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パリ・オペラ座バレエ団2014年来日公演 「椿姫」 初日

2014-03-21 04:42:40 | BALLET
音楽、美術、照明、ダンサー全て・・・美しすぎる舞台でした



2014年3月20日(木)18:30~
東京文化会館にて

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「椿姫」
プロローグ付 全3幕

アレクサンドル・デュマ・フィスの小説に基づく

音楽: フレデリック・ショパン
振付・演出: ジョン・ノイマイヤー(1978年)
美術・衣装: ユルゲン・ローゼ
照明: ロルフ・ヴァルター

2006年6月20日パリ・オペラ座初演

◆主な配役◆

マルグリット: オレリー・デュポン
アルマン: エルヴェ・モロー
デュヴァル氏(アルマンの父): ミカエル・ドナール(ゲスト・エトワール)

マノン・レスコー: エヴ・グリンツテイン
デ・グリュー: クリストフ・デュケンヌ

プリュダンス: ヴァランティーヌ・コラサント
ガストン: ヴァンサン・シャイエ
オランプ: レオノール・ボラック
公爵: ローラン・ノヴィ
N伯爵: シモン・ヴァラストロ
ナニーナ(マルグリットの侍女): クリスティーヌ・ペルツェー

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ジェームズ・タグル
ピアノ:エマニュエル・ストロセール、フレデリック・ヴェス=クニテール

◆上演時間◆

第1幕 18:30 - 19:20 【休憩 20分】
第2幕 19:40 - 20:20 【休憩 20分】
第3幕 20:40 - 21:25

「椿姫」全幕を観たのは初見でしたが、今までガラで散々観た「白のPDD」「黒のPDD」
正直感心したのはノイマイヤーのおひざ元ハンブルグダンサーのアレクサンドル・リアブコくらいで・・・。
なぜ、このリフトの度に女性ダンサーのスカートで男性ダンサーの顔がすっかり隠れた状態で右往左往するこの演目を皆選びたがるのか・・・謎に思っていたのが氷解。

・・・これは踊りたい!と思う作品ですね。

全編美しく、演劇的な感情表現に全てのパが結びついて、悲しみと喜び、怒り、哀感、絶望、諦観・・・
全ての感情がショパンの美しくも悲しい生ピアノの戦慄と緊密に結びつき、美術も衣装も美しい。

全体が3部構成になっていて、高級娼婦マルグリットが世慣れていない青年アルマンの真摯さに本気になり、田園での夏の恋を謳歌するが、故郷から彼の父親が現れて、別れるように説得される。
突然のマルグリットの愛想尽かしに苦悩するアルマン。
季節変わって秋。パリの街角で偶然再会。
互いに心乱れ、思わずアルマンを訪ねるマルグリット。その彼女に激情を叩きつけるアルマン。燃え上がる2人。
その後夜会で再会。パトロンと現れた彼女に嫉妬と恨みから無礼な振る舞いをするアルマン。
振りまわされるように踊った後、アルマンから渡された手紙に入っていたのは札束。
あまりの侮辱に倒れるマルグリット。
病に倒れていても彼に手紙をしたため、頬紅で血色を作り、赤いドレスで夜会に出るマルグリット。
それが最後。
最初と最後が、友人たちによる遺品整理の場面で、そこに現れたアルマンに最後までマルグリットに誠心誠意仕えた侍女ナ二―ナが渡した本は「マノン・レスコー」
マノンとデ・グリューの物語が、劇中劇のように、時には芝居観賞の演目として、時には心象風景として、時には現実と夢の二組のカップルとして、全編、椿姫の物語にマノンの物語がかぶってくる演出が面白い。



飽くまで艶やかな社交界の花で、でも悲劇のヒロインでもあるマルグリット、そして、情熱と生真面目な若さ、美しさと苦悩する表現力を合わせ持つアルマンに咲き誇る美しさとテクニックと円熟味のバランスが今、彼女のキャリアの頂点に達しているのでは・・と思わせる、こぼれんばかりの花、オレリー・デュポンと、美丈夫で心のこもった演技の出来るエルヴェ。
この2人が盤石の状態で、この日の舞台を勤めてくれた、ということが、もう本当に夢のようです。

