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パリ・オペラ座バレエ団2014来日公演 「ドン・キホーテ」初日

2014-03-19 13:09:30 | BALLET
パリ・オペラ座バレエ団の来日公演前半が終わりましたね。
若手中心のヌレエフ版「ドン・キホーテ」、そして明日から始まるのはベテランエトワール陣によるノイマイヤーの「椿姫」。

かつてのヌレエフ世代の煌めきの片鱗からオペラ座バレエ団の魅力に魅入られたものとしては、今の布陣は若干物足りなくなくもないのですが、それでも、次世代が既に引退興行を行うという時の流れを受け止め、その更なる次の世代の成長を見届けるべく、ほぼ全キャストを観賞の今回。

まずは、「ドン・キホーテ」の初日から、感想を。



2014/03/13(THU)18時45分開演 東京文化会館 大ホール

パリ・オペラ座バレエ団 日本公演
「ドン・キホーテ」
プロローグ付 全3幕

ミゲル・デ・セルバンテスの小説に基づく

音楽: ルートヴィク・ミンクス
編曲: ジョン・ランチベリー
振付・演出: ルドルフ・ヌレエフ(マリウス・プティパ版による)
美術: アレクサンドル・ベリヤエフ
衣裳: エレナ・リヴキナ
照明: フィリップ・アルバリック

パリ・オペラ座初演:1981 年3 月6 日

◆主な配役◆

キトリ(ドルシネア): アリス・ルナヴァン
バジリオ: カール・パケット

エスパーダ: クリストフ・デュケンヌ
街の踊り子: ローラ・エッケ

ドン・キホーテ: ギョーム・シャルロー
サンチョ・パンサ: シモン・ヴァラストロ
ガマーシュ、キトリの求婚者: マロリー・ゴディオン
ロレンツォ、キトリの父: パスカル・オーバン

ドリアードの女王: アマンディーヌ・アルビッソン
キューピッド: シャルリーヌ・ジザンダネ

演奏:東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
指揮:ケヴィン・ローズ

◆上演時間◆
第1幕: 18:45 - 19:35 【休憩 20分】
第2幕: 19:55 - 20:30 【休憩 20分】
第3幕: 20:50 - 21:25

フランス国内でおこなわれているパリ・オペラ座労働組合のストライキの影響により、本日の日本公演初日の開演時間を18時45分とさせていただきます。お客様にはご迷惑をおかけして申し訳ございませんが、なにとぞご了承のほどよろしくお願い申し上げます。
との告知アリ。

この日、7時まで会社にいなくてはならず、19:30に文化会館到着で、当初の予定では18:30開演だったため、1幕をほぼあきらめていたのですが、この上演時間の変更および、若干の開演の遅れのため、1幕途中からをかなり見ることができたのは幸運でした。

この日のCASTは、当初、
リュドミラ・パリエロXカール・パケット、ミリアム・ウルド=ブラハムXマチアス・エイマン、アリス・ルナヴァンXジョシュア・オファルト で発表されていたのが、故障やスケジュール調整で
ルナヴァンXパケット、パリエロXエイマン、そして、日本では無名の若手プルミエのヴァランティ―ヌ・コラサントXフランソワ・アリュに変更。
マチアスのチケットは変更になったらクレーム続出とわかってか、変更なしでしたが、ルナヴァンがパケットに合わせて異動したので、ルナヴァン目当てでチケットを取っていたわたくしは、再度、チケットを探さなくてはならず・・・大変でした^^;
そしてまた、今度はリュドミラが出演できなくなって、ドロテも産休中ということで、マチアスと「ドンキ」を踊れるダンサーで、まさかの登場がサンフランシスコ・バレエに一時避難?プリンシパルとして移籍中のスジェ、マチルド・フルステー。

彼女の踊りについては翌日の感想に記しますが、この日、配役表を見た瞬間、お目当てのアリス以上にテンションが上がったのが、緑の人!
・ガマーシュ: マロリー・ゴディオン
そして
・サンチョ・パンサ: シモン・ヴァラストロ

