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お着物Enjoy生活からバレエ・オペラ・宝塚etcの観劇日記に...

「マニュエル・ルグリの新しき世界」 Bプロ・感想 ①

2010-02-11 10:32:53 | BALLET
はぁ~終わってしまいました。
怒濤の3日間・・・
Bプロのクォリティの高さに完全にノックアウトされてしまいました。
今日が祝日で良かった。
昨日は仕事をしながらも頭の中でバッハとショパンが鳴り響き続けていて大変でした(笑)

ルグリ先生のプロデュース公演は「輝ける仲間たち」公演のときからそのダンサーの選択眼とプログラムの多彩さで、古典とセンスの良いコンテンポラリーの演目をご紹介いただき、そして明日のスターを発掘する喜びを与えてくれるものでしたが、

今回は
「New Universe of Manuel Legris -magic moments from past and present」
ということで、新たなる地平に向けて、自身の今の立ち位置を確認、次に向けて発進するとともに
過去に踊ってきた主要な作品などを中心に今それぞれの作品にあった旬のダンサーをバレエ界以外(!)からも呼び寄せてプログラムを組む、という意欲的なもの。

結果、男女とも美しく実力のあるダンサーで作品も粒揃い、正味2時間あまりの公演でしたが、あまりの密度の濃さに気を抜いてみることのできる演目がなくてクタクタに・・・
とはあまりに贅沢な文句ですが。

フォーゲルの故障で、演目が一部配役を変えて上演されたり、ということもありましたが、その急ごしらえのペアが日を追うごとに関係性を深めていき、演技も完成されていく様を段階を追ってフォローできたのも非常に楽しいものがありました。
また、何度見ても眼の喜び、五感に染みいるルグリとギエムの至芸など、今思い起こしても3日通ってまだ通い足りない気持ちでいっぱいです・・・
今回は幸いなことに会場で翌日、翌々日の公演のわずかな(たぶんキャンセル席?)席が販売されていましたので、第1部の「優しい嘘」を観るたびに反射的に幕間の時間にNBSのカウンターにダッシュする・・ということを繰り返してしまいました。
(でもそういう方が多かったみたいで、最終日お隣にいらした偶然このブログを読んでくださっている方もそうおっしゃっていました


「マニュエル・ルグリの新しき世界」 Bプロ 2日目・3日目・楽日

2010-02-08 03:02:03 | BALLET
2月7日(日)
ゆうぽうとホールにて、

「マニュエル・ルグリの新しき世界」 Bプロを観て参りました。

ルグリ・ガラ、といえば、「ルグリと輝ける仲間たち」というシリーズで、オペラ座の若手、ソリストなど、ルグリによる選抜隊で来日。注目の若手、テクニックに秀でたソリストなど、オペラ座の注目株と、バレエ団全体の引っ越し公演では取り上げづらい作品を紹介してきましたが、今回はスペシャル編、という感じで、ルグリが今まで踊ってきた作品を世界のスターダンサーに声をかけて再構成、という企画。

《マニュエル・ルグリの新しき世界》
Bプロ
ルグリと輝ける世界のスターたち


【第1部】

「チャイコフスキー・パ・ド・ドゥ」
ヘザー・オグデン ギヨーム・コテ

「モペイ」
フリーデマン・フォーゲル

「スリンガーランド」
アニエス・ルテステュ パトリック・ド・バナ

「アザー・ダンス」
オレリー・デュポン デヴィッド・ホールバーグ

「優しい嘘」
シルヴィ・ギエム マニュエル・ルグリ

【休憩】

【第2部】

「マリー・アントワネット」
アニエス・ルテステュ パトリック・ド・バナ

「ハロ」
ヘレナ・マーティン

「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」
上野水香 高岸直樹

「失われた時を求めて」 "モレルとサン・ルー"
ギヨーム・コテ デヴィッド・ホールバーグ

「三人姉妹」
シルヴィ・ギエム マニュエル・ルグリ

◆上演時間◆
第1部 7日 13:30 ~ 14:30  8,9日18:30~19:30
休憩 20分
第2部 7日 14:50 ~ 15:45  8.9日 19:50~20:45   

