maria-pon

お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第13回世界バレエフェスティバル Bプロ ②

2012-08-13 04:28:19 | BALLET
第13回世界バレエフェスティバル  <プログラムB> 
8月12日(日)15:00開演  会場:東京文化会館

Bプロに関しましては、14日の火曜日にも観る予定ですが、まずは初見の感想から個々に・・・


[第1部] 15:00~15:55

■「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

この演目はバレフェスでは歴代錚々たるメンバーが踊っていますね。
2000年にはコホウトコヴァとボッレ、オーレリ・デュポンとルグリ、
2003年にはヴィシニョ―ワとマラーホフ、コジョカルとコレ―ラ、
2006年にはコジョカルとコボー、オリヴェイラとコンヴァリ―ナ、
2009年にはコチェトコワとシムキン、ヌニェスとソアレス

男性がブルー、女性がサーモンピンクの薄物の衣装で踊る、フレッシュな印象を与える演目。
なので、最初に踊られることが多いのですが、ルグリ先生の完成されたパフォーマンスが客席が温まっていない段階で演じられるのがとても勿体ない感じがしたのを覚えています。

さて、この2人、良かったです!特にフォーゲルくんは、Aプロでオネーギンには「挑戦」という感じがありましたが、これはまさに柄に合っていて、テクニックも伸びやかでステキ。
ポーリーナは薄物衣装の時にはちょっと気をつけた方がいい・・と余計なことを思ってしまいました(以前、踊り目当てではないヘンな男性ファンが付いて心配したことがアリ^^;)。あと、手足を細やかにスピーディに振りさばく振りのところは四肢の長さが邪魔して、もたついて見えたのがちょっと残念。
フォーゲルくんのサポートはもう少し丁寧にしてほしい・・などと、過去の名演が多いだけに注文が多いですが、爽やかな若い2人の魅力が全開で、とても気持ちの良いピースでした。

■「パルジファル」  
振付:モーリス・ベジャール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
カテリーナ・シャルキナ オスカー・シャコン

ベジャールワールドは、大好きですが、フェスではちょっと浮きますね^^;
肌色のショートパンツのシャコンと黒のビスチェに透けるレギンスのシャルキナが重厚なワーグナーの音楽を背景に絡み合い、その影が背後に大きく映し出される場面。
2人の踊りの完成度そのものは高く、健闘していましたが、この作品の一部だけを切り取ってGALA演目にする…ということ自体がすでに難しいのだと思いました。

■「タイス」(「マ・パヴロワ」より)
振付:ローラン・プティ/音楽:ジュール・マスネ
上野水香 マシュー・ゴールディング

上野さんの脚の表情を活かすことのできるセミクラシック的な演目。
安心して、気持ち良く観られました。
オケも良かった!

■「エフィ」
振付:マルコ・ゲッケ/音楽:ジョニー・キャッシュ
マライン・ラドメーカー

Aプロの「モペイ」の振付家ですね。
出が痙攣したような動きで後ろ向きに平行移動でセンターに来る・・・という規視感がありすぎるもので、しかも、上半身をさらして黒パンツで下半身を覆う衣装も同じで。
「モペイ」はフリーデマンのオフビート感覚がなぜか妙に合っていて、それが作品を魅力的にみせているのですが、素直なラドメイカ―の芸風ですと、やや2番煎じに見えてしまって、ちょっと気の毒でした。
途中叫んだり、口笛を吹いたり、実験的な試みのある作品。
ジョニー・キャッシュの音楽にインスパイアされたことは良く分かります。
長く感じてしまいました^^;(実際長かった!)