2人とも、やや小柄なれど良いダンサーなのですよね・・・。
ゴディオンくんは来日の度に、(特にヌレエフ版の難易度高く激しい振付の)群舞のダンスリーダーとしてとり澄ましたお顔で正確無比に牽引する姿をついオペラグラスで追ってしまうスジェ。
ヴァラストロくんは ローラン・イレ―ル引退直前の貴重な公演、ということで、イタリアはトレヴィーゾまで遠征した「GALA DES HOMMES」に出演、「オー二ス」のソロで、潮風と地中海の陽光が感じられる素晴らしい踊りを見せてくれて以来の注目株。
その2人がまさかのキャラクテールとは・・・なんて観ごたえがありそうなのかしら!!と急上昇するボルテージ。
期待にたがわず、白塗りのお化粧が美しくとてもお似合いだったゴディオンくんはお気にいりのエトロ(?)の傘を駆使して小芝居炸裂。美しく愛らしく憎めない気どりやさんガマーシュでした。
ヴァラストロくんはそのペーソス溢れる演技と彫の深いフレスコ画の聖フランチェスコのような容姿で、ただのおとぼけ従者には見えない存在感が。
いや・・・なんだかんだいって、オペラ座ってやっぱり人材豊富だわ・・と思うのはこういうところですね。

あと、ルグリ先生のNHK教育で2006年に放映された奇跡の番組「ルグリのスーパーバレエレッスン」で生徒役を演じた若手たちがその後成長した姿をそこここで見せてくれているのにも胸が熱くなります・・・。

ドイツ系っぽい容姿の健康的なブロンド、シャルリ―ヌ・ジザンダネはスジェで、キューピッド役を。彼女はSBLのプロフィールに趣味は乗馬と書いていたような・・・。運動神経が良さそうな優等生タイプで、頭角を現してきましたね。
「ロミオとジュリエット」を初々しく踊っていたカップル、ロレーヌ・レヴィとアクセル・イヴォー。
長身細身の美少女ロレーヌはコリフェですが、ジプシー娘では2人口で、ドリア―ドでは3人の一角として、目立つところで使われており、昨年末の昇進試験でスジェに上がったばかりのお顔立ちに特徴のあるロマンチックダンサー・アクセルくんも全ての群舞で活躍しており。
他にも、ファヴィアン・レヴィヨンとか、色々と見つけては嬉しくなっておりました。

さて、主役は。
アリス・ルナヴァンについては、ローラン・イレールの引退公演をガルニエ宮で観た時に、ウィリアム・フォーサイスの「精神の不安定なスリル」であの円盤型のチュチュでキレ良く踊っている姿に着目し。その後、「ル・パルク」の来日公演にも帯同していて、10頭身かと思わせるほどの長身小顔のテクニシャンとして認識。コンテンポラリーはぴったりだけれど古典の全幕はどうかしら?と興味駸々で。
キトリは、そんな彼女にとって、最も似合う古典の主役かも。 きびきびとした街娘であるだけでなく、PDDでは艶やかな大きさを感じさせる踊りで、好感度大。
お顔立ちがベトナム系のエキゾチックなアジアンFACEなので美女タイプではないのですが、ゴールデン・レトリーバーのような金髪でがっしりとしたカールとの並びは、意外と真逆なのが良かったりして・・・。
ソチのアイスダンスの金メダリスト、メリル・デービス&チャ―リー・ホワイト的なバランス、とでも申しましょうか。
安定感のあるパケットくんとの並びは思いがけず良かったです。



このヌレエフ版は、ヌレエフらしく、群舞の踊りの密度が濃くて、幕が下りる時には舞台中の人が激しく踊り続けているさなかに下りてくる・・・という感じで。
美術やお衣装も、アイボリーのチュチュの下に重ねたチュチュペチコートが薄紫だったり、赤からオレンジにグラデーションになったスカートとか、フランスらしいエスプリの効いた配色がステキ。
頻繁にお召し替えするバジルも、スペインものの定番の赤黒ではなく、アイボリーとゴールドベージュとか淡いブルーグレーと水色とアイボリーとか、洒落ていて上品。
質量ともたっぷり!という感じの眼の忙しい舞台は南国の祝祭劇にふさわしく、踊りを引き立てることを大前提にサービスたっぷりにためて聞かせるこの日の指揮者のケヴィン・ローズ氏の徹底した踊りに奉仕する指揮ぶりとともに、心から楽しめた舞台でした


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