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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

コジョカルの「シンデレラ」②

2006-12-22 06:07:14 | BALLET
第2幕は、お城の舞踏会。

ワインカラーのタフタ、ベルベット金モールに身を包んだ紳士淑女の中央でオペラピンクのタイツがまぶしい道化、グリゴリー・バリノフが切れのよいフェッテ魅せてくれます。
道化役とはいえ長身で王子役も出来そうな彼。脚のラインもきれいです。

・・・が、王子登場。やはりこれは真打。1週間前にロイヤル・バレエのピーター・ライト卿のバースデーイベントを兼ねた「くるみ割り人形」の初日を吉田都さんとともに務めたフェデリコ・ボネッリの純白の衣装に身を包んだノーブルな姿。エレガントな動きには、王子としての圧倒的な説得力があります。





これは別の演目でコジョカルと踊るボネッリですが、ラインの美しさはお分かりいただけるでしょうか。

アグリーシスターズがひと暴れ(?)したところでシンデレラが3mはあるキラキラかがやくベールのようなマントをひるがえし、それぞれのテーマカラーのクラシックチュチュにお召し替えの四季の妖精やたくさんの雪の精を従えて登場します。
このゴージャスな登場シーンで、シンデレラ役のダンサーはすでに女王然としていることが多いのですが、コジョカルはあくまでお城の立派さ、王子の美しさに魅了されつつも未だはにかむ少女の表情。
おどおどしながらも、音楽に合わせて王子と踊ると身体は活き活きとその愛らしい生命力を発散させて不思議な魅力を放ちます。

お約束の12時の鐘。大きな時計の針の進む音、服を気にしてチュチュを何度も確かめつつその場を抜け出ようとするのに道化が行く手を塞ぐ・・・中々スリリングな演出。そして早代わりでもとのボロに一瞬にして戻った彼女が姿を消します。

王子自らガラスの靴を手にしてシンデレラの家を訪ねます。
無理無理大きな足を詰め込もうとする長姉の手からガラスの靴を道化のバリノフ君がもぎとり、シンデレラが試すとピッタリ・・・で大団円。

華やかな舞台のセット、衣装、テンポの良い演出、演技力のある脇役、そしてチャーミングなシンデレラ。わたくし、プロコフィエフの音楽が好きなのですが、その音楽の力を存分に踊りで表現するアリーナの、すでに意識下で体が動いてしまうかのような自然で歌うような踊りを堪能しました。

小さなお子さんがご覧になったらさぞかし素敵な夢を見られることでしょう。
かといって子供だましではない、大人のカップルにも充分楽しめる(この日の新国立劇場にはこの両方のタイプの観客がいました)プロダクション。



ホワイエにもクリスマスツリーが。
開演前にこのスペースで、新国立劇場のオペラ研修生による、アリアや歌曲のミニ・コンサートが催されており華やいだ雰囲気を盛り上げていました。
研修生の方にとっても貴重な発表の機会でとても良い企画、と思ったことでした