私が暮らす街は、今
めまぐるしいほど変化し続けている。
おはようございます。
おとぎ話に出てきそうな小川は、命を感じぬドブになり、
木々や草花を生かし続けた大地は、
鉄の杭で、深く打ち抜かれていく。
穴ぼこだらけで、ぬかるんだ大地は、
まるで血を滲ませているようで、痛ましい。
朝は居た木が、夕方戻って来た頃には居なくなり、
私は、その変化についていけない。
私は、原っぱを眺めるのが好きだ。
じっと眺めていると、風がそよぎ、
その拍子に蝶々がふわりと飛び立つ、春の原っぱが好きだ。
夏になれば、いつの間にか、
見たこともない木のような太い幹をもった草が生え、
恐る恐る近付いてみると、その幹に小さな虫がびっしり居て、
悲鳴をあげそうになりながらも、観察せずにはいられない。
秋には、控えめな色の小さな花が咲き、
美しい虫の音があちらこちらから響いてくる。
少しでも足音を立てると消えてしまうから、
私は、しばらく動くことが出来なくなる。
私は、そんな原っぱが好きだ。
しかし、この冬で、その原っぱも無くなった。
私は、どこを見て、春を知ればいいのか分からなくなり、
ふっと不安に襲われ、泣きそうになった。
そして、道路も、工事で通行止めだらけだ。
その変化にも、ついていけないのだ。
昨日はついに、私は、家へ帰る道を失った。
警備員さんに、回り道へと誘導され、気付けば迷子になっていた。
すごく近所なのに、迷子になった。
細い路地に入り込み、更に、道幅が細くなっていき、
見える先が、とてもじゃないが、車が通れる幅ではなくて、
はんぱねー不安に襲われ、泣いた。
急いで携帯電話で実家に電話した。
実家は、私が暮らす家のごく近所だから、
父さんなら、きっと分かるだろうと思ったのだ。
「父さん、父さん、助けて!迷子になってる、助けて!」
父さんは笑いながら、おそらく酔っぱらっていたのか、
ご陽気で呑気な調子で言った。
「おまっ、なーんで迷子になるんや?
わしも、さっき帰って来たけどよ。
そんな通行止めになってなかったぞ。ひっひっひ」と。
電話の向こうの母さんの笑い声も聞こえる。
おい、笑うな!
いい歳して迷子になって泣いてる我が子を、笑うんじゃない!
そう思ったが、
「どこにおるんや?」と聞いてくれても、
「知らん、分らん」としか言えない自分に、呆れた。
頼るのは諦めて、自力で帰るまで小1時間を要した。
歩けば3分も掛からない場所から、小1時間だ。
疲れた。
17時頃、父さんが使えた道が、
17時半、私が通る頃、通行止めになっていたという事か?
そんなご無体なことってある?
ほんのちょっとのズレで、泣くことになるなんて。
ほんのちょっとのズレくらいで・・・
と、私は、普段から、
ほんのちょっとのズレで、泣いていることが多いという訳だ。
爪とぎケースのサイズと、買ってきた爪とぎが、
ほんのちょっとズレてるだけで、人はなぜ、泣きたくなるのだろう。
なぜかって?
これもだし
こっちのもだ。
どれもこれも、サイズが微妙にズレてんだかんね。
全部、ズレてるかんね。
そりゃ、泣きたくもなるよね。
うんこさん?
なんで、こうなるの?
うんこ「他にもあるわよね?」
これの事か?
頂き物の薄っぺらいコルク製のコースターを、
3枚ボンドでくっつけてカスタマイズした作品だ。
見て、微妙にズレているでしょ?
ほら、丸い方も、ズレてるよ。
すごく慎重に、重しを乗せて接着させたから、はがせないよ。
気付いた時は、もう手遅れだったよ。
う~ん、これは・・・
自業自得だな!
しかし、そうだけとも言えない。
先日、靴下を通信販売で注文して届いたら、
素敵な箱に入っている。
あら、素敵~っと言おうとしたが、
ねえ、サイズ感!
箱のサイズ感、なんかズレてるよ!
そして、我が家の猫にも、気になるズレがある。
あやとおたまだ。
共に、大き目な猫で、体長体高も、ほぼ同じなのだが
この顔の大きさの違い!
あやが、小顔なのか?
おたまが、デカ顔なのか?
どっちが、正しいのか、考え込んでしまうよね。
ちなみに、体重は、
小顔のあやが6キロ、デカ顔のおたまが4キロ。
ここも、なんだか、ズレている。
さて、今日は、歯医者に行かなければならないが、
果たして私は、家に帰って来られるのだろうか?
乞うご期待!