※当初発表いたしました出演者に変更が生じております。
「アザー・ダンス」に出演を予定しておりましたフリーデマン・フォーゲルはリハーサル中に首を痛め、「アザー・ダンス」に出演することができなくなりました。
そのため、マニュエル・ルグリの判断により「アザー・ダンス」はデヴィッド・ホールバーグが、「ドニゼッティ・パ・ド・ドゥ」は上野水香のリハーサル・パートナーを務めていた高岸直樹が急遽出演することになりました。
何卒ご了承のほどお願い申し上げます。なお、「モペイ」は予定どおりフォーゲルが踊ります。

ということだったのですが、
実は・・・第一部の最後、伝説のペア、ギエムとルグリの「優しい嘘」があまりに素晴らしくて・・・
平日の公演は18:30始まりで、会社帰りには間に合わない可能性が強かったので日曜日にチケットを取ったのですが、
うーん、これはちょっとくらい遅れてもどうしてももう一度観なくては!!!と
幕間の休憩中に月曜日のチケットを追加で押さえてしまいました
というわけで、詳しい感想はまとめて明日に・・・

というつもりだったのですが、8日も行ったらまた9日の楽日も行きたくなりxxx
はい、また会場でチケットを買ってしまいましたxxx
連日走ります!
五反田へ、五反田へ!


「マニュエル・ルグリの新しき世界」 Aプロ初日②

2010-02-08 01:37:23 | BALLET
2010年2月3日、水曜日。
ゆうぽうとホールでのNEWルグリガラ、Aプロの感想を少しだけ・・・

「The Picture of...」

振付: パトリック・ド・バナ
音楽: ヘンリー・パーセル



クジラの鳴声に始まり、パーセルのオペラ「ディドとエアネス」の終幕のアリア「私が地に横たわるとき」が流れ、ダークなピタッとしたTシャツに黒いパンツのシンプルな衣装のルグリが重厚で静謐な空間で自己の内面への旅へといざなうような作品。
昨年の世界バレフェスのGALAでも見ましたが、今回、振付がもう身体にしみ込んで、さらなる表現の深まりを見せてくれました。
今の自分にぴったり、とルグリ自身が語るように、大げさな盛り上がりや演出を排してシンプルに徹していながら観る者を惹きこむ求心力を感じます・・・。


「White Shadow」世界初演

振付: パトリック・ド・バナ
音楽: アルマン・アマー
衣装: 高井秀樹(stodja)

エキゾチックでドラマチックな音楽はフランス映画界で活躍するアルマン・アマー。
錆びた金属のような3枚の大きなパネルが男性群舞によってさまざまなフォーメーションに移動させられる簡素な背景。
テーマは力強さの中の調和、宇宙と精神性・・・
「エネルギーが重要なテーマ」というダンサーとしても参加したド・バナがルグリと東バの選抜メンバーに宛書きをした新作。

ゼロ地点(地球)を中心に、闘争(火星)と愛(金星)、パワー・熱(太陽)と静かな冷たさ(月)をあらわす2つのペアが出現し、その周囲で緑やブルーの華やかなフリルのドレスの女性ソリスト3人と、それぞれが違うデザインの黒の革ベストとパンツ姿の5人の男性群舞、そして長く垂れ下がった袖の生成りの貫頭衣のコールド、という構成。



ゼロ地点、ということで1時間の舞台にほぼ出ずっぱりの吉岡さんが凄い。
ロングのボブに墨色のシースルーが肌を覆うロングドレス。バレエの言語とは異なる摺り足で内面の悩み・葛藤を滲ませながら常にテンション高く存在する、という難しい役どころ。
妖精のような役がぴったりの華奢でほっそりとした容姿を持ちながら、ジプシー女の情熱のソロもこなす吉岡さんならではの、ジュリエット・グレコのような存在感はさすがの一言。



筋肉質の長身、刺青の肩、まるで虎のようなド・バナは闘争を、上野さんは愛を暗示するというペアなのですが、この二人が意外なほど相性が良い。
個性が際立つド・バナさんに対し、並みのバレリーナでは相手役が務まらないと思われますが、玉虫ワインカラーの深いスリットが入ったスリークなロングドレスから屹立する長い脚!ハッとさせる鮮烈さは水香ちゃんならでは。



