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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

宝塚星組公演「眠らない男・ナポレオン」

2014-03-30 06:20:10 | TAKARAZUKA
2014年、タカラヅカ100周年の記念Year幕開けに劇団が総力かけて投入した
その名も
ル・スペクタクル・ミュージカル
『眠らない男・ナポレオン ―愛と栄光の涯(はて)に― 』
L’Homme sans sommeil: Napoléon ~Au-delà de l’Amour et de la Gloire
Écrit et mis en scène par Shuichiro Koike, composé par Gérard Presgurvic
作・演出/小池 修一郎
作曲/ジェラール・プレスギュルヴィック
大劇場では元旦から2月3日まで、東京ではバレンタイン・デ―に始まり、昨日3月29日(土)に千秋楽を迎えたという大変な長丁場。
まずはこの力強いヒーローを連日演じ続けたTOPスター柚希礼音さんをはじめとする星組メンバーにお疲れ様と言いたいところですが、柚希さん夢咲さんらは4月4日からの記念公演、そして月組さんの各組TOP特別出演が控えていてすぐにお稽古なのでしょうね・・・。さすが100周年ならではの過密スケジュールをこなすスターさんたちには頭が下がります。

わたくしは1月早々にムラで一回目観劇。
SS席ド・センターと言う絶好の席だったのにも関わらず、その日、午前中にステージスタジオ初体験(!)で体力を使い果たしたせいか、このヘビーな大作を追いかけるだけでせいいっぱい。
ナポレオンの生涯については池田理代子先生の「エロイカ」で予習をしていたのですが、その内容をほぼ網羅する小池先生の欲張りとも言えるコンテンツの詰め込みぶりとドラマチックで美しい楽曲に乗せられた説明歌詞を理解するために脳ミソフル回転^^;
感想は・・・これは昼夜W観劇はムリだな・・・というちょっと負け犬感漂うものとなってしまい・・・。
壮大な失敗作、などと言う風評に、押さえていた東京のチケットを前に、大丈夫かしら・・とやや不安がよぎっていた1月。
2月、3月と週1ペースで観劇。
オペラ座で中休みがあったのですが、その間、メインどころが台詞かんでいた、とか、お疲れ?のご様子が聞えてきたり・・・。
最終週、仕上げに2度観ることが出来たのですが、これはもう素晴らしかった。
こちらも全体の流れが入っているので、ここが見どころ!というところに集中できますし、音楽も聞きなれてくると美しい楽曲が多く、それを歌ウマの専科さん(美穂圭子さん、北翔海里さん、英馬なおきさんら)、このところ急激に歌レベルが上がった2番手3番手(紅さん、真風さん)、もとから歌える組子(音花さん、天寿さん、夏樹さん)、今回グッと上達した娘役(綺咲さん)、そして、もとよりパワフルな歌唱に定評のある柚希さんがぐいぐいとドラマを引っ張って、まさに、重厚な歴史・人間ドラマを観た!という満足感いっぱいの舞台に・・・



*続きます*


パリ・オペラ座2014来日公演・雑感

2014-03-30 06:08:53 | BALLET
ヌレエフ版の楽しさと若手の台頭を告げた「ドン・キホーテ」でのオープニング、そして3組のうち、1組は今が盛りの成熟した美しさと研ぎ澄まされた感覚を持ったオレリーとエルヴェ、他2組は引退の年になお艶やかな名花を送りだすアデュー仕様で、いずれも見逃せない公演でしたが、そんな中で、目を惹いたソリストについてのひとことを覚書として記しておきたいと思います。

■サブリナ・マレム(Sujet)

アニエス・ルテステュ/ステファン・ビュリョンの日の「椿姫」で、マルグリットの娼婦仲間で親友のプリュダンス役を。
ガストンとペアで踊ることが多く、ガストン役のクリストフ・デュケンヌと雰囲気が似合っていて、良いカップル。陽気で温かみのある人物造型と人情味あふれる表情がドラマを盛り立てていたように思います。マルグリットが夏の別荘で、パトロンの公爵に立てついて、アルマンを選ぶマイムのところで、彼女の公爵の庇護の下からの離脱を意味する豪華なネックレスを外して床に落とす仕草の後、憤然と立ち去る公爵、アルマンの腕をとって進むマルグリット、掃けていく人々・・・の中で、さっとさりげなくそのネックレスを拾って胸元に入れるプリュダンスがちょっと客席を沸かせて緊張を解く場面があるのですが、強欲というよりはちゃっかりとした愛嬌があって、彼女のプリュダンスは人が良さそうで好みでした。
モデルのミランダ・カ―にちょっと雰囲気が似ている美人で、楽屋口でのファン対応もチャーミング。
「ドン・キホーテ」では、マチルド・フルステ―/マチアス・エイマンの日の街の踊り子(エスパ―ダの相手役)でしたが、柔和な個性が派手なテクニックを誇示する主役の前では目立たなかったのかあまり印象に残っていません^^;

■ヴァランティ―ヌ・コラサント(Premiere Danseuse)

初日のオレリー・デュポン/エルヴェ・モロー、土曜日のイザベル・シアラヴォラ/マチュー・ガ二オの日のプリュダンス。
落ち着いていて温かみのあるプリュダンス。2006年17歳で入団で順調に昇進してのプルミエ―ル。年齢より落ち着いて見えますね。安定感のある彼女、今後もオペラ座公演で活躍する姿を観ることになるだろうと思います。

