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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

第13回世界バレエフェスティバル ガラ ③

2012-08-19 06:21:36 | BALLET
2012年8月16日(木)17:00~
東京文化会館にて、
第13回世界バレエフェスティバルSpecial GALAの感想・後半です

【第3部】 19:25~20:15

■「白鳥の湖」 第2幕より 
振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ/音楽:ピョートル・I.チャイコフスキー
ディアナ・ヴィシニョーワ ウラジーミル・マラーホフ
東京バレエ団

ヴィシニョ―ワの白鳥は、とても女性らしくて、美しい。
好みからすると、ロパートキナの静謐で幽玄の世界から降臨した白鳥が一番!だと思っているのですけども、ヴィシニョ―ワの、静かな表情で情感をたたえて踊る、姿を変えられた王女の苦悩を語る場面・・・の表現もステキです。
マラーホフは、いつものゴージャスな刺繍を施した黒ベルベットの胴着の隙間から白いブラウスを覗かせた王子スタイルとは異なる、スタンドカラ―のモスグリーンの胴着にライトグレーのタイツでややお地味?
踊りも、完全にヴィシニョ―ワのサポートに徹していて、王子のヴァリエーションは省略されていたのが残念。
東バダンサーの24人のコールド、4羽の白鳥、3羽の大きな白鳥はそれぞれに健闘。
ただ、王子のヴァリもあれば、たっぷり全幕物の雰囲気を楽しめた・・・となるところが、それがなかったために、こんなに東バの見せ場があるのに王子は?となってしまい、ちょっとバランスが悪かったかも。
王子がこれだけ踊らないなら、3羽は省くとか、バランスをとったほうが良かったのでは?と思ってしまいました。

マリインスキーの公演ですと、つい、白鳥はロパートキナを取ってしまうのですが、今回はスケジュールさえあえば、ヴィシニョ―ワも観てみようかな?という気分になりました。
彼女は今、とても充実していますね!

■「モノ・リサ」 
振付:イツィク・ガリリ/音楽:トーマス・ヘフス
ポリーナ・セミオノワ フリーデマン・フォーゲル

今日の驚き。
タイプライター音を使ったらしいのですが、リズミカルなノイズ?で構成された疾走感のある音楽に合わせて、2人が拮抗して踊ります。黒いショーツにリンクルメッシュ素材?のピッタリとしたオレンジに黒の長そでTシャツ?
途中でフリーデマンだけ、そのシャツを脱ぎ、上半身をさらします。(特別サービスではなく、そういう振りだそうです^^;)
男女の双子のように長身で筋肉質で美形の2人には無機質でキレのある音楽に合わせて長い手脚で空中を鋭く切り裂きながら絡むこの作品はピッタリ。
なんてカッコイイの・・・!!と、観ていてテンションの上がることこの上なし。
それは満場総意だったようで、終わった後の堰を切ったような拍手が凄かった。

フリーデマンのバレフェス・デビュー時のセンセーションを思い出させる、観客の反応でした。
彼は、コンテでハマると、忘れがたいインパクトを生みだすことのできるダンサーですね。
ポリーナちゃんも彼女の美質が最大限に活かされた作品とパートナーだったと思います。

これはシュツットガルトのレパートリーに入っているらしいので、他のダンサーでもまた観てみたいです。


■「ヴェニスの謝肉祭」("サタネラ"パ・ド・ドゥ)
振付:マリウス・プティパ/音楽:チェーザレ・プーニ
エフゲーニャ・オブラスツォーワ マチュー・ガニオ

可愛い2人の爽やかなクラシックピース。
ゲ―ニャは黒と金のチュチュに黒リボンを首に巻いて仮面舞踏会の目隠しをしてちょっとコメディデラルテの女主人公みたい。
マチューはふんわりとした白ブラウスに金糸で装飾された黒ジャケット黒タイツ。ロマンティックで祝祭的なムードを盛り上げます。
途中でオブラスツォーワの仮面を取って・・・。
超絶技巧はありませんが、マチューも空間を大きく使った伸びやかな踊りを破綻なくきれいに見せてくれて、顔と性格が可愛いだけの男の子(こら)ではなくて今やオペラ座を背負って立つ先輩格のエトワールなのだなぁと納得させてくれる演技でした。
今回マチューは、オペラ座ダンサーとではなく、クラシックダンサーのオブラスツォーワをパートナーにロマンティックバレエでまとめてきましたが、彼の方向性として正解かと。


