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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

IBC ガラ

2013-03-04 05:10:09 | BALLET
元・東京バレエ団プリンシパルで、現在バレエスタジオとカンパニーを主宰していらっしゃる井脇幸江さん、
2012年12月のゆうぽうとホールでの「ジゼル」全幕に続いてのカンパニーの今回はGALA公演、ということで、新宿文化センター大ホールへ行って参りました。

井脇さんの豊富な人脈がそのまま・・・のバラエティに富んだ布陣で、モダンありコンテンポラリーの新作あり、クラシックあり・・と飽きさせない意欲的な内容の濃いGALAで、オープニングとフィナーレの構成にもこだわりが^^
照明や衣装もセンス良く、楽しい一夜でした。
「一夜限りの・・」と銘打っていらっしゃいましたが、国内の私設のバレエ団で発表会形式でなく、商業的な公演を実質的に打てるバレエ団は限られている実情もありますが、それを乗り越えて是非!続けていただきたい企画だと思いました。

2013年3月2日(土)19:00~

IBC(Iwaki Ballet Company) GALA

【第1部】

■「チャイコフスキー・スイート~opening~」
振付:西島千博(振付補佐:井脇幸江)
衣装: DRESS705

プロローグ(ゲスト出演者全員)
Ⅰ.「エレガンス・イン・ザ・パッション」(チャルダッシュ)
 柴田有紀/正木亮/IBCメンバー
Ⅱ.「ネオ・ロマンス」(パ・ド・ドゥ)
 井脇幸江/西島千博
Ⅲ.「クラシカル・アンド・ニュー・ステップス」(コーダ)
 井脇幸江/西島千博/IBCメンバー

シャンデリアのようにも街灯のようにも見える段違いに配された照明だけがSETの簡素な舞台に
ゴージャスなシフォンフリルが連なるロングチュチュ?テールの長いデザインのスカート部分・・・にシンプルなベアTOPのお衣装。羽根飾りのヘッドドレス、チョ―カ―状に配された黒リボンが首元に・・・というスタイルの女性陣。幸江さんが黒で、他の方はチャコール、シルバーの濃淡グレー。
4人の若手(Kバレエ、元・東バなど)男性ダンサーがそれぞれのバレリーナさんのエスコートを務め、井脇さんの相手役の西島さんは、ロングヘアーをひとつにまとめたヘアスタイルにノースリーブのロングテールジャケットというこだわりのスタイル。
このプロローグは西島さんがプロデュースされた、とのことで、とても華やかでミュージカルかショーか・・という、でもとても大人っぽくてスタイリッシュな幕開けでした。
ちょっとオーストラリア・バレエ団の演出に似た匂い?(笑)を感じ、期待が高まります。

■「Wings to Fly」(新作)
振付: 小尻健太
音楽: ニルス・オークランド、J.S.バッハ

わ、小尻健太さんってローザンヌでスカラシップ賞をとられたとき以来。あれって1999年なのですね・・・。
コンテンポラリーで清冽な踊りをする人だ、と印象に残っていました。
すっかり大人になられて・・・って当たり前ですが(笑)
NDTでキリアン作品を踊っていたんだ・・・今はフリーランスで金森譲さんと踊ったり・・なるほど。
で、ご本人の新作の自作自演。
とてもポジティブな自分探し、という感じの作品で、爽やかな作風。

■「リベルタンゴ」
振付: Karina Sarkissova
音楽: アストル・ピアソラ
針山愛美/ライナー・クレンシュテッター

ベルリン国立バレエ団からゲストのお二人。
針山さんはボリショイバレエスクールを首席で卒業後、海外でずっと御活躍ゆえ、なかなか噂には聞けどもお姿を観られず・・・のバレリーナさんゆえ、IBCで観られて本当にラッキー。
ほっそりとした手足の長いエレガントなダンサー。小顔でお雛様のような小作りなお顔立ちがCUTE。
クレンシュテッタ―さんは「マラーホフの贈り物」で来日されたときのスキのない精緻な踊りが思い出され、期待大のペア。
これは作品としても面白く、バレエダンサーがタンゴを踊ったら・・・という妄想?を形にして見せてくれた作品で。
タンゴの粋さとバレエの浮遊感の融合とでも申しましょうか・・・美しかったです

