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鹿島茂コレクション「グランヴィル19世紀フランス幻想版画」展

2011-03-11 02:48:35 | ART
練馬区立美術館で開催中の
「グランヴィル 19世紀フランス幻想版画展」に行って参りました。



フランス文学者で、19世紀フランス社会の表と裏(こちらがメインかも^^)を探求されている鹿島茂氏の個人コレクションとサントリー美術館から貸し出しのエミ―ル・ガレの関連作品の展示です。

版画家J.J.グランヴィル(1803~1847)の短く悲劇的(3人の子と妻に先立たれ自身も精神病院で没)な生涯において生み出された作品の数々・・。
細密画家であった父親の薫陶を受けた確かなテクニックと、独自の鋭い社会風刺と幻想的なイマジネーション。

動物の頭と人間の身体を持つ登場人物が一言・・・という形式でくすりとさせる「現代版変身譚」「動物たちの私生活・公生活情景」からの石版画は2通りの彩色を展示したり、後に復刻版が作られた時の木版画ヴァージョンとの対比など、見比べるのも面白い。

挿絵画家としても活躍。
「ガリバー旅行記」「ラ・フォンテーヌ寓話集」「デカメロン」など、こちらもラインナップからして彼の諧謔的な志向が伺えますね。

かと思えば美しい花の精や宇宙の戯画化など、美しさと不気味さがMIXした独得の味わいで、
アリスの挿絵画家ジョン・テニエルが影響を受けた・・・というのもさもありなん、ですが、それ以上に、幻想画においては、ヒエロニムス・ボスやウィリアム・ブレイク的世界観、そして後のマグリットらのシュルレアリスム運動にとつながる飛躍する発想の萌芽を感じさせる、アカデミーの美術とはまた別のルートで独自に花開いたもうひとつの美術史を繋ぐ存在なのでは・・と感じさせられました。



これは、展覧会の図録でもあり、一般書籍としても発売されている鹿島氏の著書。
美しい白猫が、一言「わたくし、マフをいただきましたの」
椿姫のような高級娼婦への第一歩をふみだした若い娘、といったところでしょうか?
いかにも鹿島氏好みの一葉ですね^^

展示作品は約240点。
細部まで見ると楽しいのですが結構見応えのあるボリュームです。
4月3日(日)まで。





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