わたくしの数多い観劇体験の中でも、今夜は特別な一夜として思いだすことになるだろうと、終演後、余韻をかみしめたことでした。

パリから帯同したピアニストお二人が素晴らしい演奏を。
プログラムによると、フレデリック・ヴァイセ=クニッテルは、ポーランド出身で、若い時から数々のコンクールで入賞。2004年に参加したリ―ル・ピアノフェスティバルにはマリア・ジョアン・ピレシュ(と表記されていました)に誘われて・・とは、先日ピレスを聴いたばかりなだけに興味深い記述。

各場面に当てられたショパンの楽曲があまりにピッタリとハマっていて、これからショパンのピアノソナタ第3番第3楽章「ラルゴ」とか、この作品を思いださずには聴くことが出来ないだろうなと。

照明がとても美しく、2幕の田舎の場面、明るく、白い衣装の男女が大勢で戸外で踊ったりくつろいだりする場面の後で、父親登場の辺りから、夕方に差し掛かる時間の経過が感じられるのですが、その光が、なんともいえない夏の午後の夕方、暮れる少し前の妙に明るい光になる瞬間をとらえていて、その光の中で一人残され、哀しい決断をするマルグリット、そして早々に別荘を引き上げた彼女たちのあと、何もしらないアルマンがその置き手紙を見つける件では、夕闇が迫って急に暗くなるのですが、その光の変化が絶妙でした。

色彩構成が巧みで、一幕の深い紫のドレスに胸元の赤い薔薇が艶やかなマルグリットとブルーの濃淡、赤~紫の女性たちのドレス、2幕のところどころに少量の黒で引き締めたアイボリーのドレスと紳士たちの衣装、3幕の黒燕尾と黒レースに時折緑やオペラピンクの強い色を使った夜会服、そして病に伏せるマルグリットのアイボリーのコルセットドレスと無理やり外出するときの赤いベルベットの衣装と黒レースのヴェール。
簡素な装置で、豪華な衣装のバランスも心理劇を主軸とする求心的な作品にふさわしいバランスだったと思います。

あと二組のカップルで観賞しますが、多分この日がBESTかも。
裏切られることを期待しています



パリ・オペラ座バレエ団2014来日公演「ドン・キホーテ」 エイマン、フルステー

2014-03-21 04:35:15 | BALLET
パリ・オペラ座バレエ団来日公演、
2014年3月14日(金)18:30~
東京文化会館にて。

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「ドン・キホーテ」
プロローグ付 全3幕

ミゲル・デ・セルバンテスの小説に基づく

音楽: ルートヴィク・ミンクス
編曲: ジョン・ランチベリー
振付・演出: ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ版による)
美術: アレクサンドル・ベリヤエフ
衣裳: エレナ・リヴキナ
照明: フィリップ・アルバリック

パリ・オペラ座初演:1981 年3 月6 日

◆主な配役◆

キトリ(ドルシネア): マチルド・フルステー
バジリオ: マチアス・エイマン

エスパーダ: ヴァンサン・シャイエ
街の踊り子: サブリナ・マレム

ドン・キホーテ: ギョーム・シャルロー
サンチョ・パンサ: シモン・ヴァラストロ
ガマーシュ、キトリの求婚者: シリル・ミティリアン
ロレンツォ、キトリの父: アレクシス・サラミット

ドリアードの女王:エロイーズ・ブルドン
キューピッド:ミリアム・カミオンカ

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ケヴィン・ローズ

◆上演時間◆
第1幕: 18:30 - 19:25 【休憩 20分】
第2幕: 19:45 - 20:20 【休憩 20分】
第3幕: 20:40 - 21:15

感想は後日・・