暖かさとパワーのルグリはさすがの存在感。早いテンポでポジションチェンジを繰り返す高難度の振りもこともなげにこなし、相手役に抜擢された西村さんも柔軟性の高い資質を生かして健闘。
一か所尻もちをついた?ように思えた場面がありましたが、ルグリが巧みにフォローして、あれも振りの一部だったのかな?という感じに。冷たさ、を求められる役づくりで、ということもあったのでしょうが表情がかなり緊張していて・・・お察しいたします。。。
西村さんの衣装はコパーブラウンのロングとミッドナイトブルーのショートの2種。
ブラウンは特にお似合いでした。



衣装と言えば、女性ソリスト、高木さんの水色、奈良さんの群青、川島さんの若草、それぞれに自然界を想起させてデザインも華があって素敵でしたが、貫頭衣のコールド、黒革の男性群舞と重なるとそれぞれが異質すぎてちょっと・・・と思いました。主要な5人との相性はそれぞれ悪くないのですが、舞台進行と衣装設計にもうひとつ精度が高まれば、もっと完成度としての印象がUPしたのでは・・と惜しまれます。



素晴らしかったのは男性群舞。中でもセンターを踊った松下さんの、隅々まで力が漲りつつも抜群に切れの良い動きに充実を感じました。振りそのものも踊っていてさぞ気持ちが良いだろうと思う類のカッコよさ。
ともすれば抽象的な概念をテーマにしたコンテンポラリーが陥りがちな難解さをこの男性群舞の良い意味でのショーアップされたテンポの良さが救っていた・・・という観も。

一からバレエ団と作り上げてきた、というだけあって、東バの持ち味にとても合った作品。
オリジナルレパートリーとして今後も大切に育てていっていただきたい作品だと思いました。

ルグリは、完全にこの作品の一部として、大きな存在でありながらもあえて溶け込んでいた印象。
今、秋からのウィーン国立バレエ団芸術監督としての準備期間にまた大きな財産を経験値として取り込まれたのではないでしょうか。

観る側としても、スリリングで面白い観劇体験でした


「マニュエル・ルグリの新しき世界」Aプロ初日 ①

2010-02-05 04:36:24 | BALLET
2010年2月3日(水)

パリ・オペラ座を代表するエトワールとして名をはせたダンスール・ノーブル、マニュエル・ルグリが赤いバラの花束に包まれて華々しく引退公演を行ったのは昨年5月。
8月のバレフェスにはいつものように参加。
そこで披露した新しいソロ作品「the picture of...」はベジャール・バレエ団、ナチョ・デュアト率いるスペイン国立バレエでのキャリアをもつ気鋭の振付家パトリック・ド・バナの手によるもので、今の年齢のルグリにふさわしい深みのあるシンプルな表現で評判に。

2010年9月からは、ウィーン国立バレエ団の芸術監督就任が決まっているルグリ、それまでのダンサーしての日々を、この縁を拡大してパトリックとのチャレンジングな新作発表を含む、新たなるGALA公演を日本で企画してくれました!

その新作中心のAプロの初日、行ってまいりました。
まずは当日のCASTから・・・

《マニュエル・ルグリの新しき世界》
Aプロ
ルグリ×ド・バナ×東京バレエ団 スーパーコラボレーション

振付:パトリック・ド・バナ

「クリアチュア」 (日本初演)
音楽:デム・トリオ(トルコの伝統音楽)、マジード・ハラジ、ダファー・ヨーゼフ

オレリー・デュポン、フリーデマン・フォーゲル

奈良春夏、矢島まい、渡辺理恵、川島麻実子、河谷まりあ
長瀬直義、井上良太、柄本弾、杉山優一、森川茉央


「ザ・ピクチャー・オブ・・・」
音楽:ヘンリー・パーセル

マニュエル・ルグリ


【休 憩】


「ホワイト・シャドウ」 (世界初演)
音楽:アルマン・アマー
照明:高沢立生
装置:野村真紀
衣裳:髙井秀樹(stödja)

