所へと車を走らせた。

 

約束した喫茶店の駐車場に着くと、

こちらに手を振りながら駆け寄ってくる人がいる。

えっ?誰?

あのスカートを履いてる、赤い角刈りの人、誰?

 

猛然と駆け寄ってくる、その角刈りは、

ついに、私の車の前へ到着した。

あかん。

見たら、あかん。

 

私は、うつむいた状態で車を降り、彼女に声を掛けようとした。

何食わぬ様子で「久し振り~」と、声を掛けようとしたが、

久しのひの字も言えぬまま、下を向いて震えるしか、術が無かった。

 

必死な彼女は、そんな私に構うことなく、詰め寄ってくる。

「ねぇ、見てよ、これ!ねぇ、ちゃんと見てって。」

 見たらあかん。

 

一言でも口を開いたら、笑いしか出て来ない状況で、

それでも私は、うつむいたまま、小声で聞いてみた。

 

髪・・・赤いの・・・なんで?

「だって、カットとカラーリングというコースで予約したんだもん。

そのコース、キャンペーンでお安くなってたんだもん。」

 

彼女は、角刈りになった後、そのままカラーリングに挑んだのだ。

すげー、すげーよ。

あんた、すご過ぎるよ。

 

「おかっぱ!笑ってるでしょ?」

すまん、

察してくれ。

 

「よし、分かった。一旦、気が済むまで笑え!」

彼女の許しを得た私は、

涙を流しながら、ひたすら笑うこと、約5分。

 

「もういいわね。さあ、アドバイスをしてちょうだい!」

そう言われて、私は涙を拭きながら、

角刈りを指さし、懸命に言葉を発した。

 

か・・・どを・・・

「え?何?」

 

そ・・・そのカドを・・・

角刈りの、そのカドを取ってもらって~~

 

私は、やっとの思いでそれだけを伝え、

再び腹を抱えて、跪いたのだった。

 

美容師さんとの意思疎通がうまく行かないと、

時に、こういう事になるんだなって、

肝に銘じた私だった。

 

よね「直して~」

どうした?

 

ああ、めくれてるのを直せってか?

 

よね「直して~」

布は直せるが。

 

よね「早く直して~」

髪は、切ってしまうと、直すのに時間掛かるしな。

そもそも、髪質が硬いからって、

雨上がりの蛍原さんのようにならショートに切れますって

言われたしな。

 

はい、直りましたよ。

どうぞ、よねさん。

 よね「もう、ここに落ち着きました」

そだよな。

危険な橋、渡っても、

私は、キノコにしかなれないんだよな。