■ 「ライモンダ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:アレクサンドル・グラズノフ
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー

「ライモンダ」のエキゾチシズムを敢えて排除した、正統派フォーマルのカップル・・・のような衣装。
ロイヤルブルーのチュチュがお似合いのタマラは良いのですが、蝶ネクタイのタキシードのような上半身に足先までのピッタリタイツで、更に下半身が細く、小柄なので、バランス的に頭が大きく見えて損では?と微妙なスティーブン。ポロネーズ的な振りがあるのに、不自然ですし、やっぱり「ライモンダ」は金と白、ゴージャスでエキゾチックな演目として扱ってほしいです。
という個人的な好みは別として、テクニカルな面では全くブレがなく、安定した2人が繰り出すフェッテやピルエットは圧巻。
マックレーのマネージュがオリジナルで、グランジュテのあと空中で脚を交差させて後ろ脚を後方に跳ねあげるというセットで回り切ったのは凄い。最後のピルエットをWでトゥール・ザンレ―ル、の斜め切り込み回転の高速っぷりに息を呑みました。彼のテクニックはこれ見よがしでなく端正な表情で正確に繰り出されるのが素晴らしい。
お衣装が似合わないことなどどこかに行ってしまいました(笑)
タマラの安定は、本当に揺るぎないですね。
聞いたところによると、彼女は午後の公演でも朝一番に楽屋入りして、丁寧に準備をされるのだとか。
努力のたまものなのですね。
今やフェッテと言えば・・・の存在ですが、さすがの彼女のラストのフェッテ、1-1-4を繰り返し、1-1-3に切り替えて終了。(多分)もう、数えられないくらいの高速回転でした!
こういうゴージャスでテクニックに酔える演目を待っていた!とばかりに客席が突如盛り上がる第一部の〆でした^^


<休憩15分>


[第2部] 16:10~17:05

■「ロミオとジュリエット」より第1幕のパ・ド・ドゥ
振付:ケネス・マクミラン/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

やっぱり、ロミジュリはマクミランの振付でインプットされているので、素直に感情移入して感動に至る名場面だな、と。
期待通りの2人の演技を堪能しました。
アリーナの表情が絶品。憧れ、ロミオを認めたときの嬉しくて胸が張り裂けそうな泣きそうな感動、駆け寄り、恥じらい、歓喜し・・・の流れと華奢で愛らしい容姿と軽やかでしなやかな踊りがとても役に合っていました。
コボーのりりしく、誠実なロミオも、ジュリエットに対して真剣な愛が感じられて・・・相思相愛カップルなロミジュリで良かったです。観ている間に涙が一筋頬をつたいました・・・

■「ウィズアウト・ワーズ」
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:フランツ・シューベルト
オレシア・ノヴィコワ レオニード・サラファーノフ

2人とも肌色レオタードで、「春の祭典」のよう。
シューベルトの「野薔薇」から始まるシューベルトメドレーの趣の可愛らしく美しい音楽に合わせて、二つの生命体が睦まじく寄り添い絡み合う・・・「春の祭典」と同じ、春の息吹を感じさせつつも、その荒々しさを抜いた感じ?
ナチョ・ドゥアトの振付でのコンテ。サラファーノフの、マリインスキーからドゥアト率いるミハイロフスキーバレエに移籍して、今は、こういうことをやっています・・・的な近況報告のような演目、でしょうか^^;
それにしても、クラシックダンサーの踊るコンテは、手の振り上げ方ひとつとっても美しくて、やはり良いですね。
サラファーノフなら、派手な衣装の見せ場の多い演目で盛りたてることもできるのに、ちょっとフェス演目としては勿体ない気がしないでもありませんでしたが・・・。
作品としては、とても良質なものでした。

■「椿姫」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:フレデリック・ショパン
アニエス・ルテステュ ステファン・ビュリョン

オペラ座ダンサーってこのノイマイヤー版の「椿姫」をフェスで踊るのが大好きですよね・・・。
で、一度も感心したことがないという・・・。
唯一、この演目のこの第3幕のPDDが素晴らしい!!と思ったのは2006年のバレフェスで、クランコお膝元のハンブルクバレエの2人、ジョエル・ブーローニュとアレクサンドル・リアブコの名演。
スカートで男性の顔が見えなくなることもない高々と掲げられたリフト、自らが十字架になったような、天を仰いで片膝を曲げて両腕を繰り返し振りおろす振りのメッセージ性、理性と情熱の相克・・・など、全てのパに意味がある、濃密な演目であることを熟知した2人による深い演技は今でも脳裏に刻まれています。

