ふと思い出して、
ブログのプロフィールを更新した。
おはようございます。
4月は、1歳足す月だった。
私は、私が今年51歳になることより、
我が家のおじさんが、59歳になるという事実に驚いている。
来年、還暦だ。
赤いちゃんちゃんこを贈らなければ。
絶対贈ろう、赤いちゃんちゃんこを。
ある日の早朝、私はまだ寝ている男に宣言した。
「あたし、チャー坊のために、ちょっと大きいお金、使います!」
すると、男は横たわって動かぬまま、もはや反射的に、
「はい、ぼくのも使って下さい。」
と答えた。
既に発症したとみられるダブルキャリアの猫の治療をするため、
実家では難しいと判断した時に備えてアパートも借りておく。
それは、まるで富裕層の発想だ。
それを貧乏人がやろうとなれば、一転バカバカしく見える。
そんな貧乏人のバカバカしい発想に、
男は呆れるどころか、自分も出資すると言う。
「おじさんって、大変だよね。
あたしと暮らすのって、ほんと、大変だよね。」
他人事のように言うと、男はそれには何も答えない。
この沈黙は、なに?
まっいっかと、家を後にした。
私と初めて会った時の、私の印象は、
「デカい女性だな」だったそうだ。
私は身長161センチ、男は自称163センチだ。
「私がデカいんじゃない。貴方が小さいのよ。」
当時、私はお茶を濁さず、はっきりと宣告してやった。
今思うと、男がデカいと言ったのは、体じゃなく態度だったのかもしれない。
おまけに、
「私は今、男が3人いるから付き合えないの。」
と、のたまった。
我が半生で、唯一学んだことは、『股は3股が限界』ということだった。
4股は、物理的に無理だと学んだ。
これは決して、気が多いという訳じゃない。
「好きです」と言われて、それを拒む理由が、私には見いだせない。
「そんじゃ、付き合ってみましょうか」と思ってしまう、3股までは。
片思いで終わるのは無念なことだ。
せっかく好きになったのなら、その先を見たいはずだ。
その先の私に、貴方なりの結論が出るまで、お付き合い致しましょうということだ。
だから、よほど怪しい男でない限り拒まない。3股までは。
なんでもござれだ。3股までは。
だから私は、我が家のおじさんを拒んだ。
4股は物理的に無理だから。
「体力の限界!」
私は、千代の富士の引退会見のごとく、言い放った。
ところが、おじさんは、
「その3人、全部別れて下さい。」
と、言い返した。
この尻軽女に、そんなことを言う人は初めてだった。
そうして、小さい男とデカい女の同棲は始まった。
どうしようもなく、だらしない始まりだ。
ちゃんと聞いてみれば、
小さい男は、モラハラで嫁に逃げたれたバツイチだった。
どうりで、「全部別れて下さい」なんて、言えるわけだ。
だからという訳じゃないが図らずも、
私は、まるで傷付いた前妻の敵を取るかのように、男を追い込んでいった。
小さい男のモラハラ掌握術は、沈黙と丁寧な苦言と正論だったが、
相変わらず尻軽なデカい女には、響かない。
「あぁ、もうやだ」と思うと、
「婚活サイトに登録してみたぁ」
と、あっけらかんと白状する。
小さい男のおかげで、一旦全部別れたから、私は2股の余裕を有している。
そのうえ尻軽女は、男は3股までなくせに、猫はじゃんじゃん拾ってくる。
会わされた両親は、破天荒な飲んだくれ2人で、話しにならない。
小さい男は、別の意味で沈黙してしまう。いやそれは、閉口だ。
そんな中、小さい男のド正論は、むしろ新鮮で有難いご意見だった。
「あたしを止めて。おじさん、あたしが暴走したら止めろっつったのに」
と言いつつ、私は何事も暴走するから、もう止められない。
後ろから追いかけて羽交い絞めしたって、振りほどく。
そして、まるでド正論を吐くように、無茶苦茶な考えを真顔で、
「いいか、おじさん。今は固定観念を捨てる時だー!」
と、怪しげな宗教の勧誘がごとく、のたまう。
「行儀よく座りなさい」と言われたって、
「股座の猫を退かせっていうの?」
それどころか、食事中だろうが、
猫の尻からぶら下がる大便を追い掛けなければならない。
苦言を呈する前に、
「尻のウンコを、追え!」だ。
それ以上に大事なことなんて、この世には無い。
そんな小さい男は、今じゃ私より迅速に、尻のウンコを追いかける。
ほんとに、来年は絶対、赤いちゃんちゃんこを贈ろう。
「ありがとう、ごめん。」と刺繍した、赤いちゃんちゃんこを贈ろう。
おい、おたま!
おたまは、おじさんっ子だもんな。
おたま「おら、おじさんの子だからな。」
おたまは、小さい男が初めて、哺乳した猫だもんね。