■「海賊」よりグラン・パ・ド・ドゥ
原振付: マリウス・プティパ
音楽: ルドルフ・アダン、レオン・ミンクス
柴田有紀/浅田良和

元Kバレエソリスト、IBCの講師としても御活躍の柴田さん、元Kバレエソリストの浅田さんのペア。
浅田さんはテクニックと勢いのある若手ダンサーでそのやる気満々なテンションの高さが清々しい。
柴田さんは、ちょっと表情が硬いかな?と気になっていたら、フェッテの見せ場で2度ほど確かめるようにトライしたあと、あきらめてその数小節を流してしまわれたので、すわ、捻挫?と心配になりました・・がコーダはきれいに決めていらして、ホッ。また、万全の状態でいらっしゃるところを拝見したいです。


■「眠れる森の美女」よりグラン・パ・ド・ドゥ
原振付: マリウス・プティパ
音楽: ピョートル・イリイチ・チャイコフスキー
井脇幸江/菅野英男

うーん、フレッシュなバレリーナの専売特許のような演目を敢えて大人なお二人が・・・。
ちょっと意外でしたが美しかったです。キラキラしていらして、少女マンガの主人公のような幸江さん。
ピーチピンクのお衣装にWのティアラがステキ。
照明も心なしかピンク味をいれていて、華やいだムードが
菅野さんは新国立のファーストソリスト。落ち着いた雰囲気の安定感ある王子でしたが、GALAのためのペア・・の限界か、フィッシュのポ―ス3連発のラストはきれいに成功したのは最初だけで、あとはちょっとなんとか、という感じも。
もっとおふたりで躍り込むお時間があれば・・・・と。そこだけ少し残念でした。
幸江さんは、改めてクラシックのチュチュ姿がとても美しく、とりわけアームスの手首から先の表情がとても繊細。
この手の美しさ、壊れやすい陶器のような繊細さ加減は東バの小出領子さんが随一だと思っていたのですが、幸江さんもそうだということに今更のように気付きました^^;

< 休憩15分>

【第2部】

■「Doctor Doctor!」(新作)
振付: 高橋竜太
音楽:ジョルジュ・ビゼー マイケル・シェンカ―
衣装: 中島美保子

Lady: 美踊 Gentle,man: 氷室友
Doctor: 高橋竜太 Nurse: 工藤加奈子 IBCメンバー

元・東バで、ベジャール版「くるみわり人形」のビムなど、飄々とした持ち味の高橋さん、退団後の活動が気になっていたところでの振付作品で、興味駸々。
これは2人の男女の恋愛・・を精神的なトラウマ、脅迫観念などが邪魔しつつも精神科医の助け(邪魔?)もあって最期HappyEnd・・という流れで良いのでしょうか?
コンテンポラリーの新作の筋をたどろうとするのも野暮ですが、なんとなく^^;
ヒロインがブルーにアシンメトリカルな位置に配された隠しフレアーの布が白、群舞はその逆の配色の構築的なデザインのAラインのワンピースに自在に小道具にもなる赤いスカーフが舞台に映えます。
カルメン、アルルの女をモチ―フにしたモダンバレエパートと、Mシェンカ―の音楽に切り替わってのストリートダンス系のパ―トがムリなく融合。ドクターに会うとき、案内の看護婦のポニーテールを呼び鈴かわりに鳴らしたり、医者の肩を掴んで揺さぶっているつもりが、いつの間にかスルリと本体がぬけ出して白衣だけがそのままの形で手に残っていたり・・・。
様々なアイデアが巧まざるユーモアに昇華していて、観ていて楽しいチャーミングな作品でした。
一方で、ブレイクダンス的なパートでは目まぐるしくフォーメーションを変えながらも丹田の位置が空中で固定されているように見える・・など、観ていてカッコいい!と思えるショーアップされたセンスもあり・・・
で、思ったのですけど。いつか、タカラヅカの振付をしていただけませんでしょうか、高橋さん!(突如ヅカオタ発言
東バの氷室さんが、いつもとちょっと違ったキャラクターを演じていらして新鮮でした

