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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

GINZA志ま亀

2007-03-11 20:56:27 | きもの
3月10日、土曜日は着物日和。MINXのお着物仲間、いそじんさん、kinakoさんmiwaさんと銀座でお着物やさんめぐりを楽しんで参りました。



写真はお茶をした銀座ウエストの前にて・・・。
わたくしは、次の予定があり着物は断念。フェレッティのミニジャケットにエレウノのスカートは赤で合わせ、アイボリーのコートはIRIE。
ピンクと黒のギンガムチェックのような格子の着物にアンティーク帯、薄紫ピンクのレースの半襟のいそじんさんと。miwaさんは赤と濃紺の縞がアイボリー地に入ったくるりの小紋に桜柄のピンク地の半襟でいらしたので、お2人が並ぶと同じ色調の縞と格子の姉妹のようで・・・息のあったお2人、でした

kinakoさんは素敵な青緑に赤紫の抽象?花?柄の小紋の羽織をアンティークショップで一目ぼれされたとのこと。紐がいかにもアンティークらしい牡丹色だったのを、青山みともさんで紫の濃淡の縞のきれいな羽織紐に交換されたら、見違えるほどスッキリとして・・・。

コアビルの中のみともさんで、結城紬の素敵な反物に出会ったわたくし。
実は、紬で単衣で、男の方のワイシャツに良くあるようなクリアな水色、そしてピンクを捜しており、今回の出会いはピンクの方。
結城ですが、繭は本結城と同じもの、織りは機械ですので、却って(?)丈夫。染も化学染料なのですが、草木染のベージュがかった柔らかいピンクとはまた違ったクリアでシャープな、透明感のある桜ピンクで、イメージ通り。機械織なので、予算も18万くらいでお仕立てまで出来そう。
実はこんなブルーも捜していて・・・とご相談すると、藍染めは濃い色はいくらでも出来るのですが、淡い色に調整するのがとても難しいのだそう・・・。どおりでなかなか出会わないのですね~。
出合ったら、本当になかなかないものなのでお決めになったほうが良いですよ、とアドヴァイスいただきました。

その後、数寄屋橋通りの志ま亀さんに・・・。
林真理子、瀬戸内寂聴など著名人の顧客が多い有名店。いつもハンナリとした京好みのウィンドウディスプレイで、敷居が高いのでは、と思っていましたが、入ってすぐのコーナーには反物で20万円台の小紋、帯も塩瀬で同じくらいの価格帯の名古屋を揃えて、価格表示もキチンとなさっていて意外。
ハンナリと上品なふっくらとした柄の配置、全体の「志ま亀」カラーとしか言い様のない柔らかな色目で見てすぐ「志ま亀」さんね、とわかるところが魅力なのでしょう。




こんな感じが代表格かしら。
日本人の肌に馴染んでホワッと上品に華やぐ絶妙な色合いです。
わたくしは黄味の入った色味があまり得意でないので、素敵だけれども残念!と思っていましたら、黒地に白・黄緑・黄色・オレンジで大胆に竹柄を染め抜いた着尺をお持ちくださって。
ここまで大胆な柄も上品なのはさすが。
小紋として楽しんだ後は羽織に仕立て直されても・・・と言われて、(確かに羽織としてならどなたでも素敵にお召しになれそうな柄)そういう楽しみかたのご提案もこちらのお店ならでは、と感心したことでした。
miwaさんはこの若草色と抹茶色をミックスしたようなグリーンがお似合い。
kinakoさんは、クリーム地に線描で牡丹を一面に書いた上にオレンジとグリーンの蝶が散った凝ってているけれどシンプルな印象の小紋がとても良く映っていらっしゃいました。(この小紋はわたくしもいいな、と思ったのですが、お店の方には「淋しすぎます」と却下。

丁寧ではいらっしゃいますが、ハッキリと自信を持ってお奨めくださる販売員の方もさすが老舗。
お似合いになる方には頼りになるお店、と好感を持ちました。



Paris散歩②装飾美術館

2007-03-11 02:07:22 | 
6年間の改修工事を終え、フランスの5世紀に渡るライフ・スタイルに関連した世界最大規模の装飾芸術コレクションを展示しているMusee Les Arts Decoratifs。
単品で追っても素敵ですが、なんといっても広い回廊沿いの一部屋一部屋に復元されたその時代のトータルコーディネートのインテリアが素敵。

心惹かれた一つ、19世紀半ばの流行、黒いインテリア。
白蝶貝などを象嵌した花の意匠が華麗で独特の幻想的な雰囲気があります。



各時代の部屋は見ごたえアリ。
オーヴェルニュ地方にあった中世末期のシャトーの寝室、1795年頃にヴァンドーム広場にあった城館のサロン、クチュリエ、ジャンヌ・ランヴァンが1925年に居住していたブルーのアパルトマンなどなど・・・。




