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パリ・オペラ座バレエ団「ジゼル」 デュポン、ル・リッシュ ③

2010-04-18 05:32:00 | BALLET
パリ・オペラ座バレエ団2010年日本公演の楽日、
ガルニエでプレルジョカージュの新作「シッダールタ」出演のため、日本公演はこの一日だけ出演の
オレリー・デュポンとニコラ・ル・リッシュが主役の「ジゼル」



第2幕です。
後悔に苛まれてのお墓参り。
アルブレヒトは忠実なるウィルフリードを先に帰らせ、ジゼルの墓前で嘆きます。

ウィリとなったジゼルとアルブレヒトのPDDでの、ジゼルの浮遊感が素晴らしい。
これはひとえにニコラのサポートの上手さ?
オレリーのたゆたうようなアームスとサヤサヤと残像を残すスカートのシフォンの重なりがうごめくさまに陶然とさせられました。

オレリーのジゼルは、生前と変わらぬ暖かさを持った表情で、アルブレヒトの目の前に現れますが、その白いウィリの衣装ゆえか、暖かさの中にどこか霊的なものを感じさせ、やはり違った世界に属しているのだということをハッキリと表します。
もう生身の人間の手の届かない存在であるものゆえの一抹の悲しみを宿しながら、なお、さし迫った死への危険から最愛の人を守り抜こうとする静かな決意。
それは、ミルタの前でアルブレヒトをかばう、きっぱりとした優しさに現れており、それを受けたミルタも、二人のアルブレヒト助命の懇願に表面上は拒絶を繰り返しますが内心動かされていることがわかります。
この目線と気持ちの通い合い、どんなマイムを見せるでもないのですが、オレリーとマリ=アニエスとの間にはしっかりとそんなやり取りが交わされていると思いました。

ニコラのアルブレヒトは、ジゼルに再会できた喜び、でもそれが手の届かない存在であると知った戸惑い、ウィリの登場から死への舞踏に誘われながら、翻弄される様・・・
を、見せながらも、アルブレヒトのソロでは、高い跳躍、正確な脚技はもとより、その若者らしい存在感たっぷりの体躯が宙を舞い、限界まで(とはいえ、倒れこんでも余力を感じさせるあたりがニコラ)突き動かされる様子そのものにドラマチックな感興を催させられました。

最期、朝の光に救われた二人を残してウィリたちが上手に掃け、下手の墓前にて、そのまま名残を惜しむように腕を差し伸べながら、ジゼルもまた、現実の世から姿を消してしまいます。
一人残されたアルブレヒト。
彼は、墓前に残したマントを手に、それを引きずるように力なく、ジゼルの墓を後にします。
明るい光に包まれて・・・。
今 起こったことを思い起こして、彼女の愛とその喪失を噛みしめながらトボトボとジゼルのいない日常に戻る、その空虚な気持を表すがっくりと落ちたその肩・・・。
白百合をハラハラと取り落しながら虚空を見つめる、ナルシスティックなカタルシスがジゼルのラストシーンの定番ではありますが、ニコラの解釈はロマンティシズムを敢えて排してリアリスティック。
幻想的な一夜の宴で知った真実の愛がその後の彼の人生に重く刻んだものを悟らせる印象的なラストでした。





この日が楽日でしたので、カーテンコールで、3色のラメテープが大量のコンフェッティとともに舞台天井から落ちてきて場を華やかにもりあげました。
ここでお辞儀をしているコールド陣、ジゼル初日にはあまり揃っていない感じも見受けられましたが、この日の舞台では素晴らしかった!左右対称に、アティテュードのポーズで片足で進みながらすれ違うところなど、思わず客席からブラボーが
出たくらい。



これは終演後の記念写真(NBSのブログより)
センターに立つウィルフリード役のスジェのジャン=クリストフ・ゲリさんは、この日が引退公演だったそう。
大喝采でお見送りできて良かったです。




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