■「トリスタンとイゾルデ」
振付:クシシュトフ・パストール/音楽:リヒャルト・ワーグナー
スヴェトラーナ・ザハロワ アンドレイ・メルクーリエフ

これがまた素敵でした。
トリスタンとイゾルデなので、あの、媚薬のせいで、禁断の恋に絡め取られてしまった2人・・・の愛のらせん階段状態をあの、OPERA「トリスタンとイゾルデ」の「愛の死」の音楽にのせて踊ります。
これは生演奏で、東フィル渾身の演奏がとても良かった。
白いシフォンのロングドレスのザハロワが美しく、うっとりと彼女の脚のラインの描く軌跡の美しさに酔いました。
メルクリエフに見せ場が少ないのが気になりましたが、・・・・彼の見せ場は→第5部にたっぷりと用意されていたのですね☆
なので(笑)納得です。


<休憩15分>


【第4部】 20:30~

■「マルグリットとアルマン」より"田舎で"
振付:フレデリック・アシュトン/音楽:フランツ・リスト
タマラ・ロホ スティーヴン・マックレー
高岸直樹

冒頭ピアノの金子三勇士さんのリストのロ短調ソナタの演奏が圧巻で・・・。
いきなりテンションが上がりました!
椿姫のマルグリットとアルマンが田舎で2人だけの甘い生活を送っているときに、アルマンの父が別れてほしいと訪れる・・・の場面です。
この作品はギエムとムッルでの印象が強いので、小柄な2人が出てきたときに一瞬違和感がありましたが、スティーブンのアルマンが白い大きなフリルのブラウスを緩やかに着て、赤みがかった金髪を少し乱してマルグリットと愛を交わす姿に甘やかな幸福感が漂っていて新鮮。
タマラはアイボリーサテンのドレスですが、スカート部分の普通フリルが施されていそうなところにグログランリボンをバスケット編みにしてそのままフリンジにしたような装飾がついているという個性的なディテールが珍しいデザイン。
神社のおみくじが結びつけられた木のようだ・・という口の悪い友人が言いましたが(こら)^^;
彼女はテクニシャンであるだけでなく、ロイヤル随一の女優バレリーナでもあるので、細やかにマルグリットの心情を伝える演技で、2人とも良かったと思います。
高岸さんが威厳のある冷酷なアルマン父として登場されましたが、まだ高岸さんの2枚目主役キャラから、こういう年配者の役への移行が頭に入っていないので、ちょっととまどいが・・・^^;

・・・と、色々小さな一瞬の違和感?がありましたが、全体の演技の流れ、音楽と一体化した舞台の完成度はガラでの部分上演では勿体ないほどの充実感で、とても良かったと思います。



■「シンデレラ物語」より  
振付:ジョン・ノイマイヤー/音楽:セルゲイ・プロコフィエフ
エレーヌ・ブシェ ティアゴ・ボァディン

いや~プロコフィエフの音楽って本当に良いですね!
なんと言いますか、夜空に星が無数に瞬いているような感じで
これはノイマイヤーの指示なのでしょうが、生オケではありませんでしたが・・・今日の東フィルなら演奏してもらっても良かったかも?
オレンジを持った孤独な王子が、シンデレラと運命的に出会って、そのオレンジを渡して・・・のPDD.
ブシェはダウンヘアにカチューシャ?、白いドレスで少女らしい雰囲気に。
この2人も自分たちの世界に一瞬にして空気を変えてきますね。
これも全幕で観てみたくなりました。