・・・で、今回ですが。美しく華やかなりし日々を送っていた、でも病を得てややその美貌に衰えが見える、という設定のマルグリットは今のアニエスにとって、まさに、演じたい役どころなのだろうな・・・というのはよくわかります。
黒のドレスで現れたとき、あぁ、アニエスの椿姫か・・・ゴージャスだわ、と思いましたが、しっかりとした体型の彼女は別段ガッチリしているわけではないのに、マルグリットの病にむしばまれた感がないのですよね・・・。
そして、大健闘のビュリョン。繊細な顔立ちととても美しいパウダリーな白肌を持つ彼は意外なほど力持ち(笑)で、大型バレリーナをしっかりとサポートし続けてのハードスケジュールにも耐え、いつぞや、故障者が続出したシーズンをカール・パケットくんとともに乗り切った影の功労者だった・・ということもあったっけ、などと、眼の前のことに集中できないわたくし^^;
で、今回ですが。激しい情熱を露わにすることもない、ある意味マルグリットにリードされている朴訥なアルマンっぷりが珍しく、(アルマンの情熱にマルグリットがほだされる・・方が多いので)、でも、本当のアルマンって純朴な青年が悪い女にだまされたのではないかと周囲を心配させるくらいだから、これは正解な解釈なのかも?と。
名演!とまではいきませんが、オペラ座基準では健闘。そういえば今度のオペラ座来日公演で、これが全幕になるんですよね。更に磨きをかけて持ってきていただきたいです(←上から目線^^;)

■「ラ・シルフィード」第2幕より
振付:ピエール・ラコット/音楽:ジャン=マドレーヌ・シュナイツホーファー
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ
東京バレエ団

破格の扱い。東バダンサーによる24人のシルフィードたちが舞台を彩ります。
背景もしっかりとしたセットで。
オブラスツォーワは、可憐で丸顔が愛らしく、いたずらっ子的な表情も魅力的。
丸みを帯びてウエストの細いシルエットで、ロマンティックチュチュがとても似合います。
緑の葉の目立つ白バラのヘッドドレスや真珠の首飾りやクジャク羽の入った妖精羽など、現代の衣装のトレンドからすると、ちょっと野暮ったいシルフィードですが、それがまた彼女の素朴な愛らしさとマッチしていて悪くなかった。
「バレリーナ」という言葉で思い浮かぶイメージを持つ、古典的な良さのあるダンサーですね。
対するシルフィードチーム、何気に吉川さんや乾さんらソリストクラスが勢ぞろいの東バシルフは美人揃いで優雅で・・。3人のリーディングシルフは、田中さん、高木さん、奈良さんの安定の東バ若手3人娘 でした。

マチューのジェームスは、まずあの赤いチェックに白い襟の衣装が本当に似合いますね!
これは、村娘の憧れの君でさぞやモテてモテて困っていたことであろうかと^^;
踊りも大きく、軽やかで、技巧を感じさせないところがマチューらしいです(え?)。
バレフェス的な盛り上がりや驚きには欠けますが、これを全幕でゆったりと見られたら心地よいだろうな・・と思いました。

<休憩15分>


[第3部] 17:20~18:20

■「マーラー交響曲第5番」より"アダージェット" 
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:グスタフ・マーラー
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

マーラーとワーグナーは東フィルは演奏しないのでしょうか。
生オケではありませんでしたが、雰囲気のある2人。
公開レッスンの時にも思いましたがブシェの脚が素晴らしい。
とても長くて、膝下がとりわけ長く、膝からクッと入ってから伸びる感じがバレリーナそのもの。足の甲も高く、全体のバランスが申し分ありません。作り上げた部分もあるでしょうが、こんな脚を持っていたら、もう、バレエダンサーになるしかないですね!スター軍団フェスメンバーの中では地味な存在ですが、まぎれもない逸材です。