■「シンデレラ」(マラーホフ版1幕より)
振付: ウラジーミル・マラーホフ
音楽: セルゲイ・プロコフィエフ
針山愛美/ライナー・クレンシュテッター

美しい・・・実に美しい作品でした。
プロコフィエフの音楽も大好きなのですが、落とした照明に映える、シックなお衣装・・ブルーグリーンのチュチュの内側に仕込まれたダークパープルのぺチにダークブルーの胴着部分・・・もさることながら針山さんのなめらかで長い手足を自在に使った表現が優美。
なかなか日本で観られないのが本当に残念なダンサーですね。

■「Lilly」
+81 青木尚哉/柳本雅寛

初めて見たダンスユニット。
横たわった相手の頭、両手を検死するように持ち上げてポトッと落とすゴン、と音がなる、それをリズミカルに繰り返すところから始まるプロローグを見たところでお隣の方が(知らない方)ボソッと「あ、これ観た・・・」とつぶやかれたので、ダンスファンにはある程度知られた存在なのかも。
2人で身体でかわす会話のようなやり取りがまるで漫才のように思えてくる、新鮮なユーモア感覚に溢れた小品。
面白かったです^^

■「Home」(新作)
振付:篠原聖一
音楽: ガブリエル・フォーレ、クリント・マンセル
井脇幸江/菅野英男

情感溢れるモダン。ブルーの濃淡の簡素な衣装で夫婦の別れ?と失ってわかる喪失感・大切なものをあらわしているのだそうですが、しみじみとしたチェロの音楽も相まって安らぐ感じ。


■「ドン・キホーテ」よりグラン・パ・ド・ドゥ
原振付: マリウス・プティパ
音楽: レオン・ミンクス

グラン・パ・ド・ドゥ: 米澤唯/厚地康雄
第一バリエーション: 工藤加奈子
第二バリエーション: 松村みどり
IBCメンバー

新国立バレエの、米澤さんはソリスト、厚地さんはファースト・ソリストの華やかなお二人。
厚地さんは、お正月のキエフ・バレエの来日公演で、吉田都さんのパートナーを務めていらしたのですね。
長身で白いお衣装なので、バジルというよりはエスパ―ダ、という印象。
米澤さんは、このところ新国立バレエ団の公演を観ていないので初見、だと思うのですが、驚くほど見せ方が上手い魅力的なバレリーナ。
テクニックが素晴らしいのですが、それを技のオンパレード、新体操?というような方向性ではなく、美しく、ためるところはキチッとためて見せ場を明確に見せるところが若さに似ず?とてもプロフェッショナルな印象を受けました。
とりわけフェッテで脚をダブルやトリプルにするだけでなく、扇を頭上からひらひらと大きくおろしながら・・・というアレンジがとてもきれいで印象的でした。
IBCメンバーから抜擢されてヴァリを踊ったお二人もフレッシュで、特に松村さんは踊りのディテールがきれいで目を惹かれました。

■「フィナーレ」出演者全員

最期までスタイリッシュで笑顔が満開の舞台。
こういう、新進気鋭の振付家が作品を見せる場でもあり、モダンとクラシックのバレエ作品を現代的(モダンに落としこんだ、という意味ではなく)な美意識で構成したプログラムとしてバレエファンも納得する公演を、海外のスターダンサーを座長とした企画公演以外で観られる機会はそうないと思います。

キリアン、ノイマイヤー、ベジャールなど、錚々たる振付家とのコラボレーションの機会を持ち、古典全幕で重要な役を担い続けてきたキャリアを持つ井脇さんならではのGALA公演、今後も続きますように