■「マノン」より"寝室のパ・ド・ドゥ"
振付:ケネス・マクミラン/音楽:ジュール・マスネ
アリーナ・コジョカル ヨハン・コボー

アリーナが可憐で、天性の魔性の女というには可愛らしすぎますが、まぁこんなマノンに甘えられたら、コボーでなくても手紙を書いてもいられないでしょう^^
マクミランのリフト満載の振りつけを2人とも息がぴったりで、きれいに見せてくれました。
が、これもギエムを始め、バレフェスやガラ公演で散々観た演目ではあるので、長身バレリーナの迫力あるリフトを思うと小粒かも?
・・・というような過去の残像に惑わされなければ、これはこれでステキな愛の感じられるPDDでした^^

■「ドン・キホーテ」
振付:マリウス・プティパ/音楽:レオン・ミンクス
ナターリヤ・オシポワ イワン・ワシーリエフ

あぁもう最後の演目に!

期待を背負って満を持しての登場。
黒ベルベットの胴着に赤いチュチュスカートオフショルダーの位置に黒ネットの短いお袖、髪には紅バラの定番キトリ衣装のオシポワ。
今回、彼女は大トリで気合が入っていたのか、クールな彼女には珍しく、顔芸がすごくて・・・
大きく目を見開いたり、いたずらっぽく微笑んだり^^
・・・で気づいてしまったのですが、いつものクールなお顔は自信のBESTショットなのですね^^;
見慣れないせいか、百面相だとおでこに皺が寄ったり、いつものクールビューティが・・・あぁ・・・という感じになるときも?!
いえいえ、演技も入れての大サービスなので文句を言うのはやめましょう。
踊りはもう、完璧でした!!

すべてのパが高速安定。フェッテはダブルの連続でスタートしたのが凄かった!
後半Ⅰ-1-2になりましたけどそれでも!

ワシ―リエフの気合いの入り方たるや!
最初、バジルがキトリに 近づくところのジャンプの高さが2mはあったような・・・まさに初っ端から限界への挑戦で。
回りながら飛び、、空中で180度に開くジャンプを連続で。ちょっと・・・それで最後まで持つ?と心配するほど^^;
バジルのヴァリのジャンプは何やら、とても凝ったことをしていて(すでによくわからない^^;)難しいことに挑戦しているのだな、というのはよく伝わりましたが、それがストレートにダイナミズムを伝えるか。。はちょっと微妙?
コーダも様々なジャンプを散りばめて、まさにテクニック系体育会系バレエの真髄をみせてくれようとギリギリまで頑張ってくれたワシ―リエフ。
最後までフェスを盛り上げてくれてありがとう!

大きな拍手に包まれて、余裕のドヤ顔のオシポワの隣で、大きく肩を上下させて息を整えていました。
この芸風だと、ダンサー人生は長くないかも・・・とちょっと余計な心配までしてしまいました^^;


ガラの(本公演のほう)全体を通しての印象は、第2部に微妙な演目を詰め込んだ(とはいえ、最後の「椿姫」で驚異のV字回復で印象修正もバッチリ)結果、他の1,3,4部の充実度が凄く、特にラストに向かって怒涛の感動に持ってくる構成なども含め、このゴージャスな夏の夜の夢を締めくくるにふさわしい一夜のパフォーマンスでした・・・

ってその後に大きなお楽しみが待っている!という。。。
あぁ、どこまで贅沢なのでしょうか。

着席のまま、舞台の幕前に、佐々木代表の代理人としてのNBS高橋氏の口上を聞きながら、期待に胸膨らみます。
第5部は、指揮のオブジャニコフさんも東フィルの方も、お帰りいただいて・・とおっしゃっていましたが、わたくしがオケメンバーなら絶対帰りませんね^^
特等席で観賞すると思います