■「シェエラザード」 
振付:ミハイル・フォーキン/音楽:ニコライ・リムスキー=コルサコフ
ポリーナ・セミオノワ イーゴリ・ゼレンスキー

ちょ、ちょっとポーリーナちゃん!!?
いや~驚きました。華やかなゾベイダです。本当に。
ゴージャスな長い手足にほっそりとしたウエストラインを惜しげもなく見せたターコイズのハーレムパンツとビジューブラトップ。ヘアスタイルが絶品で、カールヘアを後方に盛って額を出してセンターにビジューぎっしりのヘアバンドで押さえた感じなのですが、彼女には珍しくアイラインきっちりのメイクも合わせて本当に美しく・・・
ヘアメイクさんが付いていたとしたら、その人を表彰したいくらい(笑)
その身体をくねらせる様も彼女特有の清潔感が妖艶さに加わって、うっとりさせられました。
そして金の奴隷のゼレンスキーはブロンズと金で、同じくハーレムパンツに上半身を覆わんばかりのゴージャスビジューで、王様??な風格ある奴隷。
でも、そんな堂々とした男がゾベイダに溺れてメロメロに尽くす・・・という、まさにアラビアンナイト、一夜の夢の世界にどっぷりつかって、これがガラの一演目で、この場面は全幕の抜粋なのですよ、ということがどこかに吹き飛んでしまいました。
いやいや、堪能致しました!
ゼレ氏も新境地ですね。こんな面を見せられるなんて聞いてませんでしたよ(って誰に向かって・・・^^;)

■「アザー・ダンス」
振付:ジェローム・ロビンズ/音楽:フレデリック・ショパン
オレリー・デュポン ジョシュア・オファルト

オレリーはこの作品を本当にショパンの音楽のメロディになったように踊りますね。
ストライプの地模様の紫がかったグレーのハイウエストのミディ丈のドレスに同じ素材のリボンで髪をまとめた姿のオレリーは艶やかでありながらしっとりとした詩的な雰囲気を漂わせていてステキ。
注目のオファルトは、時折、ルグリの後継者か!と思わせてくれる端正な踊りを見せてくれますが、最後のわざと崩した踊りで軽快に〆る・・という部分は、あれ、これってわざと?だよね??という釈然としない感を残すなど、舞台での表現力はまだ、これから磨く余地がありそうな・・・。
今回、音楽の方のソリストがレベルUPしたと喜んでいたら、ピアノの高橋望氏の指が途中動かなくなり、(というか、もつれた?音が乱れて濁りました。)オレリーの軽やかな踊りに心地よく入り込んでいたのに引きずり出された気分です。今日だけなら良いのですがxxx

■「海賊」
振付:マリウス・プティパ/音楽:リッカルド・ドリゴ
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ

来た!オシワシコンビ。究極の体育会系ペアが踊ります。衣装はオシポワはグレイッシュな渋い紫のグラデ、ワシ―リエフはターコイズのハーレムパンツで装飾は少なめ・・・。色の調和もゴージャスさも今一つですが、良いのです、この2人の価値はVISUALに非ず(って実はオシポワって相当な美形だと思います^^)
で、ワシ―リエフ、渾身の演技でした。
もう、ジャンプはどこまでも高く、音楽をはずさずに、どこまでテクニックを入れこめるか。。。という実験場のようなダイナミズムに溢れたアリ。オシポワが澄ました顔で、超絶技巧を入れてくるのがクールダウンになっているという。
恐ろしいペアだわ・・・。
ただ、この手の凄さは観る方がだんだんと慣れて麻痺してくるワルイクスリのようなところがあり・・・。
凄いけれど、彼らなら当然?、という眼で観てしまい、終演直後のワシ―リエフの荒い息遣いとなかなか収まらない肩の上下運動を観ていると、相当大変だったんだなぁと改めて。