特にランヴァンのアパルトマンは、エントランスホールからサロン、寝室、バスルーム、と続き部屋が再現されていてなんとも素晴らしい。シックで調度品の一つ一つに洗練された美意識が感じられて見飽きることがありません。
作品保存のために光が抑えられているのですが、よくぞここまで再現した!と美術館のスタッフの情熱に感じ入ります。
いらっしゃる方は必見です

窓から見えるチュイルリー公園。


打って変わって20世紀の代表的な作家の椅子100選のコーナーも・・・。





Paris散歩①装飾美術館

2007-03-06 22:22:13 | 
さて、メインイベントであるバレエ鑑賞のレポを書き終えた今、改めて、Parisで訪れた好きな場所についても振り返ってみたいと思います


お昼のOPERA座ガルニエ宮。

ここからオペラ通りを下ってルーブル美術館の手前、リヴォリ通り沿いにある「装飾美術館」がお気に入り。モード、広告(写真)、装飾(インテリア)と同建物内で分かれているのですが、充実の常設、興味深い企画展示があり、一日でも自分でテーマを決めてしっかりと見られるのと、展示内容そのものにも興味があるので本当に大好きな場所のひとつ。
目的のひとつは、11月8日から3月25日の期間、広告美術館)(Musee de la Publicite)で展示されている「マン・レイからジャン・ポール・グードまでフランスの広告写真」展。
あとは6年にわたる改修工事を終えて昨年9月に再開、天井の高いホールの周囲を巡るギャラリーの一部屋ごとに様式を統一して当時の生活をしのばせる展示の、パリ装飾芸術美術館(Musee les Arts Decoratifs)の常設。


ホールで係員に手渡された昔のトランシーバーのような機械に、壁面の番号を入力すると、都度、その展示についての解説を聞ける、というイヤホンガイドを進化させたようなオプションもあり、存分に楽しめます。(ちなみに顔をみるなり英語版を渡されたので日本語はないのかも・・・)

ヨーロッパ中世の祭壇画から始まり、ゴシック、イタリアン・ルネッサンス、北欧やオランダ、ドイツ、17世紀のパリの寄木細工、なども・・・。

美しいロココの陶器。

ゴシックロマンな鏡。

アール・ヌーヴォーな照明。

こういうものを相応しい設えの中で観てまわることの愉悦と言ったら!
この美術館の改装は大成功ですね




イレール・アデュー公演@ParisOpera座出待ち編

2007-03-05 01:52:02 | BALLET
感動を胸に・・・。

一人舞台の中央で、オペラ座中から響く拍手を受け、ブラボーの声を聴き、佇むイレール。

そのうち、舞台中央の上から、ハラハラと赤い薔薇の花びらが彼に降り注ぎ・・・。

いつまで観られるかわかりませんが、フランスのTF1の映像を張っておきます。
当日の舞台の抜粋、幕が下りた瞬間の彼のガッツポーズ(こういう体育会系の少年ぽさも魅力)、文化勲章勲一等≪Officier des Arts et Lettres ≫を受賞されたお姿・・・。
キャリアを振り返って、ルドルフ・ヌレエフによる、イザベル・ゲランと同時にエトワールに任命された瞬間も紹介された価値あるニュース映像。

http://tf1.lci.fr/infos/culture/0,,3394953,00-hommage-danseur-etoile-laurent-hilaire-.html

当日、プログラムを購入したときに配布されたA3版のポスター。
これは、その前、12月に公演が予定されたときに用意されたものの画像ですので、いくつか差し替えられたショットがあるのですが、雰囲気だけでも・・・。



興奮冷めやらぬ中、Opera座を一旦後にし、近くのカフェで友と語りあい、多分イレールの打ち上げパーティが終わったであろう頃を見計らってOpera座楽屋口に。
アニエス・ルテステュがいつものように完璧なお洒落な姿で、カワイイ子犬をつれてご登場。
さすが、お嬢様アニエス、お付き合いはするけれども、切り上げは早いのね
イレール引退をテーマにした「エトワールの最後の一日」というドキュメンタリー撮りのためにTVカメラが入っているらしいという事前情報がありましたが、そのクルーらしき一群も去り、さぁ、そろそろかしら、と
門番の方の前にある小机をお借りして、件のポスターにサインをお願いすべく、場所づくりにいそしんでいると・・・。
いきなり現れる殿。あまりの心の準備不足ゆえ、思いっきりマヌケに「サイン会場をご用意してありますので・・・」とご案内してしまいました