■ローラ・エッケ(Sujet)

長身で見栄えのする容姿。以前バレフェスかルグリ・ガラで「ジュエルズ」の「ダイヤモンド」を踊った時には、どこも悪くないのに本当に心を動かされない演技で、神秘的で高雅なロパートキナ、スラブ系の秘めた情熱と憂いの中の力強さを感じさせるヴィシニョ―ワに比べるとやや薄く感じるルテステュが実は、フランス・バレエの正統派の優雅で端正な輝きを放っていたことに気付かせてくれたものでしたが、アリス・ルナヴァン/カール・パケットの日の「ドン・キホーテ」の街の踊り子役では登場した瞬間から華やかで、鉄火な姉御系の魅力いっぱい。
あぁ、こういう役が似合うダンサーなのかと納得しました。
「椿姫」ではアニエスの日のマノン・レスコ―を、ヴァンサン・シャイエをデ・グリューに踊りましたが、これもまた素晴らしく、享楽に身を任せる破滅型のマノンがマルグリットの幻想の中で彼女を蝕んでいく怖さまで感じさせてくれました。マノンは他日ではエヴ・グリンツテインが演じていましたが、エヴは夢の中の幻影のよう。ローラは時として生身で迫ってくる感じ。解釈はそれぞれですが、その違いも面白かったです。

■ヴァンサン・シャイエ(Premiere Danseuse)

初日のオレリー、土曜日のシアラヴォラの日のガストン。
2幕冒頭、夏の日のくつろぎの場面で、小道具の鞭を持った長めのソロがあるのですが、これを音楽に良く合わせて、アクセントを効かせた小気味よい踊りでピリッと締めていました。
同じプルミエ―ルで、アニエスの日のガストンだったクリストフ・デュケンヌがややロマンチックで素朴な雰囲気を漂わせているのに対し、世知に長けたパリジャンという感じ。
ガストンでないときはデ・グリューでエヴ、ローラのマノンの相手役を務め、「ドン・キホーテ」では両日ともエスパ―ダと、バレエ団の信頼の篤さがうかがえますね。

■レオノール・ボラック(Coryphee)

娼婦仲間で若くて売れっ子のオランプ役。マルグリットに縁切りされたアルマンが当てつけに付き合ってみるが・・・という役どころ。華やかでマルグリットにはない若さとCUTEな愛らしさとちょっとだけの優越感のような感じを漂わせるが、レオノールのオランプは軽快で、悪気のない感じ。
アニエスの日の娼婦仲間はサブリナ・マレムのプリュダンスといい、レオノール・ボラックのオランプと言い、皆、心根が優しそう^^
小柄で金髪を弾む縦ロールの巻き毛セットして、くすんだピンクのフェミニンな街着姿がとても似合っていました。

■シャルロット・ランソン(Coryphee)

華やかな美貌のブロンド美人。昨年の「天井桟敷の人々」の来日公演で、幕間に東京文化会館のロビーで、カール・パケットの相手役として、劇中劇の「オテロ」のデスデモ―ナを踊って注目を集めたのは記憶に新しいところ。
土曜日のシアラヴォラの日のオランプ。
派手な顔立ちで自信たっぷりにマチューと戯れる姿はお似合いだけれど、やっぱりマチューにはシアラヴォラみたいな妖艶な年上の女性に可愛がられているほうがしっくりくるな・・と思わせる辺りも配役の妙。

■ロレーヌ・レヴィ(Coryphee)

あのNHK教育TVで2006年に放映されたマニュエル・ルグリ先生のスーパー・バレエ・レッスンで、アクセル・イヴォーくんと組んで「ロミオとジュリエット」のバルコニーの場面を生徒役で踊っていたロレーヌも、あの時のままの品格ある美少女で、でも団員としてフルに活躍。
「ドン・キホーテ」では、アリスの日には2幕1場のジプシーの野営地場面では2人のジプシー女の1人、
2幕2場の幻影の場面では3人のドリア―ドの1人という3人口で使われるソリスト扱い。
マチルドの日には、1幕バルセロナの広場の場面ではキトリの2人の友人の一人、そして、3人のドリア―ドの一角は不動のレギュラー。
「椿姫」では6組のカップルの1人として、仮面舞踏会や田舎の別荘のゲストなど、きれいなお衣装が似合う華やかな姿を見せ、舞台上で、優雅に微笑み立ち動き、踊り・・・と、群舞のヴィジュアルレベルを引き上げる働きを。
こういう美人が普通に群舞にいるというのがオペラ座クォリティだなぁと思います。

他にも、ス―パ―・バレエ・レッスン生で記憶に残るアクセル・イヴォー(Sujet),シャルリ―ヌ・ジザンダネ(Sujet)、ファビアン・レヴィヨン(Sujet)らもそれぞれご活躍。大物エトワールの次々の引退に寂しさは否めませんが、若い世代に少しずつ魅力的な人材も育ち、後は、ルフェーブルさんからミルピエ氏に芸術監督が交替することで、どんな変化が生まれるのか・・・。期待半分心配半分で、今後も楽しみにWATCHし続けたいバレエ団です。