<休憩15分>
さて、これからが本番(って・・・^^;)
超重量級の感動に耐えうる鋭敏な感覚とコンディションを持って、客席につかなくては・・・。


[第4部] 18:35~19:30

■「ル・パルク」
振付:アンジュラン・プレルジョカージュ/音楽:ヴォルフガング・A.モーツァルト
ディアナ・ヴィシニョーワ  ウラジーミル・マラーホフ

「解放」のPDD.
白いゆったりとした開いた襟元を小さなフリルで飾ったかぶりのシャツを寝巻にしたような衣装の2人。
ヴィシニョ―ワは、長い黒髪を降ろして、それ自体も衣装のよう。
マラーホフは、そのシャツの下にベージュの膝丈レギンス、貴族の恋愛ゲームの最終章なので、髪をカールさせて、うなじの始まるところにリボンをつけて、ロココ貴族風アレンジに。
それにしても、こんなに身体の線が出ない衣装なのにあんなに午前中サウナスーツを仕込んで絞っていたんだ・・・と思うとマラーホフのいじらしさ?にグッときます。

この作品自体は大好きで・・・。ローラン・イレール&イザベル・ゲランのフレンチな味わいがしっかりとインプットされているのですがそれと比べてどうというのも楽しめなくなるので、今回は同じ演目ながらも、全くの別物として味わいました。

ヴィシニョ―ワは、彼女の持ち味である、素の強い女性という生命体の持つ粘りや力や底しれない魅力などをじわじわと出して、磨き抜かれたダンサーとしての肉体と見事に合致させた名演だったと思います。
対するマラーホフは、そんな彼女をいつものようにガッチリと受け止めて・・・でも、スポイルされることなく、彼自身もこの濃密な時間を生きている感じがありました。
次回・・・多分、この二人での出演はないのかも、と思うと、最後の演目で、こういう演技が観られて良かったです。


■「コール・ペルドゥート」  
振付:ナチョ・ドゥアト/音楽:マリア・デル・マール・ボネット
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

これもドゥアト。今回、ロシアン・ダンサーに人気ですね^^
音楽が、なんだかとても、トルコを旅行した時にあちこちで耳にしたトルコ演歌風だなぁと思ってプログラムで確認したら、カタロニア語で歌われたトルコ民謡にインスパイアされたもので、演奏はチュニジア伝統音楽のミュージシャンということで納得。
赤系のぺ―ズリー柄?のサテン素材の衣装は、カシュクールスタイルの長袖ロングドレス。
で、あるにもかかわらず、ザハロワの脚の運び、一つ一つの動作の精密な作り込みがはっきりと際立つ精妙な踊りのラインは明らかで。メルクリエフがそんなザハロワにぴったりと寄り添い、同じ精度でシンクロしていました。
今のザハロワの気分・・・なのかもしれませんが、、A・Bプロとも玄人好みの地味といってよいコンテでまとめてきましたが、どちらかは姫な彼女を見せてくれても良かったのでは?と思います。
でも、そこで妥協(?)しないのも、ザハロワらしいといえばらしいような気もしますが^^;


■「ジュエルズ」より"ダイヤモンド"
振付:ジョージ・バランシン/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ウリヤーナ・ロパートキナ マルセロ・ゴメス

ま、まばゆい・・・。
ロパートキナ様、再び降臨!
今度は、黒い極上のベルベットのようなラテン男の廷臣を従えて・・・ってそういう風に見えるんですよ~。
ゴメスの押し出しなら、どういうペアになるかと固唾を呑んで待っておりましたが、やはり女王とお仕えする騎士でした^^;
衣装はパリオペ組とあまり変わらず、ベージュのフィットするキャミにビジューが散りばめられたTOPに白いクラシックチュチュ、ビジューのヘッドドレス。男性は丸首の白い長袖のビジューたっぷりの上着に白タイツ。

パリオペ組は、くぐもった青空に小さな雲、が・・・で、2人でオーボエの感傷的な旋律に寄り添うようなノスタルジックでシックなダイヤモンドでしたが、
マリインスキーの女王はその高貴さと目映さで、深いブルーに煌めく星空の下、金剛石とはどの石よりも強く美しく輝く宝石であるとの定義を思い起こさせる存在感。

カーテンコールで、ゴメスがロパートキナの手にキスをするのも、「まぁ・・・」と驚きつつも、その無礼を優しく許す女王、という風情で、間違ってもラブラブカップルなどではありませんでした^^;