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2 コメント

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Unknown (maria-pon)
2013-03-12 11:20:52
シ―ラカンチャン様

お久しぶりです!
わたくしもMINXでの横森さんとの丁々発止、時々拝見しては
シ―ラカンチャンさんご健在、と嬉しく思っておりましたが・・・
イベントも減って、なかなかお目にかかる機会がないのが残念です。
こちらで、お話させていただけるのがありがたいですわ{ラブ}

べジャ―ルのライト、森下洋子さんに振りつけた・・・という伝説の作品ですよね。
わたくしも金曜日のBプロ初日に観て参りました。
そちらも改めてなるべく早く記事にしたいと思いますので、是非、御覧になってくださいね^^

Aプロについては、
「ディオ二ソス組曲」について書いたところで力尽きていますが、
実際に一番面白かったのは実はジルの新作で・・・。
とてもユニークなので、書き足す形で、記録はUPする予定です{ハート}
伝統芸能としてベジャールさんの遺産を守るバレエ団というのも確かに意義深くはありますが
やはり、現代のいぶきを取り入れながらの新作も、バレエ団の存続のためには必要なのではないか、そして、それがジルの体制下、実現しつつある予感を感じて、とても前向きな気分になれました^^

チケットに関しては、わたくしはNBSの会員先行で良席の中での配席はおまかせ・・で
押さえてしまうことが主ですが、NBSとジャパンアーツ以外の主宰者の公演は、本当に良席確保に悩みます・・・^^;
何度もトライされて納得のお席をGETされたのは流石ですね!

小林十市さんの現役時代は、ベジャールバレエ団の来日公演で何度か拝見していますが、
細身の薄い身体、清潔感のある飄々とした演技など、アジア系であることと、彼自身の持ち味が、個性豊かなベジャールバレエ団の中で一際目立つ、魅力あるダンサーでした。
文化的背景や知性でベジャールさんの片腕的な役割も果たしていらしたようなので、故障で団を離れられたのはベジャールさんにとっても痛手だったと思います。
ご本人にとっては、限りある舞台生命のダンサーよりは、長く活躍できる舞台俳優へのかじ取りを早めにはじめられた、ということで長い目で見るとラッキーだったと言える時が来るのかもしれませんが・・・。
今でも、自主的にレッスンをされたり、東バへの指導などもされているようですので、
また、観られるチャンスはあるのでは・・と思っております{うさぎ}

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Unknown (シーラカンチャン)
2013-03-11 21:08:00
☆Mariaさま

お久し振りでございます。{YES}
なが~いベジャールレポート、有難うございます。
相変わらずのご健筆ぶりですね。{ガッテン}
目に見えるようです。
私は、Aプロはみられませんでしたが、9日にBプロ(ライト)を見てきました。
兎も角ベジャールを見ようと決めて、チケットを探し始めたのは、結構日がたってからでしたので、良席を求めてなん度もトライして手にいれました。{OK}
前知識なく見ましたが、まったく「意味不明」・・・(笑)
しかし、音楽と踊りは全世界共通語ですね。別に意味が分からなくても、まったく問題なしに、感動いたしました。{グズン}
帰りがけに、「バレリーナ」の4月号を買って、やっとあらすじがわかった次第です。
大変意味深長な踊りだったのですね。
ボールを持っていたのは、「生」を表していたんだなぁ、とか。
でも、新体操だってボール持って踊るし、そういう意味だと知らんなくても、素晴らしいものは素晴らしいし。

日本人の踊り手が中々よかったですね。{グッド}

バレリーナの中に、小林十市さんが一日だけ、「中国の不思議な役人」を踊ったという記事があって、見たかったなぁと思いました。実物が踊っているのは、見たことがなかったものですから。
おフランスへ行かれるそうですね。{飛行機}

また、レポートしてくださいませ。
楽しみにしています。{ルンルン}
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