マニュエル・ルグリ、パトリック・ド・バナ

吉岡美佳、上野水香、西村真由美

松下裕次、氷室友、小笠原亮、宮本祐宜、岡崎隼也
高木綾、奈良春夏、川島麻実子

梅澤紘貴、青木淳一、井上良太、杉山優一、中村祐司
吉川留衣、河合眞里、矢島まい、渡辺理恵、河谷まりあ


※音楽は特別録音によるテープを使用します。


◆上演時間◆

「クリアチュア」 「ザ・ピクチャー・オブ・・・」 19:00 ~ 19:35
休憩 20分
「ホワイト・シャドウ」19:55 ~ 20:55

えぇと、ここでひとつ悲しい告白を・・・・
6列目、という良席をちらりとチケットで確認し、いそいそと上野に向かったわたくし。
東京文化会館の入口を見て唖然・・・もしや?と改めてチケットを改めるとそこには
ゆうぽうとホール
としっかとかかれておりましたとさxxx

はい、もちろん五反田にダッシュいたしました。
血相を変えて駆け込むわたくしをもぎりのお姉さん、会場案内のスタッフの方々が連係プレーで
すばやく席にいざなってくださったのは丁度、「クリアチュア」を終えてカーテンコール中の麗しいオレリーが
微笑みながら深紅のカーテンの向こうに身をひるがえしたとき・・・(泣)

ルグリ先生の「the picture of..」に間に合ったのは不幸中の幸いでございましたが。

皆様も観劇の際にはくれぐれも会場をお間違えのなきよう(え、間違えるのはmariaくらいのもの、ですって?・・・そうかも~


宝塚 宙組 「カサブランカ」

2010-02-03 02:32:07 | TAKARAZUKA
明日からはいよいよルグリ先生の新作公演!
その前に1月の観劇を少しご紹介いたしますね。

宝塚 宙組公演 「カサブランカ」



脚本・演出 小池修一郎

リック(リチャード・ブレイン) 大空祐飛
イルザ・ブラント        野々すみ花
ヴィクター・ラズロ       蘭寿とむ
ルノー大尉           北翔海莉

はい、お話は映画の通り。
パリで出会ったアメリカ人リックと夫を亡くした失意の北欧美女イルザ。
パリ陥落前夜、結婚を約束したまま忽然と姿を消した彼女との再会は、
アメリカ亡命を求めてヨーロッパ中の難民がひしめくモロッコのクラブ。
実は生きていた夫ラズロとリックの間で引き裂かれるイルザの心、
彼女をめぐる愛情の攻防と反体制の理想を抱く男二人に芽生える奇妙な友情・・・。

元ネタのあるストーリーの脚色がことのほか巧みと定評のある小池先生の演出は
そつなくストーリーを追いながら、舞台としても過不足なくスムースに流れるように展開してお見事。

そして、あの渋いボギーのリックを、ちょっと陰りのある男役、大空祐飛が抜群のスタイルの良さと切れ長の瞳(お誘いくださった職場のO先輩いわく、ベテランならではの抜群のメイクテクニック、だそう・・)で映画以上にかっこよく演じきっているのがツボ。
小顔ですらりとしたリックに対して、イルザの野々すみ花は普通の日本人バランスのお嬢さんゆえ、並んだときにやや分が悪い(?)のですが、そこはしっとりとした演技力でカバー。
理想を説く反ナチス、レジスタンスの闘士ラズロはともすると空々しくなりそうな台詞と振り付けなのですが、蘭寿とむはさすがの安定感。
3の線もイケる3番手、北翔海莉ちゃんはお腹に詰めものと一物ある食えない人物をおおらかに演じていて好感度大。
ただ、あまりにおじさん・・なので、ファンからはブーイング(笑)も。
あと歌える人なのに歌唱力を見せつけるシーンが少なかったのもちょっと勿体なかったかも。
歌といえば、あのAs Time Goes Byを歌うピアニスト・サムは、この公演がさよならとなる専科の萬あきらさんが味わい深く演じていて良かったです。



全体にセピアトーンを思わせるしっとりとした舞台、映像も効果的に使われていて演出にも嫌味がなく、
映画に思い入れのある方にも違和感なく仕上がっていたように思います。

7日が千秋楽ですね。

あ、あとダンスが上手くて、男役にしてはちょっと華奢で気になる存在、「エリザベート」役で抜擢されていた凪七瑠海はレジスタンスの若い男性の一人として出ていましたが、やっぱり他の男役とはシルエットが違うのですぐにわかりました(笑)