サインをしていただきつつ、「これは娘なんですよ」と2人のお嬢さんの幼い頃のお写真(ポスターの右上)を指差しながら目を細めるイレールを目を細めて眺めるわたくし
ずうずうしくもお写真もお願いしてしまいました。

一応、着物にも話を振ってくださって「Beautiful!」とおっしゃっていただいたので、あぁ、Parisまで一式持ってきた甲斐があったというもの・・・と心の中で感涙に咽ぶわたくし。
「今日は特別な日ですから・・・」と申し上げるのがやっとでした。

*この続きを、ご覧いただいた方もいらっしゃるかと思いますが、非公式の発言ということで、後半削除させていただきます。宜しくご了承下さいませ



イレール・アデュー公演@ParisOpera座④

2007-03-03 06:14:09 | BALLET
2007年2月14日、水曜日オペラ座のソワレ。
この日が、名エトワールにして現職のメートル・ド・バレエ、ローラン・イレールのオペラ座での最後の公演。

「バランシン/ブラウン/フォーサイス」というモダン作品のMIXプログラムの期間でしたので、最初のバランシンの「アポロ」のタイトル・ロールでその神々しい姿を見せたイレール。
彼のために、この日だけ特別に次の演目が最後に用意されました。

モーリス・ベジャール振付、音楽(作詞も)グスタフ・マーラー「さすらう若者の歌(Le Chant du compagnon errant)」


原曲では、他の男性のもとに嫁いだ恋人を思う若者の絶望、自然の美しさに触れ、生きる喜びを再び見出す様、その喜びも彼女のことを思うと激しい胸の苦痛に変わり、悲しみと安らかな忘却のうちにコーダ、というのがその内容なのですが、ベジャールの振付では男性二人のデュオにより、失恋から来る若者の悩みにとどまらない、青春の光と影を現して、圧巻。
マーラーの曲の持つ民謡風のメロディー、ドイツ・ロマン派の純粋な若者像、ドイツ特有の若いうちに遍歴を重ねて人生経験を積ませる風習から来る青春の旅の変遷などのイメージモチーフを活かしつつ、更なる普遍性を持たせて胸を焦がす若さの喜びと苦しみを、光と影の2人を配すことで効果的に表現した名作。
残念ながら、この作品に相応しいとベジャールが認めるダンサーがそう多くないので、上演されることは稀なよう・・・。
2005年のルグリ・ガラの日本公演でこの2人での上演を見ることが出来たのは奇跡に近いことかもしれません(あの時も名演でした!)

明るい水色のレオタードのイレール、ダークレッドのルグリが舞台に姿を現すと、それまで期待と最後の作品か、と緊張するざわつく心がスッと静まって、舞台に引き込まれます。
2人の若者の青春の葛藤、人生を謳歌する若さの輝き、友情と対立、挫折と絶望、そして光と影の存在の影が光の手を引いて闇に消える・・・といった、一連の流れが、お互いを知り尽くしたベテラン・エトワール2人の絶妙なムーブメントの中でこれ以上ないほど、文学的にそして音楽的に表現されていきます。
オペラ座付きのバリトン、ウィアード・ウィソルトの歌唱、ヴェロ・パーンの指揮で演奏されるマーラーの美しい歌曲の世界が、2人の舞踏を通じて更なる深まりを見せる様を、只只見守るのみ・・・。

しかし、どうして、この43歳のエトワールがこんなにも、心ふるえる若者を演じることが出来るのでしょう。遥か遠くの何かを希求しつつも混沌の中から抜け出せずに悶える心、友との大らかな交歓と激しいライバル心の火花散るぶつかり合い、この世に未練を残しつつ、手を引かれ、奈落に消えてゆくその表情の切なさ・・・。


最後の最後まで、本当に見事な舞台でした。
深い作品理解を極め、それを表現できる肉体を未だ持ちながら、それでも引退してしまう・・・。
こんな見事な舞台を見せられては、ファンは未練を断ち切れません。
・・・・が、それが、キャリアの絶頂であえて身を引くのが、エトワールの美学なのだと言われれば仕方ありませんが・・・・。

日本公演の時には、イレールがルグリに手を引かれて舞台奥に一歩一歩消え行きつつも、客席を見ながらハッとした表情(現世への未練?残した想い?)を見せ、暗転した後、客席が水を打ったようにひと時静まり返り、それから嵐のような拍手になったのですが、ここParisではラテン系のお国柄のせいか、ライトが落ちたその瞬間から拍手の渦。
・・・うーん、わたくしとしてはちょっと余韻を味あわせていただきたかったところなのですが
さすがフランス人。仕方ありませんね。