マリインスキーの来日公演も秋に控え、ロパートキナのインタビューが色々と紹介されているのを見るにつけ、
本当にバレエを芸術として極めている孤高の存在として1人輝きを放っているバレリーナなのだとの認識を新たに致しました。
まさに、バレエ界のダイヤモンドですね。

ちょっと貼っておきます。

http://ja-ballet.seesaa.net/article/285785165.html



■「オネーギン」より第3幕のパ・ド・ドゥ
振付:ジョン・クランコ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
マリア・アイシュヴァルト マニュエル・ルグリ

何回も何回も観ているのに、観飽きることのない、最終幕、「手紙のPDD」
初恋の人都会から来たニヒルな青年に恋文を出して胸ときめかせた田舎の文学少女が、こっぴどく振られ、それから十数年・・・。
今や公爵夫人として艶やかな美貌と理知の輝きを放つタチアナ。あの少女が・・・!逃がした魚は・・とオネーギンが今度は恋文を送ります。
甘く苦い思い出。どんなに苦しんだか・・・。恋しい男の嘆願に心動かされながらも、理性をふるい起して、彼に手紙をを破って手に握らせる、という同じ仕打ちを。
走り去る彼、青春の光と影との決別に天を仰ぐタチアナ。

・・・という場面を、超絶技巧のリフトと、技巧を感じさせない感情の表出を求める、ダンサーにとっては、自分の全てを出さなくてはならない難役。
・・なだけに、それが2人して役に没頭しつつも華麗な技巧も披露してくれれば客席は感動の渦に巻き込まれるわけで。

ルグリがオペラ座の長く輝かしいキャリアの最後に臨んで、自ら望んで踊り、そして、踊り続けている演目。
程よく重ねた年齢が、役柄の過ぎた年月と重なり、今でも衰えを見せない踊りの質を保つ彼ならではのオネーギン。
そして、タチアナ役に定評のある、アイシュバルトの、細やかな修正や解釈の積み重ねとその見直しを怠らないことが一目でわかる緻密で濃密な演技が本当に素晴らしく、改めて、ダンサーの旬とはいつをさすのか・・・と考えてしまいました。


■「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ヤーナ・サレンコ ダニール・シムキン

と、重量級の感動が続いた後に、小さな可愛いペアが、豪奢な黒レースと金色のシャンデリアが下がる舞台の中央にラインストーンと金糸の装飾も程よい真っ赤な衣装が金髪に映えるサレンコと、刺繍の入った華やかな黒いベルベットのトレアドールジャケットにのぞかせた大きな白いイタリアンカラ―がフレッシュなシムキンくん。

小さくても、舞台経験は充分な見せ場を心得たペアの大トリは
540(ファイフブ・フォーティ・・・腰を起点に両脚を振り上げて回す大技)で構成されたマネージュ、
当たり前のようにこなす、高い位置での片手リフト、サポートなしでのアティテュードのバランスなど、技巧派ペアならでは。

ジャンプも只のジャンプはなかったのではないかしら、と思うほど、ひとつひとつ凝ったアレンジが^^;

最後のフェッテも、サレンコは 3回転を交えつつのダブルで、最後までシングルはなかったような・・・。凄い。
そしてシムキンくんは、ピルエットから床に降りることなく連続しての驚愕の9回転?ただただ回り続けていました・・・ように見えました!
どよめき。

決めてのドヤ顔も、ベイビーフェイスの彼だと愛嬌があって憎めませんね^^

FINALE

最後のフィナーレで、観た目ゴージャスな方々が次々に出てくると小柄なシムキンくんたちペアの感動はすぐに薄れ・・・るような気がするのがこのバレフェスの豪華さを逆に痛感させられる瞬間ですね・

できる限り観に行きたいと、今回のBプロは2回押さえたので、あともう一度ありますが、もう、それが最終回とは・・・。
あとはGALAも観ますが、終幕に近づいていると思うと寂しいデス。

それにしても、LONDON OLYMPICが終ったのに、まだまだ夏が終った気がしない・・・。
バレフェスYEARはやっぱりバレフェスの夏、ですね