私は、決して運に恵まれた人間ではない。
ただ、九死に一生運は、ある方なのかもしれない。
おはようございます。
あぁぁ、もうダメだ~の手前の結果を得ることが多いのだ。
ハンバーガーショップで、
お持ち帰りした紙袋を持ったまま、ドブにはまった時もそうだった。
深いドブに片足をごっそりはめて、恥部を強打した。
ただ事では済まされない痛さだった。
あぁ、もうダメだ~っと叫ぼうとしたが、
紙袋は何事もなかったかのように、安定を保ったまま、
私の手に乗せられていた。
ドブにはまったまま、
「すごくない?これ、すごくない?」と友人に言ったものの、
もはや、そんなことは、どうでもいい!
私の体はどうなんだ?
私の恥部は、どうなってしまったんだ?
と、恐る恐るドブから脱出し股を確認したところ、
ジーパンがバッサリ破れていた。
さらに目を凝らすと、恥部は無傷だった。
わお、九死に一生!
行ってきますっと言って玄関から出て2秒後、
マンションの階段を転げ落ちた時もそうだった。
映画、蒲田行進曲の階段落ちのヤスに負けず劣らぬ落ちっぷりだった。
ただならぬ音に気付いた母さんは、玄関のドアを開けて見ている。
私は思わず、「銀ちゃん、かっこいい」と呟こうかと思ったが、
心配そうに見ているから、
「映画のワンシーンみたいだった。うふ、うふふふふ」と
ヘラヘラしながら降りた階段を再び戻った。
しかし、タイツ越しでもハッキリ分かるほど、スネが腫れていて、
あぁダメだー折れてる!と確信したが、レントゲンでは折れてなかった。
医師も
「これは、さすがに折れてるかと思いましたが、折れてない。
打撲以外、傷もないし、運がよかったですね」と言うから、
「はい、九死に一生運がいいんです」と、
どんなもんだいと言わんばかりの自慢顔で、のたまった。
そんな私は、先日、ついに、この運を人助けに使えたのだ。
職場の隣の熟女さんは、コンビニで売っているスピードくじに、
毎週600円を払って、ハズレを出していた。
だから、自分のデスクに置いている500円貯金箱に、
いつまでたっても500円玉が入れられないのだ。
私のデスクにも、同じ貯金箱が置いてあるのだが、
その2つの貯金箱は、熟女さんが買って持って来てくれた物だった。
私が100均で、一向に貯金箱が見つけられないから、
熟女さんが見かねて、買ってきてくれたんだ。
それなのに、本人は、500円玉が入れられない。
その横で、毎日のようにガチャコンと音を立てるのも、
少し心苦しく思えてきた私は、
くじを諦めかけていた熟女さんに、とうとう宣言した。
「今日は、私も600円くじ、引いてみる」と。
「熟女さんが欲しがっているぬいぐるみを、
わしの生涯のすべての運を使ってでも、当てて進ぜます」と。
こうして、私達はお昼ご飯を買いに、コンビニへと向かった。
熟女さんは、今日当たらなかったら、諦めると決心していたようだ。
そして、600円くじの券を手にレジの前に立った。
まずは、熟女さんが、最後だと決めて箱からくじを引く訳だが、
状況は割愛するほど、あっけなくハズレた。
「あぁぁ~、やっぱりダメだわ~」と肩を落とした。
さて、私の番だ。
熟女さんは「お願いお願い、おかっぱちゃん」と声を掛けている。
その熟女さんを制するように、その顔の前に手をかざし
「静かに。今、精神を集中してるから」と告げ、私は、目を閉じだ。
箱の中のくじに、すべての感覚を集中させる。
ピーンと張り詰める空気の中、
「こっれっだー!」と叫び、1枚のくじを天に掲げた。
で・・・
見事、当たった。
私と熟女さんは、飛び上がってハイタッチをした。店内で。
何度も何度も、ハイタッチをしながら泣いた。店内で。
そうして、気付いてみれば、私は、軽く左膝を痛めていた。
九死が先にも後にも迫っていた、というパターンだった。
おい、君たちは何をしてるんだ?
おたま「おら、そこがいいだ」
やめとけ。
見てみろ、あやの顔。
おたま?
おたま「あぁ~ダメだ。怖くて無理だ」
だろ?
あや「死にたきゃ、かかってきなさいよ」
おたま「いや・・・おら、ここでいい」
九死に一生を得たな。